【AQUA273号】農業生産法人黒富士農場が 「内閣総理大臣賞」受賞

BMW技術協会会員の山梨県、農業生産法人黒富士農場が「内閣総理大臣賞」受賞

黒富士農場コメント

 第五三回農林水産祭において黒富士農場は、この度多くの皆様に応援していただき、余りある賞を受賞させていただけることになりました。日頃お世話になっている県畜産課の方々やJA関係者の方々をはじめ黒富士農場に関わる多くの方々に感謝の気持ちを伝えたいです。また地域をはじめとする多くのご愛顧いただいているお客様と、農場の生産や販売を支えるすべてのスタッフ達の日頃の頑張りにも感謝しております。今後も自然循環農法による生産技術をより一層高めていき、地域と自然に共生する農場として次世代の若者が夢をつなげられる県内有機農業の発展に貢献していきたいと思います。

Author 事務局 : 2015年01月01日17:08

【AQUA273号】北海道のプラント巡回

平成二六年一〇月

 根釧みどりの会の五牧場で飲水改善プラントの定期点検を実施しました。
 一〇月九日に厚岸町の石澤牧場、別海町の岩崎牧場、標茶町の渡辺牧場、一〇日に中標津町の三友牧場、別海町の川畑牧場で、リアクター塔充填材の交換及び各槽の点検、エア調整を行いました。
 同日の夜に根釧みどりの会の平成二六年度の総会が別海町西春別駅前のペンションで開催されました。
 役員改選では、会長は引き続き石澤元勝さんが、事務局長は高橋昭夫さんから新しく岩崎和雄さんが選任されました。

ファーマーズクラブ雪月花
 妹背牛町の田村農園に設置している生物活性水プラントの巡回点検を行いました。
原料は、ポークランドの豚糞堆肥を使っています。
 最終第九槽のデータは、EC値一・一mS/cm、pH七・六、亜硝酸は検出せず、順調に稼働していました。

高松農園
 恵庭市の高松農園で生物活性水プラントの巡回点検を行いました。
 原料は、ポークランドの豚糞堆肥を使っています。
 最終第四槽のデータは、EC値一・二mS/cm、pH七・四、亜硝酸は検出せず、順調に稼働しています。

Author 事務局 : 2015年01月01日17:02

【AQUA273号】「アジアから共に未来へ」をテーマに、「第4回アジアBMW技術交流会」が開催されました

 第四回アジアBMW技術交流会は、第二四回BMW技術全国交流会と第一一回韓国BM交流会との合同開催ということで、一一月二〇日(木)から二一日(金)に東京都港区台場の東京国際交流館で開催されました。
 今年のテーマは『アジアから共に未来へ』〜地域に根差し、技術と文化を守り育てる〜、韓国、中国、フィリピン、インドネシアそして日本全国から二日間を通して二三〇名が参加しました。
 開会セレモニー、基調講演、交流会発表とどれも豊富な内容になりました。交流会終了後のオプション視察は三コースが設けられ、山梨、千葉、茨城の各コースにおいてもBM産地において有意義な視察と交流ができました。交流会実行委員会は若手幹事会を中心に、東京のBMW技術協会会員など多数の協力のもと運営されました。
◆開会の挨拶
アジアBM連帯会長 生田 喜和
 今年は第四回のアジア連帯になります。第三回目にミン元楊平郡郡主がアジアに向けてBMW技術の農業問題に対する取組みを発信していこうということで開催され、その時に初めて「BMアジア連帯」という言葉が生まれました。そうした英断により引き続き第四回目の交流会を日本で開催することが出来ました。日本で生まれたこのBMW技術運動は韓国、中国、フィリピン、インドネシア、タイとアジアに広がっています。もともと稲作を中心とした共同体を築いてきたアジアは地域の繋がりが強く、悲観した動きを政府がしている中でも民衆レベルでは友好関係が築けていると思います。政府やメディアが悲観的な時だからこそBMアジア連帯の取組みを大切にし、アジアの民衆が連携していきたいと思います。

◆開会の挨拶
 韓国BM協会会長 鄭 相黙(ジョン・サンムク)
 皆さんこんにちは。お目にかかれて嬉しいです。開催にあたり多くの関係者の方々のご尽力に感謝しています。韓国では今年、関税の撤廃により無関税の農産物が大量に輸入され農村の荒廃が加速化、有機農業者の多くが深い傷を負いました。そんな中BMW技術の普及が進んでいることを大変嬉しく思い、BMW技術またはアジアの発展。地球の持続可能な循環型農業への貢献を願っています。

◆歓迎の挨拶 前アジアBM連帯会長
 閔 丙采(ミン・ビョンチェ)
 皆様は住んでいる土地、水、自然、人々と農業を通して再生する大事な仕事をしています。BMW技術を利用した親環境農業に実践している皆さんを誇りに思い、とても信頼しています。今回のBMW技術交流会が意義深く、実り豊かになることを願っています。開催にあたってご尽力くださったBMWアジア連帯会長の生田様を始め伊藤理事長、関係者の皆様ありがとうございました。

◆基調報告「第四回アジア技術交流会開催に向けて・BMW技術協会報告」
BMW技術協会理事長・
  米沢郷牧場グループ代表 伊藤幸蔵
 今年も皆さんにお会いできて嬉しいです。今年は国連が定めた家族農業年となりました。二〇〇八年の食糧危機からさらに人口が増え、多国籍企業を推進してしまいましたが、国連は地域、水、文化を守るのは家族農業などの小規模農業だと認めました。そういったことを考え地域に根差すということを考えていきたいと思います。
 BMW技術協会は主に二つの方針があります。一つは技術と理念の両輪です。技術を支えるのは理論です。また理念を達成する技術を地域ごとに持つこと、農家自身が考えていくことが大事なことだと思います。それと広い視野を持って地域づくり、BMW技術の推進を考え深めていくこと、BMW技術を学ぶこと、アジア連帯等で共有すること。それらを使って技術と理念の両輪を共有し自分たちの身にしていきたいと思います。
 二つ目は若手を育て次世代へ継承していくことです。BMW技術協会では定期的にセミナーを設け技術の向上を目指しています。品質だけでなく作り方、地域に良いものを生産することを実現出来るようにしていきたいと思います。また、地方協会を設立していくこと。昨年新潟で行った全国交流会の後、新潟BM自然塾を設立しました。新しいネットワークを作り、先人たちの技術を継承しさらに深化させていこうと思います。ほかにも基礎セミナーを年に二回行い勉強会だけでなく生産者と消費者の情報を共有する場にもなっています。第八回のセミナーでは山梨大学の御園生教授と五味氏に実験の仕方を学びました。
 今年二月のドイツのスタディーツアーでは二一名が参加して、エネルギーの自給や内部被ばくについての学習、バイオマスの視察を行いました。
 昨年新潟で行われた全国交流会では若手中心の発表になっていて失敗の中にも来年期待が持てるようなものになっていました。BMアジア連帯では、韓国の交流会に参加、フィリピンではフィリピンBM協会の設立準備、インドネシアではエビの養殖に生物活性水を使った実験を行い、中国では茨城BM自然塾のメンバーがサポートして循環型農業を組み立てるなど精力的な活動が広がっています。今後の展開として地域のネットワークの強化。韓国のFTAや日本のTPPなどの問題をBMW技術協会の仲間とともに解決していくこと。それから、都市部の人にもBMW技術を知ってもらい関心を持ってもらうこと。生物活性水を科学的に研究し、数値化して理解することです。
 最後に激動の時代の中で、地域を守っていくこと、BMW技術による自然浄化の仕組みを学び、全国の仲間と力を合わせてよりよい未来をつくること。年代が若くなってきたBMW技術の人々が、先人の技術を学び受け継ぎ、さらに発展できるようにBMW技術協会も頑張るのでよろしくお願いします。

◆基調講演「韓国親環境農業の
  持続可能な発展と政策方向」
韓国中央大学校名誉教授・韓国元農林部長官  金 成勲(キム・ソンフン)
 私がBMW技術協会からもらったお題は親環境農業でした。そこでまず基本に戻って説明していきたいと思います。
 人は三六五日毎日食べ物を一定量食べてきました。これを食料と言います。また、平和は米を平等に食べることをいいます。百姓は国の根本であり、そのため国家は食料確保と農業に全力を注がなければいけないのです。またすべての疾病は飲食に根元していると言われています。もともと都市と農村はひとつでした。アジアの伝統的な農業は生命を尊重し、そのものの文化や価値を培養するものです。つまり、生態系保存や景観保存、歴史と文化の保存、食品安全性など多元的機能があるものです。しかし、ここ半世紀の間、経済的生産性の向上を推し進めた政策に執着したため、従来の農業、食料、環境生態系に汚染現象が広がってきました。
 そんな中、韓国では金大中大統領が一九九八年に親環境有機農元年を宣布し政策を施行しました。それまで、少なかった有機農業者は増加していき、二〇一一年、親環境農業(無除草剤、減農薬、無農薬、有機農業)の認証を受けた生産面積は全農地面積の一〇・二%にも増加しました。認証を受けた農業者は一九九九年一三〇六世帯から二〇一二年一六〇、六二八世帯にまで増加しました。また、二〇〇五年〜二〇一一年の間に合成化学肥料の使用割合が三三・四%減少し、農薬は一六%減少しました。
 小農、家族農は未来の食糧需要を満たすことが出来るもっとも適したモデルといえます。現在の食糧危機は生産能力の危機ではなく、巨大食品企業の誤った経済行為がより多くの原因と言えます。企業農の生産方式は単作中心の耕作、除草剤、化学肥料、そしてGMO栽培等、地球の土質を落とし汚染していっています。それにより安全な食べ物も減少しています。そんな中、小農・家族農が世界の食糧の七〇%を生産しているとの説もあるのです。つまり、小規模家族農が大規模企業農よりも生産的なのです。そして、大規模単一栽培より小規模多品目の方があらゆる気候変化に耐えうる可能性もあるのです。ですから、持続可能な小規模家族農を推進させるような政策が必要になるのです。土地の収奪や毒性農薬に対する補助を停止させ、持続可能な農業直接支払制のような農産物の適正価格や種子、土着技術の保全等の小規模家族農を守る政策に優先権を置くべきなのです。持続可能な農とは自然環境や農家を守るものなのです。
 安全でない食べ物を消費者に提供することは農家の義務放棄であり、逆に虫が食べる様な野菜にこそ安心と安全はあるのです。

◆交流会発表
「中国におけるBMW技術普及活動」
中国・みどり農場 載 海燕(タイ・ハイヤン)
 約一〇年前に上海崇明島の国営農体に生物活性水プラントを導入しましたが大きな成果は出ず、当時のメンバーは次々と辞めてしまい期待していたBMW技術のモデル農場にはなりませんでした。しかし二〇〇九年に場所を新たにして三haの土地を借り上げ、有畜複合の循環型農場「みどり農場」を設立しました。生物活性水プラント、飲水改善プラントを併設し現在約四五〇〇の卵肉兼用鶏と二ha弱の畑で多品目の野菜を有機栽培をしています。みどり農場には農業経験者が一人もいないのでBMの先人達の経験や茨城BM自然塾の方々の指導のもと農業生産活動を行っています。鶏舎には生物活性水を原液散布、飲水には五〇〇倍希釈しています。飼料は抗生物質、GM品種を含まないものを与えています。畑は茨城BMの方々から籾殻薫炭や太陽熱土壌消毒法、生物活性水の散布法など主に土作りについて教わりました。
 その結果、鶏舎では悪臭がなく、ハエもいません。鶏の腸内が綺麗になり、質のいい卵と肉を得られ、地元ではちょっとしたブランドになっています。畑の方では地元の農家の方から土が良く苗の育ちがいいと言われ、土作りの成果が少しずつ出ていると思います。BMW技術の効果として周りにも影響が出ています。地元行政がBMW技術に関心を持ち始めて、みどり農場周辺を畜産業地域に指定する動きがあり、基準の難しい豚の飼育の許可も下りそうです。有畜複合循環型農業が高く評価され農場の角に循環農業モデルエリアの看板が建つほどになりました。
 BMW技術を中国に根付かせるため、若者に魅力ある農場としてBMW技術のモデルになるよう今まで以上に努力していきたいと思います。

「フィリピンにおける
BMW技術普及とこれから」
フィリピン・カネシゲファーム
   アルフレッド・ボディオス
 一回目の来日は山形、二回目の韓国、そして三回目にこの場でお会い出来たことを嬉しく思います。
 現在フィリピンでは三つのプラントが設置されています。北部ルソンに二つ、ネグロス島に一つです。北部ルソンのイザベラ州にあるプラント農場は、周りの農家が生物活性水を利用するなどカネシゲファームの様なモデル農場になることを希望しています。ヌエバビスカヤ州のギルバートさんの農場では柑橘農園が広がり、豚の糞尿を利用したプラントになっています。そしてネグロスのカネシゲファームは循環型農業の実践研修農場となっています。
 カネシゲファームでは五槽からなるバイマスプラントと生物活性水プラントがあり、それぞれ消化槽(メタン発酵槽)、消化液(肥料)、BMW第一槽、二槽、三槽となっています。メタンガスのエネルギーの循環、消化液は肥料として土との循環、BMW一槽から三槽は飲水・生物活性水プラントになっています。有機質肥料の循環だけでなく糞尿からガス等のエネルギー生産も行うことによって電気等の生産も目指しています。こうした循環をすることによって地域の生態系が戻り、魚などを見られるようになりました。また研修施設として、若者を育て地域で生活できるように農業だけでなく、農民として生きる術を教えています。現在九人の卒業生を輩出し、それぞれが豚舎作りから始め農業を営んでいます。そして彼らがミニカネシゲファームを築き新世代に受け継ぎ、また、そういった人々を集めフィリピンBM協会の設立などを目指しています。
 そういった中でフィリピンには様々な問題が残っています。行政の有機農業への無支援、持続可能な農業は本当に可能なのか、中でも大手多国籍企業による土壌汚染。若者たちの未来のためにもこれらのことに対して共に闘っていきたいと思います。

★二日目
◆交流会発表
「韓国BM協会の活動報告」
韓国BM協会 金 京姫(キム ギョンヒ)
 韓国BM協会での活動を報告していきたいと思います。韓国BM協会は二〇〇四年に設立され韓国BM交流会の開催、社団法人化、機関紙の発行など一〇年にわたり様々な活動をしてきました。また、環境農業団体連合会や正農会等とも連携してきました。機関紙のBM水ストーリーではBMW技術や協会の活動などが収録されています。また、インターネットのカフェーというサイトを運営していて、ホームページでは会員同士のコミュニケーションの場や資料、映像などが閲覧できるようになっています。他にもセミナーの開催等を行っています。
 韓国での事業会社BM水コリアは新型プラントを他企業と共同して開発しました。このプラントは工場で組み立てて、トラックで持ち運べるものです。つまりプラントの導入、移動が格段にしやすくなり普及の促進に大きく繋がりました。このことは韓国BM協会において大きな意味を持つものになりました。 

「生物活性水を使用した稲作実験報告」
宮城県「大郷グリーンファーム」 西塚忠樹
 米部会の方では、稲の根の発根と生物活性水の関係について調べました。苗の根を根元から切断し、そこから発根する根の長さを計測し有意差をだしました。実験内容は四検体、生物活性水原液に漬け込んだ苗、生物活性水二倍希釈の苗、有機栽培の苗、慣行栽培の苗を用意し、プラスチックのコップにそれぞれの条件で栽培しました。
 結果は、一週間では差がほとんど見られなかったが、どの苗も試験開始から一週間から二週間の間の生育期間が早い傾向にありました。有機のみより生物活性水を使用した方が若干だが生育が早くなる傾向がありました。
 来年度も引き続き発根の調査を行いつつ、本田での試験を視野に入れ模索していきたいです。そして最終的には実験結果を共有し作付けへの応用方法を確立していきたいです。

「有機環境・畜産」
韓国「ダンノモ農場」 李 佳遠(イ・ガヒョン)
 私たちの農場は「食べ物は一つの命、その命を幸せに育てることでその幸せが私たちに帰って来る。」そういた理念の下で活動しています。
 現在ダンノモ農場は韓牛と畑作、稲作を行っています。敷地内には食堂や野菜、肉の販売店、またそれらを使ってバーベキューをする施設を併設しています。もちろんそれらは親環境畜舎や有機栽培を行い、循環型農業を行っています。BMプラントは生物活性水と飲水改善プラントがあり、飲水に使用したり、畜舎に噴霧したりしています。その結果、韓牛の肉質は良くなり、畜舎の環境が良くなりました。稲作では株間を広くとり、分けつ数の増加などを行い、水田内には多様の生物が生息しています。
 この様に周りの環境に配慮し、牛たち、あるいは稲たち、農産物がいかに幸せに生息出来るかを考えなければいけません。農家の方々は環境や消費者に安心で安全な食べ物を生産することが大事なのです。

「果樹栽培における
生物活性水のテスト使用と今後について」
西日本BMW技術協会・
大分県「アーム農園」判田直也
 梨栽培で安定生産を行うには四月上旬に行う人工受粉が必須作業になります。しかし人工授粉には開花時期の一週間の内に終わらせなければならない。昼間気温が一五度以上でないと結実率が下がる。雨の日は受粉作業が出来ない等があり、労力がこの開花時期に集中し多くの雇用や経費が必要になります。そこで梨の混植と生物活性水を使い、安定低コスト生産を目指す実験を始めました。
 実験方法は試験区内にA(BMW使用のみ)、B(BMW使用、BMW六月潅注)、C(人工受粉作業のみ)、D(BMW使用、六月潅注、人工受粉作業)の四つの区画を設け比較して結実率、果実重量、果径、糖度等を調べ試験(A・B)区が慣行(C)区と同様かそれ以上の結果がでれば成功となります。
 結果は年ごとの気候変動で左右されるにしても試験区が慣行区と同様の結果を出すことができ、成功と言えるものになりました。経費で言うと九五、〇〇〇円を削減でき、春の受粉作業の軽減になりました。考えられる要因のひとつとして生物活性水を散布することによって黄砂を除去、また散布機の風圧によって花粉がまったのではと考えられました。
 今後の課題として、生物活性水の使用時期使用方法、希釈率等の研究。収量の確保は難しいが完全無処理区を作り、その差を出す。果実の室数に入っている種の分布調査等をしていきたいと思います。

「生物活性水を用いて生産した
微細藻類バイオマスの施肥効果」 
 山梨大学大学院医学工学総合研究部 五味 直哉
 農業問題で畜産廃棄物の処理が近年重要な環境課題となっていますが、BMW技術はこの問題に対処しうる有用な技術だと思います。私たちはBMW技術のさらなる有効活用として生物活性水を使って微細藻類を培養するシステムを開発しています。この培養した藻類バイオマスを鶏の飼料や作物の肥料に使う循環型の有効利用方法を研究しています。
 今回の研究は各種野菜に藻類バイオマスを施肥した場合、どの様な効果を得られるかを調べました。
 結果はチンゲンサイやサニーレタス、ホウレンソウなどのいわゆる葉菜に関しては重量が重くなり成長を促進させる効果がありました。ルッコラに関しては目で見てみどりが濃くなり、作物体のクロロフィル量が増加していました。一方で、ミニトマトへの施肥区では重量が軽くなり、そのかわりに糖度が上がるという結果が得られました。コマツナ、チンゲンサイ、サンチュを用いた発芽試験では、サンチュについては藻類バイオマス、生物活性水施肥区では高い発芽率を示す傾向にあったが、チンゲンサイ、コマツナにおいては有意差が見られませんでした。ただ、濃すぎる生物活性水を施肥した場合、野菜種によっては施肥障害が起こることがわかりました。
 今後の課題として、作物種によって違う結果を示したので今回の作物以外でもデータを集めることにし、現在大根、カブでも調査しています。それから、藻類バイオマスを使ってどの様にして農産物に対して付加価値を付けていくかも考えていこうと思います。

「インドネシアATINA社における
BMW技術」
インドネシア「ATINA社」 ハリー・ユーリ
 ATINA社はもともと社会貢献と顔の見える交易を軸に発足しました。BMW技術の仕組みに共感して、排水処理施設にBMW技術を二〇一三年に導入しました。環境に優しく、安心なエビを作りを目標にしています。
 ATINA社は二〇〇五年から稼働していましたが、二〇一三年に自社工場を作りBMW技術を導入しました。以前の処理施設は国の処理水基準を上回ることがありましたが、BMW技術を導入してからはこれを大きく下回ることが出来ました。導入したばかりのころは排水処理のキャパシティーを超えることがありましたが、今ではそれも改善されました。
 新しい事業として稚エビのハッチェリー(ふ化場)に生物活性水を用いて稚エビの成長率を上げる実験をしています。効果として悪臭防止、稚エビの餌の吸収率の向上、収穫後の臭いがなくなる等があり、成長率も安定しました。しかし成長率は天候等にも左右され生物活性水の効果とは言い切れないのでこれからも継続していきたいと思います。
 今後の目標は地域住民にBMW技術を理解してもらうことです。BMW技術の仕組みを理解し自然循環の仕組みを理解してもらう。周りの人々の環境意識を高める、そういった活動をしていきたいと思います。

「親環境農業の技術的特性と発展課題(BMW技術自然循環システムを中心に)
韓国農水産大学
     教授 金種淑(キム・ジョンスク)
 親環境農業は一九九七年に親環境農業育成法が制定されてから増え続け、今では全体の約一〇%にまで至りました。親環境農業の中には有機、無農薬、低農薬があり実際の有機農家の割合は二・三%だと思われます。その理由に、資材効果の安定性、安全性、技術体系の未確立等が挙げられます。 
 一方、耕畜循環農業または資源循環農業は畜産糞尿の資源化と係わった技術が普及されながら推進された技術です。これは親環境農業の有機物供給源になることが出来、システム的に接近可能な技術といえます。また、自然環境に考慮しなければなりません。BMW技術はこのような観点で生態的な循環技術であり、生命の活力を引き出し農薬の量を減らす技術として十分に評価出来ます。
 親環境農業の消費拡大にはコストを下げていかなければなりません。そのためには投入資材や管理法を変えていかなければなりません。BMW技術はそういった面でも優秀といえます。たとえば楊平郡では二〇〇九年の畜産農家が一六八件、作物関連農家が二四三件、地域単位のプラントを使うことによって経費を抑えています。特に畜舎は環境が改善され悪臭やハエの防止になり、家畜の腸内は整えられ飼料の吸収率が良くなります。
 親環境農産物生産費の低費用を追い求めるためには購入資材に依存する農法から、自家製造資材の活用への転換が必要だと思います。親環境農業の発展のためには水、土、そして微生物を循環型農業の中心において、耕畜複合型の資源循環農業技術に注目する時が来たのだと思います。

「生物活性水を科学する」
山梨大学大学院医学工学総合研究部
  教授  御園生 拓
 今まで生物活性水について科学的なアプローチはほとんどされてなく、個人の経験から利用法、効果が立証されてきました。しかし、何が何に対してどう作用しているかを説明が出来ないでいました。これが説明できるようになると合理的に生物活性水について説明できるようになります。このことは生物活性水を使い、普及させる上で非常に大事なことです。
 今回は各産地の生物活性水の内容成分等を大学の設備を使い分析し、原水、原料との関係性を調べてみました。
 結果としては統一した傾向は見られませんでした。しかしながら、今回の結果から腐植物質の研究も視野に入れることにしました。この腐植はまだ解明されていない部分が多く、さらに研究の難しい物質でもあります。けれども色々なアプローチの方法を考えていき何とか解明していきたいと思っています。隣の研究室では水耕栽培に腐植物質を投入することで肥大化するという結果も出ており、腐植を解明することによって生物活性水の効果の特定に繋がる可能性も出てきたと思います。皆さんと一緒にこれからも頑張っていきたいと思います。

◆基調講演「地球の歴史、そして
岩石と水とミネラルの循環について」
岡山大学 地球物質科学研究センター 
  准教授 奥地 拓生
 日本はもとより、アジア各国は多様な岩石を持っています。岩石には様々なミネラルが混じっており、その岩石によって効能が変わってくるのです。なぜアジア地域にそんなに岩石が存在するのか、それには火山が深く関係しています。
 そもそも火山は地中深くのプレートとプレートの境界線上に多く存在します。アジアは太平洋プレートやユーラシアプレートなど多数のプレートの上にあります。そのため、日本をはじめとしたアジア地域は火山が集中しているのです。そしてそのプレートは常に動いているのです。その動いている間にマグマの中にミネラルを取り込みます。最後に火山が噴火することによってミネラルが地上に現れることになります。
 もっとよく見ると岩石中のミネラルと人間のミネラルバランス、血液中のミネラルが類似していることがわかります。これには生命の起源が関係しています。地球上の生命はもともと海中深くの熱水が噴き出しているような所で生まれたとされています。そして最初の生命は海水中のミネラルを食べて生きていたとされています。そして進化の過程でいわゆる土が生まれました。最初の地上生物は藻類だったと言われています。土のない時代に岩石に根を張り、岩石中のミネラルを摂取して生きて行きました。そして摂取したミネラルと自分の体を残して行きました。そうして土が誕生したとされています。そういった経緯が人の体にはあります。植物は土からミネラルを吸い、朽ちたら土になる。このようなミネラルの循環が言えます。しかし、農業と自然の大きな違いはミネラルの循環がないということです。ミネラルを持ち去ってしまいます。
 BMW技術は今までの農業とは違います。自然循環のなかで農業を行うことが出来る、効率的な技術になっています。BMW技術はバイオリアクターを使い自然界を再現しミネラルの循環を行い農業に利用することが出来るのです。
 岩石も大事な要因となっています。一つの地域に一つの岩石だけでも困ってしまいます。多様な岩石があればそれぞれ受け持っているミネラルが違うので多様なミネラルを供給してくれるのです。その点でいえばアジアは多様なミネラルを持った国々ということになります。BMW技術は地域の岩石を使って研究出来る技術です。皆さんが知識を共有することによってより自分のものに出来るものだと思いますし、その事がよりこの技術を豊かにするものだと思います。
(報告:BMW技術協会事務局 永合 耀)

Author 事務局 : 2015年01月01日12:19

 
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