【AQUA223号】第1回「生物の多様性を育む農業国際会議」開催

第1回「生物の多様性を育む農業国際会議」開催
兵庫県豊岡市にて日韓中の農家・研究者・消費者など約400人が参加

報告 韓国 忠南洪城郡 プルム畜産 常務理事 シン・インソォブ

一、コウノトリの故郷、豊岡市コウノトリ公園及び、コウノトリ文化館

 七月二日午前、大阪からバスで二時間以上走って到着した兵庫県の豊岡市。到着する前までは、コウノトリの復元が自分にとってそれほど示唆する意味が大きいとは認識できなかった。人間が環境を破壊して、また修復することが、どれだけたくさんの努力が必要なのか?自然と人間が一緒に共存する世の中への共感の形成がどれだけ難しいか?またその媒介の役目をする象徴的な生物コウノトリの復元が人々にもたらす有益さについて、幾多の考えがわたしの頭の中を複雑にさせた。

 二〇〇五年、五匹のコウノトリを放鳥した後、日本国内のみならず海外にまで非常に有名になり、毎年 三十万人以上の観光客がこの小さな村に訪ねて来るそうだ。このことで経済的な付加価置を高めていることだけではなく、環境の復元がすなわち、人間が自分だけの世代ではなく子孫にまで元気な環境を譲ることができる唯一の手段だということがわかるようにしている。コウノトリにも、コウノトリを復元している人々にも、感謝の気持ちがこみ上げた。
 コウノトリの復元以後、たくさんの人々、特に子供達が田んぼで多様な生物と出会う機会ができたそうだ。学校での給食や地域内で高価なコウノトリ米と、コウノトリ米で作ったお酒の販売など、販売活性化の分岐点になったことで、人がコウノトリへ配慮したことよりもコウノトリが人間に返したことがもっと多いところです。それは商品を売るための努力と言うより、自然を(人を)愛する真正性が他の何よりも強力な販売の手段になれるということ。つまり、根本が何かを先に見付けてすべての事業を行なうべきだという点を感じさせてくれた。

二、ICEBA2010「生物の多様性を育む農業国際会議」の参加

 七月三日、朝から夕方まで、コウノトリの村に関する発表と韓・日・中、三国の生物多様性農業に関する発表があった。清水潔BM技術協会常任理事の発表もあった分科会、そして夕方の交流会などの日程だった。内容の核心を一言でいえば「生命共感」だった。すなわちすべての生物は一緒に共存しなければならないし、人間と生物が一緒に暮らすべきことは生態的な姿としてだけではなく、それがすべての生命の権利だということ。

 特徴的で印象に残った発表は、トキ村の場合、トキの復活以後、渡り鳥であるトキが移動した地域を自分の地域だけではなく追跡機を通じて調べて見た結果、全て国内でご飯の味が良いという評判の地域だったということだ。トキが常時暮す自分の地域の米は「日本で一番ご飯の味が良くて、安全な米」ということを強調する広報をしていた。 さらに印象的なことは肥料を半分に減らせば九〇〇円/一〇アール、 中山間地域なら 一〇〇〇円/一〇アール、 魚路、水たまりなどを設置すれば二〇〇〇円/一〇アール、生物調査を実施した農家には 四〇〇〇円/一〇アールなど、環境保全農業の拡大のために多様な直接支援制度を行っているという。下記は毎年二回実施している田んぼの生物調査の日である六月一三日に発表された、佐渡市の生物調査宣言文の大略の内容だ。
 「私たちのトキの野生復帰事業はトキと人が共生する環境のために努力してきました。これは人類の環境危機の局面から、生物を保存するためにトキを通じて実践しようとする努力でした。人間と自然が共生する地球にトキが生きて行くことで、その象徴になるからです。それを通じて生物に対する暖かい関心から出発して、人間と自然が共生するための持続的な活動をすることを宣言します。」

三、おわりに

 自然と人間の共存という大きい主題について、 多くのことを感じた。自分の生活や自分の地域で何から実践すべきなのかを考えるだけではなく、 小さな課題からでも実現できるようになるために、まず自分は既存の畜舎の環境調査を、肥育度の向上だけに注目を置かないことにしようと思う。日本のある農家が「コウノトリの住む田んぼは、農薬を使う田んぼより一〇〇〇倍を越える生物の生産活動に協調する」と発表した。牛糞を調査して、その中で暮している微生物についてと、その微生物が土壌に還元された時、土地や生物にどんな影響を及ぼすかについて、具体的な研究と調査作業に取りかかっている。またBMW技術を利用前後の状態も共に調査する計画だ。
 個人的な実践は各自が直接実行すればいい。しかし究極的な生命共感の時代を生きて行くために人々の価値観を変える事は、皆が解決しなければならない最大の課題なのだ。

「水田による水の浄化と生物多様性を実現する」
第一分科会での清水BM技術協会常任理事発表概要

報告 SOLAインターナショナル・コリア
イ・スンミン

 「生物の多様性を育む農業国際会議」の第一分科会では「水田による水の浄化と生物多様性を実現する」というテーマで、清水潔BM技術協会常任理事の発表がありました。
 「自分の水田は、旨い米を作るのに適しているか」という疑問からはじまり、水田の機能を高めるために用水と排水を短時間でコントロールできる暗渠溝を施し、貯めた水田の水を上下に動かす、ポンプで空気を暗渠溝に送る装置をつけるなど、水田の構造に工夫を加えて長年研究しました。
 これらの目的は、地下の肥料養分や酸素を水田にくまなく行きわたらせ、効果として、稲の根は深く伸びて、健康に生育します。さらにBMW技術でつくりあげた発酵堆肥や生物活性水を散布し、微生物活動を活発にさせ、有機物を分解させます。
 旨い米を作り出す水田は、土・水・大気・生きものという自然生態系がうまくかみ合っています。
 自然は多様に作用をする力を持っているし、また私たちの生活に密接な関係を持っています。バクテリアの作用を通じて堆肥の製造や水質の浄化、食品生産等はされています。この微生物をどんな方法で效率的に利用するかが重要です。体系的な技術の蓄積と研究、そして実際の経験をベ—スに、微生物の環境と必要な条件等を、自然界の保全保護、共生、安心・安全な食のため、科学的に実証できるように努力したいと思います。

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ICEBA2010
第一回生物の多様性を育む農業国際会議(International Conference for Enhancing the Biodiversity in Agriculture)
 「日韓中環境創造型稲作技術会議」と「日韓田んぼの生きもの調査交流会」を統合し、日本、韓国、中国の3カ国が中心となって、東アジアの風土における環境創造型農業の普及・拡大を目指すとともに、生物の多様性を重視し、自然循環機能を再生する農業技術や地域の取組みについての方向性を見出すことを目的として、今年七月に第一回目の会議が豊岡市で開催された。会議の方向性は報告書にまとめられ、カルタヘナ議定書締約国会議、生物多様性条約締約国会議COP10への提言とされる。

Author 事務局 : 2010年08月01日01:24

【AQUA223号】堀本農園BMWプラント稼働経過報告

報告 観光イチゴ園 堀本農園 堀本 誠司

 堀本農園では「せいちゃんといちごちゃん」というイチゴの観光農園を経営しております。兵庫県加古川市にあります。
 堀本農園で、生物活性水を利用し始めて、七月で四ヶ月目を迎えます。プラントで作られた活性水を、イチゴをはじめ、ナスなどの野菜に使用しております。じゃがいもオーナー制をやっているじゃがいもでも使用しました。また、簡易水洗トイレや、コンポストに使用しています。トイレやコンポストの悪臭は抑えられているように思います。
 イチゴへの使用は活性水を原液のまま、毎週に1回か、2回潅水チューブでやっていました。あとは、毎晩、硫黄のくん煙を病気予防のためしていました。
 葉っぱの陰には病気はあったものの、収穫にはさほど影響のない被害でした。6月に入って、最後の最後は病気が勝ってしまいましたが。

 イチゴや野菜などの作物に関して使用した感想をいえば、生物活性水をあげた後の状態は良く成長していたといえます。しかし、うちの野菜たちにとって、その時ただ水分(水)が足りなかっただけかもしれませんし、養分(肥料)が足りなかっただけかもしれません。

 野菜は、適切な時期に種をまき、植えつけし、必要な水と肥料があれば意外とすくすく育つだけの柔軟性を持っていると思います。ということは、ひ弱ながらも、ある程度は育ってしまうということです。(その後、病気や虫がつくかもしれませんが)
 まず、素人の私は野菜の作り方の基本を勉強し、野菜が何を必要をしているか見極め、水やり、追肥、誘引、剪定、芽かきなど、必要な作業を十分に行ったうえで、野菜の変化に気づくことが大事ではないかと思います。生物活性水をやったせいか、自分が作業を怠ったせいか、野菜を見れていないとわからないと思います。さらに客観的に、土壌のデータ等(CEC、微量要素等)をとる必要があると思います。

 私は、山梨の白州郷牧場で半年間研修していました。また、BMW技術を導入している農場も視察しました。
 そこで、BMW技術について知識を深め、BMW技術の考え方や人々に共感、共鳴を得たので、思い切ってプラント建設に踏み切りました。(結婚費用や、老後生活のためにおいていても良かったかもしれませんが、結婚してしまうと難しそうなので。)
 そして理由のもう一つは、BMW技術全国交流会にも参加させていただいたこともあり、白州郷牧場や、新しいことをどんどんされている全国の素晴らしい農園の方々との、繋がり、ネットワークを作りたいという思いがありました。

 BMWプラントのポテンシャルを最大限引き出すためには、自らプラントの変化に目を配り、メンテナンスを怠らないことが、重要だと思います(活性水を生き物だと思って可愛がるように)。さらに、勉強会に参加したり、過去の発表記録集を読んだりして、勉強していきたいと思っております。毎月の機関紙「アクア」も楽しみにしております。

Author 事務局 : 2010年08月01日01:22

 
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