【AQUA268号】第24回BMW技術全国交流会テーマ決定!

「アジアから共に未来へ」
〜地域に根差し、技術と文化を守り育てる〜
「アジアBM連帯」会長(BMW技術協会常任理事)生田 喜和

 今年は第二四回となるBMW技術全国交流会、そして、これまで四年に一度の開催をしてきた、アジアBMW技術交流会が第四回目として同時開催されます。テーマは「アジアから共に未来へ」〜地域に根差し、技術と文化を守り育てる〜と決まりました。
 BMW技術全国交流会は、日本全国のBMW技術協会会員や関係者が一同に会し、BMW技術の取り組み事例や研究成果の発表を行うとともに、会員・関係者相互の交流を深める目的と、開催地の今後の発展と健闘を願う意味で毎年、日本全国各地で開催をしてきました。
 一方でアジアBMW技術交流会は二〇〇二年に韓国・京畿道(キョンギドウ)・楊平(ヤンピョン)郡で第一回目が開催され、当時は韓国、フィリピン、タイ、ベトナム、そして日本からの参加者による事例報告、研究成果発表などが行われました。第二回は二〇〇六年に日本の石川県で第一六回BMW技術全国交流会と同時開催されました。第三回は二〇一〇年に第一回目と同じ韓国の楊平郡で開催されました。この第三回の開催をきっかけに「アジアBM連帯」という言葉が生まれ、アジアでのBMW技術の連帯をさらに強くしていこうと、そう呼びかけたのが、韓国でのBMW技術普及にご尽力いただいた、初代アジアBM連帯会長の閔丙采(ミン・ビョンチェ)元楊平郡守でした。
 日本で生まれた技術が、日本だけではなく、アジアで共有され、共に学ぶことを続けてきた努力の成果が、このアジアBM連帯ではないでしょうか。第一回アジアBMW技術交流会が開催された当時は、韓国全土のBMWプラントは一四カ所、「ソラ・インターナショナル・コリア」が設立されたばかりでした。現在では、「韓国BM水」と社名を変更し、韓国BM協会も設立され、普及体制も強化されています。プラントは当時の約一〇倍にも増えています。フィリピンでは、フィリピンBMW技術協会設立に向けての準備が進んでいます。タイ、中国、インドネシアへも普及の輪が広がりました。
 さて、一九九〇年代初頭のソ連・東欧諸国の社会主義体制の崩壊以降、資本主義の勝利が喧伝されました。新自由主義の台頭、アングロサクソン流経済優先のグローバル化がアジアを含めて世界を席巻しています。それぞれの固有の文化や社会の仕組みが規制緩和、優勝劣敗の競争原理等の導入で破壊されようとしています。大量生産・大量消費の産業構造がもたらした競争原理は、食品添加物・農薬・化学肥料の多用を促し、多くの健康被害や環境破壊をもたらしました。更に遺伝子組み換え作物までが世界市場を席巻しようとしています。
 私たちのBMW技術運動は、自然との共生を掲げてきました。私たちは自然の中に人が生かされていることを強く認識し、あらゆる動植物、その遺体や糞尿と、それを分解するバクテリア、水や空気を含めた自然環境の保全をしなければなりません。
 いまの資本主義社会の市場経済では、企業と言うのは営利を目的としているわけですから、コスト計算の中に「自然の再生産費」が含まれていないのです。たくさん儲けようとしたらコストをかけたくないのです。日本では民主党政権の中後期から、現在の自民党政権もそれを引継ぎ、再び規制緩和路線へと転換し始めました。今、必要なのは規制緩和ではなく、経済活動に対して自然環境保全の観点で、「自然の再生産費」を生産原価に入れる等の規制強化が必要な時代だと思います。しかし、アジアでは韓米のFTAをはじめ、TPP問題に直面しています。市場原理を最優先とした仕組みです。その上、それぞれの国の文化を平準化させるものでもあります。
 今回、私たちは、アジアBMW技術交流会を日本で開催し、たくさんのアジアの仲間が集います。一方で、韓国  日本  中国の国民感情の悪化を叫ぶ声が広がっています。愛国心をかきたて、他国を悪者に仕立てあげる政治的利用、煽りは、グローバル企業や偽政者達の常套手段です。
 このような状況だからこそ、国境を越えアジアに広がってきたBMW技術と、そしてその仲間が中心となって、もうひとつの民衆レベルの繋がりを持てることにとても大きな意義を感じています。これこそ、真のグローバリゼーションではないでしょうか。繰り返しになりますが、今年のBMW技術全国交流会、そしてアジアBMW技術交流会のテーマは「アジアから共に未来へ」〜地域に根差し、技術と文化を守り育てる〜です。今回の交流会が、農業、自然環境、地域と暮らしのこと、それぞれの国で抱えている問題の解決と、民衆の豊かな未来の創造に向けて、力強く踏み出す第一歩だと確信しています。

Author 事務局 : 2014年08月01日08:59

【AQUA268号】プラント動向6月

①山梨県山梨市長沢農園
 パルシステム連合会の地域づくり基金助成事業に採択されて設置した生物活性水施設で、六月九日に最終槽まで満水になった培養調整を確認し、最終の第五槽を水質検査に出しました。
 六月二六日に出た水質検結果は、大腸菌群、病原性大腸菌、亜硝酸態窒素もすべて不検出でした。
 できあがった生物活性水は、果樹(キウィフルーツ)の有機栽培に利用する予定です。

②高知県南国市高知県立高知農業高校 生物活性水プラントの定期点検とBMW技術の基礎学習会をおこないました。プラントはEC値が低かったほかは順調に稼働しています。現在は、プラント横にある堆肥舎で、一次発酵に利用されています。以前に比べ、臭気が無くなって発酵も良くなっています。
 点検の後、現場で萩原陽子農場長と畜産科の西村和洋先生、事務担当の依光紀子主幹に集まっていただき、BMW技術の基礎とプラントの仕組み、生物活性水の利用方法などを説明しました。説明を聞いた先生方は、ぜひ生物活性水を酪農や養鶏部門などいろいろな所で使ってみたいと話していました。

③高知市土佐山地区
  夢産地とさやま開発公社
 六月二三日に夢産地とさやま開発公社が委託管理している土佐山土づくりセンターにて健全な農産物づくりのための資材開発実験として牛糞とキノコの廃菌床を原料に生物活性水を添加して発酵させている堆肥を確認してきました。担当の山崎博さんが、発酵温度の測定や切り返しの管理をしており、実験中の堆肥は、開始から約六週間を過ぎ発酵温度も落ち着いてきました。このあと堆肥の熟成度を測定し、実験データを参考に今後の実験に反映していく予定です。

④パルシステム埼玉(蕨センター、白岡センター、三芳センター)のプラント点検
 埼玉県蕨市、白岡市、三芳町にある各配送センターに設置している、中水利用処理施設で定期点検を行いました。各センターからでてくる雑排水を、合併浄化槽で一次処理した処理水をさらに高度処理してトイレの流し水に再利用する施設です。

⑤高知県四万十町 ビレッジ影野
 高知県四万十町影野地区で果菜類のハウス栽培をしているグループ、ビレッジ影野を訪問しました。
 ここでは、生物活性水を町内の十和地区にある生物活性水プラントから運んできて、ハウスでの潅水に希釈添加して利用しています。
 代表の浜田好清さんからは、「花芽が以前とくらべ勢いが出てきた。着果も多くなって収量も期待できそう」とのことでした。ショウガや稲作、ブルーベリーにも利用を広げていくそうです。
  (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2014年08月01日08:57

【AQUA268号】フィリピン訪問報告

BMアジアより〜 「フィリピン訪問」
 六月一〇日〜二〇日、フィリピンを訪問しました。今回の訪問の目的は、第四回アジアBMW技術交流会への召致、フィリピンにある三カ所のプラント点検、フィリピンBMW技術協会設立に関する打合せ、カネシゲファームの卒業生の産地訪問、ATC社でのBMW技術基礎学習会、NPO法人APLAの案内で、伊藤幸蔵理事長、生田善和常任理事、事務局・秋山が訪問しました。

①北部ルソン・イザベラ州カワヤン/農業生産組合法人CORDEV(コルデヴ)
 昨年五月にリニューアルされた生物活性水プラント、二tのステンレスタンク×五槽、日生産量二〇〇リットル。順調に稼働していました。プラントが設置されているのは、CORDEVが今後、ネグロスのカネシゲファームのような農学校開校を目指すためにカワヤン市から借り受けしている土地で、堆肥製造施設があります。生物活性水は堆肥製造の水分調整、発酵促進に使用、生産者もここに生物活性水を取りに来て利用しているとのことでした。

②北部ルソン・イフガオ州アルフォンソリスタ/SABAPA(バナナ生産者共同体)
 アルフォンソリスタ地域の二三名のバランゴンバナナ生産者が集まって設立した共同体です。主に日本の生活協同組合などで販売されているバランゴンバナナを出荷しています。
 SABAPAの生産者代表のジャニー氏は「CORDEVの生物活性水を、バナナの育苗や野菜作りに潅水、葉面散布で利用した。使っていないものと比べると、葉の厚み、葉の色の違いなどがあり、BMW技術には期待ができると思っている。」とのことでした。しかし、この地域からプラントがあるカワヤン市までは、片道一時間半と遠いこともあり、定期的に取りに行くのが難しく、できれば自分達のプラントを設置したいと考えています。
 この地域はバンチートップ病と言うバナナの疫病が流行った地域で、昔はバナナの生産も盛んにおこなわれていましたが、疫病の影響で生産をやめる人が増え、遺伝子組み換えのトウモロコシの生産に移行していきました。ここイフガオ州とCORDEVのあるイザベラ州は、遺伝子組み換えトウモロコシの巨大産地でもあり、多くの農民は、シンジェンタ社やモンサント社の術中にはまり、体は病み、借金づけの生活をしているとのこと。ジャニー氏はこのような状況もふまえ、自分達はバランゴンバナナの生産を頑張って続けていきたいと願っています。
 この地域の農家は、遺伝子組み換えトウモロコシを生産するか、バナナを生産して食いつないでいくかという二つの選択肢しかありません。しかし課題も多く、バナナの生産は手探り状態でおこなっている部分もあり、生産技術の向上を含め、土作りなどの基本的な事をもっと学んでいかなければ、道は険しいです。

③北部ルソン・ヌエバビスカヤ州・マラビンバレー/ギルバート農園
 約二年前に生物活性水プラントを導入、約三tの土木槽×五槽(+一tの自然石槽)で日生産量は約三〇〇リットル。ギルバート氏は柑橘生産者で、生物活性水はみかんの苗木作り、豚の飲水添加、豚舎の洗浄に利用しています。豚舎の洗浄排水はメタン発酵→液肥(スラッジ)として利用、生物活性水の原料にもなっています。
 昨年から、これまでにいなかった害虫被害が地域全体に広がっていて、みかんの生産に大きな打撃を与えているとのことで、この影響で生産をやめる人も出てきています。ギルバート氏は「なんとかこの問題を克服して、生産を続けていきたい。これまでに使用してきた防除の在り方や、土作りを考え直さなければ未来はない、そのためにもBMW技術を実践していきたい。」と話していました。

④ネグロス島/カネシゲファーム
 生物活性水プラントは五〇t×三槽+二槽、バイオガスのメタン発酵槽が連結されています。プラントは順調に稼働、雨季に入ったということもあり、農場は緑が豊かに生い茂り、作物の生育状況も良かったです。
 ここ数年、スラッジ(液肥)を畑に利用することによって、以前に比べると土の状態はかなり良くなっているが、今度は逆に過剰施肥になっていないか、亜硝酸態窒素などの蓄積の心配があるとのことでした。そこでスラッジを施肥しないで作物を作ることを試していました。近々、検査機関に土壌検査を依頼する予定です。

⑤ネグロス島・パンダノン/カネシゲファーム卒業生の産地
 カネシゲファームはバランゴンバナナやサトウキビ生産地などの農家の担い手が、農業を学ぶ学校として開校されています。半年から一年の研修を終え、自分達の地域に戻り、カネシゲファームで学んだことを実践します。
 小規模ですが、養豚→糞尿をメタン発酵→スラッジ(液肥利用)→耕作の有畜複合型の循環式農業の実践です。豚はカネシゲファームから子豚を仕入れ、肥育してから売ります。ここパンダノンは、古くから日本にバランゴンバナナを輸出している地域で、ここに昨年卒業した二人の卒業生(マイケル君とマージョン君)が頑張っていました。

⑤ATC(オルタートレード)社での学習会
 ATC社は、BMW技術協会会員でもある日本のATJ社(オルタートレードジャパン社)の現地パートナー会社で、バランゴンバナナやマスコバド糖を日本やヨーロッパに輸出しており、日本では生協協同組合を中心に販売されています。同時にATC社は、各生産地で生産者支援、地域開発などもおこなっています。
 今回、ATC社での学習会は初めてのことでした。ATC社スタッフ、生産者を含めて約四〇名が集まりました。この学習会をきっかけに、カネシゲファームの取り組みを含めて、皆で協力し、一緒に生産者の自立を支援していけるように、あらためて考えていくことを期待しています。
    (報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2014年08月01日08:55

【AQUA268号】一般社団法人BMW技術協会「第三回定期総会」報告

 六月三〇日、東京・飯田橋にある研究社英語センター地下一階会議室にて、第三回定期総会が開催されました。伊藤幸蔵理事長の開会の挨拶に始まり、第二四回BMW技術全国交流会と第四回アジアBMW技術交流会の開催に向けての報告、議長選出、定足数確認ののち、二〇一三年度活動報告と決算報告および監査報告、二〇一四年度活動方針と計画案と収支予算案、役員の退任について、全部で五つの議案について審議されました。
全議案とも満場一致で原案通りに可決承認され、最後に出席された常任理事、全国理事からそれぞれの近況報告があり、通常総会は無事終了しました。
●議決権定足数 三四名
出席者:一八名 議決権委任者:一六名(計三四名)
■第一号議案:
   二〇一三年度活動報告について
■第二号議案:
   二〇一三年度決算報告と監査報告について
■第三号議案:
   二〇一四年度活動方針と計画案について
■第四号議案: 二〇一四年度予算案について
■第五号議案: 役員について
 ※緒方大助氏が常任理事を辞任されました。常任理事の新たな補充はありません。

BMW技術協会
二〇一四年度活動方針
 BMW技術協会が法人化した二〇一一年から、東日本大震災、それ以前のリーマンショックから引き続き、TPP、遺伝子組換の問題、放射能汚染や被爆地への帰還の問題含め、世界を一握りの人間が支配できる構造計画が着々と進んでいます。しかし、こういった動きの中で国連が二〇一四年の今年を「国際家族農業年」として「非企業的自給自足的農業」こそが、これからの地球規模での「食糧問題」の解決策と宣言しました。
 このような状況の下、私たちがこれまでに、そしてこれからも取り組んでいくBMW技術運動と農業、自然循環を中心とした地域づくりと人づくり、地域に根差した生産と経済の実現、地域と地域をつなぐネットワークの構築が、今まで以上に重要な意味を持ちます。これらを実現していくためにBMW技術は何ができるのか、これから地域を担う人々の技術向上と理念の両立、そして経済、真の豊かさをあらためて皆で考え、次世代につなげていきたいと思います。
 昨年度までは二つのキーポイントとして、「次世代への継承〜未来の創造」、「技術は理念と両輪」としてきました。重点的におこなってきたBMW技術基礎セミナー、各地の現場でおこなってきたBMW技術基礎学習会、全国プラント巡回等によって、若手を中心とした意識の底上げ、BMWプラントの管理方法を含めBMW技術をあらためて理解することができたと思います。一昨年の高知で行われた第二二回BMW技術全国交流会、昨年の新潟で行われた第二三回と若い世代の参加が多くなってきているなど、一定の成果を感じています。特に昨年からはじめた、生物活性水を利用した実験の取り組みは、米、野菜、果樹、畜産、生活の五部門にわかれ、独自性溢れる実験から、レベルの高いデータの収集などもできはじめているので、さらに技術を掘り下げて研究することが必要となってきています。
 しかし、一方ではプラントの新規設置など、実際の普及につながっていない現状もあります。昨年からの課題をクリアしていくために、基礎セミナーや基礎学習会の開催にあたっては、さらに裾野を広げることを意識しながら内容を検討していくと同時に、機関紙の内容、ホームページやSNSサイトなどの情報発信源の充実、地方協会との連帯、情報交換を強化して、他団体との連携を含め、既存の会員以外の生産者、消費者、地域にアプローチをしていきます。
   (報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2014年08月01日08:54

【AQUA268号】■雪害義援金のご協力ありがとうございました

AQUA267号でもお伝えしましたが、BMW技術協会では二月に関東地方を襲った大雪の影響で、栽培施設や鶏舎などへ大きな被害に遭われた協会会員のために、雪害義援金の募金をお願いしてきました。六月三〇日現在、一、八七五、〇〇〇円が集まりました。皆様の温かなご支援、誠にありがとうございました。雪害義援金は義援金とお見舞金として分けて、被害に遭われた山梨県、埼玉県、千葉県の会員の皆さんに送金させていただきます。
○雪害義援金・お見舞金の対象会員:白州郷牧場、やまなし自然塾所属の四農場、田辺農場、㈲北見畜産、㈱生活クラブたまご(旧・鹿川グリーンファーム)、㈱hototo

Author 事務局 : 2014年08月01日08:52

 
Copyright 2005 Takumi Shudan SOLA Co.,Ltd All Rights Reserved.