【AQUA245号】「西日本BM技術協会・第20期総会および研修会」報告

 六月二二日(金)に「西日本BM技術協会 第二〇期総会および研修会」が熊本県阿蘇郡の南阿蘇村・白水庁舎総合センターで、四一名の参加で開催されました。
 総会では、「①第二一回BMW技術全国交流会の成功を受けて、BMW技術の普及を進める②BMW技術の研修を通じて、プラントの管理が適切に行われるようにする」などの今年度の方針が確認され、西日本BM技術協会の会費の改定と名称の変更(西日本BM技術協会→西日本BMW技術協会)についても確認されました。当日、南阿蘇村で行われた現地研修会の様子と一緒にご報告します。

●南阿蘇村有機肥料生産センターで現地研修会
 現地研修会はBMW技術協会の秋山澄兄事務局長と匠集団そらの星加浩二氏を講師に招き、西日本BM技術協会の会員など二九名と南阿蘇村の関係者五名が参加して、南阿蘇村有機肥料生産センターで開催されました。有機肥料生産センターには生物活性水のプラントがあり、生物活性水が堆肥作りに利用されています。

一、南阿蘇村有機肥料生産センターについて:
センター長 宮田 鉄雄氏
 『当センターは「南阿蘇村の生産者に、よい有機肥料を安く提供する」目的で二〇〇五年に運営を開始しました。南阿蘇の畜産農家が持ち込んだ牛ふんを主原料に、五〇日かけて有機肥料を生産しています。作業工程は、熟成槽に搬入された生牛ふんにたっぷりと生物活性水を散布して、一週間ごとに切り返しを四回行います。臭い消しや発酵材として、切り返しの度に生物活性水を散布します。次にブロアーで空気を送り、一〇日間かけて、まず発酵温度を七〇℃〜八〇℃に上げ、徐々に五〇℃まで下げます。その後、攪拌発酵槽に移し、三〇日かけて水分を五〇%まで落とします。出来上がった有機肥料は南阿蘇村の生産者に販売しています。昨年の七月に南阿蘇村で有機農産物推進事業補助金制度ができ、村民が生産センターで堆肥を購入すると半額の助成がでるようになりました。

二、プラントの管理について
(一)南阿蘇村有機肥料生産センターのプラント:副センター長 藤本 公徳 氏
 『プラントは六槽あり、一槽が五tです。一槽目にリアクター塔と当センターで生産した堆肥を入れています。一槽目の状態を把握するため、毎日ECメータで計測しています。三槽目は岩石層で、一槽から五槽で処理を行い、六槽目は貯留槽です。出来た生物活性水は主に堆肥の水分調整用として活用しています。また、センターの入り口付近にも貯留槽があり、六槽目から生物活性水が送られるようになっていて、地域の生産者が持って帰れるようにしています』

(二)リアクター塔充填材交換、プラント稼働状況確認、エアー調整の方法:
匠集団そら 星加 浩二
①同センターのリアクター塔を使って、充填材の交換方法を実演し、交換要領の説明を行いました。
 『要領は軽石→腐植ペレット→軽石→腐植ペレットとサンドイッチ状態にして、最後に軽石を入れます。腐植ペレットだけだと固まってしまうので、軽石を入れて隙間を作ります。充填材を入れ終わった段階で、リアクター塔の上部が五cm〜一〇cm空いているようにします。目いっぱい入れると、散気管から出る空気がリアクター塔のなかを十分に行き渡らないからです。』
②プラントの稼動状態(系が安定しているかどうか)を判断する目安として、電気伝導度と亜硝酸態窒素を調べる方法があります。測定をしながら、説明が行われました。
・電気伝導度(EC)
 『電気伝導度はECメータで測定します。電気伝導度の数値が高いほど、水にさまざまな物質が溶解していることになります。有機肥料生産センターのECは、一槽目…一.六六九、三槽目…一.〇七三、五槽目…〇.九八九でした(原水は〇.二七)。ここは堆肥系なので、ECが二〜〇.七ぐらいが標準で、プラントは良い状態です。堆肥系の場合はできるだけ第一槽を濃く(数値を高く)したほうが良いでしょう。
 ECメータがない場合は、水の色で判断する方法もあります。ECが低いと色が薄くなります。堆肥の原料(牛・豚・鶏)によって若干色の違いがありますが、一槽目はウーロン茶ぐらいの色が必要です』
・亜硝酸態窒素
 『亜硝酸態窒素を調べるためパックテストを行いました。水の中の窒素化合物は分解されてアンモニア態窒素→亜硝酸態窒素→硝酸態窒素に変化します。生物活性水は大腸菌群が検出されないことが大事で、パックテストで亜硝酸態窒素が反応(赤い色が濃いほど、濃度が高い)すると大腸菌群がいることが多いです。
 測定結果は、一槽目では少し反応がありますが、三槽目・五槽目では反応がありません。精製が上手く行われています。五槽目が亜硝酸態窒素に反応するようでは、そのプラントの状態に問題があります』
③エアーの調整法
 充填材を交換したリアクター塔を第一槽に戻し、エアーの調整法について星加氏が説明を行いました。
 『一槽目は強めに、二槽目以降はだんだん弱くしても構いません。ただ、パックテストで亜硝酸態窒素の反応が強いようであれば、エアーは強くした方が良いでしょう』。
その後、藤本氏の案内で堆肥場を見学し、現地研修会は無事終了しました。南阿蘇村では、役場と有機肥料生産センターが生物活性水をどのように地域に広めていけばいいかなどを検討しているとのことでした。

●南阿蘇村・白水庁舎での研修会
 総会に先立ち、研修会を開催しました。発表は南阿蘇村役場農政課・有機農業推進係の工藤眞巳氏、アーム農園の判田直也氏、BMW技術協会の秋山澄兄事務局長の三名です。

一、「生物活性水を使った小松菜の発芽実験」:
工藤 眞巳 氏
・平成一七年に阿蘇郡の三村が合併して南阿蘇村になりました。人口は約一万二千人ですが、アンケートなどを行い「村のイメージを大切にしたい」という思いで、南阿蘇村という名前にしました。
・南阿蘇村はたくさんの湧水地(平成の日本の名水百選に「南阿蘇村湧水群」として指定)に恵まれ、湧水は水稲(コシヒカリ、ヒノヒカリなど)や多くの農作物を育む源になっています。また、高冷地なのでウンカなどの病害虫も発生しにくく、通常の栽培でも農薬が少ないのが特徴です。
・有機肥料生産センターの堆肥の昨年度の販売量は約六五〇tで、昨年度から村民を対象に始まった「有機農産物推進事業補助金」事業は延べ一二七名に約一二七万円の助成を行いました。
・将来は村民にも生物活性水を利用してもらいたいと考えていますが、生物活性水の良さを村民に分かりやすく伝える方法のひとつとして「BMWによる小松菜の発芽試験」を考えました。
・四月に小松菜約一〇粒を微生物のいない状態のビニールポットに播種し、野外で管理しました。潅水は播種時のほか三回行いました。
・試験方法は、牛若丸、減菌牛若丸(ともに有機肥料生産センターが生産した堆肥)、培土のみとBMW、井戸水を組み合わせ、六区分に播種を行いました。
・五月時点の試験結果は表の通りです。また、生長の良い①と良くない⑥の根の張り方の違いも調べてみました。

・また、生物活性水と井戸水の分析を行ってもらいました。硝酸態窒素、リン、カリウム、マグネシウム、塩素イオンなどは、生物活性水の方が高い数値になっています。【分析表】
・有機培土で試験を行っていますが、現在のところは生育に大きな違いは見られません。
・今回の試験を基に考察をすると
(ⅰ)牛若丸については、どのような条件下でも有効性が認められた。
(ⅱ)生物活性水を使用すると、生長を促進する傾向があることが分かった。
(ⅲ)生物活性水潅水は原液で行ったが、希釈濃度や使用量も今後調べる必要がある。
(ⅳ)今回は試験を微生物がいない状態の培土で行ったが、通常の田や畑に近い状態で再度試験を行う必要がある。
・まだまだ課題はたくさんありますが、BMW技術を村内の農家にも分かっていただくために頑張っていきたいと思います。

二、「果樹栽培における生物活性水のテスト使用と今後について」:  判田 直也 氏
・梨の専業農家で、大分県日田市で二六〇aで幸水、豊水、あきづき、新高、新興などを栽培しています。昨年から中村養豚場の生物活性水をテスト使用していますので、進捗状況を報告します。
・梨の多くは同じ品種の花粉では受粉しない性質(自家不和合性)があるため、花の咲く時期に他の品種の花粉を一つ一つ人工的に交配させる作業が必要になり、多大な労力がかかります。今回のテストの狙いは、混植園で生物活性水を使用した無交配の試験区と、生物活性水を使用しないでこれまで通りの人工交配を行った試験区で、結果がどのようになるのか調べるためです。
・試験区は豊水(自家不和合性)とあきづき(自家和合性)の混植園で、A区(一七a)・B区(一〇a)・C区(二七a)の三区分にしました。樹は一〇a当たり三〇本〜三三本です。
・A区とB区は生物活性水を散布し、豊水の人工授粉は行いません。A区は一一月中旬に生物活性水を原液で一樹当たり四〇ℓ潅注しました。これは一一月の上旬に施した元肥の分解を促進するためです。次に、四月の花が二分〜三分咲きの頃に一〇〇倍希釈で葉面散布を行いました。花を充実させて、花粉の自然交配を行うのが狙いです。また、四月中旬の花の満開後には五〇〇倍希釈で葉面散布を行いました。果実の種子を充実させるのが目的です。五月中旬にも三〇〇倍希釈で葉面散布を行っています。この時期は細胞分裂期にあたるため、細胞数をふやすことを目的としています。
・B区は一一月上旬から五月中旬まではA区と同じ工程ですが、追加として五月の下旬に生物活性水を原液で一樹当たり四〇ℓ潅注しています。この時期は細胞分裂期が終わり細胞肥大期に変わる時期なので、肥大の促進のために行いました。
・C区は生物活性水を散布しないで、通常の栽培方法です。四月中旬の七分〜八分咲きの頃に、花粉に石松子を混ぜ梵天で人工授粉を行いました。
・五月末から一〇日ごとに果径調査を三回行っていますが、現在のところA・B・C区とも目立った差はありません。果径調査は豊水を収穫する九月まで行います。
・今後の調査としては、収穫までは肥大調査を行い、収穫時には種子数調査と糖度調査を行います。七月の梅雨明けには追肥としてB区には生物活性水を、A区とC区には通常使っている肥料を与える予定です。
・A区・B区が人工授粉を行ったC区と同等以上の結果がでれば、授粉作業の省力化につながります。人工受粉に掛かる時間を樹一本一五分、労力を一時間八〇〇円として計算すると、アーム農園(二六〇a・約七八〇本)の場合は一九五時間、一五万六千円分が削減できることになります。(日田市全体では約一千五百万円分の省力化になります)
・まだ試験段階ではありますが、今後も生物活性水を利用した栽培を行いたいと考えています。
※アーム農園の判田氏は(会員になられる予定なので)西日本BMW技術協会の会員の中で生物活性水を使用している唯一の果樹栽培農家です。

三、「西日本BM技術協会会員のプラント管理状況報告」: 秋山 澄兄 事務局長
・はじめに、お二人の発表を聞いた感想をとのことなので一言だけ。工藤さんの発表で「根の違い 比較」の写真を見ると、根の根端のところが「BMだなぁ」と思いました。根端が多いことは根はりが良いことで、肥料の吸い上げ効果が期待できます。試験結果では、工藤さんの考察に「BMWを使用すると大きく生長に差がつく」とあるように、生物活性水の効果が見られました。ただ、気になるのは、小松菜は一八cm〜二五cmで出荷されますが、丈が伸びたときに土の中にどれだけ肥料が残されているか…そこがちょっと心配です。葉物はあまり影響が無いと思いますが、果菜類では生物活性水を潅水して追肥を忘れると、潅水後すぐのピーク時は多収穫を望めますが次のピークが来なくて収穫できないということがあります。生物活性水を肥料(液肥)と勘違いするために起きることです。
・判田さんの発表ですが、BMW技術協会としても果樹栽培のデータが少なくて、昨年ぐらいから山形県・米沢郷牧場の横山さん(さくらんぼ、ラ・フランス)や山梨県・hottoの水上さん(巨峰)たちのデータを少しずつ蓄積している状態なので、申し訳ありませんがコメントができません。判田さんには横山さんをご紹介して、試験の方法やデータの取り方についてご相談できるように段取りをしていますので、引き続き試験をお願いします。協会でも情報の共有化をしていきたいと考えています。
・本題に入りますが、既に今年の一月に、糸島BM農法研究会:柴田さん、紅会:浦さん・井手さん・中村さん、清村養豚場、大矢野原農場そして南阿蘇村有機肥料生産センターのプラントを秋山・匠集団そら:星加氏・西日本BM技術協会事務局:宮﨑氏・内山氏の四名で巡回しました。また六月にも藤野屋商店、グリーンファーム久住、越野堆肥利用組合:首藤さんのプラントを同じメンバーで巡回しました。
・訪問先では、農場や環境に合わせて管理を工夫している人、課題を抱えて管理をどうしょうかと考えている人、課題に気がつかないままに管理をしている人などさまざまでしたが、気がついた事に対してはアドバイスをさせていただきました。
・全体を通して見ると、管理というよりプラントの仕組みの認識の仕方にばらつきがあると感じました。BMW技術は二〇年になりますが、根本的な考え方は変わっていないとしても、二〇年前から取り組んでいる人や最近始めた人もいます。また、全国のプラントは原料や槽の大きさがそれぞれに異なります。それにより、できあがりの成分なども大きく違う場合もあります。それぞれの現場に合わせた用途をあらためて確認する意味でも、基本的な管理方法、用途の確認などを共有する必要があるのではないかと思いました。
・そこで西日本BM技術協会の会員の皆さんのプラントで基本的なことを確認させていただいて、皆さんの日々の管理に活かしていただければと考えています。
・今回は簡易尿処理水と生物活性水のプラントに分けて説明します。簡易尿処理水のプラントは規模を設計するときに、豚や牛の頭数から一日に出てくる尿の量を計算して、その量を処理することができるようにプラントを設計しています。※量だけではなくBOD等の数値も考慮して設計をします。
・一日に二tの設計ということは一日に二t処理できる、一日に処理水が二t溜まっていくということで、つまり一日に二t入ってくると、処理水を二t抜ける(使える)という計算です。それを一日に一〇t抜くと、その処理水はまだ完ぺきではないのではないかと考えます。また、一〇tを毎日のように抜くと生物活性水の生産が追いつかなくなるため、それを使用しても生物活性水としての効果は失われてしまいます。
・生物活性水の場合は、プラントの一槽の容量によって生物活性水が一日に生産できる量を計算しています。なので、一日に使用できる量は一槽の容量の一/一〇と考えます。生物活性水のプラントは五槽が基本で、一槽で一〇日滞留して次の槽に移っていきます。南阿蘇村の場合は五t槽なので、一〇日で五t生物活性水ができるため、五槽目から抜ける量は五〇〇ℓになる計算です。それ以上抜くと生物活性水にならずに、二槽目・三槽目の精製途中の状態になって質が落ちていくことになります。
・一日五〇〇ℓのところがどうしても二t必要になった時は、二t使ったら二t出来上がるまで使わないという考え方で管理していけば、良い生物活性水ができるのではないかと考えます。また、原液で使っている場合は、足りない時には希釈という方法もあります。用途によって原液・希釈を使い分けると生物活性水の系は崩れません。
※一日五〇〇ℓ抜き取り可能なプラントから二t抜き取ると、二tは四日分に当たるので、翌日から三日間は抜き取らないという管理が必要です。
・処理能力を高めるには、南阿蘇村のように最終槽(精製槽)の生物活性水を返送ラインで第一槽(接触曝気槽)に戻す方法があります。
・昨日、大分の宇目にある越野堆肥利用組合の首藤さんの養豚場を訪問しましたが、そこは簡易尿処理で、汚泥を一槽目に戻して活性化させて処理を高めていく方式をとっていましたが、その他にご自分で工夫をされて最終槽の上澄みを一槽目に戻していました。そのため、一槽目から臭いがありませんでした。
・BMW技術は皆さんの創意工夫で成り立ってきた部分が多くあります。今日の話と皆さんの創意工夫を、今後の取り組みに活かしていただければと思います。

●「西日本BM技術協会 第二〇期総会」が四一名の会員・オブザーバーの参加で開催されました。
一、開会挨拶:
 西日本BM技術協会会長 荒木 隆太郎 氏
昨年は「第二一回BMW技術全国交流会」を西日本BM技術協会で引き受け、成功させることが出来ました。皆様に本当にお世話になりました。全国交流会の成功で、新たな二〇年の第一歩を踏み出せたのではないかと思います。
さて、新たな年度を迎えるにあたって、一昨年から取り組んできた「原点に返る、BMW技術」を引き続き力を入れて行きたいと思います。また、今回のプラント管理の研修も含めて、西日本BM技術協会の会員が持っているプラントが適切に運用できるようにしたいと思っています。点検と管理のために、今年の一月から順に、出来るだけすべてのプラントを巡回できるように進めています。皆さんのご協力を得ながらBMW技術の普及を目指して活動を進めたいと思います。よろしくお願いします。

二、来賓の挨拶:南阿蘇村村長 長野敏也氏
南阿蘇村は平成一七年二月に長陽村・白水村・久木野村の三つの村が合併し、人口一万二千の「村」として誕生しました。合併しても「村」にこだわっていこうということで、「わがふるさと」と胸を張れる豊かな村づくりに向けて、基幹産業の農業と観光を柱に活力ある村づくりに取り組んでいます。BMW技術は農薬・化学肥料などを使わない農業を推進し、安全性と地域環境保全の最も優れた農業技術といわれています。当村では、南阿蘇村有機肥料生産センターで生産されたBMW堆肥を地域資源、循環および環境保全型農業の実践、情報発信の要として、有機農業の推進に努力しています。豊かな自然環境を後世に引き継ぐために、有機農業をはじめとした環境保全型農業の推進にBMW技術を活用し、生産者と地域住民が連携しながら地域環境を守る取り組みを進めていきたいと考えています。

来賓の挨拶:
  BMW技術協会事務局長:秋山 澄兄 氏
 BM技術協会は二〇一一年の一〇月五日をもって「一般社団法人 BMW技術協会」としてスタートをきることになりました。法人化の趣旨は、二〇年間の活動で蓄積したノウハウやネットワークを更に活用して活動の幅を広げていくこと、社会に出て法人ということで責任を持って行動していこうというということです。理事長には新しい世代ということで米沢郷牧場グループの伊藤幸蔵氏が就任し、若手を中心としたBMW技術協会という形で活性化させ、BMの歴史を継承しながらまた新しい二〇年を作っていこうということで協会は進んでいます。
そのなかで、活動を活発化させるために皆さんにご協力いただきたいということで、今年度から会費を若干値上げさせていただきました。「原点に返る」という意味で、プラントの巡回やもう一度基礎からBMW技術を勉強していこうという体制、地域の中で若手を育てていこう、その中にBMW技術とその理念を広げていこうということで活動を進めたいと考えています。

三、総会について
 第一九期の活動報告・会計報告・監査報告、第二〇期の活動方針・会費の改定・予算案・会則の改定・役員改選が提案され了承されました。
 第二〇期(二〇一二年度)の活動は①第二一回BMW技術全国交流会の成功を受けて、BMW技術の普及を更に進めます。②プラントの管理が適切に行われるように、BMW技術協会・匠集団そらと一緒に、年間計画を立ててプラントの巡回を行います
 また、二〇一一年度は生物活性水を無料提供してきましたが、二〇一二年度は実費の半分を西日本BM技術協会が負担して有料(一トン五,二五〇円)で販売します。中村養豚場に取りに行く場合は無料です。
 この他にも会費の改訂、名称を「西日本BMW技術協会」とすることが了承され、最後に役員改選で新たな会長として中村康則氏(紅会)が選出されました。

四、総会終了後、阿蘇白水温泉瑠璃で三七名の参加で懇親会を開催しました。
 新会長に就任された中村氏の開会挨拶のあと、オブザーバーとして総会に参加された南阿蘇村役場・農政課課長の伊藤信郎氏の音頭で乾杯を行い、その後は各自交流を行って懇親会も無事終了しました。
(報告:西日本BMW技術協会事務局)

Author 事務局 : 2012年08月01日22:13

【AQUA245号】宮城県日向養豚で生物活性水プラント稼働開始

宮城県大崎市の日向養豚で、生物活性水プラントが稼働開始

 宮城県大崎市にある「㈲日向養豚」にて生物活性水プラントの設置工事と培養調整が完了しました。
 「日向養豚」は宮城県の生活協同組合あいコープみやぎの生産者で、母豚二百頭、年間出荷頭数約三千八百頭の規模です。
 日向社長は、あいコープみやぎの小野瀬理事長からBMW技術を奨められて生物活性水を飲み水に添加していました。生物活性水はわ・は・わ大郷にあるプラントから運んでいましたが、なかなか継続して持ち込むのが難しく、農場内にプラントを設置することにしました。工事の前後には小野瀬理事長を始め宮城BM技術協会の西塚会長(大郷グリーンファーマーズ)にも立ち会っていただき、培養調整の進み具合を確認してくれました。

 生物活性水プラントは一槽が五tのFRPタンクを五本と六トンの精製貯留槽を設けています。
 一槽目にリアクター塔を設置、各槽には軽石と花崗岩、蛇紋岩を投入しています。培養調整の原料は、豚糞堆肥を利用して行いました。調整が完了してからの原料は、豚尿処理施設が稼働しているので、その処理水を活用することにしています。
 尿処理施設から出る処理水は、ばっ気槽から膜処理設備を通って排出されたものです。
 日向社長へは、出来上がった生物活性水の活用方法として、まず第一に豚舎へ供給されている飲み水の貯留タンク(ばっ気装置付き)へ添加することを手始めにおこなうことを話しました。また、各豚舎のスノコ下にある糞尿分離部分に原液を散布して臭気を無くす効果を、散布しない豚舎と比較できるようにしてみることにしました。それから堆肥舎においても堆肥づくりに生物活性水を利用してより熟成した堆肥ができるように利用する予定です。日向養豚の堆肥は、西塚さんも年間一〇〇トンほど利用しているそうで、より熟成度が上がった堆肥ができることを期待しています。
 日向社長からは、「生物活性水の効果がはっきりわかるようになれば、従業員にも生物活性水の散布作業の必要性を理解できるのではないか。」と、効果が早く出てくることに期待しています。
     (報告:㈱匠集団そら 星加 浩二)

Author 事務局 : 2012年08月01日22:10

【AQUA245号】涸沼生態系再生プロジェクト

茨城県茨城町 〜涸沼生態系再生プロジェクトが始まりました。

 清水澄常任理事(茨城BM自然塾塾長)の「思い」と「願い」が涸沼生態系再生プロジェクトを立ち上げ、かつて豊かな生態系が保全されていた涸沼の再生に向けての取り組みがスタートしました。
 茨城県の東北部に位置する「涸沼」は、茨城県の山々の豊かな水源が流れ込み、淡水と太平洋の海水が混ざり合う汽水湖で、自然生態系が循環していた約五〇年前は、藻類、沈水植物群(水生植物)が豊富にあり、魚介類にとって絶好の産卵場所でもありました。有数のシジミの産地であり、一九七〇年代前半には年間約六〇〇〇トンのヤマトシジミの漁獲量を誇っていましたが、その後の日本の経済成長、宅地化などの影響を受け、現在は半分以下まで落ち込み、豊かな自然環境の中で形成されていた生物多様性が崩れてしまっています。特に湖底に積るヘドロは湖内で堆積されてしまい、自然生態系壊滅の元凶となっています。さらに追い打ちをかけるように昨年の東日本大震災直後に原発事故が起こり、九つの河川が流入する涸沼は山々に蓄積された放射性物質が同じように蓄積されるのではないかと不安視されています。現に、このシジミを使用した加工品の放射能検査においてセシウム一三七が検出されたとのことでした。
 二〇〇九年に茨城県大洗市で行われた第一九回BMW技術全国交流会は「水が育む「農・食・くらし」〜筑波山系から涸沼へ「いのち」の物語」をテーマに開催され、その後も引き続き、茨城BM自然塾、茨城町自然と水を守る会を中心に涸沼流域の環境改善運動を続けてきました。今年に入り、パルシステム茨城や茨城町の賛同もあり、「涸沼生態系再生プロジェクト」が立ち上げられ、五月二四日にはパルシステム茨城水戸センターにおいて設立総会が行われました。このプロジェクトの構成団体は、茨城BM自然塾、パルシステム茨城、茨城町自然と水を守る会、茨城町みどり環境課の四団体で構成され、BMW技術協会はその活動を全面的にバックアップしていきます。また、放射能汚染調査等に対しては、今年度から設けられたパルシステム連合会の基金制度を利用し、支援をいただくことも決定しました。
 本来豊かであった「自然生態系再生」に向けて、現状調査としては涸沼のヘドロや水生植物等の放射能汚染を、定期的に専門機関に依頼して計測。ヘドロの浄化実験は清水常任理事が作った実験プラントに、BMW技術バイオリアクターを設置、シジミや水草などの繁殖にその効果が期待されています。また、これにあわせて涸沼の生態系等についての学習会等も行う予定です。清水常任理事は「何とか少し形になってきてはいるが、まだまだこれから。筑波大学や足利工業大学からも協力を得て、じっくりと取り組んでいきたい。」とのこと。
     (報告:BMW技術協会事務局)

Author 事務局 : 2012年08月01日22:08

【AQUA245号】「くらしと放射能を考えるフォーラム」開催

千葉BM技術協会、“放射能に負けない体づくり”を具体的に学習
第16回総会及び研修会「くらしと放射能を考えるフォーラム」を開催


 千葉BM技術協会は、去る六月二三日、千葉県の船橋市勤労市民センターに於いて、第一六回定期総会及び研修会「くらしと放射能を考えるフォーラム」を開催しました。総会では、昨年度の活動及び会計・監査報告、二〇一二年度活動計画及び予算案等が提案され、いずれも承認されました。総会終了後には、研修会として、「くらしと放射能を考えるフォーラム」が生活クラブ生活協同組合(生活クラブ虹の街)、生活協同組合パルシステム千葉との共催、一般社団法人BMW技術協会の協力で開催され、会員及び関係者、生協組合員ら、一三〇人が参加しました。

新会長に木内克則氏
 総会では、千葉BM協会が昨年度からすすめてきた福島原発事故起因の放射性物質による生産、生活への影響、これらへの対処法等、共通認識を得るための学習・研修活動について、今年度、幹事会で評価し、さらに中身を詰めていくこと等の活動方針を決定しました。
 また、これまで会長を務めていただいた農事組合法人和郷園の向後武彦氏に代わり、木内克則氏が新たに会長に就任し、和郷園内に設置されていた事務局を今年度から、生活協同組合パルシステム千葉に設置すること等を決定しました。

個々の免疫力の向上が内部被曝対策
 昨年三月に発生した福島第一原発事故による放射能物質の拡散は、千葉県においても、ほぼ全域で、大気、土壌、水が汚染された事態になっており、今なお生産・生活に大きな影響を与えています。「くらしと放射能を考えるフォーラム」は、昨年七月に開催した講演会「放射能と内部被ばく、その危険性と予防法」(講師:高木学校・瀬川嘉之氏)、BMW技術協会と共同で企画・実施した昨年八月の特別講演会「内部被曝による晩発性障害とフクシマのこれから」(講師:医学博士・肥田舜太郎氏)に次ぐ、千葉BM技術協会の学習・研修活動の一環として、企画されました。
 特別講演会での、肥田先生の「原発事故で東日本の多くの人々は内部被曝してしまっており、これからは個々の免疫力を高めるよりほかない」との結論を受け、今回は、「放射能に負けない体づくり」について、具体的に提案されている内科医の土井里紗先生の講演と、肥田先生の講演DVDの上映、千葉BM技術協会会員生産者、新生酪農㈱と(農)和郷園の放射能対策、協会会員の農業生産法人白州郷牧場の発酵食品による免疫力向上の取組み事例報告等による意見交換会の三部構成で開催しました。

フォーラム「くらしと放射能を考える」
農事組合法人 和郷園 副代表理事
     向後武彦(千葉BM技術協会 前会長)
 過日の、フォーラムには多数のご参加を頂き誠に有難うございました。また、生活協同組合パルシステム千葉様、生活クラブ生活協同組合虹の街様、(社)BMW技術協会様の御協力の元、成功裏に終える事が出来ました事をこの場をお借りして、御礼申し上げます。
 講師の土井先生からは、内科医師の立場から、また女性の目線で非常に解り易く、丁寧なご講演を賜り、改めて食、生活習慣の重要性を感じました。
 白州郷牧場からは、見田様にお越しいただき、日本古来の発酵食品の文化、必要性を説いて頂き、自分の体は自分で守り、健康にしていく事を学びました。
 福島第一原子力発電所事故後、本当の解決までどれだけの年月が掛かるか解らない今、自分たちで知り、学び、生活の中に取り入れて行く事。又、過剰な「風評被害」を止める事も私たちの役割ではないかと考えます。
 末筆に、次世代へ引き継ぐため、先月千葉BM技術協会会長を、和郷園の木内克則君に引き継ぎました。今までと変わらぬご指導、ご鞭撻の程宜しくお願いいたします。


  生活クラブ虹の街 岩上章子
 第一部では、肥田先生自身の、被爆と被爆治療の体験をうかがい、被爆を悲観的に考えるより、自己管理や体調の変化に気を付け生活することを教えていただきました。
 第二部では、土井先生からバランスの良い食生活と、前向きに生きる気持ちの持ちようが大切なことを医学的・科学的見地も交えわかりやすくお話しいただきました。
 放射能による影響は未知の部分が多く、誰もが不安にならざるを得ません。しかし不幸にも遭遇してしまったリスクのひとつと考え、影響を最小限に収めるために心身を健康に保つことの大切さをお二人から教わりました。
 第三部では、新生酪農さんから放射能検査体制の整備と情報公開のご苦労を、和郷園さんからは第三者機関と連携した放射能検査プログラムについて、白州郷牧場さんからは日本古来の発酵食品・麹づくりへの取り組みについて報告がありました。
 今回の原発事故は経済発展や効率性を重視する現代人への警鐘なのでしょうか。我々自身が自然環境と循環の一部であることについて改めて深く考えさせられた一日となりました。

   パルシステム千葉 理事  中村順子
 当日はかなりの長時間だったのですが、まだまだ足りなく感じた大変充実した内容だったと思います。まず行われたのは、昨年のセミナーで講演してくださった肥田舜太郎先生のDVD上映でした。次に、神戸からお越しいただいた土井里紗先生のご講演の後、土井先生と生産者と交えた意見交換会が行われました。
 両先生ともお考えが大変似ており、例えば『放射能に負けないためには事実を知り、対応を考えて正しく悩む事が大事』 『免疫力を高める』 など、特別な事をしなくても普段のちょっとした行いで出来ることばかりでした。
 最初は困惑しましたが、それら“普通の事をすることが結局、様々なリスクを回避する”という事がわかりほっとしました。しかしながら、その一方では、自分の家族だけが安全であれば良いという考えでは良くないので、自分なら何が出来るかを常に考えながら、ここまでつながってきた命を次世代に繋いでいきたいと思いました。

Author 事務局 : 2012年08月01日22:06

 
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