【AQUA243号】国内プラントの動向(秋田)

 秋田県小坂町のポークランドグループの新設農場において、飲水改善施設と生物活性水施設の導入工事が進んでいます。新設農場では繁殖用の豚舎とバイオベット肥育豚舎の建設も同時に行われており、年間約四万頭の出荷が見込まれています。
 プラントは同グループのファームランドや十和田高原ファームに設置されているプラントと同じ規模で、飲水改善プラントは1槽が五〇tの物が二槽、生物活性水プラントは一槽が五〇t(日生産量五t)が五槽で原料は尿処理水です。今回は四月二二日~二三日の二日間で自然石槽への岩石の投入作業が行われました。生物活性水プラントの五槽の間にそれぞれ自然石槽があり、その中に大量の軽石と花崗岩を投入しました。プラントの規模自体が大きいため、岩石投入作業はクレーンで岩石の入ったフレコンバック(*)を自然石槽まで吊り上げ、一気に投入する作業です。単純な作業でありますが、槽内に落ちないように、クレーンの吊るす岩石に押しつぶされないよう十分な注意が必要でした。無事作業も完了し、あとはプラント建屋の完成と尿処理水が一槽目に入ってくることを待つだけとなりました。なお、プラント自体の稼働が始まるのは六月下旬~七月上旬予定です。
      (報告:匠集団そら 星加 浩二)

*フレコンバッグ(フレキシブルコンテナバッグ):ポリエチレンやポリプロピレン等の丈夫な化学繊維で織られたシートとベルトより構成される。穀物や飼料、土砂などの粉状物質の梱包・輸送に適しており、平均的なもので一トン程度の重量物を充填することができる。バッグ全体を支える丈夫な吊りベルトの長いループ部が上部に付いており、バッグをフォークリフトやクレーン等で持ち上げるのに適している。

Author 事務局 : 2012年06月01日22:49

【AQUA243号】韓国BM協会と株式会社BM水コリアの今年の抱負と活動計画

 二〇一二年より韓国BM協会は組織編成を一新し、協会の活動を強化していくため、今まで以上に一層の努力をしていきます。韓国BM協会は二〇一二年度の事業計画を具体的に決定し、計画達成に向けて業務を忠実に、情熱をもって遂行する協会の事務局を設置しました。事務局はBM活性水に対する技術と資料を提供するとともに、それぞれの地域での事例や現況の情報を収集し、それらを会員で共有できるよう中心的な役割を担っていきます。また、各地域ではセミナーを活性化し、今まで以上に会員の拡大と技術の普及活動に取り組み、新しい組織作りを目指すとともに全体の活動を強化していきます。
 これらについては、三月二二日に尚北道永川郡に所在している山(サン)自然学校にて開催された理事会において、さらに理事陣等を再構成に関する議論が行われました。さらに四月四日には京畿道楊平郡ドゥムルモリ農場(代表:ジョン・サンムク)にて理事会を開催、協会の事務局運営に対する意見を集めるとともに、協会会員に対して協会加入の条件や会費について、活動計画などについても議論が行われました。このように活発な議論の末、韓国BM協会会長に韓国正農会の前会長であるジョン•サンムク氏が推薦され、理事等の組織再編案もまとまりました。
 今年の主な活動計画としては、七月下旬に韓国BM技術交流会の開催があります。昨年は一二月に洪東郡洪城にて開催されましたが、今年は忠清北道(韓国北東部)槐山郡農業技術センターで開催します。これは初めて同農業技術センターに設置されるBM活性水プラントの完成祝いも兼ねて行う予定です。交流会の運営に関しては、全国ハンサルリム(韓国で一番大きな生協組織)の理事であり、槐山郡でBM活性水プラントが設置された養鶏場(採卵鶏、「ヌンビサン農場」)のジョ•ヒブ会長の支援を受け、意味ある充実した大会の開催を目指します。また、大会開催を翌月に控えた六月初旬に韓国BM理事会と総会を開催します。組織構成と活動方針案やその他懸案事項を議決し、交流会の具体的なテーマや日程などを定めて交流会が順調に進むように全力を尽くしていきます。

 (株)BM水コリアは、二〇〇九年に地方自治体の農業技術センターに設置された初めてのケースとして、京畿道楊平郡農業技術センターにBM活性水プラント(日生産量/四トン規模)を設置しました。これは「 楊平郡」の支援によるものでした。二〇一〇と二〇一一年は、BM活性水プラントが「京畿道」の支援事業として選定され、同じく京畿道の金浦市農業技術センターと抱川市農業技術センターに一日二トン規模のBM活性水プラントを設置しました。こちらは「京畿道」の支援によるものでした。さらに二〇一一年には、BM活性水プラント設置事業が韓国政府の国費事業として初めて選定されました。環境府(日本でいう環境省)における清浄産業支援事業として、京畿道安城市の農業技術センターに一日二トン規模のBM活性水プラントを設置することになりました。主に口蹄疫の予防や親環境ブルーベリー栽培や有機高麗人参の栽培などに活用しています。
 そして今年は、国費支援事業として京畿道楊平郡楊東面にある韮(にら)の栽培グループと京畿道楊平郡楊東面青雲面に所在している青雲農協に、それぞれ日生産量/二トン規模のBM活性水プラント設置事業が確定し、江原道でも洪川郡農業技術センターに日生産量/四トン規模の同事業が確定し契約が完了しおり、すぐに工事に入ることとなっています。
 また「道」による支援事業については、今までは京畿道でしか行われていませんでしたが、今年に入り慶尚南道においても支援事業が決定し、宣寧郡農機械賃貸事業場のそばに慶尚南道の支援(五〇%補助)と宣寧郡の支援(五〇%補助)で構成された、BM活性水プラント(日生産量/五トン規模)のプラントを設置することになっています。
 このように韓国ではBM活性水プラントが少しずつ行政の方に知られてきていますが、これからも積極的に新しい技術を開発し、より使いやすいBM活性水プラントが建てられるように社員一同頑張っていこうと思っています。一方、少しずつ増えている政府の支援事業を拡大することにも力を入れて、BMW自然循環システムの地域普及に総力を傾ける覚悟です。
 一九九七年から日本のBMW技術協会の理事をはじめ、会員の皆様、株式会社匠集団そらの皆様には、長きに渡りかつ持続的に、多大なるご支援をいただき感謝しております。韓国のBMW循環システムも少しずつ成長し、進化し、皆様のご恩に報えるよう、謙虚な姿勢を忘れずに頑張っていきたいと思います。
1 ソウル特別市
2 釜山広域市
3 大邱広域市
4 仁川広域市
5 光州広域市
6 大田広域市
7 蔚山広域市
8 京畿道
9 江原道
10 忠清北道
11 忠清南道
12 全羅北道
13 全羅南道
14 慶尚北道
15 慶尚南道
16 済州特別自治道

※韓国の行政区域:韓国の全地域は一特別市(ソウル)と六広域市(釜山など)、八道(京畿道など)、一特別自治道(済州島)で構成されている。特に「道」の場合は、「市」と「郡」に区分される。「市」は、基礎自治団体であり、その大部分が都会の形態を揃えた上で人口が五万以上の地域である。韓国で一番人口が多い市は、人口一〇〇万の水原市であり、一番少ない市は、人口四万の鶏龍市である。「郡」は「道」および「広域市」の下部行政区域であり、主に農業を基盤にする地域が多い。韓国で一番人口が多い郡は、人口二〇万の蔚州郡であり、人口の一番少ない郡は、人口一万の鬱陵郡である。「面」は市・郡の下部行政区域である。


※韓国の各市や郡に設置されている「農業技術センター」について:一九六二年三月二一日に制定された農業振興法により、農業関連の指導や技術普及、訓練を担当してきた、政府の研究機関である「農村振興庁」の傘下の「農村指導所」が、一九九八年十月に改編され、現在は農村指導事業や教育訓練、農業特化事業などを管掌しています。
報告: (株)BM水コリア 常務  金 敬珉

Author 事務局 : 2012年06月01日22:48

【AQUA243号】東北プラント点検、訪問報告

飲水改善プラント、生物活性水プラントの状況確認

 今年の冬は長くて寒い日が続きました。東北地方はまれにみる豪雪で、その被害も多く出ています。ようやく雪が融け始めましたが、桜は全く咲いていない東北地方。三カ所のプラント点検を匠集団そらの星加氏と秋山(協会事務局長)が行いました。

■秋田県鹿角郡小坂町 ポークランドグループ 四月一〇日〜一一日
 匠集団そらによる定期メンテナンス(充填剤交換含む)に同行する形で二日間にわたって訪れました。ポークランドグループは年間十数万頭の豚(SPF豚(無菌豚))を出荷している大規模の養豚場です。販売されている豚肉は、代表の豊下勝彦氏(協会常任理事)が命名した「桃豚」の愛称で知られています。グループ全体で飲水改善プラントが三カ所、生物活性水プラントが三カ所設置されています(両プラント共に新設の豚舎は除く)。生物活性水のモデルプラントを除く五つのプラントの規模はすべて一槽が五〇t以上のものと大きく、充填材の交換をはじめ、水質検査、エアー調整等の点検には時間も労力も必要となります。生物活性水の原料は自然浄化法で処理された豚尿で、日量五tの生物活性水の製造が可能で、飲水への添加、豚舎への噴霧などに使用されています。また、別の敷地にある畑での野菜や飼料米の栽培をはじめ、地域の農家などにも利用されています。各プラントに問題はなく、正常に稼働されていることが確認されました。

■山形県長井市 長井レインボープランコンポストセンター 四月一二日
 長井市は伊藤理事長も同行しました。今回の訪問は三月末頃に、「プラントの処理(精製)具合が良くないのではないかと思うので、一度見に来て欲しい」と長井市農林課振興担当の佐々木勝彦氏からの要請があり実現しました。佐々木氏は「同市ではプラント設置当時からの担当の方が退職されてしまった。その後の引継がうまくいかなかったという経緯もあり、このような状態になってもどうしていいかわからずに連絡しました。これを期に今一度、BMW技術を勉強してコンポストセンターの取り組みに活かして行きたい。」とのことでした。実際にプラントに行ってみると良い状態ではありません、ここのプラントは一槽目の前に簡易処理槽と沈殿槽があるのですが、簡易処理槽と最終槽の水質がほぼ同じ状態、EC(電気伝導度)、pH(水素イオン指数)、亜硝酸態窒素の数値もほぼ変わりがありませんでした。昨年三月の東日本大震災の影響を受け、約九カ月間に渡りプラントは停電やブロアの故障により停止状態、ブロアを新たに購入し一二月より止まった時の状態のまま再稼働させたとのことでした。生物活性水プラントは土木槽で、一槽が一〇t、日生産量は一tです。生ごみ七割、牛糞三割を原料とした堆肥の製造過程からでる浸み出し排水を生物活性水の原料にしています。匠集団そらの星加氏から「プラントが停止してから約九カ月間嫌気状態にあったので、土木槽の中の水が腐敗に向っている。でもまだ改善できないほどの状態ではないと思う。」ということで、あらためて改善策を提示することになりました。その場で出された案(意見)として、他から生物活性水(とパウダー)を大量に投入し、微生物の動きを活発化させ、水質を再生していく。更に最終槽から一槽目の戻しのラインを増設、場合によっては槽内の掃除も必要となるかもしれないなどでした。早期の復活を望んでいます。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

※長井市レインボープラン:現代社会が様々な要因で失いつつある食の安全。「循環」「ともに」「土はいのちのみなもと」を理念の基として、健康な「食」と「いのち」を未来につなげようとする取り組み。家庭の台所から出される生ごみを土づくりの資源としてとらえることによって始まる「地域循環システム」を創り出し、台所が健康な農地を支え、また、農業が市民の台所と食の安全を支えるという相互扶助の関係を築いている。 

Author 事務局 : 2012年06月01日22:46

 
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