【AQUA240号】事務局の活動報告

・一月四日…仕事始め
・一月一一日…増冨の湯にてプラント設置に向けての打合せを行いました。NPO法人APLAの秋山眞兄共同代表と吉澤事務局長が協会を訪れ、フィリピン・北部ルソンの生物活性水施設設置に関する打合せを行いました。
・一月一二日…ATJ社にて、インドネシアATINA社の排水処理施設設置に関しての打合せを行いました。
・一月一六日…第二一回BMW技術全国交流会実行委員会が行われました。
・一月一七日〜二〇日…匠集団そら・星加と事務局・秋山が西日本BM技術協会・内山氏と紅会から南阿蘇村まで約一〇か所のプラントを訪問し点検を行いました。
・一月二一日〜二三日…匠集団そら・星加と事務局・秋山が中国・大連を視察しました。(現地法人の依頼により)
・一月三一日〜二月一日…山梨自然塾のメンバーがみやぎBM技術協会を視察のため訪問し、事務局・秋山が同行しました。現地では、あいコープみやぎ、七郷みつば会、大郷グリーンファーマーズと交流、被災地や圃場などを視察しました。石巻の高橋徳治商店(水産加工)を訪問し高橋社長のお話しを伺いました。
・二月二日…一月度常任理事会が行われました。(日程調整の結果二月二日になりました)
・二月三日…パルシステム山梨を伊藤理事長と事務局・秋山が訪問。白川理事長はじめ黒田常勤理事などに、法人会員入会に向けての挨拶と説明をしました。

Author 事務局 : 2012年03月01日22:08

【AQUA240号】「さよなら原発1000万人アクション」

東京・代々木公園に12000名が参加

 二月一一日、東京、代々木公園のイベント広場で「さよなら原発一〇〇〇万人アクション・全国一斉行動」が開催され、一二〇〇〇名の参加者で会場が埋め尽くされました。
 当日は、一一日の前後を含めドイツでは一五一の地域、日本国内では、新潟上越市、高崎市、米子市、松江市、神戸市、高松市、釧路市、宇部市、松山市、佐賀市など数十か所を会場に「全国一斉行動」も取り組まれました。

 昨年、三月一一日の東日本大震災から一一か月。政府の「原発事故収束宣言」にもかかわらず、福島第一原子力発電所の事故は「収束なんかしていない!」と、東京では一二〇〇〇名の参加者が反・脱原発を願って集会とパレードを行いました。今回は集会で登壇した人々の声を拾ってみました。

 呼びかけ人の一人である大江健三郎さんは、福島県の農漁民の苦悩を宮沢賢治の詩を引用し、「静かに怒りを燃やす姿を、私たちの声として生かしていこう」とアピールしました。そして「原発を一掃することは、もっとも大きく根本的な人間の倫理だ。原発を止めるという決意を、子どもたちにはっきり言うことが希望の灯である」と語ったのでした。

 作家の澤地久枝さんは「五月には日本のすべての原発が止まる。私たちのアピールの力でこの日を迎える」「政府は自分で引き起こした事故すら収束できないくせに、外国に原発を売ろうとしているが、世界の人々は嫌がっている。これこそ国籍を超えた市民の意思だ」と強く語りました。

 東京で避難生活を送る被災者の発言は、多くの参加者の涙を誘いました。増子理香さんは事故後、避難者のネットワーク団体で活動。「福島県民ははかない一艘の小舟のようだ。どこに流されるのかわからない」としたうえで、転校を繰り返す子どもたちに「これ以上悲しい思いをさせないでほしい。過ちを繰り返さないで」と悲痛な声を発していました。

 福島で有機農業を続ける菅野正寿さんは、「原発事故後、農業は大きな打撃を受けたが、福島県産農産物への放射性物質の移行は少ないのに、メディアは自分たちをまるで加害者のように描いている」と怒る。それでも菅野さんは「福島の再生を通じて、持続可能な社会の実現をめざしていく」と希望を忘れていません。

 いまや反原発集会では欠かせない発言者となった藤波心さん(中学三年生)は「五四基の原発は、この国の繁栄の象徴などではなく、ただの時限爆弾」、「何も知らされない私たちが原発を支えていた。いつ爆発するかもわからない原発と一緒に暮らすのはもうイヤだ」と訴え、アカペラで「ふるさと」を参加者と一緒に歌いました。
 パレードは二つのコースに分かれ、すっかりお馴染みになった俳優の山本太郎さんや作家の落合恵子さんは宣伝カーから降りて、参加者と一緒に歩き、声を上げました。

「経産省前テントひろば」は、
 いまや全国の脱原発の交流の場
 二.一一さよなら原発集会の参加者のほとんどは、経済産業省前のテント前(東京・霞が関)ひろばで交流を重ねてきた人々です。経産省の敷地の一角にテントが三つ。福島のお母さんたちのグループや市民団体、若者たちのグループがその運営を担っています。東電とともに原発推進の加害者である経産省に二四時間座り込みで抗議するための場でもあります。

 脱原発運動の拠点でもあるこの「ひろば」に対して、「ただちに健康に影響はありません」で有名な枝野幸男経産大臣より、先月一月二四日「退去命令」が出されました。しかし、退去期限である一月二七日には、テントを守るために急きょ集まった一〇〇〇名近い市民の力で警察による排除は実施されていません。(二月一五日現在)敷地は国有地であり国民の財産ですから、世界のマスコミも注目するこのテントひろばには、警察も経産省も簡単には手を出せない状態です。しかし、最近は、一部右翼団体を使って排除しようする経産省の動きもあって、予断を許さない状況でもあります。多くの市民の力が求められています。


「事故の収束」にほど遠い福島第一原発

 最近の報道によると、福島第一原発二号機で、原子炉圧力容器の底部の温度計の数値が異常に上昇した問題で、東京電力は、二月一四日、他の温度計の点検を進め、圧力容器に四一個ある温度計のうち八個に異常がみられると発表しました。
 一時、四〇〇度を超えた温度計一個のほか、二個に温度計に異常が見つかり、残りの五個は故障と判断、東電は残る三三個の温度計を今後も監視するとしています。温度計の故障という判断については、原発に批判的な学者からも「故障判断は妥当」との声も聞こえますが、いっぽうで、原子炉圧力容器内の状態を探る手だてが、不確かな温度計しかないというのは異常なことと言わざるを得ません。当事者である東電には、原子炉内の核燃料の位置を知るすべすらもっていません。それが何故「冷温停止状態」といえるのか、不思議としか思えません。
 さらに、最近では、こんな報道も飛び込んできました。「福島原発直下で地震の恐れも」(東京新聞二月一四日付)の見出しの下、震度六弱の地震が起きた福島県いわき市の地下と同じように近くの活断層が滑って直下型地震が起こりやすいとの調査結果が、東北大の趙大鵬教授(地震学)らにより、欧州の雑誌で発表されたという記事です。
 今、福島第一原発で一番心配されている事態は、四号機にある使用済み核燃料プールの土台構造の崩壊です。仮に地震などで四号機の使用済核燃料プールを支える土台が崩壊し、大量の使用済核燃料が落下した場合、核燃料の冷却はストップし、大量の放射性物質がこれまでにない規模でまき散らされる可能性があるといわれています。
 東京電力は昨年、応急手当で修復工事を実施したとしていますが、その修復工事が高線量の中の危険な環境で、どのような工事が行われたのか。その結果も公表されていません。仮に今後、福島原発で直下型地震が起きた場合、使用済み燃料は、原子炉など構造物で防御する施設から露出しているだけに、首都圏を含む広範囲な地域が汚染されることが懸念されます。これは京大の小出裕章さんらが何度も指摘してきた通りです。また、直下型地震に限らず、今後も起こる可能性の高い余震でも、四号機の燃料プールから、少しでも燃料の一部が漏れた場合でもその危険性は測り知れないといわれています。小出氏によれば、四号機の使用済み燃料を移す作業が必要との指摘ですが、それについても数年はかかる危険な工事だといわれています。
 もともと「冷温停止状態」なる「造語」で事態の収拾をはかろうとする政府・東京電力の綱渡りにメディアはもちろん、市民の執拗な監視が依然として求められているのです。

    (報告: BMW技術協会事務局 大田次郎)

Author 事務局 : 2012年03月01日22:06

【AQUA240号】アフリカ・ザンビア農業指導レポート1

「栄養不足・貧困の解消と
 アフリカの食料安定生産を目指して」


㈲千葉自然学研究所   
 礒田 有治

 昨年、九月に一〇日間、一一月〜一二月に三週間ほど、アフリカのザンビアを訪問する機会を得た。訪問の目的は、ザンビアの中・小規模農家(*注1参照)の農業生産性を向上し、貧困からの脱却を図るための農業調査及び技術指導等である。協会会員で、農業マーケティング研究所の山本和子氏から、一度アフリカの農民の現状を見てほしいとの要請を受け、自身初めてアフリカ大陸に渡ることになった。今回の取組みは、山本氏が農林水産省から事業委託を受けている「途上国の農業等協力に係る現地活動支援事業」のアフリカの農民組織化事業の一環として、行われたもの。ちなみに山本氏は、私の昔の職場の同僚で、東南アジアや、アフリカの貧困層を対象に、貧困からの脱却方法等を指導する活動を長年にわたり、展開している。

土壌分析で判明した燐酸や
 ミネラルがほとんどない『極度に痩せた土』
 九月の訪問では、先ずザンビアの農業生産環境(気候、土壌、水資源等)や農業政策、現場での生産方法等を具体的に知るための調査を行った。
 調査では、中・小規模農家の生産圃場の土壌分析を簡易土壌分析器で実施したが、日本での分析ではこれまで経験したことのない数値だった。調査圃場の土壌には、可給態の燐酸がほとんどなく、このほかの必要ミネラル成分も著しく低い、極度に痩せた土壌であった(*表1参照)。日本では、むしろ土壌の燐酸過剰が問題となっているが、これとは、全く逆の結果となった。
 やはり、アフリカ大陸は、人類発祥の古い大陸であり、しかもザンビアは高原地であることから、地表面のミネラル成分は、長い年月の雨によって、溶脱してしまうという当たり前の現象が起きていることを実感した。
 また、土は、非常に固く、土壌団粒がほとんど形成されていないことが調査で確認された。明らかに土壌中の有機物不足で、化学肥料中心の栽培であることや、作物栽培前に、焼畑を毎年実施してしまうことが主な原因だ。
 ザンビアの主食は、トウモロコシ。主要作物として、最も広く栽培されているが、生育特徴として土壌養分の吸収力が高い。トウモロコシ栽培で圃場に投入した化学肥料成分も、ほとんど吸収されてしまうことも、この『極度に痩せた土』の要因の一つと考えられる。もともと痩せた土壌であるのに、投入した肥料成分以上に、土壌成分が吸収される自転車操業状態の栽培であることが見てとれ、このままでは、継続的な生産は難しいことが想定された。

『極度に痩せた土』が
  栄養失調や貧困をもたらす
 この土壌分析結果を受けて、九月の調査後、帰国してからは、ザンビアでの栄養状態や乳幼児死亡率等について調べてみた。化学肥料のみの投入で、有機物やミネラルがほとんどない状態の土での作物栽培は、作物の形状は同じであっても、栄養価の非常に低い作物になっている可能性が高いからだ。その影響が、栄養失調や免疫力の低下につながるのではという推測だった。
 はたして、結果は、栄養不足(*注2参照)や乳幼児死亡率、平均寿命等に如実に表れていた(*注3参照)。ザンビアの栄養不足人口比率は四五%で、五歳未満の乳幼児死亡率は、千人中一八二人、HIV感染者(*注4参照)は、一一〇万人。結核感染者も非常に多い。
 痩せた土壌では、当然ながら、多収穫も望めず、現金収入も少なくなる。政治・経済、保健・教育等、様々な問題も大きいが、この『極度に痩せた土』が、栄養失調や貧困をもたらす直接的な原因になっているのだ。

アフリカの一大生産基地へと
  期待される農業生産潜在能力
中国やインド等新興国・
  アメリカが大きな関心
 ザンビア訪問前、山本氏から「この国は、アフリカで唯一農業生産拡大が可能な国」と、聞いていた。実際に調査に入ってみると、確かに痩せた土壌が多い反面、土地利用状況や気候条件面で見た農業の潜在能力は、非常に高いということが肌で感じられた。国土の五八%(約四千二百万ha)が多様な農業生産に適していると言われているものの、現在の耕作面積は、わずか一四%にすぎず、今後も国土の約四〇%は、農業生産への利用が可能とされている。気候は、一二月〜四月が雨期、五月〜一一月が乾期である。年間平均気温は、二一℃前後で、最高温度と最低温度の差が常に一〇℃以上あり、降雨量は八百〜千四百ミリとなっている。地下水も豊富で、表流水と併せ、南部アフリカの水資源の四〇%を保有していると言われている。しかし、灌漑設備が未整備のため、乾期には、大規模農場以外は、ほとんど耕作が行われていないのが現状だ。結果、ほとんどの農地は半年以上、未利用(休耕状態)である。
 この農業生産潜在能力を活かすためには、痩せた土壌の改良及び灌漑設備の整備を地域状況に即した形で進めることが最大の課題と言える。けれども、これらの諸課題をクリアできれば、ザンビアはアフリカにおける一大農業生産基地となる可能性は非常に高い。しかも、ザンビアでは、雨期であっても、降雨は、スコールが中心で、天気はすぐに回復する。このため、年間を通して日照量は多く、湿度が、五〇%を超えることはない。つまり、高品質の農産物が生産できる条件が揃っている。
 ザンビア政府は、雇用創出と農村開発を目指し、小・中規模農家及び大規模農家を共存営農させる一カ所十万ha規模のファームブロック構想をすすめている。しかし、これにいち早く反応し、関心を示したのは、中国やインド等、自国の食料難が危惧される新興国だった。また、EU諸国やアメリカも、ザンビアの農業潜在能力に大きな関心を寄せている。とりわけ、アメリカは、世界食糧危機戦略にもとづいて、五年間で一五〇億ドルを拠出する農業支援プログラムを始めている。これはトウモロコシや野菜の栄養価を高める品種改良プログラムとされており、問題の本質である土壌の改良ではなく、植物そのものを変えてしまうという、いかにもアメリカらしい発想だ。だが、これには、ザンビアの国策である非遺伝子組み換え(Non-GMO)生産を、なし崩しにする危惧も感じられる。
  (以下、次号に続く)


*注1:ザンビアでは、耕作面積五ha以下を小規模農家、五〜二〇haを中規模農家、二〇ha以上を大規模農家と分類している。
*注2:●ザンビアの栄養不足人口…四五% (世界七位):二〇一〇年FAOハンガーマップ
*注3:●ザンビアの新生児死亡率…二四人/一〇〇〇人当たり 
WHO加盟国一九三カ国中二四位(日本一人、一八八位):二〇一一年WHO世界保健統計
●ザンビアの乳児死亡率…八六人/一〇〇〇人当たり
WHO加盟国一九三カ国中一六位(日本二人、一八七位):二〇一一年WHO世界保健統計
●ザンビアの乳幼児(五歳未満)死亡率…一八二人/一〇〇〇人当たり 
WHO加盟国一九三カ国中一八位(日本四人、一八二位):二〇〇五年ユニセフ世界子ども白書
●ザンビアの成人死亡率(一六〜五九歳)…五一五人/一〇〇〇人当たり 
WHO加盟国一九三カ国中五位(日本六五人、一八三位):二〇一一年WHO世界保健統計
●ザンビアの平均寿命…四八歳
WHO加盟国一九三カ国中一八八位(日本八三歳、一位):二〇一一年WHO世界保健統計
*注4:●ザンビアのHIV感染者…一一〇万人、一五歳以上の七人に一人が感染:二〇〇八年国連合同エイズ計画(UNAIDS)推計

ザンビアと農業の概要 
 アフリカ南部に位置するザンビアは、コンゴ、タンザニア、ジンバブエ等を隣国に持つ内陸国である。標高七百m〜二千mの高原地帯にあり、面積は、日本の約二倍の七五万k㎡、人口は日本の約十分の一の千三百万人。一九六四年の独立までは、英国の植民地『北ローデシア』として、長く直轄統治されていた。
 全人口の六割以上は、一日一ドル以下の収入の貧困層となっており、貧困層の約七割が農村に居住している。農村部の貧困は深刻で、農村人口の八割が貧困層であるとともに、生産者の九割は、小規模農民で、畑をクワ1本で耕す生産から抜け出せない農民が大多数を占める。この貧困等を要因として、とりわけ農村の保健・衛生、医療、教育体制と質は極めて貧弱だ。栄養状態も問題で乳児、乳幼児死亡率は世界的に高く、平均寿命は、常に世界で最下位を争う状況になっている。
 ザンビアの基幹産業は、植民地時代に開発された鉱業で、銅をはじめとした鉱物の輸出が、現在でも輸出額の約七〇%を占める。鉱山及び鉱物輸出周辺産業を背景に発展する都市部と農村部との所得やインフラの格差は、非常に大きい。また、生産者の中でも、植民地時代の白人入植者の大農場に起源を持つごく少数の大農場主と、大多数のアフリカ人の小規模家族農業といった二重の格差構造があり、その格差も是正されていない。農民の貧困の解消とともに、鉱物資源輸出一辺倒に変わる産業として、農業をどう育てていくかが、国の大きな課題となっている。
 ザンビアの主食は、トウモロコシ。一六世紀にポルトガル商人によって、南部アフリカに持ち込まれたといわれている。今日では、穀物栽培面積と摂取カロリーの約七〇%を占めている。
 なお、ザンビアでは、国策として非遺伝子組み換え(NonーGMO)での生産を行なっている。

Author 事務局 : 2012年03月01日22:05

【AQUA240号】第一回全国交流会実行委員会報告


 先月号でお伝えしましたが、昨年の一一月二八〜二九日に行われた第二一回BMW技術全国交流会は無事終了しました。年が明けて一月一六日(月)に、総括と次回開催地への引継ぎ等の意味合いを含め、全国交流会実行委員会が開催されました。実行委員全員と今年の開催地となる高知から山本優作氏(協会理事)が参加されました。参加状況、会計などの報告があり、その後、まとめということで準備から当日の進行、発表、懇親会から視察に関してと実行委員からは様々な意見が出ました。その中には次回開催に向けて参考になる意見もありました。準備は、初動が早いのが大事とのことで、高知大会に向けては二月一四日に第一回目となる実行委員会を開催する予定となり、伊藤理事長より「全国交流会を持ち回りで行っているのは、交流会を通じて開催地が元気になっていただくことも大事な要素になっている。前回開催(二〇一〇年)した山形県では、パルシステムのハムソー工場で生物活性水を使い始めたし、BMの取り組みをしていなかった生活クラブ山形ではBMW技術の学習会が開催されるようになった。今回も生協組合員の声が結集された「利用者アンケート」が発表された。高知でも地元が活発になるような形で取り組んでいただきたい」と締めました。なお、発表記録集ですが現在編集作業を行っております。三月上旬には完成し、会員の皆様にお届けできることかと思います。   (文責:BMW技術協会 秋山澄兄)

 第二一回BMW技術全国交流会に、全国各地、また海外からも含めて三〇〇名近くの人たちに福岡へご参集いただきました。
 今回は、東日本大震災と福島第一原発事故による放射能汚染問題の中での異例の開催になりました。被害に遭われた方からの報告を聞いて胸が痛み、言葉がみつかりません。一日も早い復興に向けて、私も精一杯応援させていただきたいと思います。
 今回のメインテーマは、原点に返り、改めてBMW技術を使った農業・畜産のよさを確認しあうとして『原点に返るBMW技術』としました。西日本BM技術協会は、グリーンコープと共に期間限定ながら生物活性水の無料配布の仕組みを作り、BMW技術の継承普及と更なる発展を目標に技術の普及に努めてきました。交流会の発表には新しい人やそれぞれにユニークな取り組みが発表されました。こうした多様な個性は、技術の更なる発展につながっていくのではないかと感じさせるものでした。また、全国各地の発表は、BMW技術のレベルの高さを示しており、今さらながら、すごいの一言でした。
 今回の全国交流会は、BMW技術の新しい二〇年が始まる第一歩であり、それを福岡の地で開催することができました。大変困難なときにご無理をおかけしたことにお詫びと感謝を申し上げます。ありがとうございました。
 次回、四国高知で会いましょう。
第21回BMW技術全国交流会
  実行委員長 中村 康則

Author 事務局 : 2012年03月01日22:02

【AQUA240号】「九州プラント点検報告」

西日本BM技術協会会員のプラント点検を行いました

 一月一七日(火)〜二〇日(金)に、西日本BM技術協会に所属するプラントの稼働状況確認と点検を兼ねて訪問しました。西日本BM技術協会事務局・内山氏の運転で福岡県、佐賀県、熊本県のプラント八か所を訪問、伊藤理事長(一七〜一八日)、事務局・秋山、匠集団そら・星加氏が稼働状況の確認を含めた点検を行いましたので二回にわけて報告します。生物活性水の点検はpH(水素イオン濃度指数)、EC(電気伝導度)、亜硝酸態窒素の数値を測定、透明度や色ツヤなどを点検しました。

■紅会・浦養豚場
 ここには飲水改善施設、生物活性水施設が設置されています。母豚二〇〇頭で生物活性水はラグーン方式(注釈一)の尿水処理施設で処理された処理水を原料に作られています。生物活性水プラントの曝気槽・一槽の大きさは二〇トン、この容量に対しては日量二トンの活性水の生産(使用量)が目安となっていて、この量を大幅に上回って使用してしまうとプラント全体の系(培養状態)が安定せず、生物活性水はあまりいいものはできません。浦さんは豚舎の洗浄に使用する際に大量に使用するとのことでした。生物活性水を安定させるためにも、別途洗浄用の貯水槽を設け、水に生物活性水を希釈して洗浄水として使用することを提案しました。浦さんは洗浄用の貯留槽を設ける方向で検討するとのことでした。また、場内で作っている堆肥は地域の耕種農家が利用しているとのこと、時期により余ったり、足りなかったりと動きはあるものの、全体で考えると少し足りないくらいで、糞の処理としてはうまくまわっているとのことでした。

■紅会・井手養豚場
 浦養豚場から車で二〇分ぐらい、同じ糸島市内の畜産団地(団地中には井上ピッグファームもあるが事情により今回は点検せず)にあります。ここには飲水改善施設、生物活性水施設が設置されています。母豚は一一〇頭、生物活性水はオキシデーションディッチ方式(注釈二)の尿処理施設で処理された処理水を原料に作られています。生物活性水施設は五トンタンクを使用していますが、処理水を第一槽目に送りだすポンプの故障が原因で、現在、施設に処理水を入れることができないとのことでした。

■有限会社ヨコテ
 井手養豚場から車で一五分ほど、同じ糸島市内にある有限会社ヨコテ。横手さんの養鶏場は採卵鶏三万羽。横手さんの悩みの一つは、飲水改善プラントの水質検査でSS(浮遊物質)が多いと指摘されてしまったとのことです。原因を考えた結果、リアクター塔の曝気が強かったせいか(設置した時にはリアクター塔の充填材がちょうど半年で消えてなくなるように指導されていたが)、それがSSの原因ではないかと考えていました。あらためて、リアクター塔は弱めの曝気で少しずつ充填材を溶かしこんでいくということを確認しました。また、より安定した状態で生物活性水を作るために、現行の五〇〇リットルのタンクをやめ、新たに一トンのタンクで生物活性水施設を新設することになりました。飲水改善プラントも鶏舎の洗浄水にも使用できるように貯留槽を増やすので、今年の夏をめどに、二つのプラントを合わせて完成できるようにと計画しています。横手さんからは、今後もきちんとした指導、情報の提供をお願いしたいと要請がありました。横手さんは、ほぼ毎日、自らプラントを点検しているとのこと。日々、色々な工夫を加えられないかと考えているとのことでした。

■柴田農場
 横手さんのように日々考えている方がもう一人、糸島BM農法研究会の柴田農場の柴田さん。昨年の第二一回全国交流会の視察コースでもあったので、実際に視察された方もいるかと思います。米、ハウスでのミニトマト、ほうれん草などを栽培しています。ご本人曰く、「トイレにはじまりトイレに終わるBMW技術」の通り、自宅の便槽からのし尿を原料に生物活性水を作っています。全体の系が崩れてしまっているように感じるので、すべてのタンクの中身を抜いて、タンクを掃除する予定だということでした。生物活性水に臭いは無いのですが、ツヤや透明感がありませんでした。視察に訪れた方から色々な意見やアドバイスももらったが、実際どうするかを迷っているとのことでした。ツヤや透明感がないのはSSが多いからで(固形物が溶けきっていない)、既存のタンクより大きな容量のタンクで曝気をして、生物活性水を作るプロセス(滞留時間)を長くすることにし、タンクを一〜二本増設し、既存のタンクのうち一槽を沈殿槽に使用するという方向で改善するということになりました。(図一参照) また、柴田さんの生物活性水のpH値が低く(四・〇以下)酸性過ぎて、使いづらくなっていたとのこと。伊藤理事長からは酸性の生物活性水にも作物の整菌などに使い道があるのではないかと意見が出ました。かなり前に酸性の生物活性水を作る試みをしたこともあったが、なかなか作りづらかったとのこと。そこで通常使用する生物活性水は貯留槽に石灰岩などをつるしてpHを上げて使用し、酸性に傾いている生物活性水と二種類の生物活性水を使い分けるのはどうかということになりました。この後、柴田さんは一・二トンのタンクを増設、二種類の生物活性水をわけて貯留するためにタンクの設置を始めたとのことでした。
 今回の点検で感じたことは、プラントの「管理方法」をあらためて共有することが必要かと思いました。各所に設置されているプラントは槽の大きさも異なり、用途に大きな違いはないのですが、それぞれにやり方があります。それぞれの現場に合わせた用途をあらためて確認する意味でも、基本的な管理方法、用途の確認作業は必須ではないかと。また、目安となるpH、EC、亜硝酸態窒素、SSなどの数値も確認する必要があるのではないかと感じました。次号では、紅会・中村養豚、熊本愛農会、清村養豚、大矢野原農場、南阿蘇村での点検報告、そして今回最後に書いた課題点などを掘り下げて掲載する予定です。
      (以下、次号へ続く)
(報告:BMW技術協会 事務局 秋山澄兄)

注釈一、二:養豚場の多くで見られる尿処理施設で、施設にもよるがBOD数値(生物化学的酸素要求量:水の汚染を表す指標)を約一〇、〇〇〇ppmの数値から一〇〇ppm以下まで処理する施設。

Author 事務局 : 2012年03月01日22:01

 
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