【AQUA283号】第25回BMW技術全国交流会テーマ

第二五回BMW技術全国交流会
テーマ『いま問い直す、持続可能な農業』
〜創造する未来、豊かな大地と共に生きる〜
期日:二〇一五年一一月一三日〜一四日
会場:シャトレーゼ・ガトー・キングダム・サッポロ

 いよいよ一一月一三日から「第二五回BMW技術全国交流会」が開催されます。今年の交流会の開催テーマは「いま問い直す、持続可能な農業」に決まりました。市場経済優先主義に立ち向かい「持続可能な世界」を創造する。「持続可能な世界・農業」をあらためて皆で見つめ直し、現在の農業、社会に「問い直す」、そんな交流会を目指した今年のテーマとなりました。
 BMW技術は自然という壮大な背景と循環があって生まれた技術であり、この技術が持続可能な世界を作ること、守ることにどれだけ貢献できるのか、寄与できるのかが重要ではないかと考え、未来に向けて少しでも明るく元気に進んでいけるように、真に豊かな農業、暮らしを創造していきたいと思います。
 大会初日は伊藤理事長の基調報告に始まり、岡山大学地球物質科学研究センター准教授の奥地拓生氏の基調講演、さらには根釧みどりの会・マイペース酪農の三友盛行氏の基調講演と続きます。夜の懇親会では、全国のBMW技術を活用して生産された農畜産物を材料とした料理が提供されます。お米、豚肉、鶏肉、卵など、BMW技術を実践する産地のものです。
 視察コースは根釧みどりの会のある根釧地域、ファーマーズ・クラブ雪月花のある妹背牛地域になります。共に一泊の視察コースとなっていますので、皆さんとのより深い交流を期待しています。
 この交流会が会員の生産者、消費者の皆さんをはじめ、多くの関係者と共に考え、共に学び、交流をする機会として、有意義なものになりますよう願っています。

■基調報告:
 「BMW技術の基礎、協会活動報告」
BMW技術協会理事長 伊藤 幸蔵
 今回は伊藤理事長の基調報告からはじまります。BMW技術を再認識できるように、また初めてBMW技術にふれる人にもわかるように、技術の基礎について触れます。そして昨年の交流会から一年が経ちました。この一年の活動報告と今後の課題を含めたBMW技術協会の方向性について提起されます。

■基調講演:
「地球、生命、日本列島の歴史とBMW技術」
岡山大学地球物質科学研究センター准教授  奥地 拓生
 BMW技術のミネラル循環を日本の地質資源、地域の岩石等の地球規模の物質循環の切り口で解説されてきた奥地准教授からは、世界でも希少価値のあると言われている根釧地域のタービダイト(混濁流)といわれる海底の陸源性堆積層、妹背牛方面の神居古潭(カムイコタン)変成岩帯の岩石調査報告とBMW技術と地球、生命のつながりを講演していただきます。

■基調講演:「いま問い直す、持続可能な農業」
根釧みどりの会・マイペース酪農 三友 盛行
 規模の拡大こそが成功の証とされてきた酪農の現場。多くの酪農家は、牛を増やそうと努力を重ねてきました。そのため、牛の頭数を減らして規模を縮小することには決断が必要になります。三友氏はそうした酪農家たちに「立ち止まり、足るを知る」ことの大切さを説いてきました。増やさない。無理をしない。身の丈のなかでやっていくこと。「節度が大切なのさ」。

○生物活性水を使用した実験報告
 ①稲作〜ファーマーズ・クラブ雪月花 市川 智
 ②野菜〜茨城BM自然塾 市毛 祐司
 ③畜産〜やまなし自然塾 向山 洋平
 ④果樹〜米沢郷牧場グループ 森谷 安兵衛
 ⑤生活〜生活クラブ大阪 文野 裕子
○生物活性水を科学する・
果樹有機栽培の実験について
   山梨大学 御園生 拓
○開催地北海道の会員の取り組み紹介
   (第二五回BMW技術全国交流会実行委員会)

Author 事務局 : 2015年11月01日14:57

【AQUA283号】プラント巡回報告

高知県内五か所のプラント巡回

○四万十川中流域の四万十町(旧十和村)十和地区の生物活性水プラントの定期点検を実施しました。十和地域振興課の冨田さんに案内していただきました。プラントはコンクリートの一〇トン槽が四つと間に五トンの自然石槽が三つあります。原料は牛糞堆肥です。生物活性水は、牛糞堆肥の製造に利用するほか、十和地域の耕作農家が施設まで取りにきて、おもにシシトウ、ピーマン、菜バナの栽培に利用しています。
 以前は堆肥センターのそばに養豚場があり、四万十川に環境負荷をかけないBMWシステムを利用した豚尿の処理施設があり、その処理水も原料にしていました。現在は養豚場は廃業しており堆肥センターの原料も牛糞に変わっています。

○高知県内に二校ある農業高校の一つ、南国市の県立高知農業高校にて生物活性水プラントの定期点検を実施しました。FRPの受水槽タンクを四つ並べています。原料は畜産総合科で飼育している家畜の牛糞、豚糞です。
 今回は(財)夢産地とさやま開発公社の山崎さんが見学も兼ねて同行してくれました。生物活性水は、堆肥づくりや搾乳牛の飲水に添加したり、鶏舎の中に原液を散布したりしています。使い出してから臭気が収まってきたと先生が話してくれました。

○愛媛県との県境で四万十川の源流がある津野町の堆肥センターに設置してある生物活性水プラントの稼働状況を見てきました。津野町建設産業課の西川さんと堆肥センターの植田さんに案内していただきました。
 五トンのホーロータンクを五本並べ、原料は堆肥センターの牛糞堆肥を使用しています。生物活性水は、一次発酵槽のロータリー撹拌機に取り付けたノズルから直接堆肥へ散布できるようになっています。堆肥は篩ったものとペレット状にして袋詰めしたものを作っています。
 生物活性水は町内の耕作農家も利用しており、ハウスの米ナス栽培で灌水時に希釈添加して活用しています。

○高知市の飲料水を供給している鏡川の源流域にある高知市土佐山(旧土佐山村)にあるとさやま土づくりセンターで生物活性水施設の稼働状況を確認しました。
 このプラントは、平成二四年に今まであったプラントに堆肥センターの撹拌機の更新と堆肥場の増設に併せて増設したものです。容量五トンのホーロータンクを併せて一〇本使っています。旧土佐山村の時に、鏡川を汚さないためにBMW技術の導入がされています。
 出来上がった生物活性水は堆肥づくりに、また一般財団法人夢産地とさやま開発公社が栽培管理する有機栽培のショウガ、地区内にある卵肉兼用の土佐ジローの養鶏場で利用されています。

○四国三郎と異名を持つ吉野川の上流域にある高知県大川村で、地鶏ブランドの「土佐はちきん地鶏」の農場に設置した生物活性水と飲水改善プラントの稼働状況を、事業課の関さんに案内していただき確認してきました。この農場は㈱むらびと本舗が経営する養鶏場です。生物活性水プラントは五tのホーロータンクが五つです。原料は鶏糞と牛糞の完熟堆肥です。飲水改善プラントは、今は閉鎖している白滝鉱山があったときに使われていた巨大な貯水槽を利用しています。生物活性水は鶏舎への飲水に希釈添加されています。
 また和牛の繁殖、肥育牧場も近くにあり牧場内にある堆肥センター脇にも生物活性水プラントがあります。
 毎年一一月三日に行われる大川村謝肉祭では、土佐はちきん地鶏と大川黒牛のバーベキューが提供され、毎年すごい人気で今年の前売り券も発売してすぐに定員一五〇〇名分が完売となっています。

埼玉県内四か所の
    中水利用処理施設の定期点検

○埼玉県さいたま市のパルシステム岩槻センターでのプラント定期点検を実施しました。
 ここはパルシステムの組合員へ配達する商品の仕分けセンターです。またパン工場も併設されています。このセンターから出てくる雑排水(トイレ、食堂などからの排水)を合併浄化槽で一次処理し、その処理水を中水利用処理プラントで高次処理してトイレの流し水に再利用しています。

○パルシステム埼玉の三センター
白岡市の白岡センターの中水利用プラントの定期点検です。状態はとても良かったです。こちらもトイレの流し水に再利用されます。

○蕨市の蕨センターのBMプラントは、駐車と洗車用のスペースの地下にFRPタンクを埋設してあります。
 一次処理施設として合併浄化槽がありその処理水が中水利用処理施設へ流入するようになっています。
 稼働状態は良好でした。処理水はトイレの流し水に再利用されます

○三芳町の三芳センターの中水利用プラントでも定期点検を行いました。
 ここのプラントは、配送センターになる前は倉庫だったので、合併浄化槽の処理水を原水とするプラントは、センター開設時にあわせてステンレスの水槽を製作して設置してあります。
 稼働状況は良好です。やはり処理水はトイレの流し水に利用します。
(報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

山梨県北杜市 増冨の湯〜
増冨BASE(ベース)ファーム
 二〇一〇年に導入された生物活性水プラントは一トンのローリータンクが五槽で日量・一〇〇リットルの生産が可能です。原水はラジウム温泉の源泉、原料は黒富士農場で製造されているBM活性堆肥(鶏糞)です。生物活性水は温泉施設の「上がり湯」に保温効果目的で生物活性水を投入しているほか、山梨大学の御園生研究室と共同で藻類バイオマスプラント(生物活性水を使用してクロレラの培養をしている)も設置され、藻類バイオマス入りの生物活性水を畑作や稲作に利用しています。
 プラントを管理している一般社団法人護持の里たまゆらは「増冨の湯」という日帰り温泉施設の運営を軸に、自然の恵みを生かした健康プログラムとして、施設周囲に遊歩道を整備し、これを運動・作業療法の場所とし、遊歩道沿いの遊休農地を借り受け、畑作と稲作をおこない、収穫した作物を施設内の食堂で利用しています。食堂から出る生ゴミを堆肥化し、作物を収穫し、食材として利用し、再び生ゴミを土に戻す循環方式を実現しています。凍み大根作り、キノコ採り、味噌作りなど、地域の生活文化や里山の暮らし体験を取り入れています。世界でも有数のラジウム含有量を誇る増富温泉郷は、増富の人々が古くから守り続けてきた冷泉で、信玄公の隠し湯とも呼ばれ、以前は多くの湯治客で賑わっていましたが現在は湯治客も減りました。五〇年前は二六〇〇人以上の人口が、現在は六〇〇人と急激に過疎化が進み、集落にあった中学校や小学校はすでに廃校となり、人口の七〇%が六五歳以上のいわゆる限界集落です。さらに農地の六三%は耕作放棄農地、かつては、米の他に小麦や蕎麦も作っていましたが、高齢化が進む中で農業は衰退し、鳥獣被害も増えてきました。それでもこの厳しい状況の中ですが、地域に住む人々はとても元気で、人々はこの里山の文化と暮らしを大切にし、自然と共存しています。
 畑作を担っているのは、そんな増冨に魅了された山田さんと西川さん。二人は、平日は東京で働き、毎週末増冨に通う「二拠点生活」を始め、二年前の二〇一四年に増冨BASEというグループを立ち上げました。増冨BASEはこの地域の固定種野菜の無農薬栽培、伝統野菜の栽培、伝統的な加工食品づくり、文化の継承を目的とした活動をはじめ、護持の里たまゆらの取り組みをサポートしながら、地域の活性化をおこなっていて、いずれはNPO法人を設立する予定です。
 今年から花豆や増冨きゅうり、大根などの栽培に藻類バイオマス入りの生物活性水を使い始めています。主な用途は潅水や葉面散布とのことでした。この日は御園生先生も一緒に訪問し、現状の悩みやこれからについて話し合いました。大きな悩みのひとつは、芽が出たばかりの大根がカメムシの被害に遭い枯れていくこと。これはアブラナ科全体に見られるとのことでした。コンパニオンプランツや土の改良など、対策について色々な意見を交換しました。来期の栽培に向けて、より具体的な生物活性水の使い方についても相談があり、冬になって落ち着いたら、再度相談することとなりました。
   (報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)


プラント点検
新潟県胎内市 ナカショク中条離乳農場

 今年の三月より稼働を開始した生物活性水プラントの定期点検を実施。生物活性水プラントは一トンのバルクタンクが一〇槽で日量・二〇〇リットルの生産が可能です。原水は井戸水、原料は農場で製造されている豚糞堆肥です。生物活性水は豚舎の日々の通路洗浄、オールアウト後の洗浄水に稀釈して使われています。稼働当初は二五〇倍、それから徐々に濃度をあげ、現在は一〇〇倍希釈で添加しています。半年が経ち、まだ大きな効果を見ることができていませんが、農場長の大矢さんは手ごたえを感じています。
 ナカショクグループでは豚の育成を三段階にわけるスリーサイト方式を取り入れています。ここでは二段階目となる生後二一日ほどの離乳した仔豚を、七〇〜七五日にまで育てる重要な段階を担っています。日本全国の畜産農場は臭いの問題に神経を使っていますが、ナカショクグループも同じく、中条離乳農場だけでなく、グループ全体で臭気問題には特に神経を使っています。年に数回、地域自治体による臭気検査などもあり、地域住民の理解を得るために、様々な対策を取るなどの努力を続けてきています。BMW技術導入もそのひとつですが、BMW技術は頓服のような速効性の効果はありません。遅効性として徐々に農場全体に効いてくるようにと考えています。今後は豚舎内での散布だけでなく、農場内にある堆肥舎や浄化槽(尿処理施設)の周辺などへ原液の散布を始めることにしました。農場全体で臭気抑制をしていくように努めて行きます。
    (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2015年11月01日14:55

【AQUA283号】西日本BMW技術協会会員訪問

西日本BMW技術協会会員を訪問
  報告:西日本BMW技術協会事務局 秦 武士

産直南島原(長崎県南島原市)
   生産者メンバーの堆肥場を
     視察訪問(九月一五日)
 今年の七月に西日本BMW技術協会総会の現地視察として産直南島原の堆肥場を視察しました。今回はその後の様子を視察するため訪問しました。産直南島原の主な栽培品目はバレイショと玉ねぎです。バレイショは年二回春と秋の作付けをしており、訪問した時は秋作の植付けのため大半の堆肥は出払っていましたが、残っている堆肥を見ながら現地視察後の様子をお聞ききしました。
 最初は竹下浩二さんの堆肥場からです。竹下さんの堆肥場は元々電気がきていなかったため、現地視察の時は発酵をスムーズにするための煙突換気扇が設置できていませんでした。今回訪問した時には電気工事が終わっており、煙突換気扇が六基設置されていました。
―煙突換気扇を設置してから臭いは変わりましたか?
竹下:前ほどじゃないけど、まだ少し臭いがしますね。ここ(堆肥場)から五〇mくらい離れたところに自宅があるけど、風向きによっては家まで臭いがするから、洗濯物を干している時は換気を止めてくれって言われますよ。でも前の堆肥とは違う感じがしますね。
 次は現地視察の時、一番堆肥の状態が良かった山田始さんの堆肥場です。視察の際、スコップで掘り返すと中が放線菌で真っ白な状態になっており、臭いもなくとても良い状態でした。今回は苗用として若干の堆肥が残っているだけで乾燥していましたが、引き続きとても良い状態でした。
―臭いもなく良い状態をキープしていますね。
山田:生物活性水と煙突換気扇を使って堆肥の状態が本当に良くなったと感じてます。臭いもそうだけど畑に撒いた後も馴染みやすくなった感じかな。(前の堆肥が)本当に良くできたから、その時の放線菌がまだここ(堆肥場)に残ってるんじゃないかなって思ってるんですよ。だから次作るのがとっても楽しみです。
 次は産直南島原の代表である林田康一さんの堆肥場です。現地視察の時は臭いは軽減したが、山田さんのように全面真っ白な状態ではなく一部のみ見られましたが、視察後に「山田さんの堆肥と同じように全面真っ白になった」と連絡を受けていました。実際に残っている堆肥を見たところ状態が良く、放線菌も見受けられました。堆肥場から自宅まで割りと近い位置にあるが臭いがしなくなったそうです。
 最後は一番大きな堆肥場を所有している林田裕一さんの堆肥場に行きました。現在堆肥場は、種芋の保管庫として使っているため、堆肥は隣の屋根がないスペースで保管していました。南島原市では数日前まで大雨だったこともあり堆肥の状態としては、あまり良くありませんでした。種芋が無くなり、堆肥場に堆肥を入れてからまた頑張るとの事でした。
 四人とも煙突換気扇の効果を実感されており、次回の堆肥作りでも使っていくそうです。最後に、堆肥の水分調整として使用している生物活性水の在庫が少なくなっているとの事でしたので、事務局で手配するよう話をして視察を終えました。

丸忠園芸組合を訪問(九月二八日)
 宮崎県小林市の丸忠園芸組合を西日本BMW技術協会事務局の宮﨑と秦の二名で巡回しました。今年九州南部は天候不順(日照不足)の日が多く、作物にも多くの影響を与えています。訪問した日も曇天で今にも雨が降りそうな天気でした。
 丸忠園芸組合の代表である税所(さいしょ)篤さんからお話しを聞きました。ここのBMプラントは生物活性水プラントで、一槽七トンの土木槽が五槽と間に自然石槽が二槽の合計七槽のプラントです。またプラント脇に貯留用タンクが併設されており、最終槽で仕上がった生物活性水をタンクに移してから使っています。
 生物活性水は時期を問わず周年で使っており、作物や散布のタイミングに合わせ原液のままや希釈したりと使い分けており、少し前から冬作物の種まきなどで生物活性水の使用がピークになっているそうです。吊り下げている堆肥は豚糞堆肥で、一ヶ月に二回程度の頻度で入れ替えているとのことでした。
 一、三、五槽目を計測したところ、EC(電気伝導度)は〇・二前後(mS/cm)で、出来上がりは透明度もありとてもよい状態であることを確認しました。

Author 事務局 : 2015年11月01日14:53

 
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