【AQUA266号】新潟BM自然塾が設立

〜新潟県に点として存在していたBMW技術が面への展開へ〜

 四月三日、新潟市内にあるガレッソホール花園にて、新潟BM自然塾の設立総会が開催され、新潟BM自然塾の構成団体である、謙信の郷、JAささかみ、新潟県総合生協を中心に約四〇名が参加しました。
 総会に先立ち、設立発起人代表の峯村正文氏(謙信の郷・BMW技術協会全国理事)が「厳しい状況だからこそ、生まれてくるアイディアがあるはず。それを活かして行くことで農家として生き残れる可能性に懸けることができるのではないか。消費者の皆さんと共に考え、行動し、楽しくて豊かな新潟の農業を築きあげていきたいと思います。」と挨拶。次に新潟県総合生活協同組合・理事長の田才栄敏氏から「来賓とありますが、私たちは今日から共に手を取り合って進んで行く仲間であります。本当の価値とは何かを私たちは気づいている、それがこの会の設立の意義であり、これからの活動に多くを期待したい。」と力強い挨拶がありました。
 総会議事は第一号議案:設立と会則について、第二号議案:役員選出(代表・事務局長選出)、第三号議案:活動方針・活動計画の概要について、第四号議案:予算案について、と続き、すべて承認されました。代表には共同代表ということで、謙信の郷の峯村正文氏(BMW技術協会全国理事)、NPO法人食農ネットささかみ理事長の石塚美津夫氏、事務局長にはJAささかみ専務理事の江口聡氏が選任されました。
 総会終了後は記念講演が行われ、BMW技術協会の伊藤幸蔵理事長が「BMW技術の基礎と協会活動の概要」と題して講演をおこないました。
 また、最後にパルシステム生活協同組合連合会・理事長の山本伸司氏(BMW技術協会相談役)が総会総括をおこない、無事に設立総会は閉会しました。
   (報告:新潟BM自然塾事務局)

新潟BM自然塾設立趣意
 BMW技術が新潟県に導入されて二〇年程が経過しました。食品加工工場の排水処理に始まり、阿賀野市のJAささかみと旧安田町のグリーンアクアセンターの堆肥製造施設に生物活性水プラントが設置され、県南に位置する上越市の謙信の郷グループの井澤牧場にも生物活性水プラントが設置されました。両者ともに畜産の環境対策と堆肥作りを含めた農業技術への応用が発端です。
 新潟県の県北と県南に点として存在する「BMW技術」が農業技術の興隆再生と地域農業の発展に繫がる事を願い、二〇一三年一一月に新潟県新発田市にて『第二三回BMW技術全国交流会〜食と農の絆』が開催されました。実行委員会はJAささかみと食農ネットささかみ、謙信の郷、新潟県総合生協を中心に形成され、約一〇カ月間、開催に向け食と農の根本的な在り方など、様々な議論を重ねると同時にBMW技術や地球そのものの自然循環システムを学ぶ学習会などをおこないました。   更に、交流を深めることにより、お互いの生産技術や問題点などについて意見や情報を交換するまでに至り全国交流会は無事に終了しましたが、その後もその熱意は冷めやまず、今回の経験と共有した時間を基に、点から面へ展開することになりました。農の理念を共有し、有機栽培技術の向上、諸問題解決、商品開発や販売促進などに関する情報交換や研究活動をおこない、ネットワーク作り、目的に沿った情報を発信していく組織として、一般社団法人BMW技術協会の地方協会の機能を持った組織として『新潟BM自然塾』を設立します。
活動内容
①生産、生活、公共の場において、栽培技術の研究と実践
②地域での有機栽培技術、BMW技術の実践に関する情報交換と技術の共有
③学習会の開催
④生産物の企画・開発、販売と広報活動
⑤人材の育成・教育・研修及び知識の提供
⑥地産地消の推進

「新潟BM自然塾の設立に向けて」
  新潟BM自然塾
  共同代表 峯村 正文(謙信の郷)

 四月三日、長く熱い論議の末「新潟BM自然塾」が設立されました。
 BMW技術は生命活動の基礎、バクテリア、水、ミネラルを体系化して再現する技術です。特に、生き物にとっての良い水を再現し、そのためのミネラル、岩石(土)が重要と考えます。その意味ではフォッサマグナの南の端の「謙信の郷」と阿賀野川水系に位置づけられる北の端「ささかみ」が「環境保全と食と農の絆」を掲げて更なる進化を目指す「新潟BM自然塾」の設立は大変意義深いものです。
 新潟県の「阿賀衆」は農民運動の歴史でもその名を残しますし、一方上越は「和田争議」など昔から農民運動が盛んな地域でありました。謙信の郷の上越地区は高齢化しているとは言え「農民組合」が多く残っているのです。新潟BM自然塾は、新しい時代に相応しい、今の時代に必要な「農の研究」「農の運動」が深化発展することを期待します。
この時代に「土つくり」「堆肥つくり」「里山」「地域」をキーワードにして烈風と逆風が吹く世相に立ち向かうのですから私達は初めから「ドン・キホーテ」なのかも知れません。
石塚流の「そりゃあんた遊び心よ!」という風に受け流せば結構長続きすると思います。
 さて最近の科学技術の進歩は有機農業の世界を解明しつつあります、農産品の抗酸化力の分析も図られる時代になりました。イチゴの美味しさの解明はその一例ですが、共生微生物相が農産物の風味・品質に重要な「美味しさ」の科学的解明が可能になりつつあることです。そして、その為の基本は堆肥であり「土つくり」であるというこの「根本」に戻ります。私達は「里山」の発想のように地域の資源をベースにして、作物に有用な堆肥の研究が出来ると思います。落ち葉や藁、豆腐粕、あるいは醤油粕などを組み合わせた堆肥、アミノ酸肥料を作りだす楽しみをお互いが共有できればと思います。
 そんな農を科学する頑固な探究心と遊び心満載な自然塾の発展を願っての設立です。農と言う漢字は不思議な文字です。サンズイを書くと濃くなります。ニクヅキを付けるとこれは膿です。つまりネバネバするのです。農は土を細かく砕いてネバネバするまでこねる動詞です。その状態の土に種子を入れ、苗を押し入れ手入れすると植物が育ち命の糧が実ります。この発見に私達の祖先は喜んだでしょう。この事は「BMW技術」を学ぶ者の基本認識でもあります。産声の悦びと深化する苦しみが同居している組織を目指したいと思います。     (田植え前の繁忙期に記す。)

Author 事務局 : 2014年06月01日18:28

【AQUA266号】第8回BMW技術基礎セミナー報告

 四月一日、第八回BMW技術基礎セミナーが、東京飯田橋にある「東京しごとセンター」四階にて開催されました。当初、二月に二日間での開催予定でしたが、関東甲信地方に起こった大雪害の影響で延期になり、四月に開催となりました。
 若手の生産者を中心に、約三〇名が参加しました。参加団体は、ポークランドグループ、やまなし自然塾、(株)FTPS、大川村ふるさとむら公社、山梨大学、米沢郷グループ、(農)和郷園、謙信の郷、夢産地とさやま開発公社、ファーマーズクラブ雪月花、NPO法人APLAなどでした。

 BMW技術協会伊藤幸蔵理事長から「BMW技術基礎セミナーは、毎年二回開催し、そのうち一回は生産者からの技術的な発表、もう一回は消費者を交えてのBMW技術の運動的なことをテーマにして行うという方針でやってきています。今回は技術的なことをテーマにする回ですが、どういう風な実験をしていけば、わかりやすくまた結果が見えやすいか、実験の結果だけでなく、途中の過程も追えるような科学的手法を山梨大学の御園生先生から学びたいと思っています。
 BMW技術協会では各地のプラントの生物活性水の調査も行っていくつもりです。生物活性水の効果はわかっていますが『なぜ効くのか』の部分の解明についてもこれから注力していきます。」と開会挨拶がありました。
 続いて、黒富士農場の向山洋平氏から、二月の山梨県での雪害の報告があり、倒壊したハウスの解体作業等を手伝いに全国からやってきてくれたボランティアの方々への謝辞も述べられました。
 次に「生物活性水を利用した実験報告」として、山梨自然塾の萩原貴司氏から果樹についての生物活性水実験報告がありました。去年の全国交流会での発表をふまえ、さらに進捗した内容でした。ぶどうの萌芽、着色、糖度、平均粒重量等に与える生物活性水の影響を、ぶどうの上部、中部、下部にわけて調べた報告で、今後も実験は継続していくそうです。
 次に「生物活性水の利用による、おからの腐敗防止実験の報告」として、(株)豆伍心の小西歩氏が行った実験について、代理で秋山事務局長が報告しました。(株)豆伍心から日量五〇〇キロ以上も廃棄されるおからに、発酵させた米ぬかを入れ、全体を発酵させやすくする実験で、腐敗臭やハエの発生を抑えられることが確認されました。今後の工夫によっては、おからを腐らせず、栄養価の高い畜産用のエサなどに再利用できるのでは、との展望も述べられました。

 山梨大学生命環境学部の御園生拓教授による特別講座「実験の基本、データの取り方の基本」は、まず、科学的方法、合理主義的科学像など、科学についての概論からはじまり、実験系の組み方とデータの取り扱い、研究目標の設定と研究の流れの作り方についての講義がありました。続いて、山梨大学生命環境学部環境科学科の五味直哉氏と、ワークショップ形式で「藻類バイオマス施肥試験」を例にとったデータの視覚化と分析、平均値やデータのバラツキの表示、有意差検定などをExcelを使って実際に全員で行いました。
 その後、今年度の生物活性水を使った実験に関して、野菜、畜産、果樹、米の四つの分科会に分かれ、グループディスカッションが行われました。各分科会の発表の後、まとめとアドバイスを御園生教授から受けました。これらの実験は、今年一一月に行われる全国交流会や今後のBMW技術基礎セミナーで発表が行われる予定です。
 最後に(農)和郷園の木内克則氏から閉会の挨拶があり、会場を移しての懇親会となりました。 (報告:BMW技術協会 井上 忠彦)


「第八回BMW技術基礎セミナーに参加して」 宮城BMW技術協会
   大郷グリーンファーマーズ  西塚 忠樹

 四月一日のBMW技術基礎セミナーは、本当ならば二月に二日間の開催予定になっていましたが、二月の広域な大雪害による影響で開催が四月に延期、一日のみでの開催になったものでした。八〇年ぶりとも言われる大雪の影響は甚大なもので、BMW技術の普及が進む山梨県では、多いところでの積雪は一晩で一八〇㎝にもなったとのことでした。道路や鉄道は断たれ、協会会員の運営する畜舎、ビニールハウス、その他多くの農業施設に大きな影響を与えました。セミナーの冒頭でこの被害の説明が山梨の向山さんからあり心を痛めました。この場をお借りして、一日も早い復興を願い、お見舞い申し上げます。

 今回の基礎セミナーの内容としては、全国大会の時に発表しきれなかった実験の発表と、特別講座として、山梨大学から御園生先生による「実験の基本、データの取り方の基本」、それを踏まえたうえでの、部会での今年の実験に関するグループディスカッションを行いました。
 前年度の実験の報告として、果樹部会からやまなし自然塾、萩原貴司さん、生活部会から㈱豆伍心、小西歩さんからの報告がありました。
 まず、萩原さんの発表ですが生物活性水を利用したブドウの萌芽率と着色具合に関する実験の報告がされました。萌芽率は濃度の濃い生物活性水の散布を行うと遅くなる傾向にあると言われているようですが、今回の実験でそのことをデータでも示唆するような結果になったとのことです。これは、栄養過多によるものが原因にあるのかもしれないとのことでした。
 また、着色に関しては大きな差はないものの、同時に計測した粒重量は無処理のものと比べて増加傾向にあったとのことです。
 いずれの実験も果樹での短期での観測では結果が出づらいようで、今後継続して実験を行うことでの有効活用の方法を模索していきたいとのことでした。
 小西さんからは、豆腐の製造時にでる、産廃となるおからの一時保管時の腐敗臭を抑えるために生物活性水の散布を行っているそうです。今回、その散布方法のパターンの実験を行ったとのことでした。組合せとして、おから、生物活性水、BM菌体、ヨーグルト、米ぬかを何種類か組合せ、傾向を調べたとのことです。
 結果は腐敗を抑えるためには、生物活性水単体よりも、その他の菌の媒体があるものとの組み合わせが、効果があるとのことでした。BM菌体や米ぬかが入ると堆肥のような臭いになり、ヨーグルトを加えるとヨーグルトの発酵が進んだ時の臭いがしたとのことです。
 現在は産廃として処分しているおからですが、今後はおからを有効利用してくれる処分の方法を検討していくと話していました。
 今回の基礎セミナーでは、前回の全国交流会の実験発表を踏まえ、より伝えることを重視する実験を行いたいという意見が多く上がりました。そこで、そもそもの実験とはなんなのか、また、その実験結果を発表するためには、データをどのように集め、そしてまとめていくのかを、山梨大学、御園生拓氏に講演をお願いしました。
 御園生氏は、科学とは現象を構成するものの究明であると最初に述べました。現代の科学は、現象を表す要素をつなぐ関係性を調べていくことにあると話し、実験を行い伝えることを目的としていかなければならないと話していました。伝えるためには、まず、行う実験の構成をしっかりたてること。理論があり、仮説をたて予測をし、得られた結果を分析、そして理論の再構築の流れが重要であると、実験の方法の説明をしていただきました。そのうえで、とるべきデータの選定、そのデータの視覚化と分析の方法、得られたデータの有意差の表示などを、ワークショップ形式で教えていただきました。実際に、方眼紙を使いデータのグラフ表示をやってみると、学生時の授業を思い出す感覚があり、楽しみながらできた気がします。
 講演で話されたことを踏まえながら、セミナーの最後には部会に分かれ、それぞれの今年の実験テーマと内容を話し合いました。実験方法を直前に話していただいたので、内容が密になり、細かなところまでも話し合う良い場になったと思います。ただ、内容が密になったため、時間がどの部会も足りないようだったのが、少し残念ではありました。しかし、実験方法についての講演を聞いた分、昨年の実験発表よりも、今年の発表は細かなデータの提示ができるのではないかと感じています。
 また、前年のそれぞれの実験の発表が今回の基礎セミナーですべて終わりました。実験から得られた新しい発見、可能性を皆が感じていると思います。前年の結果から、今年以降につながる、生物活性水の有効利用の方法をそれぞれが検討していき、情報共有することでさらなる技術の向上が得られていくと私は感じています。

Author 事務局 : 2014年06月01日14:22

【AQUA266号】インドネシアATINA社を訪問

インドネシアATINA社を訪問、11月のアジアBM大会の招致をおこないました。

 四月二七日〜二八日、インドネシア・スラバヤのエビ冷凍加工工場・ATINA社(オルター・トレード・インドネシア社)を生田喜和アジアBM連帯会長(BMW技術協会常任理事)とBMW技術協会事務局の秋山が訪問、今年の一一月に開催を予定している「第二四回BMW技術全国交流会・第四回アジアBMW技術交流会」への招致をおこないました。アジアBMW技術交流会ではATINA社のBMW技術の取り組み、実験などの報告をしてもらうようお願いし、発表内容に関しての打合せに併せて、プラントの稼働状況の聞き取りや、ATINA社として今後どのようにBMW技術の取り組みを進めて行くかなどの話し合いを時間をかけてじっくりとおこなうことができました。
 ATINA社では、二〇一三年三月よりBMW技術排水処理プラントと生物活性水プラントが併設して設置され稼働を開始しましたが、昨年の秋頃から、工場の作業工程の都合上、生物活性水の製造タンクも排水処理槽として利用されるようになり、生物活性水の製造は一時停止していました。そこでプラント管理するスタッフよりプラントの処理フローの変更と生物活性水プラントの再稼働について提案と相談がありました。工場排水は一日の排水量が予想以上に増減するとのことで、通常期は現状のフローでも大丈夫ですが、ピーク時には流量調整がギリギリになってしまうとのことで、生物活性水の製造タンクを別のライン(タンク)で製造し、既存のタンクは排水処理用として使用したいとのことでした。匠集団そらの星加氏に相談し、ATINA社スタッフの提案を受け入れることにし、生物活性水は別途のタンク(一槽五二〇〇リッター×五槽)を使用して、生物活性水を作りなおすことになりました。
 また、エビ生産者の生物活性水利用に関しては、量があまりにも足りないこともあり、排水処理水を利用してもらうことになりました。これはプラントを管理するATINA社のシニアディレクター・アブラハム氏が処理水を利用して、魚や稚エビの飼育をしてみたところ、何ら問題もなく生育できたことを受けての提案でした。アブラハム氏はプランターでの野菜の栽培実験もおこなっていて、実験区を三つにわけ、普通の水と排水処理水、生物活性水の三種類で潅水をし、それぞれの成長具合を比べていました。今のところは処理水を潅水したものが成長の具合が早いですが、今後の実なりなどの経過を見ていきたいと話していました。生物活性水については別のタンクにて作り直し、当面はハッチェリー(稚エビの養殖)での利用実験に活用して行くことになりました。ハッチェリーでは大量の水と海水を混ぜながら、生育ステージにあわせて塩分濃度を変えて飼育しますが、生物活性水を塩分濃度に影響のない一〇〇〜二〇〇倍に稀釈して使用し、実験用に小さいロットで親エビの産卵率や稚エビの生存率を比較していく予定です。これらの取り組みが一一月の交流会で事例報告として発表されることが楽しみです。


ATINA社で開催された学習会に参加!
 また、エビ生産者とATINA社スタッフが設立したNGO団体「KOIN」が、環境をテーマにした学習会を開催しました(ATINA社とNPO法人APLAとの共同開催)。学習会の内容はこれからの地域を担っていく若者を対象にということで、生産者やスタッフの子どもたち(中高生)を集めて丸一日おこなわれました。インドネシアで環境問題に取り組むNGO団体「エコトン」や地元スラバヤ県の水産局職員を講師に迎え、スラバヤをはじめインドネシアの環境問題、特に水質汚染とゴミ処理の問題についての講義がおこなわれました。BMW技術協会事務局の秋山も講師として参加、BMW技術協会の日本の各流域での取り組みなどをBMW技術の理念を交え説明し、海外から見た眼でのインドネシアの汚染状況、特に河川に投げ捨てられるゴミの多さには驚愕しているというような感想を交えながら話しをしました。インドネシアでは基本的な生活用水はミネラルウォーターです。各家庭に貯水タンクがあり、タンクローリーが水を配達に来ます。このような風習があるからか、自然の水への意識、ありがたみが薄いのか、あるいはゴミを処理するという意識がないのか、河川は庶民のゴミ箱と化しています。これがエビ養殖へもたらしている影響は大きく、生産者にとっては死活問題となっています。KOINではBMW技術の考えを応用して河川浄化の取り組みを進めようとしています。その第一歩が今回の学習会となったようです。

○番外編〜東ティモール
 今回のインドネシア訪問の際に、少しだけ足を延ばすことにして東ティモールを訪問しました。NPO法人APLA事務局の野川さんの活動に同行する形で、二つの村(コーヒー産地)を訪問。村には電気、水道、ガスも通っていない、とても質素な暮らしが営まれている場所でした。夜は簡易型のソーラーパネルで蓄電された電力を電球一つに利用、あとはローソクと満点の星の灯り。水道は山からひいた湧水を貯水しながら利用、ガスはもちろん間伐材など。文明が入り込み過ぎていない村は、景色も人もとても美しい。
 一六世紀からのポルトガルによる植民地支配にはじまり、第二次世界大戦中の日本軍による占領、その後の不条理なインドネシア支配、独立運動を経て二〇〇二年に独立したアジアで一番新しいこの国は、国内産業がほとんど育っておらず、石油・天然ガスなどの天然資源を除くと、主な産業はコーヒーのみ。
 国自体のシステム、教育や産業についてもやっと自分達のルールを作り始めているところとのことで、この国の美しさや純朴な農民の暮らしを守るため、世界各国から多くのNGO団体が活動をしています。APLAではATJ社(オルター・トレード・ジャパン)のコーヒー産地にて、東ティモールのATT(オルター・トレード・ティモール)と一緒に農民たちの自立を支援しています。地元のNGO団体であるパーミティルの協力を受け、生産作物の多様化、生産者協同体の設立など、これまで他の「支援」が実現してこなかったことを実現する=人と人との交流・学びあいをベースに、人(コミュニティ)が変化していくプロセスに寄り添う形で、主体はあくまでコミュニティの人たち(農民)であり、「支援する・支援される」関係を生み出さないというスタンスで活動を続けています。現在は二つのグループと共に「コーヒーだけに頼らない地域づくり」をめざした活動を進めることを決め、対話を重ね、交流プログラムの実施などを通じて、各地域にある資源・労働力を生かしながら、「コーヒーだけに頼らない豊かな暮らし」を共に目指しているとのこと。ティモールでのBMW技術の普及はということになると、それはまだまだ先…というよりは、必要のないくらい恵まれた環境でした。 まだまだ自然の治癒能力が働く範囲内で在る姿でした。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2014年06月01日14:20

【AQUA266号】BMプラント動向

 四月一四日、長野県長野市赤沼にあるリンゴ栽培農家のグループ「八ケタ会」を訪問し、生物活性水プラントの稼働状況を確認しました。八ケタ会の小林会長とBMプラント担当の北澤副会長の案内でプラントを点検、近年はブロアの故障等により、うまく稼働していない状態で生物活性水の活用も図れていませんでしたが、この点検をきっかけに、これからの季節に向け、稼働を再開することとなりました。点検後は北澤副会長の圃場も見学させていただき、生物活性水はりんごの台木の苗作りに散布利用しているとのことでした。

 四月二一日、高知県高知市の夢産地とさやま開発公社が管理する、とさやま土づくりセンターにて、匠集団そらが商品開発を検討している「高性能堆肥と資材」に関する調査と打合せを、匠集団そらの礒田有治取締役と星加が行いました。堆肥作りとその効果をみる実験に関して、夢産地とさやま開発公社の大埼裕一理事に協力を依頼、近々に実験を進めることで合意しました。

 四月二三日、茨城BMを訪問しました。今回の訪問は株式会社LIXIL(リクシル)がインフラのない途上国(地域)でも利用できるように開発している「無水トイレ」に、BMW技術を活用できないかとの相談があったことをきっかけに、家庭用雑排水をBMW技術で再利用し、暮らしの中で水を循環させるシステムを実際に視察することを目的に、茨城BMの田中邸と米川邸の視察が実現しました。
 視察を行ったLIXIL総合研究所の古田規敏さんからは、「今回、茨城の施設を見学して『百聞は一見にしかず』という言葉を肌で実感致しました。屎尿及び雑排水がBMW技術の活用によりこれほどまでに、適切に処理され有用な資源として循環していることに感動しました。」との感想をいただきました。

 四月二七日、北海道別海町西春別駅前の別海町西公民館で開催された、「草地酪農をあらためて問う 酪農交流会 未来につながるマイペース酪農」に、協会から石澤直士常任理事、礒田有治理事の三人で参加しました。
 酪農交流会は毎年開催されており今年は全道から酪農家、研究機関、教育関係者など約一五〇余名が集まり盛会でした。主催は、「酪農の未来を考える学習会」実行委員会で、BMW飲水改善プラントも導入されている岩崎牧場の岩崎和雄実行委員長の開会のあいさつから始まり、午前中は中標津町にある三友牧場での永年草地に関する研究などを八名の方が発表されました。BMW技術協会も技術を紹介するパネル展示をおこない、昼食会のあとBMW技術協会の紹介と技術の概要を説明しました。
 翌日は、根釧みどりの会の高橋昭夫事務局長の案内で、西別川の源流から中流域までを見て回り、酪農の糞尿が環境に与える影響を現場で実感してきました。
(報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2014年06月01日14:18

 
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