【AQUA276号】「ナカショク中条離乳農場」に生物活性水ミニプラントが設置

新潟県胎内市にある「ナカショク中条離乳農場」に生物活性水ミニプラントが設置されました

今後は時間をかけて臭いの抑制などの実験を開始します。

 匠集団そらでは、新潟県胎内市にあるナカショク中条離乳農場にて、生物活性水ミニプラントの設置工事を二〇一四年一一月から開始しました。同時に一一月より培養調整を開始していましたが、冬の気温の低さが影響したのか一二月末には生物活性水が完成する予定でしたが、最終槽の亜硝酸態窒素が抜けきらずに一ヶ月半も先延ばしとなり、先日の二月二六日に培養調整を完了することができました。今後は豚舎の洗浄水に生物活性水の添加を始め、特に臭いの抑制について、その効果を確かめていきます。
 ナカショク中条離乳農場に設置された生物活性水プラントは一槽が一tの液体バルクコンテナを使用したミニプラントで、山梨県の萩原フルーツ農園や長沢農園、茨城県の武井蓮根農園、徳島県の石井養豚センターなどに数年前より匠集団そらが施工・販売設置をおこなっていたものと同型のプラントです。ここではこのバルクコンテナを一〇槽並べています。原水は井戸水、原料は同農場で製造されたコンポストです。
 まず実験のはじめの段階として、この生物活性水を豚舎の洗浄水に五〇〇倍添加をし、日々の通路洗浄、オールアウト後の洗浄に使用します。今後は毎月一回、定期的に現場の状況確認、臭気検査、プラント点検などをおこなっていき、生物活性水の倍率を二〇〇倍ぐらいまで濃くして行くことを検討しています。また、日々の通路洗浄に使用する消毒液を徐々に減らしていき、最終的には使用しないようにして行く予定です。
 中条農場は決して悪臭漂うような農場ではありません、最初に訪れた時はむしろ、臭いのない方だと感じたのが印象的でした。それでもナカショクの本間代表は農場が立地する各地域との関係を大切にするということを踏まえ、畜産の臭いの抑制に努力を続けられてきています。これまでにも特定菌の使用や、脱臭装置の設置など様々な改善をされてきましたが、昨年の新潟BM自然塾の設立総会でBMW技術と出会い、「時間はかかるかもしれないが微生物による方法が一番シンプルで良いではないか」ということで、今回の取り組みを始めることとなりました。

中条離乳農場の大矢浩一農場長にお聞きしました。
――中条離乳農場の概要を教えて下さい。
大矢:当社の養豚農場は、全部で一八農場(一一の直営農場と七の預託農場)ありますが、スリーサイト方式を取り入れています。中条はその二つ目にあたる離乳農場で、繁殖農場から運ばれてきた生後二一日ほどの乳離れした仔豚を七五〜八〇日まで育て、肥育農場へ移動させるまでが役割です。導入、移動(出荷)はオールイン・オールアウト方式(注①)です。それから当社の豚はすべてSPF豚(注②)です。
――スリーサイト方式とはどのような方式でしょうか?
大矢:豚の成長段階に合わせて、飼育する場所を「繁殖農場・離乳仔豚農場・肥育農場」の三つに分け、各農場単位で管理・飼育する方法ですね。成長段階に合わせて飼育場所を変え、病気の感染や拡大を防ぐことが大きなメリットです。それと日齢に合った環境でストレスがなくのびのびと健康に育てることができます。うちは生まれて乳離れした仔豚が通う保育園だと思っています。ここで育成へのベースが決まってくるものだと思っていますから、この方式の中で一番重要な役目だとも思っています。
――豚の移動などコストのリスクがありそうですが。
大矢:たしかに輸送費やその他のコストがかかりますが、病気感染のリスクを減らすことが健康でおいしい豚を育てるために最も重要だということでナカショクではスリーサイト方式を採用しています。
――常時いる仔豚の数はどのくらいですか
大矢:二、〇〇〇頭収容の豚舎が八棟あります。全部で約一六〇〇〇頭の収容が可能ですが、常時収容数としては一二、〇〇〇頭〜一四、〇〇〇頭です。
――働いている方の人数は。
大矢:働いているのは私も含め九名、うち二名は仔豚を育成農場に運ぶドライバーです。
――衛生管理が徹底的におこなわれている印象を受けますが。
大矢:オールイン・オールアウトで洗浄・消毒もそうですが、トラックも洗浄・消毒、重機や容器も交錯しないように管理していますし、訪問する人への許可証の発行や本社への報告など、病気を持ちこまないために衛生管理はとことん徹底しています。
――糞尿はどのように処理されていますか?
大矢:尿は浄化槽(尿処理施設)で処理をしています。糞は場内の堆肥製造施設で堆肥づくりをしています。堆肥は地域の農家さんに使ってもらっています。うちは運搬から畑に撒くまでをセットにして農家さんに使ってもらっています。
――いよいよBMW技術、生物活性水を使い始めますが期待されていることなどありますか?
大矢:まずは臭いの問題ですね。今まで色々と試してきましたが、あまり効果が見られなかったので。当社代表の本間が、時間はかかるかもしれないがこれに懸けてみようという思いもあり、私自身もすぐに結果を求めずにじっくりやっていこうという思いです。地域循環、自然循環など勉強できるといいかなと言うことも含めBMW技術に期待しています。
――臭いの問題は大きな課題ですか?
大矢:畜産業は皆さん、そうでないでしょうか。この地域も年に数回、役場の臭気検査があります。近くに養鶏場もありますし、臭いは日々違う時もあり中々難しいですが、やはり地域とのつながりは大事なので、努力しなければならないです。代表の本間からも地域とのつながりを大切にしろと日々言われ続けています。
――ありがとうございました。これから始まりですがよろしくお願いします。

注①「オールイン・オールアウト」方式:養鶏などの飼養方式でもよくあるが、雛・子豚を一斉に畜舎に入れて(オールイン)飼養した後、、一斉に出荷し(オールアウト)、畜舎を空にして洗浄、消毒、一定期間をおいた後、再び畜舎に入れる飼養方式。導入されたすべての仔豚を出荷して豚舎を空にし、洗浄・消毒をしてから次の仔豚を導入する。毎回清潔な豚舎に新しい仔豚が導入されるので衛生的で、病気になりにくいため薬品の使用が軽減され、集団免疫が確立しやすくなる。

注②SPF(Specific Pathogen Free)豚:あらかじめ指定された病原体をもっていないという意味で、発達の障害となったり、肉質に悪影響を与えたりする五つの病原菌(オーエスキー病、萎縮性鼻炎、豚マイコプラズマ病、豚赤痢、トキソプラズマ病)を持たない母豚から産まれた仔豚を、衛生管理の行き届いた豚舎で育てた豚。

◎ナカショクのスリーサイト方式の詳細
 繁殖農場で生まれた仔豚は、生後二一日ほど母豚の元で育てられた後、離乳仔豚農場へ。離乳仔豚農場では、仔豚はほぼ同じ日齢のグループで育てられ、そのためストレスを軽減できる。母豚からの免疫抗体が持続している間に離乳し、母豚から離して別の農場で育てることには、仔豚が病気に感染するリスクを減らすというメリットがあり、投薬予防よりも効果的と言われている。仔豚は生後七〇〜七五日まで育てられ、そのあと肥育農場へ移動。肥育農場でもオールイン・オールアウト方式を採り入れ、豚舎ごとに同一日齢の豚を飼育・管理し、どの農場でも生育環境が同じになるよう条件を整えている。豚舎は開放豚舎で、JAささかみ(BMW技術協会会員)の廃菌床を敷き詰めたバイオベッドで自然に近い環境で大切に育ている。
◎ナカショクについて
 正式社名は「株式会社ナカショク」、昭和五五年(一九八〇)設立、本社は新潟県新発田市。自社農場を運営し養鶏・鶏卵・養豚事業を行う。豚糞、鶏糞などを肥料として製品化し、環境リサイクル事業も展開している。
 安心して食べてもらう安全な豚肉や鶏卵を安定的に供給することをモットーに、豚や鶏が気持ちよく過ごせる、地域の方々に迷惑のかからない環境づくりをおこなっている。農場には専門の獣医がおり、一頭一羽ごとの健康管理を徹底、効率だけを求める促成飼育ではなく、健康や安全に配慮した独自の飼育スタイルを確立し、安心して気持ちよく育つ環境から、ストレスに強く病気になりにくい豚や鶏を育てています。豚を健康に育てるために「あらゆる病原菌を持ち込まない、出さない、作らない」という考え方が全農場に徹底されている。スリーサイト方式やオールイン・オールアウト方式を採用しているだけでなく、必要以外の人や車の農場への立ち入りを制限する、野生動物などが農場に入れないようにフェンスを張る、豚舎に防鳥ネットを張り野鳥の侵入を防ぐ、管理者はシャワーで体を清め専用の衣服に着替えてから作業を行う、農場内に持ち込む物は消毒を行うなどの対策がおこなわれている。
 また、今年の二月には中条農場がある胎内市、JA胎内市との間で、飼料用米の生産・利用体制の確立に関する連携協定を締結しました。飼料用米の目標契約数量を一〇〇〇トンとし、生産・利用体制の確立や飼料用米の作付け促進、栽培技術に係る新技術の実証・開発まで、飼料用米の生産・利用体制を確立することで、地域内の持続的な飼料用米生産を促し、稲作農家の所得確保を目指しているとのこと。
 「ナカショク」の名前の由来は仲間の職場、略してナカショク。厳しく、徹底した経営管理、衛生管理の中に、働く人・仲間を重んじる本間代表の姿勢を感じます。
※ナカショクHPより(http://www.nakasyoku.co.jp)
(報告・取材:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2015年04月01日09:59

【AQUA276号】映像ドキュメンタリー「土と水の自然学」DVD

映像ドキュメンタリー「土と水の自然学」(理論編・処理編・農業編)DVDのご案内

 一九八九年五月に製作されたビデオ作品「土と水の自然学」、故・内水護博士の作業現場をドキュメントした「理論編」のなかの実験シーンでは、家庭雑排水処理場の原水槽の汚水に「腐植土=理想の土」を混ぜただけで、みるみるうちに透明になって、汚水は浄化されていきます。下に沈んでいるのは、イオン結合して巨大分子化した汚濁物質です。この現象は、自然界で行われている浄化作用をビーカーの中で再現したもので、この現象が起きた日を「自然が視えた日」と内水博士は語っています。
 良い水は良い土によって作られ、良い土は良い水がないとできない、土と水との相互の関係がわかりやすく語られています。
 理論編は、排水処理の仕組みについて取り上げ、処理フロー図等を使って解説しています。農業編は養豚、養鶏、酪農の現場を、処理編は家庭雑排水処理施設、ブロイラー処理施設、マンションの合併処理施設、漬け物工場の排水処理施設の現場を訪問して内水博士が各事例を説明しています。ぜひ一度ご覧下さい。
 BMW技術協会より、理論編・処理編・農業編のDVD三枚セットで税別二〇〇〇円にて販売しております。お申し込みはBMW技術協会(電話〇三―五二一一―〇六八一)まで、よろしくお願いします。

Author 事務局 : 2015年04月01日09:57

【AQUA276号】BMW技術協会常任理事会・㈱匠集団そら取締役会が開催されました

 二月二四日一四時から東京・飯田橋の研究社英語センター会議室にて、二〇一四年度第五回BMW技術協会常任理事会、一六時より㈱匠集団そらの取締役会が開催されました。
 常任理事会は報告事項として、BMW技術普及状況、協会活動報告、会計報告などがおこなわれ、協議・審議事項については中国でのBMW技術普及、第四回アジアBMW技術交流会の会計報告と承認、入退会申請と事務所移転の承認などがおこなわれました。
 ㈱匠集団そらの取締役会は第二二期(二〇一四年二月一日〜二〇一五年一月三一日)の事業・決算報告、第二三期事業計画があり、様々な議論を重ね、四月七日に定期株主総会を開催し、提出する議案を決定しました。

Author 事務局 : 2015年04月01日09:55

【AQUA276号】プラント稼働調査をおこないます

 BMW技術協会、並びに匠集団そらは自然生態系、生産・生活・地域社会の在り方を考えBMW技術の深化と拡散運動を生産者・消費者の皆様と一緒に行ってきました。皆様と共に歩んで約三〇年、今では全国・海外で約三〇〇基のプラントが設置されています。今後とも皆様のお力になれるよう、日々努力していきたいと思います。
 BMW技術協会・匠集団そらは本年を転換期と捉え、今一度初心に帰り心新たにこの一年に臨もうと思います。つきましては、全国のBMWプラントの稼働状況を親身に把握し、より一層皆様のお力になれるよう、またこれからの活動への利用を目的としてアンケート調査を実施することに致しました。日々の生産活動でお忙しいことご察し致しますが、簡単なアンケートですのでご協力いただければ幸いです。実施に関しては三月中旬までにFAXにてプラント会員、プラントを所持されている法人会員の皆様に送付いたします。

Author 事務局 : 2015年04月01日09:53

 
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