【AQUA237号】第21回BMW技術全国交流会、福岡で今月 開催

第21回BMW技術全国交流会
「原点に返る、BMW技術
  ~技術と人の未来に向けて」
二〇一一年一一月二八日~二九日
福岡県博多市ホテルニューオータニ博多

 いよいよ「第21回BMW技術全国交流会」が近づいてきました。今回のテーマは「原点に返る、BMW技術 ~技術と人の未来に向けて」です。二〇年の歴史を刻んできたBMW技術ですが、二〇年の時を経て、技術とその内容は進歩し、会員のネットワークは大きな広がりを見せてきました。今回は原点に返り、改めてBMW技術を使った農業・畜産の良さをみんなで確認しあう場にするということで、『原点に返る、BMW技術』をメインテーマとし、若い世代にBMW技術の継承・普及を図って更なる発展を目指すことや、大震災や原発事故で被害に遭われた会員の復興にかける思いを‘未来’という言葉に託して「技術と人の未来に向けて」をサブタイトルにしました。一〇月二八日現在、約二八〇名の参加申し込みがあります。
 今回の「全国交流会」は大変な年に開催するということもあり、発表を「参加者全員でまとまって」確認するということに重点を置き、分科会は開催しないことになりました。
 伊藤幸蔵BMW技術協会理事長が、BMW技術協会としての立場(今後のBMW技術協会のあり方の提起など)や、震災の被害を受けた米沢郷牧場の立場(被害の状況や復興に掛ける思いなど)で基調報告を。また震災被害報告として、被害を受けた会員(ポークランド、トキワ養鶏、茨城BM自然塾の会員など)の概況を報告し、激励するなどの幅広い内容であいコープみやぎの小野瀬裕義さんと生産者の立場からみやぎBM技術協会の西塚忠元さんに、原発による二次被害や風評被害(最近は実害になっている)について、福島県・会津うまいもの塾の佐藤邦夫さんにお願いしています。
 事例発表は、西日本BM技術協会のメンバーの取り組みを中心に、BMW技術を新しく取り入れた方の発表や、昨今の大きな問題となっているエネルギーの確保、生産をふまえた取り組み・実践の発表などを予定しています。若い担い手や初心者の方にとっては基礎的な部分を多く学べるのではないでしょうか。また、長年この技術に携わってきた方は、BMW技術の持つ、大きな生命体の創造性をあらためて確認することができるのではないでしょうか。
 視察コースは糸島BM農法研究会、諫早湾干拓、グリーンコープ若宮センターなど四つのコースとなっています。

 BMW技術協会は今年、一〇月五日に「一般社団法人BMW技術協会」としてのスタートをきりました。私たちは生命の基礎であるBMW(バクテリア・ミネラル・水)の地球生態システムを研究・実践し、生命環境の危機に対する取り組みとして、農業を中心とする技術交流を行ってきました。BMW技術は農薬・抗生物質・化学肥料等の化学物質を使わない農畜産を推進し、安全性と地球環境保全の術を持った最も優れた、確かな農業技術です。今まさに、BMW技術が求められる時代の到来であると考え、社会に登場すべく、社会的使命を果たすための法人化でもあります。
 今ここに、新たな歴史を刻んでいくことに相応しい大会になることを願っています。    (文責:BMW技術協会 秋山 澄兄)

Author 事務局 : 2011年12月01日12:46

【AQUA237号】原発問題レポート(青森)

「フクシマ後にまだ造る気か!」
大間原発、広がる近隣住民の不安」
――大間原発の建設現場は、沖縄の米軍基地のような金網の中――

 泊原発の報告に引き続き、青森県の大間原発(建設中)の状況を報告します。大間原発は青森県下北半島の北端にあり、近隣市町村は大間町、風間浦村、佐井村、むつ市などがあります。電源開発㈱が初めて取り組む原発で、二〇〇八年に着工され、建設中です。この原発ではプルサーマル発電が当初から想定されてきました。地元の大間町議会が誘致を決議したのは一九八四年ですから、すでに二七年も経過しているのに、やっと三年前に着工、遅れに遅れた理由は、炉心の建設予定地付近の土地の所有者が買収を拒否し続けたためです。たった一人の粘り強い闘いが共感を呼び、対岸の函館市(二〇数キロ圏内)など北海道民の支援も活発になっています。3・11の福島第一原発の事故を受け、現在は、建設作業も休止中で、工事再開のめどは立っていません。

 大間原発の建設現場に行くためには、北海道側から入る場合は、函館港から津軽海峡フェリーを利用するのが便利だ。今回、大間町を訪れる前に、函館市で「大間原発訴訟の会」の大場一雄さんにお会いした。
 開口一番、「いやあ、グッドタイミングですね。ちょうど、明日から大間原発の抗議行動を行う予定です。一緒にいきませんか?」と、大場さんにニコニコしながら誘われた。私は大場さんたちより一足先に、函館港から津軽海峡フェリーで大間港に渡った。函館―大間はフェリーで一時間四〇分の距離だ。この日は、天候が悪く夕刻になったため、港近くのビジネスホテルに宿泊した。大間原発の工事は中断しているということだが、宿泊したビジネスホテルは、原発建設を請け負う業者の宿泊場でもあったのだ。私以外はすべて工事関係者であった。
 翌日は、晴天。午前中に大間原発の工事現場を撮影するため、現場を訪ねた。工事の進捗率は三七%ということだが、巨大なクレーンが林立し、原子炉の格納棟らしき建物も見えていた。(写真)

原発誘致の方程式は
  大間でも
 過疎で財政源に乏しい自治体が巨額の交付金を得るために原発を誘致し、やがて原発関連予算にがんじがらめとなって地域の健全財政が立ちゆかなくなる、いわゆる「原発誘致の方程式」は大間町でも同様だ。大間町では、昨年度までに、原発関連の電源三法交付金は約六七億円。原発が運転開始となると、五年間で七二億円が町に転がり込むと踏んでいる。運転開始は二〇一四年一一月の予定。町が潤う原発関連の固定資産税は二〇一五年から一六年間で四四〇億円になると見込んでいる。前回リポートした泊原発は「バラ色の未来」のはずが財政破綻を起し、町の漁業、農業など地場産業を壊滅させたことはすでに書いてきた。
 「大間町は、私たちの乗ってきた津軽海峡フェリーの後継船の建造費約二七億円も、運転開始後の固定資産税を当て込んでいます。町民の生活の足であるフェリーの建造費などは、何も原発に頼らずとも、本来町が国に要請すべき性格のもの。国もそういう自治体の弱みに付け込んでくるんですね」と大場さんは悔しがる。

大間のマグロを風評被害から守れるのか?
 大間といえばマグロといわれるほど、有名な高級マグロの産地である。マグロ漁師の大半は大間原発を歓迎していないはずだ。しかし、声を上げて反対できない理由もある。漁協に補償金として電源開発から約一五〇億円がばらまかれた。大間の町は財政収入に乏しい。これも泊村や岩内町の漁民と同じ運命をたどるのかも知れない。
 地元大間町の佐藤亮一さんは、
「3・11の大事故で大間の漁師にも原発への不安が高まっています。でも、病院や学校、老人ホームまで建設に補助や助成を受けていて、反対へ立ち上がれないのです」
「地元の漁師でも、誰一人心から(原発に)賛成している者はいないと思います。この海で一年通して生活している人は皆そう思っていますよ。ただそれを言わないだけですよ」とある地元の人の声、匿名を条件にそう呟いた。

「あさこはうす」は、
大間原発のど真ん中で反対を叫ぶ
 「あさこはうす」をご存知だろうか。六月一一日の芝公園の脱原発集会で初めてお会いした小笠原厚子さんのログハウスである。大間原発の炉心となる場所から二五〇メートルしか離れていない。大間町の原発建設に、二〇〇六年に六八歳で亡くなるまで反対し続けた熊谷あさ子さんの遺志を受け継ぎ、長女の小笠原厚子さんがこの家と約一ヘクタールの土地を守っている。
 電源開発は、炉心の予定地を買収できなかったので、炉心位置を当初計画より二〇〇メートルほどずらすことにした。移動したとは言え、わずか数百メートル。大間原発は、炉心のすぐそばに未買収用地を抱えたまま着工を強行した。このまま建設が進めば、「あさこはうす」の目の前に原子炉建屋が立つことになる。どこの原発でも周辺は「放射線管理区域」に指定され、外部の人間が被曝しないよう立ち入りが禁止される。しかしここでは、「あさこはうす」など存在さえ認めようとはしていない。
 あいにく、小笠原厚子さんは不在でお会いできなかったが、大間原発訴訟の会の大場さんらと「あさこはうす」をお訪ねした。「あさこはうす」に通じる道は、在日米軍基地のような金網で覆われていた。入り口には監視所があり、「あさこはうす」の小笠原さんに立ち退くように威嚇するような造りになっている。
 「この金網を見てください。人が住んでいるのに、意図的に金網で囲む。電源開発に人権意識なんかこれっぽっちもないのがわかります。私たちは、人が住んでいることを目立たせるために、『あさこはうす』に手紙を書いてほしいと呼びかけています。そうすれば郵便屋さんが手紙を持ってくる。宅配便がくる。常に人が生活していることを電源開発や近隣住民に訴え続けているのです」(大場さん)
 この金網の上部にはご丁寧に武者返しまで作ってあって、「あさこはうす」周辺は、武者返しの金網が道とは逆に、家に向かって折れ曲がっていた。ここまでするか、というほどの嫌がらせである。

地元の市民団体と
 ピースサイクルの抗議行動
 その日は、地元の市民団体(大間原発訴訟の会、ストップ大間原発道南の会、「下北」から核を考える会)と、全国の原発を自転車で回って平和、環境、脱原発のアピールをしているピースサイクル道南ネットのかたがたに合流した。三〇名ほどの人数になった。
 最初に訪れたのは、大間町役場(分室)である。大間町は一九七六年に大間原発の誘致を決議、以来、原発が町の財政の中心を占めることになってしまった。私たちに応対してくれたのが、大間町町長代理の企画経理課課長、伊藤健一さん。ピースサイクルの布施義雄さんや大間原発訴訟の会の大場一雄さんらが中心になって意見を述べた。
 「3・11の福島原発事故があって、大間町の町民だけではなく、近隣市町村、函館などの道南地域でも不安が広がっています。あらためて、大間町としての説明会を住民に対して開催してください」
 これに対して、大間町の伊藤課長は、「その予定はない」の一点張り。そのほか、①3・11で大間原発の工事が延期となり、町の経済が冷え込んでいる現状をどうおもうか。②東電による事故の影響被害なのだから、東電に補償を要求したらどうか。③大間の海産物への風評被害をどうみるか。④海産物の放射能検査は実施しているか。
 以上を中心に回答を求めた。しかし、回答はなく、放射能検査は県の仕事だと逃げる回答しか引き出せなかった。
 交渉後、参加した数人の地元大間町の方に話を伺った。
「町の対応は、いつもあの調子なんですよ。私はこの問題に一九七六年頃から係わって反対運動をしてきましたが、当初は町民の七割が反対していました。しかし、反対の声は、年を追うごとに小さくなってしまった。莫大な補償金のせいです。でも、お金よりももっと残念なのは、町の人々の心を引き裂いたことです。町や集落のちょっとした行事があって集まっても、どうしても反対・賛成のグループに分かれるのです。やがて、町内会の運動会もできなくなってしまいました」と話すのは、地元の郵便局を定年退職した奥本征雄さんだ。
 続いて、私たちは、電源開発㈱の大間事務所を訪ねた。ここでは、電源開発の北村雅良社長宛の抗議文を担当者の前で読み上げ、社長に渡すよう依頼した。ここでの抗議内容は、3・11を受け、電源開発が大間原発の安全対策を発表(七月四日付:『大間原子力発電所における安全強化対策等について』)、この問題点、疑問点をただす目的だった。この発表では開閉所設備、変圧器設備について「必要な余裕度を確保しており、機能不全となる倒壊、損傷等が発生する可能性は低いことを確認しました」となっている。さらに津波対策として、発電所建屋を浸水から守る防潮壁の設置とあるが、発表された図面では、壁の設置がどこに計画されているのか示されていない。そこで、そのことを電源開発側に質問すると「まだ決まっていない」との回答。安全設備の図面ができていないにもかかわらず「機能不全となる可能性は低い」と安全対策を発表するのはおかしいのではないか、という、あたりまえの議論であったが、これも「安全です」の繰り返しで議論は平行線を辿るばかり。誠意ある回答は得られなかった。安全対策の具体的な計画もできていないのに、大間町民には「安全対策を発表する」という電源開発の神経は、電気供給の独占による驕りによるものとしかいいようがない。ここでもフクシマの教訓は生かされていない。
 こんなやりとりの中、大間町農業委員会会長の佐藤亮一さんが発言、「大間原発の着工のとき、起工式に私は招待されなかった。地元の農業委員会の会長を招待しないとは何事だ」と。参加した人々からは思わず失笑が漏れた。佐藤会長が原発に反対しているから、電源開発は招待状を出さなかったのだ。こんなユーモラスな追及まであって、その日の抗議行動は終了した。

函館市をはじめ近隣自治体の
不安がひろがる
 大間原発の場合、立地自治体である大間町での運動は3・11以降もさほど盛り上がりはない。しかし、3・11福島第一原発の放射能汚染の拡大を目の当たりにして、仰天したのは大間原発から三〇キロ圏内にある人口三〇万人の函館市をはじめ道南地域。海を隔てているとはいえ、大間原発ができれば肉眼でも見えるほどの距離なのだ。道南地方では、北斗市や七飯町の首長も「凍結」を主張し始めた。七飯町議会や長万部町議会でも「原発からの撤退を求める」意見書が可決された。六月二〇日、大間原発訴訟の会など四団体と懇談した函館市の工藤市長は、大間原発の無条件無期限での凍結を国や事業者の電源開発に要請したことを説明した上で次のように話した。
 「反対と言うと推進側の抵抗が強くなる。世論がまとまりやすいように凍結と言った。凍結なら行政として言いやすい。実際、(建設工事が)動かなければいい」と述べている。英断である。原発は県境や海を挟んでいたとしても放射能汚染の拡散の妨げにはならない、まさにフクシマの教訓である。あのフクシマ後にも懲りずに原発を造ろうとする勢力がいる。とてもまともな神経とはいえないが、その裏には必ず利権をめぐる腐敗構造が横たわっているのだ。

―コラム―
 二〇〇六年一二月、大間原発を止めるため「大間原発訴訟の会」が立ち上がりました。これまで六万筆を越える反対署名を全国から集めて国に提出しています。さらに、国を相手に四五四一名による「電源開発大間原子力発電所の設置許可処分に対する異議申し立て」を行いました。大間原発訴訟の争点は以下の通りです。
①フルMOXの実験:世界で初めてプルトニウムとウランを混合したMOX(モックス)燃料を炉心全部に装荷する大間原発は、世界一危険な原発になります。事故の確率が高く、事故の場合の被害も通常の原発よりさらに悲惨なことになります。
②巨大な活断層が存在!:大間付近の海底には長大な活断層が存在する可能性がある、と変動地形学者に指摘されています。地震が起こればM7クラスになると言われています。
③火山帯のど真ん中!:大間原発は火山帯の上に建設されようとしています。火山が活動しはじめた場合の降灰や津波の影響が懸念されています。
④大間原発で事故が起これば、地元はもとより、対岸の函館市、北斗市など道南地域に人は住めないことになります。

BMW技術協会 事務局 大田 次郎

Author 事務局 : 2011年12月01日12:44

【AQUA237号】国内プラント動向

①鹿児島県湧水町(有)キンケイポートリーで飲水改善プラントが稼働
 鹿児島県姶良郡湧水町にある養鶏場、有限会社キンケイポートリーで飲水改善プラントの設置工事が終わり、稼働し始めました。
 飲水改善施設は、五トンのホーロータンク七槽を利用したプラントを設置しています。
農場のうち、二棟分の鶏舎五万羽へ飲水改善施設の水が供給されています。鶏種はソニアでもみじ卵として、食料品スーパーに出荷されています。

②秋田県小坂町ポークランドグループのプラント点検
 秋田県鹿角郡小坂町のポークランドグループ(ポークランド、十和田湖高原ファーム、ファームランド、小坂クリーンセンター)に設置してある、BMプラントの点検を実施してきました。現在ポークランドグループには、飲水改善施設が三ヶ所、生物活性水施設が二ケ所あります。
 飲水改善施設は、各養豚場にそれぞれ設置してあり、原水は地下水を利用しています。
 いずれもコンクリート槽で夏場に飲水量が増えることまた三日分の水量確保も兼ねて十分な水量があります。
 生物活性水施設は、畜舎からの尿や洗浄水を排水処理施設で処理した処理水を原料にしています。出来上がった生物活性水は、飲水改善施設への添加と畜舎や堆肥舎で利用するほか、耕作にも活用されています。
 現在新しい養豚場の設置にむけ造成工事が始まっています。ポークランドからは車で七~八分の場所で、車道を挟んで一方は養豚場でもう一方は耕作用の圃場になるそうです。
 現在圃場には、菜種と牧草が植えられていました。

③千葉県市原市北見畜産で飲水改善施設の導入
 千葉県市原市の石神畜産団地にある北見畜産有限会社で飲水改善施設の導入工事が始まります。
 北見畜産は、パルシステム連合会の組合員へ豚肉を供給している(株)パル・ミートへ出荷している養豚場です。今回のプラント設置は、レインボーパル基金からの助成を利用して、BMW技術導入の事業に取り組みました。
 北見畜産は母豚五〇〇頭一貫の経営規模です。設置する生物活性水施設は、五トンホーロータンクを六本利用して構成しています。      
 生物活性水の原料は、堆肥を使って培養調整をしますが、調整後には、既設の尿処理施設からの処理水を利用することも計画しています。 
 出来上がった生物活性水は、畜舎の環境整備や堆肥づくり、飲水への添加などを予定しています。また、同じ畜産団地にある平野畜産もパル・ミートへ出荷していますので、こちらでも生物活性水の利用を検討していきます。  (文責:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2011年12月01日12:43

【AQUA237号】高知県大川村、土佐山訪問

 一〇月一七日~一九日の三日間、高知県内のBMWプラントの状況確認と点検を兼ねて訪問した。訪問先は本山町、大川村、土佐山と三か所(匠集団そらの星加は津野町のプラントも訪問)。
 本山町は高知県北部に位置する吉野川上流の町。人口は約四、〇〇〇人、早明浦(さめうら)ダムの放水路の直下に町の中心がある。この町にはJA土佐れいほくが運営する堆肥センターに生物活性水プラントがある。平成五年にできたもので、かなり年季の入ったプラントだ。利用の仕方は堆肥センターへの散布と、地域農家が個々に持ち帰り利用するようになっている。一次発酵舎のロータリー攪拌機に活性水プラントから配管がされていて、堆肥を撹拌しながら生物活性水を散布できる仕組みになっている。残念ながら訪問した時はブロアに若干の故障個所があり、利用状況を確認することができなかった。それでも生物活性水の状態は良く、早期修繕の依頼を含めJA土佐れいほくの担当の方へ状況を報告した。堆肥センターで施設を管理されている方によると、堆肥は足りないくらい利用されているとのこと。生物活性水も水分調整具合にもよるが利用されているとのこと。地元農家の利用はあまりされていないようなので、今後の課題としては利用を促して行くためにどうしていくかを検討することが必要と思われる。

 本山町のプラントを後にして早明浦ダム湖沿いを車で西へ向かうこと四〇分、大川村へ到着。担当の大川村役場事業課の長瀬さん、㈱むらびと本舗の近藤さんと合流し、プラントが設置された「土佐はちきん地鶏」の鶏舎へと向かう。土佐はちきん地鶏は高知県が推奨する地鶏で「はちきん」とは男勝りの女性のことを意味する土佐弁とのこと。大川村では村をあげて、孵化からの一貫生産の取り組みを始め、生産当初からBMW技術を導入している。飲水改善プラントは山の中腹にあり、閉鎖された鉱山(銅)の最盛期に作られた貯水槽(土木槽一四〇トン)を利用し、高低差をいかし自然落下で各鶏舎に配水される。点検時にブロアの不具合がわかったものの、大事には至らなかった。生物活性水は五トンのホーロータンクを使用、一五〇倍希釈で毎日、手作業で各鶏舎に設置された飲水用タンクに投入している。その他に鶏舎や機具(飲水器、餌箱など)の洗浄にも利用している。現在は雛を含め一四、五〇〇羽が飼育され、八四日で出荷、出荷時の体重目標は三キログラムとのことだが、目標に届かないことが多く、課題となっているとのこと。近藤さんは孵化場を担当されていて、現在の孵化率は七五~七八%とまずまずの成績をおさめている。また、手作業で行われている生物活性水を稀釈する作業を短縮化するにはどうすればいいかを現場にて検討、飲水改善プラントにつながっている原水からの配管に水量メーターを取りつけ、日使用量を出し、直接飲水改善プラントに一五〇倍希釈で生物活性水を投入することをこちらから提案した。堆肥の製造は製造工程、利用状況ともに良好とのことだった。長瀬さん、近藤さんはまだ二〇代と若く大川村期待の新星、BMW技術をこれからもっと学習してもらい利用の幅を広げていってほしい。
 大川村からは工石山を越えて高知市土佐山へとたどり着く。(財)夢産地とさやま開発公社の大﨑理事と合流し、生物活性水プラントが設置されている土づくりセンターへと向かう。生物活性水、堆肥の状態、そして製造も順調に行われていた。地域農家の方や、土佐山以外の農家の方も生物活性水を利用するために、ここまで取りに来ているとのこと。
 土佐山では「土佐山一〇〇年構想」と題した大きなプロジェクトがスタートされている。人口減少に伴う村存続の危機を踏まえ、土佐山は「水と自由の源泉であり、教育の源泉である」ということを掲げて、有機農業・教育・自然環境保全と様々な角度から、土佐山地域の人々の暮らしが持続し、水源・河川上流域の森林・自然環境を守っていくために自分達が何を進んですべきかが検討され、その取り組みが実行されている。来年度の計画として、生物活性水プラントの増設、堆肥センターはその規模を大きくするために改築され、BMW技術を中心とした有機農業が推進されていく。次に大﨑さんの鶏舎へと案内していただいた。大﨑さんは県推奨の卵肉兼用鶏「土佐ジロー」を約四〇〇羽を平飼いで飼育している。ご本人は遊びの範囲と話されていたが、生産状況や販売状況を聞くと、とても遊びではない。やや小さめの卵は地元にあるリゾートホテル「オーベルジュ土佐山」のメインメニューになっているのをはじめ、人気の卵となっている。鶏舎には飲水改善プラントはまだ設置されていないが、沢水に生物活性水を希釈して投入している。とても毛艶がよくて産卵率は八〇%を越え、中には九〇%の鶏舎もあった。続いて生姜の有機栽培圃場をみた。約一反の有機認証を得た圃場にて生姜を栽培している。芯喰い虫などの被害も多く、何かと有機栽培は難しいとされている生姜だが立派に育っていた。また、BMW技術協会全国理事の山本優作さんの圃場も訪問、薬草(ホソバオケラ)の栽培実験、蕎麦や黒大豆の栽培などがされていた。

 私は訪れなかったが津野町の生物活性水施設も順調に稼働されていて、堆肥も良質なものができているとのこと。高知県は施設園芸王国としても有名だが、このようにBMW技術が利用された堆肥作り、有機栽培も行われている。今後は土佐山、大川村の取り組みに注目しながら、高知県、四国全体にBMW技術が普及することを願っている。また、本山町や大川村の施設のようにブロアの故障など、実際に点検して気づく点も多い。協会・匠集団そらとして、今まで以上にプラント会員との情報交換をこまめにして、プラントの稼働と生物活性水などの品質の維持、技術の普及に努めて行かなければならないということをあらためて思った。
(文責:BMW技術協会 秋山 澄兄)

Author 事務局 : 2011年12月01日12:42

 
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