【AQUA234号】千葉BM技術協会 第15回定期総会報告

 放射性物質の影響等、共通認識を得るための学習・研修を活動計画に

 去る七月一六日(土)、千葉県香取市の山田町公民館において、千葉BM技術協会第一五回定期総会が開催されました。
 総会には、(農)和郷園、生活協同組合パルシステム千葉、生活クラブ生活協同組合(生活クラブ虹の街)、新生酪農(株)、(株)パル・ミート、NPO支援センターちば、(有)千葉自然学研究所等の会員及び関係者四〇人が参加しました。
 総会では、①二〇一〇年度活動報告及び会計・監査報告、②二〇一一年度活動計画及び活動予算、③二〇一一年度役員選出の件等が審議され、いずれの議案も、全員一致で承認されました。
 総会で承認された今年度の千葉BM技術協会の主な活動方針・内容は、以下の通りとなっています。
 『二〇一一年三月一一日、東日本大震災により、福島第一原発は、水素爆発を起こし、生態系に大量の放射性物質を放出し、多くの生命体に脅威を与えています。BMW技術は、地域生態系を保全・再生する生産・生活を通じ、生命体がその命を全うできる循環型技術と地域社会を追求してきました。しかし、福島第一原発事故による放射性物質の拡散は、人々の生活や生産の営みを崩壊させ、あるいは脅威に陥れ、生命体を危険にさらしながら、生態系の物質循環の中にそれが複雑に入り込んでいく事態と言えます。千葉県においても、ほぼ全域で、大気、土壌、水が放射性物質に汚染された事態となっており、生産や生活に大きな影響を与えています。これまで、生態系を保全・再生する資源循環型の生産・生活・地域のあり方を追求してきた当協会でも、この事態に直面し、今後の生産・生活・社会をどのように構築していくか、改めて検討せざるを得ない状況となっています』
 そこで、今年度は、以上の現状認識に基づき、会員間で、福島第一原発事故による、放射性物質による生産、生活への影響、これらへの対処法等、共通認識を得るための学習・研修活動をすすめます。学習・研修活動をすすめるに当たっては、BM技術協会本部の協力を得ながら、他の地方協会をはじめ、関係団体等と連携・協力しながら、すすめていきます。

講演会「放射能と内部被ばく、その危険性と予防法」
 総会終了後は、高木学校の瀬川嘉之さんを講師にお招きし、「放射能と内部被ばく、その危険性と予防法」と題した講演会が行われました。瀬川先生は、高木仁三郎(原子力資料情報室の創設者)先生の遺志を受け継いで、高木学校の医療被ばく問題研究グループで活躍、主な著書に『受ける、受けないエックス線、CT検査』(共著)『福島原発事故はなぜ起きたのか』(共著:藤原書店)などがあります。
 講演内容の要旨は、以下の通りです。

1、被ばく線量と急性障害・晩発性障害について
 一年間で五〇ミリシーベルト(五年間で一〇〇ミリシーベルト)以下を「低線量被ばく」と呼ぶ。これを基本的な線引きとして「高線量被ばく」「低線量被ばく」という区分けを行っています。高線量被ばくの場合、急性障害(すぐに目に見えて現れる)を引き起こすのに対して、低線量被ばくは、晩発性障害(何年も経ってから現れる)を起こすということです。
2、放射線被ばくによる障害のメカニズム
●人の身体は、六〇兆個の細胞からできており、一個の受精卵から分裂、増殖、分化します。細胞の大きさは一〇〜二〇μm、細胞核の直径は八μm。細胞、身体の大事な情報は、ほとんどDNAで伝わります。(DNAの二重ラセン構造)
●DNAが新しく作られる場合は、必ず古いDNAを鋳型にして、それに対する塩基をつなげていきます。放射線によってできた傷を治す場合にも同様な仕組みが働いています。
●しかし、二本のDNAの鎖が同時に切れた場合は、治すための鋳型となる相手がいなくなり、また、DNAの傷が間違えて治された場合、その間違えがDNA鎖のどこに起きたかによって異なります。もし、それがたんぱく質を作る暗号部分であれば、そのたんぱく質の性質が変わったり、作られなかったりします。
●がん細胞が誕生するには、ひとつの遺伝子の変化ではなく、細胞の分裂・増殖を促す遺伝子の働きが活発になったり、細胞の増殖を抑える遺伝子の働きが抑えられたりしただけなら、その細胞が増えて、周囲の組織よりも盛り上がった、いわゆるポリープといわれる状態になるといいます。このことが放射線の被ばくによるがん誕生のメカニズムといわれています。
3、放射線はなぜ危険なのか
 人、生き物は細胞でできています。大事な情報はDNAにあり、間違いのない複製で次の細胞に伝わっていくのです。そのDNAを放射線が傷つけます。一〇〇ミリシーベルト以上の高い被ばく線量でDNAがずたずたに傷つきます。そうなると細胞は死にます。身体の広範囲にこれが起こると死亡(急性障害)します。間違えて治すと変異となり、変異は蓄積して何年も経ってからがん等の原因になります(晩発性障害)。
4、放射線感受性の違い
 人の年齢が若いほど、臓器では細胞分裂が盛んなほど感受性は強いとされています。セシウム汚染地区の子どもの健康状態は、反復性の呼吸器疾患、消化器疾患、内分泌疾患、免疫力の低下、白内障、がん、先天異常、心臓血管系の疾患などの症状を引き起こします。
5、チェルノブイリ事故の被害
 チェルノブイリでの健康被害の全貌はまだつかめていません。しかし、急性障害による死者は三万人から、三一万人とさまざまな説があります。晩発性障害(がん)による死者は、四千人から一〇万人という説があります。その社会的影響は計り知れなく、環境汚染による地域社会の崩壊、第一次産業、農業、畜産、牧畜、水産業に与える影響は、今の福島の汚染が示すとおりです。
6、放射線から身を守るには
 放射線被ばくの被害を出さないように未然に対策する。被ばくをできるだけ少なくする。自然放射線以外の被ばくについては、医療においても、エネルギー利用においても、正当な必然性があるかないか、十分に検討すること。必要最小限の被ばく線量とすることが大事だと思われます。
 以上、瀬川先生の講演は、人々が放射能汚染に対する正しい知識を持って、自ら対策を講ずるという基礎的な内容で、とてもわかりやすいものでした。

BM技術協会 事務局 大田 次郎

Author 事務局 : 2011年09月01日11:50

【AQUA234号】低線量放射線汚染地区で暮らす

【日時】二〇一一年七月一九日(火)
一五時~一七時三〇分
【会場】研究社英語センター
 地下一階中会議室(東京都新宿区神楽坂)【出席者】理事一八名、監事二名、事務局三名、*委任状二一通
「出席理事」生田喜和、椎名盛男、向山茂徳、石澤直士、伊藤幸蔵、山本伸司、渡部孝之、清水澄、野口雅彦、豊下勝彦、佛田利弘、秋山眞兄、礒田有治、奥田隆一、小野瀬裕義、向後武彦、後藤和明、中村康則
「出席監事」伊藤充孝、星加浩二(敬称略)

 議事に入る前に、中村理事(西日本BM技術協会・紅会)が今年の一一月二八日~二九日に福岡で開催される「第21回BMW技術全国交流会」の準備状況を報告され、周知と参加の要請をしました。中村理事は全国交流会実行委員会の実行委員長です。
 続いて、会則に従い生田理事長が議長に選任されました。理事四〇名中、出席理事一八名、委任状二一名で理事会が成立している旨を報告、二〇一一年度全国理事会の開催が宣言されました。

第一号議案「二〇一〇年度BM技術協会活動報告」
 事務局より、第一号議案にそって、①第三回BMW亜細亜技術交流会報告、②地方協会組織化・各額集会など、③視察、研修会、④会議の開催、⑤海外連帯活動、⑥全国のプラント数、などの報告がありました。

第二号議案「二〇一〇年度決算報告並びに監査報告承認について」
 事務局より、二〇一〇年度決算報告並びに監査報告について、説明があり、報告が行われました。
 この後、第一号議案、第二号議案の報告と質疑が終了し、議長より「承認の場合は拍手をもってご承認いただきたい」と提案され、拍手をもって第一号議案、第二号議案が承認されました。

第三号議案「二〇一一年度活動方針案承認について」
 議長の指名により伊藤副理事長より第三号議案、二〇一一年度活動方針について提案が行われました。
①二〇一一年度活動方針について
・二〇〇九年度末頃より、BM技術協会の法人化について常任理事を中心にさまざまな議論を重ねてきた。二〇一〇年一一月の全国交流会で開催された全国理事会においては、協会を法人化することで意思確認をし、二〇一一年一月に新たに法人化グループ(生田理事長、伊藤副理事長、椎名常任理事、豊下常任理事、山本常任理事、事務局秋山)を形成し、設立に向けた話し合いを進めてきました。三月に起こった東日本大震災の影響もあり、さらに時間を要してしまった経緯はあるが、二〇一一年度全国理事会において、二〇一一年度活動方針を二〇一一年一〇月一日設立目標とした「社団法人 BMW技術協会」の活動方針を盛り込む形でここに提案します。
②協会の法人化(主旨)について
・BM技術協会及び、匠集団そらは、資本主義ビジネスではなく、ソーシャルビジネスと社会運動を行ってきました。日本の環境問題と農業問題にとってBMW技術は、その解決手段として社会的必然性をもっていると考えます。約二〇年間に及ぶ活動において積み重ねてきたものを確固たるものに意味づけするためにあらためて原点に返る、さらに「技術」「理念」や「知識」そして会員の連帯をより有効的に活用していく上で、BM技術協会は社会に対して有効な技術をもった組織として「任意法人」から社会的使命を果たせる「社団法人BMW技術協会」へ変更します(呼称はBM技術協会)。
③運営に関して
 法人定款上、常任理事・全国理事の呼称等の変更が生じるが、運営体制は従来通りのものとします。法人定款でいうところの「社員総会」が全国理事会にあたり、「理事会」が常任理事会にあたります。
④会費に関して
 法人化後の協会はその活動の幅が広がって行く。活性化させるためにも事務局の強化は必須となり、そのためには現行の予算で運営していくことが難しい。各会員にはご理解をいただき、会費の値上げをさせていただきたい。予算が増幅する部分としては事務局人件費、頻繁に全国のプラントや地方協会との連携をとるための交通費等にあてる予定です。

プラント会員 二万円→二万五千円
法人会員 五万円→六万円
個人会員 五千円→六千円
アクア購読会員 五千円→六千円
⑤法人化のスケジュール
 全国理事会での承認を受けた後、設立趣意書の作成、定款の詰め、設立必要書類等の手直し、九月一〇日頃、設立発起人会開催→全必要書類の手直し及び確認→一〇月一日に登記。以上に従い二〇一一年一〇月一日の設立を目指す。法人設立発起人については、法人化にあたり設立発起人を常任理事とすることが提案されました。
 この後、第三号議案の報告と質疑が終了し、議長より「承認の場合は拍手をもってご承認いただきたい」と提案され、拍手をもって第三号議案が承認されました。なお、法人化に関することの詳細は、今後本紙アクアにて掲載します。

第四号議案「二〇一一年度予算案承認について」
第五号議案「二〇一〇年度役員選任について」
 両議案についてのの報告、提案がありました。第五号議案については、従来の会則では本年が役員改選の年となります。一〇月一日の法人設立に向けて、九月三〇日までは、現行の役員を継続して選任する形を提案しています。この後、第四号議案、第五号議案の報告と質疑が終了し、議長より「承認の場合は拍手をもってご承認いただきたい」と提案され、拍手をもって第四号議案、第五号議案が承認されました。
※また、協会法人化の登記は一〇月一日が土曜日にあたるため、一〇月五日に変更されることが、八月二三日の常任理事会で確認されました。

BM技術協会 事務局 秋山 澄兄

Author 事務局 : 2011年09月01日11:48

【AQUA234号】低線量放射線汚染地区で暮らす

 私が今住んでいるところは、つくば市の隣で牛久沼がある茨城県牛久市です。ここは、放射線量が高いホットスポットとなった我孫子市、柏市に放射能物質が流れ込んだ経路の途中にあたります(下図参照)。(http://gunma.zamurai.jp/pub/2011/18juneJG.jpg)
 三月一四日の東京電力福島第一原発事故で原子炉建屋内の水素爆発から市内は放射線汚染が始まりました。と言っても全く実感がともないません。放射線が日々の暮らしの中では見えないからです。毎朝届く新聞に掲載されているつくば市の空間放射線測定値は、〇・一五μシーベルト/時前後で推移しています。3・11以前は、〇・〇六マイクロシーベルト/時だったので二倍強の空間放射線値です。それまで放射線値なんかを気にかけて暮らしていなかったのが一変して、低線量放射線汚染地域になってしまったのです。もちろん福島県の避難指示地域に比較すれば、低濃度ではあるけれど、ゼロではないのです。福島第一原発から一六〇km離れた牛久市に放射性物質がこんなに降り注いでいるとは考えが及びませんでした。私の息子は中学三年生で、原発事故が起きた三月は野球部の部活動で連日グラウンドで練習していました。学校や教育委員会からの警告などは一つもありませんでした。やはり心配なのは放射能物質による外部被ばくより、グラウンドの砂埃などを吸い込んだ時に放射性物質を一緒に体内に取り込む内部被曝です。子供たちには、汚染の程度は低いのですぐ影響がでることはないが、将来何らかの影響はでることを覚悟しなさいと、親としては転校させるとか何の対応もせず無責任ですが話しています。汚染程度はかなり低いので福島県で今も住み続けている人たちに比べればおこがましいでしょうが「ヒバク」してしまったということです。
 行政による、市内各小中学校幼稚園などの校庭での空間放射線量の測定が始まり、数値が高い校庭の土は除去することになりました。
 行政も動き出していますが、被曝してしまったことに対応するすべが無いように思えます。
 福島県内の公立小中生の一割は転校する事態になっていますが、近所に住んでいる人たちからは県外へ避難するようなことは聞えてきません。それも放射線が見えないことに他ならないと思います。戦中の学童疎開は、もちろん国の指示があったからでしょうが、空襲から子供たちを守るため実体がある爆弾から守るため都会の学童が危険地帯から逃げ出したのだと思います。しかし放射線は目に見えません。実体が分からないということがこんなにも自主的な行動あるいは行政の行動を起こさせないということがわかります。

 京都大学原子炉実験所の今中哲二助教は、朝日新聞(六月二九日朝刊)の私の視点に、「汚染の中で生きる覚悟を」と題して『・・・・・放射能をどこまで我慢するか。この難しい判断を市民一人ひとりが迫られている。それは福島県だけのことではない。東京もそれなりに放射能に汚染されている。・・・・・私たちはもはや、放射能汚染ゼロの世界で暮らすことが不可能になった。これからは、放射能汚染の中で生きていかなければならない。その事実を受け入れたうえで対策を考えなければならない。』
と書いています。
 起きてしまった事、過ぎてしまった時間はもう取り戻すことができません。私たちはこれから先の長い時間を好むと好まざるを得ず、誰も共生したくないと思っても放射能と共生していかなくてはなりません。低濃度放射線汚染地域で当分住み続ける覚悟を決めた以上、放射能汚染から家族を守る手立てを考え、自力でできるところから取り組んでいかなくてはならない、と考えています。

㈱匠集団そら 星加 浩二

Author 事務局 : 2011年09月01日11:47

【AQUA234号】「見えない」放射能と、「身近」になった残留放射性物質

 東日本大震災による福島第一原発事故は、大量の放射性物質を大気中や海水に放出した。放射性物質による環境汚染は、土壌、水、動植物、人々の生産・生活に複雑に入り込み、拡大を続けている。放射性物質の放出は、今なお進行中であり、今後もその影響は、長く続くことを覚悟しなければならないだろう。
 私の住む千葉県でも、ホットスポットと呼ばれる残留放射能が通常計測時と比べて、高い地域があり、その状況は、現在も続いている。わが家は、そのホットスポットの縁に位置している。五月に自宅で、放射線量を計測したところ、地面で〇・五μSV/h、家の中で、〇・三~〇・四μSV/hだった(文部科学省の言う年間一ミリSV以下の基準数値は、〇・一九μSV/h)。
 地域の給水源である江戸川も汚染され、三月下旬には、水道水も危険になった。現在、浄水場の敷地内には、放射性物質に汚染された行くあてのない汚泥が積まれ、ビニールシートで覆われているのが電車から見える。家の裏にある保育園では、園庭内の土を削りとる作業を行っていたが、その隣の公園の砂場は、特に手をつけられていない。周辺の畑では、今まで通り、野菜を作り続けている圃場もあるが、ロータリーがかけられ、何も栽培されていない圃場もある。近所の中学校の周りには、比較的面積の大きな畑があり、乾燥時に風が吹くと、土埃を上げる。その中を中学生達が登校していく。近所のスーパーを覗けば、水道水汚染が公表された時には、ペットボトル入りの水がなくなり、現在は、昨年産米の買いだめが急速に進んでいる。
 わが家の庭には、夏みかんが未だに実をつけている。本来、春に収穫するはずだったが、おそらく放射性物質に汚染されてしまった果実を放置しているからだ。この夏みかん、昨秋に毎年、花を咲かせるために、堆肥や有機肥料を施したにもかかわらず、何故か、今年の春には、一つの花も咲かせなかった。
 千葉県の場合、福島原発以外にもう一つ放射性物質汚染の懸念がある。全国的には知られていないが、大震災のおり、市原市の製油所で起きたLPGタンク火災で、隣接する劣化ウラン倉庫にも延焼していたのである。劣化ウランは、ガス製造用の触媒に使用され、この倉庫には七六五キロの劣化ウランが保管されていた。放射性物質の漏洩はなかったとされているが、このことが明らかになったのは、六月末の千葉県議会でのことだ。原発以外に、「核燃料使用事業所」が潜んでいることを肝に命じなければならない。
 いずれにしても、何千万人とも言われる人々が福島原発事故由来の放射能に「被ばく」している。“見えない”放射性物質に、大気、森林、水系、海、田畑、居住地が汚染され、それが様々な経路で、日本中に拡散している。そして、残留放射能を含んだ除染土壌や廃水汚泥、焼却灰等の廃棄物は、使用済み核燃料と同様に、行く当てもなく、ただただ、溜まっていくことが見えてきた。放射性物質による人や動植物への「内部被ばく」の影響は、これから明らかになってくるのだろう。
 今後は“身近”となってしまった残留放射性物質と、どう折り合って生きていくかを、自身や共に生きていく人達と、具体的に考えていくしかない。しかし、そのためには判断材料と多くの知見、覚悟と実践が必要だ。BMW技術の活動も例外ではない。すでにヒントは、あるはずだ。勿論、「核」というものの本性、理念と倫理なき技術・行動等についても、問う必要がある。技術そのものに、理念がなくても、それを利用する「人」には、理念や倫理が要求される。そうでなければ、技術は暴走し、ご都合主義に陥る。だからこそ、理念という枠でくくったBMW技術は、「核」技術の対極に位置している。
 原発事故以来、自身の判断材料の一つとするため、主にCS放送での原発事故、放射性物質、エネルギー関係等の番組を、極力、録画してきた。録画番組総数は、すでに五〇を超えていると思う。これらは、BM技術協会本部の広報に提供しているので、興味のある方は、問い合わせていただきたい。

(有)千葉自然学研究所 礒田 有治

Author 事務局 : 2011年09月01日11:45

【AQUA234号】日本・ネグロス連帯25周年記念式典に参加

 七月一五日にフィリピン・ネグロス島のタリサイ州にある、CICMという施設で、「日本・ネグロス連帯二五周年記念式典」が行われました。NPO法人APLA(当時:日本ネグロス・キャンペーン委員会)がネグロスにおいての救援活動をきっかけに、民衆交易等を始めてから二五年が経ち、その活動に関ってきたネグロスの農民(バランゴンバナナやサトウキビの生産者)、カネシゲファーム(KFRC)のスタッフ・研修生、ATC社など、日本からは、㈱ATJ社、田中理事長をはじめとするグリーンコープの方々、ネグロスキャンペーン北海道、白州郷牧場、そしてAPLAなど、ネグロスと日本から合わせて総勢約一〇〇名が参加しました。
 この式典には「過去を振り返り、現在を祝福し、未来のチャレンジに向かって」というサブタイトルがついていました。そのサブタイトルにあるように、古くから関りのある方達がそれぞれに昔を振り返りながら連帯の歴史を語り、農民やKFRCのスタッフたちが、現状やこれらからの取り組み、未来への夢を語ると言う内容でした。二五年前から酷い貧困・土地闘争問題など幾度の困難と闘ってきた歴史の上に今があり、ようやく若い世代が自分たちの夢を語るまでになってきたという、活動の「継続」と人々の「つながり」、それを「連帯」という言葉ひとつで表現してしまうのがもったいないと感じるぐらいに中味の濃い式典であったと思います。
 この中で印象に残ったのはふたつ。ひとつは「二五年の取り組みの中でだいぶ豊かになってきたが、本当にそれでいいのか、今一度、歴史を再認識し、農民の元に足を運び、共に考え、行動していくことが必要ではないか。」と語ったATC社のノルマ社長。
 「僕はKFRCに来て、豚の育て方、BMW技術をはじめ色々な事を学びました。また、経済的に家を助けることもできるようにもなった。もっとKFRCで学び、学んだことをまた人に教えられるようになりたい。」と語った研修生のジョネルくん。
 二五年が経ち、農民たちの自立が本当に形になり動き出しているということ、それを支える側の人達はどうなのであろうか。むしろ支える側の方が、お金を得て生活すると言う「ルーチン」をこなすだけで、自立できなくなってきているのではないかと、ネグロスも日本も含め、その辺りを考えると少し淋しくもなりました。
 式典の前日にはカネシゲファームにおいて、日本側からの参加者の見学交流、またネグロスの農民同士の話し合いなどが行われました。とても画期的な意見が交換され、ある意味で物に溢れた日本の「貧しさ」を感じ、エネルギー溢れるネグロスの人達から鋭気を感じました。また、バコロド市内では「反原発コンサート」があり、ミュージシャンたちが参加し反原発・反核を訴えました。フィリピンには原発はありませんが、日本の現状を見るに見かねてか多くの有志・観客が集まり、夜遅くまで続いていました。
 文中でBMW技術にふれることができなかったので、最後に。BMW技術が初めてネグロスにおいて普及されたのは、一九九五年。ツブラン農場、カネシゲファームに生物活性水のプラントが設置されましたが、その後の取り組みは大橋(APLA・フィリピンデスク)邸にミニプラントを残し、後退していました。その後、二年前に北部ルソンでの生物活性水プラントの設置をはじめ、本紙アクアでは何度も報告されていますが、カネシゲファームに飲水改善と生物活性水のプラントが設置され再び普及活動が始まりました。北部ルソンでもネグロスでも、農民たちの関心は高まっています。これからどのような形で普及していくのか、焦らず考え、行動していきます。
 どんな困難がこようとも、絶望したらその瞬間からすべて終わり、無くなります。仲間がいて、連帯があり、支えあう関係がある限り、「未来へのチャレンジ」は諦めることなく続くのではないでしょうか。

BM技術協会 事務局 秋山 澄兄

Author 事務局 : 2011年09月01日11:43

 
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