【AQUA269号】第9回BMW技術基礎セミナーが九州で開催されました!

初の西日本BMW技術協会との共同開催

 七月二四日(木)福岡市博多区の八仙閣にて第九回BMW技術基礎セミナーが開催されました。
 BMW技術基礎セミナーでは初めての地方開催、しかも九州での開催ということもあり西日本BMW技術協会の会員を中心に五七名が参加して、BMW技術協会若手幹事会座長の木内克則さん(和郷園)の開会挨拶でスタートしました。

一、米沢郷グループ資源循環型農業の取組み
(米沢郷牧場グループ代表・BMW技術協会理事長:伊藤幸蔵さん)
 伊藤理事長の発表は米沢郷牧場グループがBMW技術を含めどのような取り組みをしているのかを紹介していただきました。ちょうど基礎セミナーの開催週より福岡県は梅雨明けして暑かったこともあり、「九州は暑いですね」の一言から始まりました。
 米沢郷牧場グループで有機農業と畜産業との複合経営、それを地域で行う「地域有畜複合経営」をずっと大切にしてこられていました。
 地域有畜複合経営とはどうしても畜産農家には専門的にならざるを得ないことがあり、大規模化や専業化してしまう。それを地域から切り離してしまうと地域の中に畜産から出る堆肥など有効に活用できることがあるのにそれが上手く循環しないことがあるので、その畜産農家を地域の中に入れた形で有畜複合経営として地域的に進めていこうという考え方です。
 食べるものは地域の中から、それ以外は地域の中で循環させていこうというのが米沢郷牧場グループの考え方で、その中でBMW技術は循環のところで活用されているそうです。また生物活性水は野菜や田んぼ、果樹から堆肥・菌体作り、養鶏の飲水改善、飼料作りなどにも利用されており、正に循環の一部を担っていることを感じました。
 また地域有畜複合経営と同じくらい地域の外側(消費者、消費者団体)との交流や体験会なども大切にしていることも同時に感じました。
 発表後の質問の時間に、「これだけ大きなグループでも最初のスタート時は小さいグループからと思いますが、行政の補助などは活用されたのですか」という質問がありました。伊藤理事長は、「行政の補助等を活用したことはありません。養鶏で最初、生協さんからお金を借りて鶏やエサを買って販売していました。そうやってここまで大きな組織になりました」との返答には、私もここまで大きなグループなので補助等を積極的に活用しているのだろうと思っていたので驚きました。

二、BMW技術の基礎とBMW技術協会活動報告(BMW技術協会事務局長:秋山 澄兄さん)
 秋山事務局長からは、BMW技術の基礎的な説明、そしてBMW技術協会の活動を報告していただきました。
 今回の基礎セミナーでは長年BMW技術に携われた方も多く参加されていましたが、まだあまり知らない方も参加されていたということもあり、BMWの基礎、BMW技術、生物活性水など一から説明していただきました。今まであまり知らなかった方には分かりやすく、知っている方も再度勉強する良い機会を与えていただきました。
 活動報告では、今回の基礎セミナーや地域での講演会、韓国・フィリピン・インドネシアなどアジアでの活動・連帯、またBMを使っていないが地域で有機農業を取り組んでいる産地への訪問などを報告していただきました。
 最後に今年一一月に開催されるBMW技術全国交流会の案内で、今年は四年に一度のアジアBMW技術交流会との共同開催であるということもあり是非参加したいと思いました。

三、生物活性水の利用による、おからの腐敗防止実験報告(豆伍心:小西 歩さん)
 日々工場から出るおからをコンテナに入れて産廃業者に集荷してもらっているが、集荷が二〜三日に一回と間があるため集荷までの間におからが腐敗し、臭いとハエの発生に困っているそうです。そこで腐敗(臭いとハエの発生)を抑制するために生物活性水を使った実験報告でした。
 生物活性水にBM菌体や米ぬかなどを使った五パターンの検体を準備され、どれが一番発酵する(臭いがしない)かという内容でした。
 結果は、おから+発酵米ぬか+生物活性水+ヨーグルトを混ぜたものが一番良く発酵したが、混ぜたことで総重量が増してしまい産廃料金が上がることから引き続き生物活性水の噴霧のみを継続していくそうです。おからの発酵に成功したので、この発酵したおからの有効活用含め今後の使い方を検討されるとの事でした。
 発表後、コンテナに入れてからの生物活性水の噴霧作業は手作業で大変そうなのでコンテナに入れる前の段階で噴霧機等を設置して連続処理すれば作業の軽減になるのではないかといったアドバイスもありました。

四、夢産地とさやま〜有機の里の産業興し
(夢産地とさやま開発公社:鈴木 弘毅さん、山崎 博さん)
 夢産地とさやま開発公社では、昨年の全国交流会で発表されたようにしょうがの実験も行っていますが、今回は地域作りという視点で報告いただきました。
 鈴木さんからはBMW技術との出会いやその後の活用方法、どのようなことをされているのか、山崎さんからはとさやま土づくりセンターの詳細な説明をしていただきました。
 公社の役割として土づくりを中心とした資源循環の輪を進めていること。六次産業化で「土佐山ジンジャーエール」を製造・販路拡大を推し進めることで産業を興して地域の活性化に取り組まれている様子を分かりやすく説明していただきました。

五、果樹栽培における生物活性水のテスト使用と今後について(アーム農園:判田 直也さん)
 九州の中でも梨の栽培の盛んな大分県日田市で梨の専業農家をされているアーム農園の判田さんからは、梨(豊水)の人工授粉作業の軽減化と品質の向上(良品の増加)を目的に三年前より生物活性水を使った実験の報告をしていただきました。
 豊水は自分の花粉では結実できないため、それぞれの花を人の手で人工授粉しないと安定した収量が見込めないこと。そのためあきづきを混植している圃場で生物活性水を使った実験を行われています。
 人工授粉作業は開花時期のみということもあり、労働時間が集中し臨時雇用や交配用の花粉の購入・精製など費用と手間がかかることから、生物活性水を使い人工授粉作業を行わない試験区が人工授粉作業を行った慣行栽培の試験区と同じ結果となれば成功と言えます。
 三年間(三年目の途中ですが)の結果としては、人工授粉作業を行わない区と行った区に大きな違いがなかったことから成功ではないかと思いました。判田さんからは生物活性水を使ったことがどのように作用したのか(めしべに付いた黄砂を除去しているのではないか)、効果があったのか(受粉時期に葉面散布しており、その際の風圧で花粉が飛びまわり交配しているのではないか)などを仮定され、今後追求されるとの事でした。
 発表後は同じ果樹栽培で生物活性水を使った実験を行っており、判田さんと交流のある米沢郷牧場の横山さんより、色々なパターンでの実験やデータのまとめ方について賞賛のコメントが述べられました。

 全ての発表が終わり、西日本BMW技術協会の浦克稔会長より福岡でのセミナー開催の感謝と、発表に対する感想・まとめをいただいたところで第九回BMW技術基礎セミナーは閉会しました。
 閉会後は西日本BMW技術協会の第二二期総会を開催し、その後は同会場の別室にて懇親会を行いました。懇親会では夢産地とさやま開発公社さんより報告の中で出てきた「土佐山ジンジャーエール」を提供していただき、参加者でおいしくいただきながら交流を深めることができました。

■視察研修会の様子
 視察研修会は、BMW技術基礎セミナーの翌日七月二二日(金)に大分県日田市のアーム農園を訪問しました。博多駅からバスでの出発、現地へ直接来られた方を含めて二八名の参加がありました。
 前日の基礎セミナーで発表された生物活性水を使った豊水の試験区で、約一ヶ月後には収穫期を迎える一〇センチ大に実った実の数の多さと、若干腰を落とさないと頭がぶつかってしまうくらいの園地の高さに皆さん驚いていました。
 約一ヶ月後に収穫を迎えるという時期で摘果作業が終わっていたため、各試験区での結果の違いが見た目には分かりづらいということもありましたが、各試験区を順番にまわり判田さんより実験の内容や成果を改めて説明いただきました。
 園地視察後は、重機や資材等を保管している建物へ移動して改めて質問や判田さんより補足説明がありました。その中で現在は購入している堆肥を自家製に変える予定で、その堆肥作りにも生物活性水を使用していくそうです。
 最後に別の圃場で収穫期を迎えた梨(幸水)を参加者全員でいただき、視察研修会を終えました。
(報告:西日本BMW技術協会 事務局 秦 武士)

BMW技術基礎セミナーに参加して
産直南島原 林田裕一
 七月二四日〜二五日、福岡市で開催された第九回BMW技術基礎セミナーに参加しました。
 私たちのグループ産直南島原では、主にバレイショ、玉ねぎを、我が家ではキャベツ、レタスも作っています。これらの野菜作りでは、農薬などの化学物質に頼らないような野菜作りを目指してきました。これまでは生物活性水を堆肥に散布して堆肥の発酵がうまく行くようにして圃場の土壌改善をしてきています。
 今回のセミナーに参加し、BMW技術のそもそもの話や、BMW技術を使った堆肥の発酵、生物活性水の散布などの色々な使い方を知りました。また二日目にアーム農園の判田さんの梨園を見学させてもらいました。これまでBMW技術について勉強する機会がなく、今回初めてこのようなセミナーに参加してみて、生物活性水やBMW技術の奥深さや、栽培のいろんな場面で使えることが分かりました。とても勉強になりました。
 今までは堆肥の発酵に使うだけでしたが、野菜への散布もしてみたいと思います。また、BMW技術で農業をしている産地を見学し、この技術を学びたいと思います。
 これからもみんなが安心して食べられる野菜作りをして行きたいと思います。

下郷農協・指導販売部 立花康久

 下郷農協は大分県北部に位置する中津市耶馬溪町の一角にある大変小さな農協です。四方を山に囲まれ平地が少なく大規模な農業は不可能な環境の中で、小規模農家が集まり有機・無農薬の農産物を消費者に直接届ける産直活動を長年続けています。
 BMW技術を知ったきっかけは三年ほど前に農協が野菜を出荷しているグリーンコープ生協からのお知らせの中に「普及の一環としてBMWを一年間無料で配布している」との文章があり、当初は「BMW?何?」くらいに何も知りませんでしたが、文章を読めば「どうやら活性水らしい。野菜作りに活用できそうだ」ということが分かり、試しに二〇ℓのものを一〇個ほど申し込んでみました。数軒の農家に使用ガイドと一緒に配布し様子を見ていましたが、農家より「どうも良いような気がする。」との感想がありましたので、農協として導入する方向に決めました。導入するに当たり農協も農家も何も知らない状態でしたので、グリーンコープ生協にBMWを使用している生産者を紹介してもらい視察したい旨を伝え、福岡県の糸島BM農法研究会に野菜出荷農家とともに視察研修に伺いました。数軒の農家を訪問し、懇切丁寧な説明をしていただきました。説明の中で「BMW技術は確立されている訳ではない。効果は確実にあると言えるが、使用作物・使用方法などは個々が実験・研究してゆかなければならない。」と言われたことが印象に残っています。
 二年ほど前より西日本BM技術協会に加入し農家に使用を勧めてきましたが、今の所は野菜生産者の四分の一(生産者合計六五名)にも満たない利用状況です。今回、BMW技術基礎セミナーが開催されるという事で、農協・農家ともに理解を深めるため、下郷有機野菜生産出荷組合長の玉麻農夫男(たま・のぶお)さんと参加させていただきました。
 セミナーでの最初は山形県の「米沢郷牧場グループ」の伊藤幸蔵さんから「資源循環農業の取組」について発表がありました。米沢郷牧場グループは有畜複合経営を基本としBMW技術を活用して畜産農家で堆肥を作り耕畜連携による地域循環農業に取り組んでいるという事でした。発表の中で水田などに使用する農業機械(トラクター・田植え機など)はグループで共有し、また農業倉庫などもグループで所有しているとの事で、補助金を貰わずにお金を借りて単独で行っているという事に驚きました。また休憩時間に伊藤さんと話す機会があり、気候条件などもお聞きしましたが、冬はマイナス一五度くらいまで下がり積雪が一〜二m、夏は三五度以上と過酷な環境の中で頑張られている事についても驚かされた次第です。
 続いて「BMW技術の基礎とBMW技術協会活動報告」と題してBMW技術協会事務局長の秋山澄兄さんより報告がありました。BMW技術の基礎については以前にも研修で聞いた事がありましたが、あらためて話を伺うと忘れていることも多く定期的に学習する必要性を感じました。また同席した玉麻さんは初めて聞く話でしたので、BMW技術についての認識(玉麻さんは液肥に近いものと思っていたようです。)が改まったようでした。
 休憩をはさみ大阪府にある豆腐製造を行っている豆伍心の小西歩さんより「生物活性水の利用による、おからの腐敗防止実験」についての報告がありました。「近くに農家が無い環境の中で産廃業者に「おから」を処理してもらっているが二〜三日おきしか回収に来ないため腐敗が進んで異臭を発するようになっており、BMWを活用して腐敗を防止出来ないか実験を進めている」という事でした。BM菌体や米ぬか、生物活性水やヨーグルト等を使用し、五種類の試験用コンテナを準備しての結果を報告されていましたが、いくつかのコンテナでは腐敗臭が発酵臭に変化しており、当初の目的は達成されているように感じました。課題として「おから」を産廃処理するのではなく有効活用したいと話されていましたが、当農協も豆腐製造を行っており、副産物の「おから」についてはクッキーに加工する以外は産廃業者に出していました。現在は畜産農家に引き取ってもらえるようになり、ひとまず廃棄は無くなりましたが、異臭については地域住民とのトラブルに発展する場合がありますので、しっかりした管理を心がけなければとあらためて考えさせられました。
 続いて夢産地とさやま開発公社(高知県)の鈴木弘毅さん/山崎博さんより「有機の里の産業興し」と題して取組の説明がありました。かなりの山中にあるというお話でしたので条件としては当農協に一番近いのではないかと思いました。BMW技術の活用は二〇年以上前より行っており、公共施設の排水処理や堆肥作り、果樹や野菜の栽培、鶏舎環境の改善等に活用しているとの事でした。当農協の場合は利用を始めて三年目という事もありますが、まだまだ野菜栽培のみの利用に留まっていますので、今後は畜産農家や堆肥作りなどにも活用できるところは多いと感じさせられました。
 最後にアーム農園(大分県)の判田直也さんより「果樹栽培における生物活性水のテスト使用と今後について」と題して報告がありました。アーム農園さんは当農協と同じ大分県にあり、所在地も日田市ということですので隣の市になります。梨と桃を栽培している果樹農園で、今回は安定生産・低コスト化(受粉作業の簡略化)を狙い、梨の品種を混植して生物活性水を用いた実験を三年かけて実行しているとの事でした。当農協の管轄には果樹栽培農家がありませんので、内容が深くは分かりませんでしたが印象としてはかなり大がかりな実験をされているように感じました。試行錯誤を繰り返しながら技術を確立して行く途中という印象です。翌日はアーム農園への視察が予定されていましたが、他行事と重なり参加する事が出来なかったことが残念です。
 今回のセミナーに参加して感じたことは、実験・研究が重要だという事です。他産地での活用事例を参考にして独自の実験を進める事で技術の向上を図り、より効果的な使用方法を見つけて行くことが、この技術を使用している産地の課題なのだろうと思いました。同席した玉麻さんも、「これからは、どんどん使うで」と言っていましたので、感じるところがあったようです。野菜農家も利用されていない方が多くいますので、今まで以上に利用を呼びかけ、また野菜以外の米や畜産農家にも使用してもらえるようにしなければと感じています。

Author 事務局 : 2014年09月01日11:35

【AQUA269号】中国・常熟訪問報告

 七月八日〜一〇日、中国・上海から北西に約一〇〇kmの向った常熟市にある「米豆犁(みどり)農場」を訪問しました。訪問の目的は、一一月二〇日〜二一日開催の第四回アジアBMW技術交流会(第二三回BMW技術全国交流会と同時開催)への召致、交流会での発表依頼と内容の相談、米豆犁(みどり)農場に設置されているBMプラントの巡回です。
 七月八日に㈱華和の上海工場を訪問、翌九日は米豆犁農場の視察とプラントチェックをおこないました。一〇日には米豆犁農場の上海オフィスにて、生田善和アジアBM連帯会長(BMW技術協会常任理事)が㈱華和代表の徐企釗氏と米豆犁農場代表の戴海燕氏に、今年の第四回アジアBMW技術交流会の詳細を報告し、事例発表の依頼をしました。両氏には快く承諾していただき、発表の内容についての打合せもおこないました。

①米豆犁農場について
米豆犁農場はBMW技術協会会員である株式会社華和が運営する農場です。総面積は二.七ヘクタール、平飼いの採卵鶏を約四千羽、ナス、トマト、かぼちゃ、キャベツ、にんにく、玉葱、豆類など、多品目の野菜を栽培しています。すべての野菜は平飼い鶏舎から出る完熟鶏糞と、そのほかの有機堆肥を使用した無農薬無化学肥料栽培です。
 米豆犁農場はBMW技術を中国国内に普及していくことを目的とした、有畜複合型循環式農業のモデル農場として二〇〇九年に設立されました。生物活性水プラントと飲水改善プラントは二〇〇九年末に設置され、鶏の飲水をはじめ、鶏舎への散布、野菜栽培、堆肥づくりに利用しています。茨城BMのメンバーである田中一作さんと方波見等さん、米川さんが、昨年から指導に入り、農場の様子が変わり始めていました。ハウスと路地でのトマト、ナスの栽培を軸に、栽培管理がしっかりしてきた印象を受けました。
 また、販路等も増え始めているとのことでした。これまでに野菜や卵の行き先は、会員制の野菜BOXと㈱華和の工場の社員食堂(社員食堂は工場が二四時間稼働のため朝昼晩と三食提供。)が主でしたが、今では地元の料理店や市場、上海市内の伊勢丹やCITY’ SUPER(注釈①)などで販売され始めました。販売は上海市内にある事務所を起点に、営業を積極的におこなっているとのことでした。
 今後は農場の栽培技術・管理の向上、特に栽培計画をしっかりと作り、消費側のニーズに応えられる生産をしていくこと、BMW技術・生物活性水の野菜栽培での活用を体系化することが課題としてあげられます。BMW技術協会としては今後も引き続き、米豆犁農場に指導を含めて協力をしていきます。

注釈①CITY’ SUPER(シティ・スーパー):香港資本の食品スーパーで、日本でいうと紀伊国屋や三浦屋のようで、ソニープラザのような今時のポップな要素も含んでいる。日本の食品スーパーで買える調味料や加工品の多くがここで入手できる。

②米豆犁農場のBMW技術
 生物活性水プラントは一槽二tの樹脂タンクが五槽、日生産量二〇〇Lです。飲水改善プラントは一槽一tのステンレスが三槽。鶏舎には生物活性水の散布ラインが設置されています。生物活性水はEC〇.九四ms/cm三、pH八.七、亜硝酸態窒素の検出なしと数値的にはまずまずですが、原水のECが〇.七ms/cm三と元々高く、活性水としては色も含めて薄い状態でしたので、原料堆肥(鶏舎の発行鶏糞)を増量するように、また、リアクター塔の充填材の交換の方法など、プラントの基本的な管理方法を指導しました。
 生物活性水について、養鶏での利用は充実していました。一方、野菜栽培の方ではこれからという感じがしました。苗作りなどの潅水、畑へ潅水、葉面散布に利用しているとのことですが、野菜栽培での活用をもう少し体系化していけると、活用の幅も拡がってくるのではないかと思います。現場では、新しくスタッフになった徐建農さんと張海凡さんが、米豆犁農場の中心として頑張っています。戴海燕氏は、この二人に日本でBMW技術や栽培技術を学んでほしいと前々から願っており、今年の五月に徐建農さんが茨城県の茨城BMと山梨県の白州郷牧場を訪問し、短い滞在でしたがたくさんのことを学ぶことができたと話していました。徐建農さんは帰国後、早速、自分の目で見たこと、現地で教わったことを取り入れ、鶏舎の改造や畑作りに活かしていました。今後の活躍に期待します。

③上海のマーケット
 米豆犁農場の上海オフィスで、農場の販売アドバイザーをされている安藤孝裕氏に、上海における有機野菜を中心とした食品のマーケット事情を伺いました。安藤氏は、主に衣料品関係のトレーダーとして、香港と台湾をはじめ、現在は中国・上海で仕事をしています。
 上海での有機野菜のマーケットは、食品スーパーやデパートはすでに飽和状態で、新規参入することが非常に難しくなっているとのこと。各農場自体が独自に販売する野菜BOXも数多く、マーケット全体としては今後、より信頼性の高いものや特徴的なものが生き残っていけるのではないか。
 また、東日本大震災以後、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカなどたくさんの国々は、日本からの食品、飼料の輸入を禁止しました。中国はいまでも福島、宮城、茨城など一〇都道府県すべての食品、飼料の輸入を禁止し、その他の都道府県も放射性物質検査証明書などが必要とされています。中国に工場があり、日本原料を輸入しながら製造していた数多くの日本の食品加工メーカーは撤退、あるいは倒産しているとのこと。逆に中国国内で安心安全の原料を捜していたり、農場と提携して栽培したりするケースが多くなってきています。実際に米豆犁農場にも、ある企業から加工原料としての野菜、卵生産の引き合いが来ているという。今後はこういった形のマーケットが延びてくるのではないかとのことでした。
(報告:BMW技術協会 事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2014年09月01日11:33

【AQUA269号】BMプラント動向

 七月一八日、宮城BM技術協会のプラント巡回をおこないました。

○宮城BM技術協会…あいコープみやぎとその生産者を中心に設立された、BMW技術協会の地方協会。会長は西塚忠元氏(大郷グリーンファーマーズの副代表西塚)、副代表は小野瀬裕義氏(あいコープみやぎ理事長)。BMプラントは既存が三カ所、今年の一〇月には新たに一カ所設置される予定。

①大郷グリーンファーマーズ 西塚農場  宮城県黒川郡大郷町
・生物活性水プラント:土木槽一t×六槽+樹脂タンク三tの貯留槽
・生物活性水EC1.12mS/cm pH7.7
・飲水改善プラント:一t×二槽(生物活性水プラントと一体型)
・平飼い採卵鶏 約二〇〇〇羽
・栽培作物:米、トマト、ズッキーニなど
 生物活性水は飲水に添加、育苗や水田への流し込みなどに利用している。
   
◆大郷グリーンファーマーズ 宮城県黒川郡大郷町…あいコープみやぎに出荷する大崎町の生産者共同体販売会社。米を中心に出荷、自社でライスセンターを所有し、生産者で共同利用している。稲作の総面積は三〇ha以上。西塚氏の生物活性水を協同利用している。

②七郷みつば会(農事組合法人クローバーズファーム) 仙台市若林区
・生物活性水プラント:土木槽三t×五槽+樹脂タンク五tの貯留槽
・EC1.37mS/cm pH8.1
・トマト栽培
・ハウスは土耕、潅水システムは溶液自動添加も可能のもの。
 あいコープみやぎに出荷する、仙台市若林区周辺の生産者グループ。東日本大震災では津波の大きな被害を受け、田畑は水没した。塩害や重金属障害の影響で震災以降二年間は米を生産できずにいたが、昨年より試験的に生産をはじめ、今年は田んぼ補修など進み、本格的に生産を始めた。さらに昨年の六月に震災復興農業支援事業で、約五〇aのトマト専用のハウスを設置し、あいコープみやぎが運営する福祉施設「わ・は・わ」に設置されていた生物活性水プラントを移設した。生物活性水はハウス内の潅水、散布、堆肥場の散布等に利用している。メンバーはそれぞれ自分の田畑で栽培しているが、ハウスに関してはメンバーで協同利用、協同出荷をしている。協同の育苗ハウスもあり(水稲用)。震災復興農業支援事業ではハウスだけではなく、トラクター数台などの機械類も事業の対象となっていたため、津波で流されてしまったり、海水につかってしまった機械類を個々で買い直すのではなく、共有している。
・生物活性水プラント:土木槽三t×五槽+樹脂タンク五tの貯留槽
・ハウスは土耕、潅水は自動溶液栽培も可能のもの。
★太陽光と風力発電を使用
   
③日向養豚 宮城県大崎市田尻 〜今回はPEDのこともあり訪問を見送りましたが紹介します。
・生物活性水プラント:五t樹脂タンク×五 〜飲水への添加、豚舎と堆肥舎への散布
・EC・・・、pH・・・ 二〇一三年  月 日のもの
・母豚約二〇〇頭

④あいちゃん牧場 宮城県大崎市田尻
 あいコープが運営する赤牛と養豚の牧場。福祉施設の作業所を一〇月開設に向けて建設中。この作業所の雑排水排水を原料に生物活性水にする計画で、プラントも建設中。養豚場も福祉施設の作業所に導入して行く予定。
(報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2014年09月01日11:30

 
Copyright 2005 Takumi Shudan SOLA Co.,Ltd All Rights Reserved.