【AQUA216号】第19回BMW技術全国交流会を茨城県大洗町で開催

BMの「理念と技術」の普遍性を再認識

 「第一九回BMW技術全国交流会」が一一月二〇日(金)から二一日(土)の二日間、茨城県大洗町・大洗ホテルで開催されました。交流会は、茨城BM自然塾、生活協同組合パルシステム茨城、有機栽培あゆみの会・有限会社アグリクリエイト、パルシステム生活協同組合連合会、らでぃっしゅぼーや株式会社、BM技術協会で構成される実行委員会で運営され、今年のテーマは「水が育む『農・食・くらし』~筑波山系から涸沼へ『いのち』の物語」。北海道から九州まで、さらに、韓国、中国からの参加も含めて、三二〇人の参加者が集いました。


◆交流会第1日 11月20日(金)
 開会に先立ち、今回のテーマをイメージした動画がプロローグとして上映されました。きれいなメロディーが、水が育む「いのち」の物語のはじまりを感じさせます。
 司会を務める市丸滋幸氏(茨城BM自然塾)の開会宣言を受けて、小谷悠子 全国交流会副実行委員長(生活協同組合パルシステム茨城 理事長)から、開催の挨拶が行われました。  
 小谷副実行委員長は、「茨城での開催は、一九九六年に続いて二回目」と、この地に多くの参加者を迎えた喜びを語りました。そして「筑波山を水源とする涸沼川流域は、四~五〇年前までは豊かな生態系が育まれていたが、現在は様変わりしてしまった。BMWの技術は自然を浄化するのに大きな効果がある」と今回のテーマを掲げた理由を述べ、「この会の輪がさらに広まっていくことを望む。意義のある場としてほしい」と挨拶しました。
 続いて、生田喜和BM技術協会理事長が壇上に立ち、理事長就任後初めての全国交流会に際して挨拶を述べました。「日本の社会を変える意識を持とう」と熱く語りかけ、「各地での活動は大きな成果を生み出している。今日はそれを披露する集大成の場。技術を学んでいく場ととらえて、学んでいってほしい」と結びました。
 来賓挨拶では、小谷隆亮大洗町町長が「おいしくて安心な食べ物を作ることが健康な体を作ることにつながる。大勢で集まって技術の研究をするのは心強い」と歓迎の意を表しました。そして、「農業経営は作るだけでなく売ることも考えるもの。我が町でもBMW技術の先進的な取り組みを学びたい。全国にも広がっていくことを望む」と語り、「実りの大きい交流会にしてほしい」と結びました。
 その後、さっそく報告、講演、発表が始まりました。

●基調報告
「人々の連携で流域の『いのち』と『農・食・くらし』を守ろう」
第一九回BMW技術全国交流会
  実行委員長 清水 澄
(茨城BM自然塾塾長、BM技術協会常任理事)
 地球規模で水や食糧の不足が問題になっている現在、茨城を象徴する筑波山を水源とした涸沼川流域に暮らす者として、地域の水や土を守りたいという思いを語ることから、清水実行委員長の基調報告が始まりました。
 一九七〇年以前は、豊かな恩恵を与えてくれた涸沼でしたが、今では生活排水や工場排水、農業排水などに汚染され、ヘドロを堆積するようになってしまいました。この涸沼の環境悪化をなんとかして食い止めたい、花崗岩に育まれた筑波山系のミネラル豊かな水を多くの人に利用してほしいと訴えます。そして、汚れた水を再生する技術がBMW技術にあると話し、これまで、茨城BM自然塾で、様々な実験等を通じ、挑戦を続けてきていると語りました。
 流域の生態系を健全にするには、流域の上流、中流、下流それぞれに暮らす人々が連携して取り組むことが必要である、次の世代に豊かな環境を残したい、と訴え、二日間の交流を通して、色々なことを学び合おうと結びました。

●筑波山系「流域生態系保全・再生」調査研究・学習プロジェクト報告
 
◆講演「筑波山系から涸沼川流域の岩石と生態系 BMW技術の活かし方」
 岡山大学 地球物質科学研究センター
准教授 奥地 拓生

 奥地准教授はまず、筑波山系から涸沼川流域の地質図を示し、花崗岩、石灰岩、堆積岩で成り立っていることを説明しました。そして世界のプレートの地図から、プレートの集まる場所には火山が多いこと、日本は四つのプレートに囲まれていて「岩石の工場」と言えるくらい石が多い場所だと話します。日本列島は岩石が集まってくる場所で、岩石鉱物が生態系にミネラルを供給していると説明しました。
 そんな地球規模で行われている、鉱物が生態系にミネラルを供給する仕組みを、BMW技術は早回しで行っていると話します。そして、岩石の生産が絶えず行われている日本では、どの地域でも岩石に支えられている、BMW技術は農のありかたを考えていけるとまとめました。

◆講演「田んぼの生きもの及び水質・土壌調査結果の考察」
NPO法人 田んぼ 理事長 岩渕 成紀

 昨年、茨城県鉾田市の田中一作邸でのBMWシステムによる資源循環型水田の調査を行い、今年はそれを涸沼川流域にフィールドを広げて調査してきました。岩渕氏の講演は、その調査結果の報告から始まりました。
 調査では、BMW技術を利用した水田では生態系の循環がスムーズに機能し稲の発育もよかったとのこと。一方、無農薬水田、慣行水田では、堆肥や有機質肥料の過剰投入により、河川の水質に負荷を与える可能性があることも危惧されると話しました。健全な田んぼでは健全な生態系が生まれるが、そのためにもしっかりした技術が必要であると語ります。人が関与する生物多様性には、技術を含めたプロセスが欠かせないのです。BMWの技術を利用すれば、生物多様性を向上させ、農業にも活かせると話しました。
 そして最後には「生物多様性はどこにある。それはあなたの足元に…」と締めくくりました。

●水源地と河川流域の保全・再生に活きるBMW技術

◆講演「韓国の首都ソウルの水源地・楊平郡の親環境農業の中核となったBMW技術」
韓国 揚平(ヤンピョン)郡農業技術センター 所長 キム・デース

 今回二回目の来日となったキム氏からは、ソウルの水源地となっている揚平郡での取り組みが報告されました。
 揚平郡では、ミン・ビョンチェ初代郡主がBMW技術と親環境農業(有機農業)を導入することを決定し、一九九八年から自治体と農民が一緒になって取り組んできました。
 キム氏はまず、ソウルと揚平郡の位置関係、水を汚染しないためのヤンピョン郡の規制について説明を行い、郡主がリーダーとなって推進してきた親環境農業の仕組みが紹介されました。有機肥料の半額供給、畜産農家へのおがくずの提供、そして生物活性水を無料で配布している取組み等、農家への手厚い対応が説明されました。農家の反応もよく、生物活性水使用農家が増えているとのこと。今後も、さらに増えることを期待していると話しました。
 最後に、韓国の農業は、日本の技術を取り入れて進めてきたものだが、今ではBMW技術が浸透してきて、様々な方面からの見学が増えている状況になっている、と力強く語り、みなさんもぜひ見学に来てくださいと話を終えました。

◆講演「自然循環型有機農業への需要が急増する韓国でのBMW技術普及状況報告
 BM技術協会海外特別理事
 韓国 そらインターナショナルコリア
 代表理事 ハ・ジョンヒ

 「一二年前からBMW技術にはまっています」と笑顔で語るハ氏からは、急速に拡大している韓国でのBMW技術の導入事例が報告されました。
 導入例を分類すると、①農協が設置、運営する事例、②行政支援で個人が設置、運営する事例、③行政が設置、運営する事例、④学校が設置、運営する事例、⑤宗教団体が設置、運営する事例と、五つに大別され、農協運営では春川(チュンチョン)の事例を、行政支援による個人運営では四つの農場の事例が紹介されました。学校運営の事例では、全寮制で暮らす生徒や教師たちの生活雑排水等をBMW技術で浄化している様子が報告されました。
 そして、牧場、農場等、畜産や耕作に活用されている一五か所の事例と、これからBMW技術の導入が予定されている案件も紹介されました。最後に、来年度の展望を述べ、コストのかからないBMW技術がさらに注目されていることを報告して、BMW技術に取り組んでいる皆さんとさらに交流を深めたいと話しました。

◆講演 北海道「こんせん72牛乳」生産地
「根釧地区での環境保全型酪農~マイペース酪農とBMW技術の取組み~」
 北海道 根釧みどりの会 代表 石澤 元勝

 北海道根釧地区で七〇頭の牛を飼い、首都圏に「こんせん72」牛乳を供給している石澤氏からは、「マイペース酪農」という取り組みの報告がされました。
 石澤氏は、行政に振り回されない、人にも牛にもやさしい酪農を目指し、牛ができることは牛にやってもらうことにしていると話します。一生をコンクリートの牛舎の中で終える牛と、豊かな自然の中で放し飼いにされている牛とは、どっちが幸せか、石澤氏の農場の写真からは一目瞭然です。コストをかけて牛舎で多数の牛を飼って乳量を増やすより、放し飼いにして勝手に草を食べてもらえば、コストがかからない、乳量を減らしても採算があう、石澤氏の説明が続きます。主食が草だと年間の乳量は減るけれど、牛の生理に合っているので長生きする、一頭あたりの乳量を減らして牛を健康に飼おう、と熱く語りました。
 このマイペース酪農をスムーズに進めるために欠かせないのがBMWの技術。取り入れた後は、牛が乳房炎にかかりにくくなり、乳房炎になっても回復が早く、結果として、出荷乳量も向上すると、話します。そして一九九一年から毎年行われているマイペース酪農交流会では、さまざまな交流ができていることも語りました。
 最後には、消費者も共に学び、安心で安全な食べ物を目指していきたいと結びました。

●茨城県のBMW技術実践発表 

①「農家の生活雑排水をBMW技術で農業現場に循環させる仕組みとその実践報告」
   茨城BM自然塾  米川農園 米川 修

 一九九四年から清水牧場の堆肥と生物活性水を耕作農業に活用してきた米川氏は、二〇〇四年に自宅にBMWプラントを作り、自宅の生活雑排水を原料にした生物活性水を、耕作農業に利用しています。安心で安全な農産物を作りたい、より質の高い農産物を作りたい、そんな思いから取り組み始めたと、熱く語り、良い生物活性水ができていると自負します。
 サツマイモの苗作りの時や肥料撒布時に生物活性水を使用することにより、しっかりとした苗になり、発根もよくなり、秀品率が向上したことが報告されました。
 また、生活雑排水を生物活性水の原料にするので、生活に化学合成物質などを使用しなくなり、環境にもやさしい暮らしになったと話しました。
 紹介された米川農園の写真からは、順調に育つサツマイモの様子がわかります。立派なイモを手に「どんなもんだ!」と豪語する米川氏の写真も映し出され、最後は「ぜひこのサツマイモを食べてみてください」と話しました。

②「生物活性水施設の設置と育苗試験、BMW技術を生かした有機栽培実践報告」
有機栽培あゆみの会・(有)アグリクリエイト
取締役 丸山 訓

 有機栽培あゆみの会では、今年の九月、事務所前に生物活性水のプラントを設置しました。導入に携わった丸山氏から、プラント設置までの経緯と、設置後すぐに行った育苗試験の結果の報告がされました。
 あゆみの会では、以前から微生物を培養したり、食品残さにミネラルや微生物を添加した堆肥を畑に使用していましたが、BMW技術と出会い、プラントの導入に踏み切ったと話を始めます。プラント設置中の写真から、生物活性水が生まれていく様子がわかり、興味深い報告となりました。
 できあがった生物活性水で、さっそくチンゲンサイの育苗試験を行ったとのこと。生物活性水を原液でかけたものと水のみを使ったものとを比較したところ、根の量がかなり異なったとの報告がされました。
 そして、あゆみの会の生産者メンバーで、実際に、BM堆肥と生物活性水を使用しているキュウリ栽培の事例を紹介し、作物本来の力を十二分に引き出している様子を報告して、これからもBMW技術の有効活用を模索していきたいとまとめました。

③「パルシステム茨城の
食をとりまく農と環境の取組み」
生活協同組合パルシステム茨城
 理事 白水 真実

 「パルシステム茨城は、豊かな地域社会を作っていくことを目的に、いのちを支える食と農とくらしのあり方を学んで、次世代につなげている活動に取り組んでいます」。そう語り始めた白水氏は、まず各センターの紹介、昨年度の産地交流活動の状況について説明しました。
 続いて、茨城BM自然塾の清水農場の圃場を借りて進めた作物の栽培体験について報告し、さらに、茨城BM自然塾の生産者の紹介を行いました。そして、農業体験の様子を、水田、畑、酪農それぞれに報告しました。
 また、料理講習会など食育への取り組みについても触れました。現場で学んだことを伝えていくことが大切なのだと話します。そして、生きもの調査、子どもサマーキャンプ等の報告が行われ、未来を担う子どもたちに食の安心や安全、農業の尊さや自然の大切さについて伝え続ける役割があると訴えました。
 最後に、生活者としての立場で農の現場に入り、何を大事にし、何を守っていくか、何を伝えていくかを考えていきたいと熱く語って、締めくくりました。

●交流懇親会
 第一日目の会議終了後、交流懇親会が開催されました。
 地元の郷土芸能の磯節が披露された後、懇親会の開催を清水実行委員長が宣し、韓国のミン・ビョンチェ楊平郡初代郡主、地元茨城町の小林宣夫町長、田山東湖茨城県会議員の来賓挨拶の後、豊下勝彦BM技術協会常任理事の乾杯の音頭で、懇親会が始まりました。
 懇親会場には、地元茨城のBM技術協会会員産地の農産物をはじめ、全国の会員産地や、海外のBM技術関係産地等から提供された肉や卵、米、野菜、果物、加工品を素材にした料理が並び、参加者を楽しませました。
 懇親会では、今回三七人の訪日団を組んだ韓国や中国からの参加者紹介、本交流会の実行委員会を構成する茨城BM自然塾、生活協同組合パルシステム茨城、有機栽培あゆみの会、パルシステム生活協同組合連合会、らでぃっしゅぼーや株式会社のメンバー紹介と、それぞれの代表者挨拶が行われました。

 来年度開催地を山形県に決定
 生田BM技術協会理事長からは、懇親会前に行われたBM技術協会全国理事会で、来年度の第二〇回BMW技術全国交流会開催地が、山形県に決定したことが発表されました。
 懇親会は、実行委員会団体のパルシステム茨城の林一雄専務理事が最後の挨拶を行って、締めくくられました。    (報告:東條 美香)


◆交流会第2日 11月21日(土)


 交流会第二日目は、BMW技術を活用した①「くらしと環境」②「畜産」③「耕作」のテーマごとに、分科会形式で、発表や意見交換が行われました。各分科会での内容を紹介します。

●「くらしと環境」分科会
・コーディネーター BM技術協会常任理事   山本 伸司
・司会   生活協同組合パルシステム茨城  横田 敦実

発表①「BMW技術を活かした自給自足の循環型のくらし」
茨城県 茨城BM自然塾 田中 一作

 田中氏は、ご夫婦ふたりが暮らす自宅から出る雑排水を原料に、BMW技術で生物活性水をつくり、循環型のくらしに活用しています。生物活性水を利用して池ではフナやドジョウ、水田ではもち米、畑では野菜、そして採卵養鶏と、自給自足の生活を楽しんでいます。田中夫妻のある一日を、時間を追って解説する発表でした。
 「朝食は納豆にゴマや、シソの実など八種類の食材を加えた健康食。生ゴミはジューサーにかけて、BMプラントの原料に活用します。午後は農作業に汗を流したり、収穫した野菜をご近所と物々交換」と、循環型の暮らしは素朴で笑顔が絶えない様子でした。生物活性水は、鶏の飲水の添加や発酵飼料づくり、田んぼ、畑、そして、洗濯や入浴に活用しています。会場からは「生物活性水の活用は、設備代はかかっても経済的」など、意見や感想が出ました。

発表②「BMW技術を活かした化学合成物質を使用しない暮らし」
大阪府 生活クラブ生活協同組合大阪
   理事 小出 尭子、増川 政子、瀧本 留里

 生活クラブ大阪では、生物活性水を生産して組合員に供給する活動を一九九一年から続けています。生物活性水二リットルをモニターに配布して調査。家庭内での効果を台所、洗濯、風呂場等での使用をテーマに調べました。効果がとくにはっきり現れたのは台所でした。「三角コーナーや排水口に生物活性水原液をスプレーしたところ、掃除の回数が減った、という回答がモニター二一名中一八名と大多数」でした。
 生物活性水と粉せっけんを使った洗濯でも、石鹸カスが減った(四二%)、臭いが減った(三三%)といった好評の声が上がりました。
 お風呂への使用では、臭いが減った(七八%)、浴槽のザラつきが減った(七〇%)となりました。この他、切花が長持ちする、トイレやペットの消臭にも効果がある等の回答がよせられました。最後は、水生生物毒性のある合成界面活性剤を含む洗剤やシャンプーを使用せず、BM生物活性水を生活に取り入れる提案をしていきたいと、報告が締めくくられました。

発表③「水を再生・再利用する事業所」
埼玉県 生活協同組合ドゥコープ
 コンプライアンス室長 酒井 貞臣

 埼玉県の生協ドゥコープからは、配送センターにBMW技術による中水プラントを導入した事例について発表がありました。一九九七年から二〇〇一年にかけて、蕨、白岡、三芳の三カ所のセンターに設置。「BMWプラントでつくられた中水をトイレの流し水に利用してから、便器に水垢がつかず、臭いも少なくなくなった」「屋上緑化やバケツ稲、金魚にも役立つ」との活用例が報告されました。
 「BMWプラントを導入したセンターでは、水道料金が同規模のセンターの半額近くになった」など、経済面でのメリットも大きいと報告が行われました。また、白岡センターでは、組合員への「BMW技術基礎講座と中水施設見学会」も実施され、今後も組合員へのBMW技術普及活動を行っていきたいと、報告されました。

発表④「BMW技術を活かした農園コミュニティ」
茨城県 ハーブの香りの野菜畑 川又 洋二

 茨城県つくば市で市民が運営する「ハーブの香りの野菜畑」は、来年で活動一〇周年を迎えます。市民農園の長続きの秘訣についてなど、川又氏から発表がありました。「仕事を持つ素人が農業で遊ぶ」というコンセプトで始まった農園は、①農薬・化学肥料は使用しない②野菜を害虫から守るコンパニオンプランツのハーブを沢山植える③花のある美しい農園を目指す――が、農園参加者の約束事になっています。
 栽培については、生物活性水とBM堆肥を活用して、連作障害を予防したり、講師を招いての土壌分析も行われています。
 川又氏からは、「花を咲かせ、美しい農園を作ることで何回も足を運ばせるしかけ作りをしている」「収穫祭やキムチづくり、句会、音楽会といった楽しむ工夫も行っている」等が、報告され、農園での楽しみの幅を広げていること、気楽に、無理はしないことが長続きの秘訣のようでした。
(報告:パルシステム生活協同組合連合会 原覚俊)

●「畜産」分科会
・コーディネーター BM技術協会常任理事  向山 茂徳
・司会    らでぃっしゅぼーや㈱      森﨑 秀峰
 「畜産」分科会は、「生物活性水の種となるものを生み出す畜産はBMW技術の核になる部分。原点に近い話をしていこう」と、コーディネーターの向山常任理事が口火を切り、各発表が始まりました。

発表①「養豚におけるBMW技術と耕畜連携農業の取組み」
福岡県 紅会 井手養豚場 井手 剛寛

 畜産農家と耕作農家が連携する農業に取り組んでいる紅会の紹介をした井手氏は、まず農場の特色の説明から始めました。
 一、二〇〇頭の豚を飼育している井手氏の養豚場では、家畜にストレスがないよう、じっくり育てているとのこと。きれいに整えられた畜舎の写真からも、大切に育てていることがよくわかります。
 続いて、BMWプラントによってできた生物活性水を耕作農業に使っている近隣の農場の様子を紹介しました。そして最後に、養豚農家は今、大変な時期だが、逆風に負けずに、BMの取り組みを深めていきたいと報告しました。

発表②「飼料自給率九〇%を目指す酪農経営とBMW技術」
茨城県 茨城BM自然塾 清水牧場 清水 裕一

 約一五〇頭の成牛と一三〇頭の育成牛を飼育している清水氏からは、飼料の自給率をアップさせる取り組みが発表されました。
 安定した酪農経営のためには、価格の不安定な輸入飼料に頼らず、自給飼料でまかないたい、牛の健康面から考えても最善である、と清水氏は語ります。そして、未利用資源の飼料として、規格外の大豆を使用することにした経緯を説明しました。また、国産の飼料として、飼料稲の栽培についても触れました。そして、これらの飼料化のためにBMWの技術を活用していきたい、実験と経験を積んでいきたいと話し、報告を終えました。

発表③「日本一の鶏生産を目指す 日本型畜産の提案」
山形県 (株)米沢郷牧場 石川 公士

 日本一の鶏の生産を目指す石川氏は、米沢郷牧場グループの取り組みを紹介しました。
 米沢郷牧場グループのある置賜盆地は、昔から稲作と畜産の複合経営が営まれてきた地区。同グループの稲作生産を中心とするファーマーズクラブ赤とんぼの組合員と交流を深めてきたと、石川氏は話します。近年、飼料価格が高騰し、遺伝子組み換えでない飼料原料が入手困難になったため、飼料自給率の向上を目指した取り組みを進めていると話しました。研究の結果、米配合の割合が六五%以上の自家配合発酵飼料を使用することにしました。この飼料で育てられた「こめ鶏」は、砂肝が厚く、腸が長くなり、消費者アンケートでも好評とのことです。
 最後に、鶏舎の床に敷くBMW技術を活用したコンポスト「ヒューマスベット」について触れ、話を締めくくりました。

発表④「生物活性水によるクロレラ培養・飼料化システムの改良」
山梨県 山梨大学大学院医学工学総合研究部
教授 御園生 拓

 山梨大学と㈱山梨自然学研究所が共同で行っている生物活性水によるクロレラ培養と飼料化の研究報告が御園生教授から行われました。
 冬場の緑餌のない時期に有効ではないかとのことから、二〇〇六年から始まった生物活性水によるクロレラの培養と飼料化実験。その研究が行われている山梨県黒富士農場の資源循環システムの説明が最初に行われ、本題に入りました。生物活性水にクロレラの種菌を投入し、太陽光を利用した培養の様子が紹介され、茶色の活性水が、クロレラが増えて緑色になった写真が映し出されました。黒富士農場では、このクロレラを生物活性水ごと、発酵飼料装置に投入し、発酵飼料づくりを進めてきました。
 続いて、以前の培養装置を改良し、連続的に培養することが可能になった太陽熱を利用した培養システムと、太陽パネル、風力を利用した発電システムについても、報告が行われました。

 各発表が終わるごとに、会場からは、質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
 最後に、コーディネーターの向山常任理事が「それぞれの地域で地域資源を活用している良い発表が行われた。安定供給のためには長く使えるものがいい。使えるものと使えないものの見極めが大切」とまとめて分科会が終了しました。        (報告:東條 美香)

●「耕作」分科会
・コーディネーター  BM技術協会副理事長 伊藤 幸蔵
・コメンテーター
 ~自然学を実践する~「土と水の学校」講師 小祝 政明
・司会 有機栽培あゆみの会 ㈲アグリクリエイト 丸山 訓
      
発表①「和郷園・神崎園芸のBMW技術を導入したキュウリ栽培」
千葉県 農事組合法人 和郷園 佐々木 敬人

 和郷園からは、キュウリとユリとの輪作栽培についての報告でした。キュウリ栽培では、生物活性水を使用することによって、花が大きく、節間が詰まるなどの特徴が見られました。光合成が充分に出来ているということを裏付けるものです。
 また、高温時にキュウリに生物活性水を頭上潅水に使用することで、バチルス(納豆菌)がカビの発生を抑制し、病気を抑える効果が出ており、理にかなった栽培が出来ていました。元肥が足りなかったため、団粒性を作ることができていなかったという小祝講師の指摘があり、それが出来ていれば、もっと収量が上げられたという期待が持てる内容でした。

発表②「水稲栽培におけるBMW技術の活用」
新潟県 ㈲謙信の郷 峯村 正文

 謙信の郷の峯村さんが、次の世代である息子さんへバトンタッチするにあたって、BMWの技術をいかに伝えるかと考えて、今回の発表資料を作成されました。育苗用培土にBM堆肥を使用し、生物活性水を使用してのプール育苗事例と、本田での生物活性水使用量をもっと増やすべきでは、という報告が行われました。
 これまで、BMW技術が次世代や地域に広がっていかなかった理由は、技術をしっかり伝えることができていなかったことに原因があると反省し、交流会を通じて、伝えていくことの重要性を再認識できた内容となりました。

発表③「野田市園芸福祉農場における有機栽培理論とBMW技術の融合による栽培実験」
千葉県
ウェルアンドグリーンファームのだ 遠藤 尚志
 ウェルアンドグリーンファームのだでは、地元住民・障害者団体・行政・NPO・生活協同組合等の連携によって無農薬・無化学肥料栽培での約三〇種類の野菜・米の生産・販売を行っています。今回の発表では、サンチュ・ミニトマト・米、についての報告がありました。「土と水の学校」の講師である小祝先生の有機栽培理論による土壌分析と、生物活性水や、BM菌体等、BMW技術との融合による栽培実践発表でした。ミニトマトは鈴なりに実る、などの大きな収量アップの効果が得られていました。堆肥を原料とした生物活性水を原液で大量に使用していることが、大きな特徴です。また、地域とのつながりの可能性を感じさせるもので、今後に大きな期待が持てる内容でした。

発表④「韓国の耕作農業におけるBMW技術の応用」
韓国 春川農協
  生物活性水運営委員長 カン・チュング

 韓国のカンさんからは、BMW技術による、炭水化物の液状化と、ミネラルのキレート化によって、ミニトマトの光合成能力の増加と、収量が爆発的に増えたという報告でした。生物活性水を使い続けた結果、収量のアップだけでなく、病害虫被害も、ほとんどなくなったそうです。日本でも、最初は収量が増加したことで土壌が枯渇したため、これから土壌分析は必須となるという課題もありました。国や行政を巻き込み、生物活性水を無料で使用できるようにするなど、反対に、日本が学ぶべきことがたくさんある内容となっていました。
 コーディネーターの伊藤副理事長からは、「発表全体を通して、生物活性水の使用量が増加していることが明確に分かった。グループや地域で取り組み、有効活用することで結果につなげていくということが共通しており、今後に大きな期待が持てる。今回の発表では、対照区を設けての比較がなかったため、より明確にBMW技術の効果を確認することが出来なかったのが残念」と、まとめました。
(報告:らでぃっしゅぼーや㈱ 高平 誉之)


 分科会終了後は、再度、参加者が集合した全体会議となり、分科会のコーディネーターから、分科会のまとめ発表と、今交流会の総括が行われました。

■「分科会まとめ発表」
●「くらしと環境」分科会のまとめ
コーディネーター
 BM技術協会常任理事 山本 伸司

 生活クラブ生協大阪からは、暮らしの中で生物活性水を使う実験の様子が紹介されました。台所、洗濯、風呂、花びんの四つの生活の場面で生物活性水を使ってもらって、変化を見ていく実験です。その結果、どの実験に参加した人からも評価が高かったことが報告されました。しかし、価格がやや高いので浸透していないという現状もあるようです。
 埼玉の生協ドゥコープからは、五つのセンターのうちの三センターにBMWプラントを導入した報告がされました。トイレの排水をBMWシステムで処理し、またトイレの流し水に使用するという取り組みです。臭いもなくなり、水道料金も半分以下に減ったことが判明したそうです。さらに、トイレだけでなく、草花にかけたり金魚鉢に使ったりすることもできて、職員や組合員への学習にもなっているようです。
 圧巻だったのは、茨城県の田中一作さんの発表。一日の生活レポートで、エネルギーの自給、食の自給がスムーズに回転している様子がよくわかりました。食事も玄米で理想的。「目指せ一五〇歳」とのことでした。超高層ビル、簡単便利、車社会というのがこれまでの生活でしたが、新しい未来の生活ビジョンはこのような自給自足の暮らし方ではないかと感動しました。
 つくばのベルサイユ農園を目指している「ハーブの香りの野菜畑」からは、家庭菜園に取り組む人々の集まり、農園コミュニティーの実践報告が行われました。すばらしいのは、無農薬・無化学肥料、ハーブを植える、花のある美しい農園を目指す、という三つの約束を守って取り組んでいることです。そして、土壌分析をしたり、年間の栽培計画を立てたり、基本理論をしっかり学んで進めていることがわかりました。
 四つの発表はどれも、暮らしをどう考えていくか、いのち、仲間、つながり、土、水など、まさにBMWの基本的思想を考えさせられるものでした。

●「畜産」分科会のまとめ
コーディネーター
BM技術協会常任理事 向山 茂徳

 歴史ある組織である紅会からは、組織作りの概要、耕作農家との連携、養豚の様子などの話が紹介されました。一つ一つの取り組みをきちんと積み上げてきた様子、きれいに管理されている農場の様子が伝わって、参考になったと思います。
 清水牧場からは、飼料の自給率アップを目指す取り組みが発表されました。細かいデータをきちんととって取り組んでいるようで、牛の飼育の様子もよくわかりました。新しい資源である「未利用資源」の可能性を感じる発表でした。若手が出てきてくれてうれしく思います。
 米沢郷牧場の発表からは、丹念に積み上げた個性のあるデータを見せてもらうことができました。飼料価格が上がったため、自前でなんとかできる飼料を模索した結果、自家配合の発酵飼料を使用することにしたそうです。この飼料で育てられた「こめ鶏」はアンケートでも好評とのことでした。
 クロレラの事例では、クロレラ培養のための循環システムの説明がされました。クロレラ培養は、冬場の緑のない時期に有効ではないかということから始まった研究です。太陽光を利用した培養の様子が紹介され、太陽熱を利用した培養システム、太陽パネル、風力発電を利用したシステムについても説明がありました。
 近年、科学的な根拠をきちんともちながら農業をやろうという方向に向かっていますが、今回の発表を聞いて、そのとおりだと再認識しました。畜産は、現実に生きている鶏や豚や牛を飼いながら積み上げていかなければなりません。一つ一つ大事に育ててきたデータ、苦労して集めたデータを発表してくれるのはBMWの交流会ならではです。大事にしてほしいと思います。

●「耕作」分科会のまとめ
コーディネーター
BM技術協会 副理事長 伊藤 幸蔵

 和郷園の神崎農園からはキュウリとユリの栽培について発表されました。以前より生物活性水の量を多く使うようになり、効果が出たことが報告されました。節間がつまり、花が大きくなったそうです。これは、生物活性水をふんだんに使えるようになったからだと思います。
 謙信の郷からは、稲作での活用報告がされました。生物活性水の量を多く使っていこう、育苗の時にBM堆肥を使っていこう、とのことでした。土の中にどれだけ酸素を取り入れられるか、というのがポイントになると思います。次の世代にBMWの技術をどう伝えるか、という課題にも触れた発表となりました。
 ウェルアンドグリーンファームのだ からは、トマトとサンチュの栽培報告が行われ、生物活性水を原液で使うとの発表がありました。排水処理からBMW技術に入ってきたこれまでは、生物活性水を原液で使うという観念がありませんでしたが、新しく取り組み始めたところは違ってきています。生物活性水の以前の使用濃度と現在の使用濃度が変わってきていることを感じます。地域の農家と一緒に広がっていく可能性を秘めた発表でした。
 韓国からはミニトマトの栽培の様子が報告されました。新しい試みだったのは、窒素ではなく炭水化物を、水と一緒に施す取り組みです。国や行政がプラントを設置して無償で使えるので活性水使用量の制限がありません。活性水をふんだんに使って、思い切った試みができるようです。
 今回ちょっと残念だったのは、対照区を設けないところがあったことです。検証するときに効果が見えにくいので、次回はぜひ対照区を設けて実験に取り組んでみるとよいのではないかと思います。それから、堆肥とか身近な資源をどう使うかというBMの最も得意とする分野がやや欠落しているような気がするので、課題として考えていきたいと思います。

 各分科会のまとめ終了後は、今交流会の全体総括を伊藤BM技術協会副理事長が行い、生田BM技術協会理事長の閉会挨拶によって、交流会が締めくくられました。

◆全体総括
BM技術協会 副理事長 伊藤 幸蔵

 有機農業とひと口に言っても、その内容は多岐にわたっており、同じように見えるものでも、質の違いがあるのでは、ということを今回の交流会で、あらためて感じました。そして、技術だけが一人歩きして、その技術を使用している理由が不鮮明になっているのではないか、BMWの技術を使って何をしたいかという理念を持つことが大切だと思います。そして「理念と技術は両輪である」ことを再度、確認する必要があります。
 次に、今回新たに行った二日目の午前中の分科会について、会場からの意見を求める形式で行われましたが、今回参加された方の感想を聞き、今後よりよい形で行えるように反映していきたいと思います。
 ここ数年、交流会への若手生産者の継続的な参加が目立ってきています。同時に技術のレベルも高くなってきました。それで何を達成するかを考えるべき時期ではないかと思います。  また、輸入に頼っている肥料もBMの技術で解決していきましょう。食糧危機が叫ばれている昨今ですが、日本は国内でまかなえるようにしていきたいと思います。
 今回、報告がありましたように、韓国での取組みは、我々も大いに学ぶべきことがあります。足を使って実際に動いて、交流を深めていくことが大切だと思います。そして最後に、技術を磨くこと、技術を何のために使っていくのか考えることを来年への課題としたいと思います。

◆閉会挨拶
 最後の締めくくりとして、生田喜和BM技術協会理事長は、「世代交代」が今回の交流会のキーワ—ドだったと話し始めました。「若い世代が堂々と発表する姿を頼もしく感じる。来年は節目にあたる二〇回目の交流会なので、また山形で会いましょう」と閉会の挨拶を述べました。

 筑波山系から涸沼へとたゆまなく流れていく「いのち」。守らなければならないもの、次の世代に残さなければならないもの、それを大切にすることが今を生きる私たちに課せられた義務なのだと認識する二日間となりました。
(報告:東條 美香)

◆現地視察会
 交流会閉会後、午後からは、三つのコースに分かれての現地視察会が行われました。①コースは三台のバスに分かれての視察、②コース、③コースは、それぞれバス一台での視察となりました。

①コース
涸沼→鉾田市・田中一作邸→鉾田市・米川農園

 まず、今回の交流会テーマの舞台となった涸沼を訪れました。茨城百景の一つでもある親沢公園を散策し、涸沼の景色、そこに集う人々の様子を垣間見ることができました。遠く筑波山もかすんで見え、筑波山から涸沼へとつながる「いのち」を肌で感じました。
 田中邸、米川農園では、個人の住宅における循環の仕組みと、規模を広げて農園に循環させる仕組みを見学しました。まるで独立した一つの国のように循環が行われている田中邸では、あまりに理想的なその暮らしぶりに驚くばかりでした。
 自宅の敷地内に設置したプラントから農園に循環させている米川農園では、サツマイモの収穫の様子、貯蔵庫、まだピカピカのプラント、そして生物活性水を撒きながら畑を耕すことのできる自作のトラクターを見ることができました。夕刻になり、少し寒くなってきた農園でしたが、いつまでも質問が絶えず、熱心な視察となりました。       (報告:東條 美香)

②コース
茨城町・清水牧場→水戸市飯富農場

 ②コースでは、飼料自給率九〇%を目指す酪農経営とBMW技術に取り組む清水牧場及び飯富農場を視察しました。清水牧場は、成牛一四七頭、育成牛一二九頭の経営で、飼料栽培耕地面積が四四ha。飼育スタイルはフリーストールで、年間搾乳量が一、二三五tにのぼります。
 自給飼料生産には、①牛の健康と生産性を向上できる②自給飼料には安定的エネルギー、炭水化物、脂肪、ミネラル、ビタミン、水分が含まれている③分析数値を利用して飼料設計できるため購入飼料を自分の都合で選択できる、という三つの利点が説明されました。
 酪農では牛舎の洗浄排水の問題があり、最近では新設する際に排水許可が必要になるぐらいということでした。河川に放出できる濃度が五〇ppmに対して、牛舎から出る洗浄排水は、BOD値が三、〇〇〇ppmにまでのぼるということでした。清水牧場では、BMW技術を活用することで、三〇〇ppmにまで下げることができ、かつ、洗浄用として再利用する循環の仕組みがつくられていました。
 飯富農場は、国直轄のほ場整備農地を清水牧場が借りているもの。現在三〇haの耕作地があり、そのうち五haで㈲茨城BMが、耕作実験を行っています。今回は、ゴボウやホウレンソウ等を栽培している圃場を視察しました。圃場の水はけが良くないということで、耕作希望者がほとんどいないほ場整備地となっているそうです。飯富農場では、畝を高くすることで対策を取り、柳川ごぼうなどが立派に栽培されていました。周辺では、ほぼ一〇〇%センチュウ対策の農薬を使用していますが、同農場では、使用せずに栽培。最後に、交流会の実行委員長を務めた清水澄茨城BM自然塾塾長より、「いかに与えられた条件の中で、経費を落として栽培し、販売していくか、工夫やノウハウが重要であり、自分たちで変えていく必要がある。何年もの実践が必要となる第一次産業は、今回のような交流会によるつながりが重要であり、これを大切にしていきたい」という熱いお言葉で最後の締めくくりとなりました。
(報告:らでぃっしゅぼーや㈱ 高平 誉之)

③コース
笠間市・(株)中野組石材花崗岩採石場→つくば市・ハーブの香りの野菜畑

 ③コースの視察には、岡山大学地球物質科学研究センターの奥地拓生准教授の案内で、一三人が参加しました。日本有数の石切り場「中野組石材花崗岩採石場」と、市民が中心になって運営、年間を通して花が咲き、集いと憩いの場になっている「ハーブの香りの野菜畑」を視察しました。
 笠間市の「中野組石材花崗岩採石場」は明治時代に砕採石が始まり、良質の花崗岩が得られる日本最大の花崗岩採石場です。中野組石材工業(株)代表取締役の中野剛弘さんより「花崗岩は幅数十キロ、地下一、五〇〇メートルまで分布しています。国会議事堂や、最高裁判所など歴史的建造物の石材もここから採石されました」と解説がありました。
 採石によって地下深くまで掘り下げられた光景は圧巻でした。「ミネラル豊富な石の表面にはすぐに微生物がすみつき、採石後三年程で表面は黒ずみ、採石数十年で土が積もり、草や木が育つ」(奥地准教授)ため、採石場は水と土と生きものの温かみを感じる場所でした。
 「地球の始まりもきっとこうだったのでしょう。石から土の惑星ができる。これを早まわしするのがBMW技術です」と、奥地准教授からBMW技術と岩石について解説がありました。
 次に訪れたつくば市の「ハーブの香りの野菜畑」は来年で、運営一〇周年を迎える市民農園。「長続きしたのは、花がポイント。気になって足しげく通うようになる」と、代表の川又洋二氏が話していました。農園には夏はヒマワリ、秋はコスモス、晩秋はマリーゴールドと、季節の花が咲き乱れ、癒しの風景は近所でも評判になっているそうです。
 生物活性水やBM堆肥は、茨城BM自然塾から供給されています。農園は、一人三坪の個人スペースと、共同スペースを一七名の会員で管理。多くの会員は現役第一線の世代で、仕事もあるなか、毎週のように畑に通います。今回訪れた際にいただいた豚汁は、心まで温まりました。
(報告:パルシステム生活協同組合連合会 原 覚俊)

Author 事務局 : 2010年01月01日14:28

 
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