第18回BMW技術全国交流会を千葉県・成田市で開催【AQUA204号】

「食料・環境危機に直面し、生産・生活・地域のあり方を変えよう」テーマに
第18回BMW技術全国交流会を千葉県・成田市で開催
全国・海外から会員・関係者360人が参加

一一月二一日(金)から二三日(日)の三日間、千葉県の成田市で、「第一八回BMW技術全国交流会」が開催されました。今年のテーマは「食料・環境危機に直面し、生産・生活・地域のあり方を変えよう」というもの。韓国からの参加も含めて、三六〇人の参加者が集う交流会となりました。
今号では、交流会の模様を報告いたします。

 今年の交流会は、美しいピアノの音色とともに始まりました。プロローグとして今回のテーマと内容をイメージしたビデオが上映され、開会となりました。
 まず、向後武彦実行委員長(千葉BM技術協会会長)から、開催にあたり「参加者全員が消費者でもあるという目線で考え、立場を超えて議論していきたい」と挨拶が行われました。
 続いて、韓国から訪れたミン・ビョンチェ氏(韓国楊平郡元郡主)が、来賓挨拶に立ちました。韓国の自治体で初めてBMW技術導入を決断したミン氏は、今回の参加者に対して感服の意を表し、多くを学んで帰りたいと抱負を述べました。
 以下、講演、発表の概略を紹介します。


11 月 21 日 ・ 第 1 日目

◆講演「世界は食べ物を確保できるのか」
日本農業新聞 編集委員/論説委員 山田 優
 山田氏は、この一年間、食について様々なメディアで報道されてきたが、ここ数ヶ月、危機意識が落ちてきたことを感じると語り始め、自身の経験から食に関する現在の状況を説明しました。
 今年七月の洞爺湖サミットで、初めて食料問題の危機を訴えたことを、問題意識の共有ができてよかったとする一方、その後、関心が薄れていることが危惧されると訴えました。
 食料の輸出規制が世界各地で始まっているが、そうしないではいられないその国の現状を説明し、すでに世界では食料不足に陥っていると警鐘を鳴らしました。そして、需要と供給のバランスが崩れつつある今、人間の生命活動に直接関わっている食料問題は緊急な課題であると結びました。
 
◆基調報告「生産環境の危機に直面し、生産・生活・地域のあり方をどう変える」
 BM技術協会  理事長   石澤直士
 石澤理事長は、地元青森の事例を交えながら、農村の高齢化、耕作放棄地の増加を数値で説明し、高齢化して人が減ると、生産が低下して収入が減り、そうするとまた人が減る、という悪循環が起こっていると話しました。そして、日本の社会にあった経済構想が必要と訴えました。
 続いて、そのためにBMW技術を活かしていきたいと話し、地域全体が一緒に暮らしていく社会を目指したい、川の上流から下流まで心を一つにしよう、と熱く語りました。そして、自分の信念に向かって進んでいくことの大切さ、責任倫理によって行動することの大切さに触れ、身近な所から少しずつ変えていくことが大切と語り、これから三日間の交流を通して本当のことを見る目を養おうと結びました。
 
◆講演「生物多様性を機軸とした農業と地域のあり方について思うこと」
・ちば生物多様性県民会議代表
   夷隅郡市自然を守る会 事務局長  手塚幸夫
・夷隅東部漁業協同組合
    いすみ夢鯨の会 会長 中村松洋
 高校の生物教師でもある手塚氏は、千葉県で取組んでいる「生物多様性ちば県戦略」の紹介から話を始め、県民自らが参加することの意義を唱えました。夷隅郡の自然について触れ、いい状態に見える場所でも、よく確かめてみると荒れているのがわかると苦情を呈します。そして、復元の取り組みを始め、新しい町づくりを進めていると話しました。
 資源を消費してきたライフスタイルが、地球温暖化と健康被害の問題を引き起こしてきたが、自然と、そこに息づく生物の多様性は、地域にとって資源であり財産である、地球全体から見れば些細な地域からの出発だが、取組む価値がある、と熱く訴えました。
 続いて登壇した、いすみ市で漁師として活躍している中村氏は、以前の豊かな漁場が失われつつあり、漁業資源を取り戻そうとしていると話しました。そのためにも流域全体で考えていく必要がある、生物多様性を中心に考えよう、と結びました。
 
◆講演「鉄が海の藻場を再生する~森は海の恋人の仕組み」
 牡蠣の森を慕う会 代表
 京都大学科学教育研究センター
 社会連携教授 畠山重篤
 宮城県気仙沼市で牡蠣養殖業に従事する畠山氏は、昨年に引き続いての登場になり、鉄の大切さに触れながら、なぜ森をよくすると海もよくなるのか、を具体的に説明しました。
 日本では研究が遅れている鉄に注目し、還元酵素として働いてくれる鉄がなくては、植物は窒素やリン酸を吸収できないので、鉄分がとても大事と話し始めました。そして、自ら作っている鉄と炭を練炭状にした鉄炭団子のことにも触れました。この鉄炭団子の鉄が溶け出して、プランクトンや海草類が増え、豊かな海になるそうです。
 そして、鉄はどこから来るのか考えてみると、川の流れにのって上流から来るので、それが、森を海の恋人と呼ぶゆえんであると説明しました。森が運んだ鉄が海を豊かにし、海の幸がよくとれたら、それをおかずに米を食べるようになる、そうしたら農業もよくなると、好循環の仕組みを解説しました。最後に、日本の沿岸域の海の力を取り戻したい、森と川と海の関係をよくしようと訴えて、講演を締めくくりました。

◆講演「地球物質学の視点から見た日本列島と、食料・環境危機への対応、BMW技術の活かし方」
白州「キララの学校」講師
岡山大学 地球物質科学研究センター
    准教授 奥地拓生
 奥地氏は、「石が水をつくり、水が石をつくる」というキャッチコピーを掲げて、話を始めました。
 まず、石灰岩(さんご礁)の分布状態から、日本列島が南から動いてきたことを説明し、石にはストーリーがあると語りました。
 続いて、世界の火山とプレートの地図を示し、日本列島は四つのプレートが交わる地域であることから、火山だらけで地震が多いことを説明しました。さらに、かんらん岩、玄武岩、花崗岩、安山岩の特徴を説明し、石が石を作っている仕組み、石が水を作っている仕組みについて話し、火山の多い日本には、これらの石が身近にあって利用しやすいと話しました。日本列島は多様な岩石がどんどん作られている世界でも特異な地域で、ミネラル資源に恵まれた国であることを説明しました。
 そして、岩石のミネラルを取り出してバクテリアとつなげて使うBMW技術は、日本でだからこそ生まれたのではないかと語り、日本の自然、風土を意識して、石を使いこなしていこう、使いこなし方を考えてほしい、と結びました。

●21日交流懇親会、来賓に堂本千葉県知事
 会議終了後に行われた交流懇親会では、平野都代子副実行委員長(生活協同組合パルシステム千葉・理事長)が、「共生、つながり、地域、流域」などのキーワードから、身近なところから積み重ねようと挨拶しました。
 そして、平野理事長から紹介を受けた来賓の堂本暁子千葉県知事も壇上に立ち、千葉県民を代表して歓迎の意を表し、BMW技術が環境に優しく有効なところを普及させたいと挨拶がありました。
 懇親会では、全国のBM技術協会会員生産者から提供された食材を使った料理が並び、おいしさと一緒に話が盛り上がりました。

11 月 22 日 ・ 第 2 日目

◆発表 ~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座報告
 「食料危機時代に向けて――健全な農産物の多収穫・高品質栽培技術とBMW技術」
●~自然学を実践する~「土と水の学校」の概要
BM技術協会 事務局長 礒田有治
 礒田氏は、「土と水の学校」開催の目的について話し、BMW技術と有機栽培理論の融合で高品質・多収穫有機栽培農業技術の確立を目指して取り組んでいると説明しました。そして、これまでの成果と、今後の課題について話しました。

●解説「BMW技術と科学的有機栽培による高品質多収穫栽培技術」
「土と水の学校」   講師 小祝政明
 小祝氏は、BMW技術と科学的有機栽培を使うと、なぜ高品質で多収穫になるのか説明しました。
 まず、野菜や果物の栄養価が昔と比較して、大幅に低下していることをデータで解説しました。栄養素を作るには、光合成をすることが大切であり、それには「土壌の物理性」「土壌の生物性」「土壌の化学性」の三つについて改善が不可欠であると話しました。「物理性」とは土の水はけや保水力など土自体の構造のこと、「生物性」とは、土の中にいる多様な微生物のこと、「化学性」とは、土の成分のことです。
 その後、三つの会員産地から「土と水の学校」の実践事例の報告が行われました。

①水稲実践事例報告
 宮城県 ㈲大郷グリーンファーマーズ
    副代表 西塚忠元
 三年前から取り組みを始めた西塚氏からは、鶏糞ボカシ堆肥、ミネラル資材、有機肥料、苦土肥料と生物活性水を使った実践について報告が行われました。次年度は、天候に合わせて追肥を二回に分けるなどの工夫を試みたいと結びました。

②野菜実践事例報告
山梨県 白州郷牧場    池原謙介
 二〇〇五年から取組みを開始した白州郷牧場では、インゲン栽培にBM堆肥と生物活性水の活用と、体積法による土壌分析と施肥設計を導入した結果、多収穫が実現したと報告がありました。特に生物活性水をほ場にふんだんに利用することと、追肥への応用で収穫量が爆発的に伸び、かつ微量要素欠乏や病気の発生もなく高品質の栽培ができたと報告しました。

③水稲・野菜・果樹実践事例報告
 山形県 ㈲ファーマーズクラブ赤とんぼ
   浅野厚司
 浅野氏からは、水稲育苗用の肥料づくりの取り組みが報告されました。自分たちの身の回りの材料で、自分たちに必要とするものを作りたいと、熱く語りました。そして、野菜栽培では、硝酸イオン数値が低く、食味・品質の向上が図れたこと、果樹では、従来の二倍の収穫量が見込めるようになったこと等が報告され、今後も高品質、多収穫を目指して、力を入れていきたいと結びました。
 小祝氏がそれぞれにコメントを寄せ、会場からの質問も寄せられて、活発な場となりました。

◆発表 千葉BM技術協会 会員の取組み発表
①「園芸福祉農場と野田市における循環型農業への取り組み」
・生活協同組合パルシステム千葉
  理事長  平野都代子
・野田市長   根本 崇
・NPO支援センターちば    飯島 弘子
 まず、パルシステム千葉の理事長である平野氏が、「いのち」と「くらし」を大事にしたいと口火をきりました。そして、人と環境にやさしい地域循環型社会の創造を目ざして、地域と生協がつながり合う場となろうと語り、野田市の根本市長を紹介しました。
 根本野田市長からは、野田市で園芸福祉農場を進めることになった経緯、自然に親しみながら農に取り組んでいたことから生協と結びついたことが話され、具体的な話は飯島氏につなげました。
 飯島氏は、野田市で目指している「FEC生活圏構想」(FOOD=食、ENERGY=地域資源、CARE=ケア・福祉)について説明し、これまでの取組み、今後の取組み目標を語りました。そして、地域循環型システムとして導入した BMW技術を使った栽培実践報告も行われました。食卓に届くものだから、みんなで栽培する喜びがあると語り、行政、生協、NPOを含めた地域ネットワークとして取り組んでいきたいと締めくくりました。

②「新生酪農クラブにおけるBMW技術活用の現状と課題」
新生酪農クラブ  鈴木 猛
 鈴木氏からは、都市近郊で酪農をすすめる新生酪農クラブで二〇〇〇年から導入したBMWプラントについて報告がありました。
 都市近郊地の酪農においては、悪臭対策が最も重要な課題となっています。BMW生物活性水の使用で、臭いは抑えられているが、現状では消臭剤としての利用にとどまっているので、今後は幅広く活用していきたいと話しました。
 それから、飼料の生産に取り組み始めた事例を報告し、飼料自給率の向上には酪農家以外からの支援が必要と訴えました。

③「資源循環型生産システムの取り組み」
 農事組合法人和郷園 環境事業部 相原秀基
 最初にビデオで、和郷園全体の取り組み、特にリサイクルセンターとバイオマスプラントについて、詳しく紹介がありました。
 相原氏からは、リサイクルセンターでは、牛糞と野菜残さを堆肥として生まれ変わらせていることが、そして、バイオマスプラントでは、消化液(メタン発酵液)を液体肥料として農地に還元していることが説明されました。バイオマスとは、未利用資源のこと。農林水産省から委託を受けて運営しているとのことです。未利用資源の有効活用を通じて、環境負荷を減らす実践をしていきたいと、締めくくりました。
 翌日の和郷園視察を控えて、期待が膨らむ報告となりました。

◆国産飼料自給化へのアプローチ 
●発表「国産未利用資源活用の発酵飼料開発」
 ㈱山梨自然学研究所  代表取締役 向山茂徳
 穀物の高騰や、トリインフルエンザの発生等の養鶏を巡る生産環境に対応し、採卵鶏を丈夫に育てたいという思いが、安全でよい飼料を探求するきっかけになったと、向山氏は話を始めました。
 向山氏は、有機畜産を目指し、アジアや北米など世界各地で飼料を探し回りましたが、結局、どれも課題があり、最後は国産の未利用資源を使って発酵飼料を開発することにした経過を説明しました。米ぬかやおから、生物活性水など、身近にあるものを使った発酵飼料です。データをとって研究し、バランスよく作ることが大切と語りました。ただ、日々安定した飼料を作り続けるためには、まだ様々な課題もあると報告しました。

◆食料・環境危機時代へ向けた提案
●発表「秋田県小坂町における地域循環型の農業・農村構想」
 ㈲ポークランド
 代表取締役 豊下勝彦
 最初に、養豚場を放映したテレビ番組のビデオが上映されました。豊下氏は、豚から見ると、人間はえさをくれるパートナー、仲間であると話します。豚舎に病気を持ち込まないよう、徹底した衛生管理のもと、大切に育てられている様子がわかりました。
 豊下氏は、地域を変えていこうという決意で、養豚業を一から始めたと語りました。えさについて疑問をもち、抗生物質の投与も現在ではやめていると言います。豚の糞を利用した堆肥を近くの農家に配るなど、養豚を中心に地域の循環を目指しています。自分たちの取り組みを誇りに思えるものにしたいと、熱く語りました。

●研究発表「BMW技術による生態系と一体となった循環型・自給自足生活」
~一年間の生物多様性検証結果を踏まえて~
 NPO生物多様性農業支援センター 副理事長
NPO法人田んぼ
   理事長  岩渕成紀
 岩渕氏は、茨城県の田中一作邸で、今年一年間、BMWシステムによる資源循環型水田の調査を行った結果を報告しました。
 その結果、田んぼの土壌成分分析結果では、田中邸の家庭雑排水を原料とする生物活性水が田んぼに流れ込むだけで、ほとんど問題なく稲は育つこと、水質調査ではBMW技術によって、微生物や原生動物をはじめとする生きものの生育環境が整えられ、浄化システムが機能していることがはっきりしたと報告がありました。
 それから、今年の一〇月に行われたラムサール条約で、水田決議が採択されたことに触れ、その経緯と重要性を紹介し、最後に、小さな田んぼの循環が、地球の大きな循環の要を握っているのでは、と締めくくりました。
 
 ●「BMの人々」ビデオ版や会員提供の飲料などを楽しんだ休憩時間
会議の合間の休憩時間には、会報アクアで紹介された「BMの人々」のビデオや、韓国のテレビ局で放送されたBMW技術を特集したビデオが上映されました。また、飲み物やデザートには、全国のBM生産者から提供された食品が提供され、ほっと一息つける時間を過ごせました。

◆パネルディスカッション
「食料・環境危機時代に、どう生産・生活・地域を変えていくか」

 今交流会を締めくくるパネルディスカッションは、最初に生産者と産直に取組む生協、有識者で構成されるパネラーから現状の経済や、生産環境を巡る状況等の課題を出し合う形で始まりました。会場参加者からも活発な質問や意見があり、「適正価格とは?」「食料自給率をなんとかしたい」等について議論が行われました。
 槌田氏は、「末期的石油文明をどう暮らすのか」と題した提言を寄せ、経済危機の本当の原因は世界の一握りの富豪が引き起こした結果と語りました。
 まず、農産物の適正価格の問題が取り上げられました。
 「消費者が望むものを作ると高額なものになってしまう」(豊下氏)、「一〇〇円で一万個売れていたものを一二八円にすると、三千個しか売れなくなる。これが現実」(向後氏)、「生協としては、組合員に現場を知ってもらい、生産者との話し合いで価格を調整している」(加藤氏)、「価格を安定させるには外国に頼っているだけではダメ」(若森氏)、「適正価格がわからなくなっている」(木内氏)と意見が出され、「需要曲線と供給曲線が交わるところが適正価格。その関係は対立でなはい」(槌田氏)とまとめられました。
 それから、関税の問題に移り、会場から「関税をなくすと日本の農家は成り立たない」と意見が出され、「日本でまかなえるはずなのに、外国のほうが安いから輸入している」(槌田氏)と現状の説明がされました。
 その後、農家の担い手不足ついて話し合われ、「生産収量が落ちなければ農家の減少は問題ない」(向後氏)と意見が出て、生協として農業への参入はどうあるべきかという話題になりました。生活クラブでは、「生産への労働参加」の形で実践が始まっていることが、会場から紹介されました。
 そして、「食料不足の中で消費者と生産者の関係は?」等の質問が会場から出され、「消費者と生産者が互いに双方の現状を理解することが大切。生協はその間をとりもち、地道な活動を続けることが必要」(若森氏)と語られました。
 最後にまとめが行われ、「漁業と農業の経済・物質循環の関係についても今後議論したい」(槌田氏)、「できるだけコストを下げる努力はしていくし、地域のことも守っていきたい」(豊下氏)、「いろいろな土地に足を運んで勉強したい」(向後氏)、「提携産地とのつきあい方を今より明確にしたい」(加藤氏)、「人と人とのつながりを大事にする生協は学習する組織でもある。林業、農業、漁業の三つを考えながら、未来につなげたい」(若森氏)と話し、木内氏が「交流の中に技術があり、みんなが参加することによって問題が解決されていく、個々の思いを述べるのはいい取組み」と締めくくりました。

◆総 括
 BM技術協会    常任理事 伊藤幸蔵
 伊藤氏は、今交流会を総括し、会場からの発言が活発でよかったと話し、技術的な発表のところは、もう少し質問の時間と説明があれば、さらに理解しやすかったのではと、課題を述べました。そして、理念のない技術、技術のない理念は社会を変えられない。BMW技術は、全てマニュアル化された技術ではなく、半分は自分の創意工夫が生かせる技術、あとの半分は自分たちで見つけよう、と語り、今回得たヒントを、地元に帰って生かしてほしいと結びました。

●21日交流懇親会、来年度開催地(茨城県)を発表
 交流会二日目も、一日目同様、会議終了後に交流懇親会が行われ、全国のBM協会会員生産者から提供された食材を使った料理が並びました。
 懇親会の最後には、協会の石澤理事長から、次回の交流会の開催地が茨城県に決定したと発表され、茨城県の協会会員のメンバーが紹介されました。会員を代表して、生活協同組合パルシステム茨城の小谷悠子理事長と、茨城BM自然塾塾長の清水澄BM技術協会常任理事から、来年の全国交流会開催を責任を持ってお引き受けしたいと、熱く抱負を語りました。

11 月 23 日 ・ 第 3 日目

◆現地視察会(和郷園)
 交流会三日目には、前日に発表のあった農事組合法人和郷園の視察が実施されました。
 和郷園の本部では、自然循環型農業を目指す和郷園全体の取組み説明を受けました。自分のものは自分で売ろう、生産者の自立を目指そう、という基本理念に添って運営されています。関連施設の説明をひととおり受け、GAPという取り組みの説明を聞きました。これは、よい農業のやり方を目指して、農業生産の工程管理を行うもので、和郷園の小見川農場が日本で初めて取得したとのこと。和郷園は、日本GAP協会の設立にも力を注ぎました。
 その小見川農場も見学しました。二六〇〇坪のハウスで、主に大葉とサンチュを栽培しています。年間通して出荷できるよう、通年計画を立てているそうです。
 冷凍野菜工場「さあや'S キッチン」は、家族に安心して食べてほしいという願いを込めて設立されました。旬の時期に収穫した野菜を冷凍することによって、おいしくて便利な食品になります。規格外の野菜は、カットセンターで調理しやすい状態に加工して、資源の有効利用を目指しています。
 リサイクルセンターでは、牛糞や食物残さなどの未利用資源(バイオマス)の利用法について研究を行っています。集めたバイオマスを処理して肥料にし、農地に還元する「自然循環型農業」を積極的に推進しています。
 昼食会場となった「風土村」では、バイキング形式の昼食をいただきました。冷凍野菜工場で作られた冷凍野菜の試食コーナーもあり、おいしくて有意義なランチとなりました。

 あっというまの三日間。中身の濃い、非常に有意義な交流会でした。自らが変わり、自分の身の回りから取組んでいくことが、今交流会のテーマとなっている「食料・環境危機に直面し、生産・生活・地域のあり方を変えよう」につながることを再認識した交流会となりました。
(取材:東條美香)

Author 事務局 : 2009年01月01日11:30

10月度協会常任理事会を山形県・米沢郷牧場で開催【AQUA204号】

ブロイラーの自給飼料実験や地元の岩石等を視察

 今年度、BM技術協会常任理事会は、各常任理事の地元を訪問し、BMW技術活用現場や現場での取組みを視察研修し、かつ地域の生産者の方々との交流や意見交換を図っていこう――と、各常任理事の持ち回り開催を行っています。
 一〇月二九日~三〇日に開催された常任理事会は、伊藤幸蔵常任理事の地元、山形県を訪問し、㈱米沢郷牧場の取組みや、今年、「土と水の学校」岩石講座で研修した採石場等を視察し、米沢郷牧場や、㈲ファーマーズクラブ赤とんぼの生産者の方々と交流・意見交換を行いました。
 現地での視察は二九日の午後から、米沢郷牧場の事務所近くの実験鶏舎からスタートしました。ここでは飼料自給化への取組みの実験が行われていました。自分達が持っている資材で自給飼料を作り、飼料を①配合飼料(五%~一〇%の制限給飼)、②くず米+配合飼料、③くず米+自家配合の飼料、④もみ米+自家配合の飼料、の四通りとし、それぞれを鶏(ブロイラー)に与えて生育状態、食いつき、飼料要求率などを比較してみるものでした。自家配合の飼料は、たんぱく質等のカロリー設計を行い、米ぬか、魚カス、大豆粉末をベースに生物活性水で発酵させた、自家製発酵飼料です。生育状況はどれも最初の計画よりも早く、中でも、②のくず米+配合飼料のものに関しては出荷標準の大きさになるのが特に早かったとのことです。また、配合飼料を使わないものでも、十分に出荷予定日数(五四日)以内で出荷基準に満たしているとのことでした。現段階では、③のくず米を使った飼料と、④のもみ米を使った飼料の自給率(魚カス、大豆粉末は購入資材)は約七〇%、今後、これで十分やって行けるのではないかと担当の石川さんは話されていました。
 続いて、七ヶ宿リムジン牧場へと移動し、生物活性水プラントと堆肥センターを視察しました。最初に視察した実験鶏舎の結果を見てからという事でしたが、ここに新たに飼料工場を作ることを検討していると、伊藤幸蔵常任理事は話していました。
 次にファーマーズクラブ赤とんぼの副代表を務める横山裕一さんの農場を視察しました。横山農場ではラ・フランス、サクランボ、リンゴを中心とした約二・二haの果樹を栽培しています。視察時は、リンゴの収穫が始まろうとしているところでした。BMW技術を使った取組みとして、ぼかし堆肥づくりを視察しました。米沢郷牧場の鶏糞堆肥に魚カス、カキ殻等を加え、生物活性水で水分調整をしています。生物活性水を使うことにより発酵が早まり、良質なぼかしができるようになったと、横山副代表は話します。このぼかしを使い始めてから、果樹の糖度が五%~七%の上昇したそうです。今後は農場内での循環を目指し、養鶏(ブロイラー)を始め、堆肥作りをはじめたいと横山副代表は話していました。
 最後に、地元高畠町で建築資材として使われている高畠石の石切り場を視察しました。ここは安山岩質の凝灰岩で、今でも手作業で石切りが行われています。今年の七月に行われた「土と水の学校」岩石講座以降、赤とんぼのメンバーを中心に、岩石に対しての関心が高まりつつあり、自分達の土地にある岩石を調べ、活用できるような形に向かって話し合いなどが始まっていると、伊藤常任理事は話していました。(報告:匠集団そら 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2009年01月01日11:29

10月度常任理事会報告【AQUA204号】

10月度常任理事会は、10月30日、南陽市で開催し、事務局から研修会報告や、各常任理事から情勢報告が行われた後、来年度のBMW技術全国交流会開催地、入退会申請の協議等が行われました。
 また、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会からは、田辺樹実開発部長から、渡部孝之常務理事へ協会常任理事交代の申請がなされ、渡部常務理事が協会常任理事に就任しました。

新会員紹介
(法人会員)福岡県・伊藤忠飼料㈱北九州支店

Author 事務局 : 2009年01月01日11:27

 
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