「有機認証取得がはじまりました。」第8回 【AQUA197号】

BM技術協会会員の最近の動向
有機認証取得が始まりました

第8回 福島県・会津美里町
(株)会津うまいもの塾
    代表取締役 佐藤 邦夫さん

有機認証所得日 2001年7月1日
有機認証面積  121アール

 BM技術協会では、これまで、自然生態系の保全・回復を目指し、資源循環型の農業技術の普及に取組んできました。三年前から会員の各産地で取組まれている~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座では、BMW技術を活かし、有機栽培技術の確立を図ろうとしています。アクアでは、有機農業に取組み、有機JAS認定を取得している協会会員・産地にJAS認定取得の動機や経緯、現在の「有機農業」を巡る動きについて、どう捉えているかインタビューを行っています。第八回は、福島県の(株)会津うまいもの塾・代表取締役で、稲作やトマトなどの有機栽培に取組む佐藤邦夫さんです。    (まとめ:礒田有治)

――有機栽培をはじめようと思ったきっかけと、経過についてお聞かせください。
佐藤 特別に有機栽培をしようという意識はありませんでした。普通に食べ物を作ろうとしたらそうなったということです。
――現在、有機栽培で、どんな作物に取組んでいますか。
佐藤 最初にトマトと柿、次に米、最近はニンニクも少々作り始めています。
――有機栽培では、どんな点に難しさを感じますか。
佐藤 普通の栽培と同じで、病害虫に一番悩みます。農家にできるのは、作物が育つ上で最善と思われる環境を整えることしかありません。植物はモノを言わないので推測するしかないのですが、何年やっても難しい。よく、病害虫の付かないような健全な作物を育てれば良いと言われますが、これも難しい。いまだに何が最善かわかりません。それから周囲に有機栽培に対する理解がなくてもいいんですが、以前隣で果樹栽培をされていて、スピードスプレヤーで農薬を撒き散らされて悩んだことがあります。あれは本当に困ります。
――有機認証については、どうして取得されようと思われたのですか。
佐藤 言葉には定義が必要だと思います。昔、有機農産物についてはいろんなトラブルや事件がありました。個人個人で言葉の中身が違うのでは困ります。まして、買ってもらう食べ物ですから、有機に対する社会的なルールができたのは一定に良いことだと思います。独りよがりでは仕方がないので、私も買って食べてくれる人に対する公的な説明のために取得することにしました。
――有機認証を取得する上での難しさや、現状の認証制度に対するご意見はありますか。
佐藤 有機は常にチェック、確認、記録です。それもすべて書類で行う必要があります。書くことが苦手な人やあまりにもルーズな人は難しいでしょう。普通の人なら取得できると思いますが、多少労力は必要です。ただ、何のために取得するのかは問題です。有利販売だけに目が行っているとしたら、少し考えてみたほうがいいと思います。どんな仕事でもそうでしょうが、最後はその人です。現在の認証制度については特別な意見はありませんが、有機という言葉の定義に抽象的な部分があるので、簡潔にわかりやすくしてほしいと思います。認定を受けている人でも、その通りに言える人は少ないのではないでしょうか。もう一つ、今後種についての規制が強化されると困ります。ないとは思うのですが、有機圃場で採取した種子しか認めない、などとされては難しくなります。
――大手量販店でも有機農産物の取扱いを増やす動きがありますが、それについて、どう思われますか。
佐藤 生産量が少ないので、私の生産物は対象になりませんが、歓迎です。有機農産物に対する認知度が広まればと期待します。同時に量販店で小分けの認証を取得するのが一般的になってくれると助かります。わずかですが、地元の量販店に出荷したとき、その店が認証を取っていないので、朝の収穫後、計量、袋詰、JASマークによる有機表示をし、ただちに届けなければならず、うんざりしました。小分け認証があれば、ダンボールで出荷できるし、店側も売れ行きに応じて商品を陳列できると思うので、取得してもらいたいものです。
――有機農業基本法が策定され、各県では、その施策の策定が進められていますが、行政に対して意見や要望はありますか。
佐藤 有機農業を支援するというのはよいことだと思います。福島県では、この法律の少し前から有機農業推進の取り組みを始めていて、勉強の場や生産者の集まる場を提供してくれています。先日は「水稲紙マルチ情報交換会」がありました。基本法についてですが、有機認証より有機の定義がゆるく、これを真に受けて有機だと思って栽培すると認証が取り消しになってしまうと思います。この部分を整理して進めてもらいたいと思います。
――有機栽培をはじめ、今後、どんなことに取組んでいきたいと考えておられますか。
佐藤 個人的には食べて喜んでもらえるものを作れればと思っています。地域で言うと、若い人に前面に出てもらい、活動してくれるようにしたいですね。先日、二〇代四人ほどで集まって情報交換の場を持つようにするということになったようなので、これがどうなるかです。引き継げるところは引き継いで、新たな取り組みをしてくれるようバックアップするつもりです。

Author 事務局 : 2008年06月01日16:15

四月度協会・常任理事会を山形で開催

四月度協会・常任理事会を山形で開催
元BM技術協会常任理事 伊藤幸吉氏逝去

 四月一九日、四月度BM技術協会常任理事会が山形県・南陽市で開催されました。常任理事会では、①二月に開始された千葉BM技術協会主催で行われた茨城BM自然塾視察研修会内容②三月に開催された~自然学を実践する「土と水の学校」運営及び企画・検討会議内容③三月開催の「土と水の学校」内容④パルシステム千葉及NPO支援センターちば運営の「園芸福祉農場」でのBMW技術講習会内容⑤千葉BM技術協会での全国交流会内容検討報告⑥国産鶏(採卵鶏)保全のための緊急集会開催のための実行委員会報告等の報告が行われました。
 このうち、~自然学を実践する~「土と水の学校」については、基礎講座と応用講座に分類し、BMW技術理論及びBMW技術の耕作畜産での活用法、有機栽培理論、各作物及び発酵飼料技術等の課題別技術交流を図っていく講座を開設することを確認しました。
 また、国産鶏保存については、種の保存の重要性を確認し、さらに各生協団体の連携と今後想定されるNON|GMO飼料等について協同した取組みができるか等の意見交換を行いました。
 続いて行われた協議では、①協会運営(役割分担、活動内容協議等)及び二〇〇七年度活動報告、二〇〇八年度活動方針について②第一八回BMW技術全国交流会について③入退会申請について④全国理事会開催日程について、協議が行われ、左記を確認しました。●協会運営
 理事会全体と常任理事、事務局の役割を区分し、常任理事については、各常任理事が課題別に答申を行っていくことを、方針案に盛り込む。
●第一八回BMW技術全国交流会
一一月二一日(金)~二三日(日)の三日間、千葉県の成田ビューホテルで開催。
●入退会申請
左記の方の入会が承認されました。
 入会 (個人会員) 福岡県・前田和義さん
●全国理事会
六月三〇日(月)東京・神楽坂の「研究者英語センター」で午後三時から開催。     
 常任理事会終了後、参加常任理事全員で、伊藤幸蔵常任理事のご尊父で一七日に逝去された元協会常任理事の伊藤幸吉氏の通夜に出席し、故人を偲びました。

元BM技術協会常任理事 伊藤幸吉氏 逝去
 伊藤幸蔵常任理事のご尊父・元協会常任理事の伊藤幸吉氏が四月一七日、ご逝去されました。
 一九日の通夜には、協会常任理事や匠集団そらを始め、協会関係者が出席し、翌二〇日の火葬の儀にも、常任理事らが出席しました。二二日には、五〇〇人以上の列席者の中、葬儀が執り行われました。BM技術協会の設立及びBMW技術の普及に大きく貢献された伊藤幸吉氏のご冥福を謹んでお祈りいたします。

 弔 辞
 伊藤幸吉さん
 あなたを失ってとても残念です。「先生よー」と言って話しかけてくるいつものあなたの声音が、今も私の耳朶に鳴っています。
 幸吉さんは心筋梗塞のために急遽バイパス手術を受けました。手術は信頼性の高い病院で行われ成功したのですが、しかしこの際に、心臓の血管を塞いでいた血栓が脳血管に流入して広範囲の脳梗塞を起こしてしまいました。さらに悪いことに、手術に伴う感染が生じました。三重の不幸としか言いようがありません。幸吉さんはこれら三重苦に対する闘病生活を余儀なくされ、この間のご家族の献身的な看護にもかかわらず、ついに私どものもとに戻ってくることができなくなってしまいました。
 幸吉さんと私が初めて出会ったのは、BMW技術の普及活動の中ででした。あなたと米沢郷牧場がこの技術に取り組んでくれたことが、普及活動の大きな弾みになりました。ここをいわばBMW技術の実験農場として、新しい農業のやり方と数々の技術の創意工夫が生まれました。あなたはBM技術協会の常任理事として、これを全国の農民のものにするために尽力してくださいました。米沢郷牧場は国の内外からの視察者の巡礼地となりました。あなたなしにBM技術協会の現在はなかった。こう申しても過言ではありません。幸吉さん、それからご家族と米沢郷牧場の皆さんに、心からお礼を申し述べます。
 伊藤幸吉さんの事績は、もとよりBM技術協会の活動に尽きるものではありません。あなたは戦後農政の解体と、新しい農業の勃興期を生き抜いた英雄の一人でした。昭和一九年に高畠町に生まれたあなたは、農家の長男として当たり前のように家業を継ぎました。そして、戦後農政と農協が進めた委託牛制度に乗って『バブル農業』に走り、これがオイルショックとともに大打撃をこうむるという経験をしたのだと聞いています。ここから、あなたは独力で、新たな農業の道を切り開いていくことになります。これが高畠の農家の同志たちや、生活協同組合を通じた消費者の皆さんの支持を得て、今日の営農と技術の体系の確立につながっていきました。この間の幸吉語録から二、三を引用します。「農民はよ、芸術家なんだから、新しい事をやらないと駄目なんだよ。」「新しい農業は資材の奴隷になっては駄目だ。牛や鶏の糞は宝の山よ。」そして、「五年以内には世界一の農民技術者集団を目指す。」
 幸吉さん
 あなたはかようにして、この時代を切り開きつつ生きてこられました。あえて申せば、なりふり構わず己の道を切り開いてきた、英雄豪傑でした。あなたを失って、一時代が終わったのだという感慨を持ちます。時あたかも、全世界的な資源と食糧の高騰の時代が始まっています。国民の日々の暮らしから食糧安保にいたる農業問題が、地球環境問題ともども世界政治の一大イシューになりつつあります。日本の農家もまさに「ここが我慢のしどころ」という時期に差し掛かっています。かような時に、あなたを失ったことがとても残念です。あなたの切り開いた道を、今度はあなたなしで、何とか引き継いでいきたいと思っています。
 伊藤幸吉さん
 同志としてさようならと申し上げます。
         平成二〇年四月二二日       BM技術協会 顧問  長崎 浩

Author 事務局 : 2008年06月01日16:11

パルシステム千葉 「BMW技術プラント視察・研修会」を野田市で開催

BMW技術の有効活用方法と行政・地域との連携事例を学ぶ
~パルシステム千葉 「BMW技術プラント視察・研修会」を野田市で開催~
               生活協同組合パルシステム千葉 経営企画室長 中根 裕

 パルシステム千葉では、千葉県野田市内で地域循環型農業を展開することを目的に、、東庄町にあった(有)千葉自然学研究所の「BMW技術プラント(生物活性水)」を今年一月、市内船形地区に移設、設置しました。二月二日に、岩石や堆肥を設置する起動式を行い、三月下旬には生物活性水の生産が始まることになりました。いよいよ活用段階に入ったことを受け、生物活性水の有効活用や今後の地域循環のあり方を学ぶために、三月二二日(土)、野田市の「園芸福祉」農場や、パルシステム千葉の店舗「のだあたご店」で、「BMW技術プラント視察・研修会」を開催しました。
 野田市では、二〇〇四年からパルシステム千葉とNPO支援センターちば(パルシステム千葉の関連団体)が中心となって、野田市役所や社会福祉協議会、市内の障がい者団体、ボランティアとともに「園芸福祉」農場を推進してきました。障がいのある方の社会参加の場、地域住民との世代間交流、退職後の地域活動参加、行政との連携など、園芸福祉には多くの社会的効果が盛り込まれています。この事業拡大の一環として、BMW技術を活用した地域循環型農業を目指すことを目的に任意団体「ウェル&グリーンファームのだ」を立ち上げ、将来的には福祉農場から生産農場までを担う法人組織として発展させていけるよう、取組みを進めています。こうした背景のもと、今回の「BMW技術プラント視察・研修会」が開催されました。
 研修会は、一三時から視察会、一四時から講演会という形で進められました。
 前半の視察会にはBM技術協会の石澤直士理事長と、パルシステム千葉の平野都代子理事長、渋澤温之専務理事をはじめ関係者(理事・関係職員)が参加しました。最初に園芸福祉農場である「おーい船形」(畑四・五反)での栽培状況を確認した後、今回新しく借りたBM実験農場(畑三反)を視察。活動内容や作付け状況等を確認しました。その後、移設されたBMプラントに移動し、一槽から六槽までのプラント内の生物活性水を比較するなど、実際の生物活性水の生産状況を確認しました。また、移設までの経緯説明を行い、園芸福祉活動の広がりを実感しました。
 後半の講演会は視察参加者に加え、「園芸福祉」農場でボランティアとして活動している「おーい船形促進隊」のメンバーが加わり、石澤理事長による講演が行われました。講演は、生物活性水の具体的活用方法と、BM技術協会が提唱している地域の土と水の再生について、二部構成で、お話をいただきました。
 トキワ養鶏グループでのBMW技術の具体的活用方法やその効果、岩木川を中心とした流域での地域ネットワーク構想についての説明、全国で取り組まれているBMW技術の活用事例、BMW技術を活用した農業現場などが小学校との連携による学習の場として活用されていること等、幅広い取組みが石澤理事長から紹介されました。
 生物活性水の活用についてはまだまだ研修段階ですが、今回の講演会でBMW技術に関する理解がさらに深まったのは間違いありません。野田市には酪農家から出る牛糞や醤油工場から出る粕などがあり、地元の資源を活用した地域循環型のシステム作りがこれからの課題といえるでしょう。
 また、野田市行政としては遊休農地の活用や堆肥作りに積極的な姿勢を打ち出しています。特に、野田市江川地区では㈱野田自然共生ファーム(野田市の第三セクターで農業生産法人)による遊休農地の市民農園化やビオトープの整備が進められています。パルシステム千葉やNPO支援センターちばも野田自然共生ファームと一緒になって、当該地域で米づくり体験に取り組むなど、具体的な連携が始まっています。今後、地域のさまざまな団体とのネットワークを強化して、地域循環型農業の確立を目指していきます。

研修会・講演報告
 パルシステム千葉「のだあたご店」会議室で開催された研修会には、パルシステム千葉理事や職員、NPO支援センターちば、「園芸福祉農場」関係者ら、合計二六人が参加しました。石澤理事長からは、「トキワ養鶏グループのBMW技術活用方法」の講演と、映画「白神の夢」ダイジェスト版上映の後、「世界遺産・白神山地の水を守る農業」と題して講演が行われました。参加者からは、生物活性水の農業や生活現場での具体的活用方法について、様々な質問が寄せられる活発な研修会となりました。
 パルシステム千葉の平野理事長、渋澤専務理事の挨拶、石澤理事長の講演内容の要旨を紹介します。

開会挨拶「野田市の発酵文化にふさわしいBMW技術」
パルシステム千葉
   平野都代子理事長
 BMW技術に代表されるような、循環型に基づく農業がパルシステムの産地では、行われ、多くの産地でBMW技術が農業に取り入れられています。こうした循環型の思想、産直の思想が私達の商品にも生きています。野田市は、江戸時代から、地元の土と水によって育てられた大豆を、微生物の力を借りて、発酵・醸造してお醤油をつくるという文化を持った土地です。まさに微生物の活動を利用したBMW技術が根づいていくのにふさわしい地域だと思っています。今回の生物活性水プラントの完成によって、今後はBMW技術を活用し、大消費地を控えた野田市と千葉県の中での地産池消を見据えた有機・循環型農業の基地になっていくという夢を持って、第一歩を記したいと思います。

講演要約
   BM技術協会 石澤直士理事長
①「トキワ養鶏グループのBMW技術活用方法」
 トキワ養鶏グループでは、現在、採卵養鶏を、四五万羽をゲージで、五万羽を平飼いで行っています。鶏は何年間か、地面で飼っていると、コクシジウムに感染する事が多く、それは、サルファ剤によってしか直せません。そのため養鶏は、病気を予防するために平飼いからゲージに変わってきました。しかし、BMW技術に出会い、床にBM堆肥を敷く事によって、平飼いが出来るようになりました。
 BMW技術を導入したのは、平成六年に大分県のグリーンファーム久住で、卵の白身を箸でつまんで、黄身が持ち上げる卵に出会ったのがきっかけです。自分もそうした卵をつくってみたいということからBMW技術を取り入れました。技術導入後、半年かかって、白身でつまんで持ち上げられる卵ができるようになりましたが、これは細胞膜が変わったためと考えています。細胞膜が変わるのは、BMW技術による水の力が大きく、BMの力を最大限生かすためには、ひよこから、導入することが重要です。野菜も種から利用が始まります。
 BMW技術を導入すると、家畜が健康になるだけでなく、良い堆肥ができるようになります。それを利用したら、なんでもできると思い、もともと行っていたリンゴ栽培に加え、ニンニク、トマト、野菜等、畑作に挑戦してきました。また、水田には、堆肥と合わせ、生物活性水を流し込んで利用しています。これまでの経験から、ニンニク栽培には、鶏糞堆肥がよく、リンゴには、豚糞堆肥が合います。牛糞と鶏糞を合わせると、さらによい堆肥ができます。
②「世界遺産・白神山地の水を守る農業『流域の土と水の再生』を」
 森から海までの水の循環は、青森でも千葉でも同じです。魚が川を登っていくことによって、上流の動物たちがそれを食べ、海のミネラルが、上流に返されます。しかし、現代社会では、山の人たちは、ダムのことを考え、河口の人たちは、ごみが流されてくることを考え、中流の人たちは、あまり考えようともしません。でもシジミや魚は、食べます。自然生態系のことを多くの日本人は、忘れてしまっています。ぜひ、もう一度思い出しましょう。BMW技術は、水の再生、再利用技術であり、土の再生技術です。水や土を生態系の水や土に再生します。BMW技術を理解すると、さまざまな活用法がその地域で生まれてきます。BM技術協会が目指しているのは、身近なことから、具体的に変えていくことです。そうすれば、同じ農業をやるにしても、楽しくやっていけます。
 現在、白神山地を源流とする岩木川流域の市町村が集まって、川を汚さず、再生するために何ができるかを考えています。その構想を流域の市町村に、提案しています(岩木川流域構想図参照)。上流・中流・下流の人々が連携し、生産・生活・地域のあり方を見直し、かつ、流域の農水産物の産直で提携している生活協同組合との連携が重要と考えています。

閉会挨拶「地域循環型モデルづくりにBMW技術を生かしたい」 
    パルシステム千葉 渋澤温之専務理事
 生物活性水を通して、この野田の地域でどんなことができるのか。これから皆さんとともに考えていきたいと思っています。二〇〇四年から、この野田で、NPOと生協と行政が連携して何か面白いことやりたい、地域循環型社会のモデルをつくりたいと始めたことが今、動き始めています。そこにこのプラントが絡み、今後色々なところに、BMW技術が生かされていくと思っています。今年一一月には、BMW技術全国交流会が、千葉県で開催されます。私たちも、この野田で、皆さんとともに、色々な成果をつくりあげていき、全国から集まっていらっしゃる会員の方々に報告したいと思っています。
  (報告:NPO支援センターちば 松浦光恵)

「生物活性水が地域のつながりの  中心を担う」  
    野田市の生物活性水プラントが完成
匠集団そら プラント事業部 秋山澄兄

 三月二二日、千葉県野田市船形地区の生物活性水施設において、生物活性水の完成式と今後の管理方法の学習会が行われました。
 二月二日に同所で行われた「起動式(アクア三月号参照)」、途中三月一日の培養調整時に行われた生物活性水の学習会を経て、約六週間の培養が終わり、水質検査をクリアして、生物活性水が完成しました。
 当日は起動式と同じく、野田市の生産者、園芸福祉農場の「おーい船形」のボランティアの方々や、パルシステム千葉及びNPO支援センターちばの方々、そしてBM技術協会から礒田有治事務局長、匠集団そらから星加、秋山が参加しました。 
 午前中、匠集団そらから施設の管理を担当する古谷さんに、管理方法を直接指導させて頂き、その後、参加された方全員の前で管理に関する説明を行いました。
 各槽(全六槽)の生物活性水を採水し、皆さんの前に並べて、色の違いや透明感の違いなどを比べて見ました。第一槽目から六槽目までの生物活性水の違いが目で見るだけで分ります。さらに計測器でEC、pH、亜硝酸態窒素の数値を計測しました。
 完成した生物活性水の水質は数値的に全く問題なく、すぐに利用できる状態ということを全員で確認することができました。
 起動式では自分達の手で堆肥や岩石を投入し、培養開始から途中経過を見ていたせいか、完成した生物活性水を手にした参加者の方達の笑顔からは、完成の喜びが伝わってきました。
 完成式を終わると、できあがったばかりの生物活性水をタンクに詰め、園芸福祉農場の圃場へと移動しました。
 圃場では生物活性水の具体的使用方法の研修として、BM技術協会の礒田事務局長から、生物活性水を利用した種子浸漬の方法が説明され、あらかじめ種子浸漬されていたレタスと、パセリの種子の状況を確認し、その種子を利用した播種を実践しました。
 プラ舟に、一、〇〇〇倍に希釈した生物活性水を入れ、培土の入ったトレーポットの底を浸け、表面に水分が浮き上がってくるまで待ちます。十分に水分を吸った状態でトレーポットを取り出し、レタスの種を植えました。余った種子は、参加者が持ち帰り、それぞれ播種して、苗を育て、福祉農場に植えたいと、参加者は話していました。
 このように実践的な生物活性水の利用方法について、今後は福祉農場のボランティアの方々や、地域の生産者の方々を対象に講習会を開催していく計画とのことでした。
 今回、施設の移設から生物活性水の完成までを、利用する皆さんと一緒に見届けたこと、また、ひとつの生物活性水施設及び生物活性水が地域のつながりの中心を担う役割として活用されていくことは、施設の施工に携わる者として非常に嬉しく思いますし、BM技術を広めるにあたって非常に重要なことでもあります。まだ完成したばかりで効果や成果がでるのは少し先になりますが、今後も地域での利用を広げ、「ウェル&グリーン・ファームのだ」の目指す「農のあるまちづくり=田園都市構想」、地域循環型農業の活動の輪を広げていっていただきたいと思います。

Author 事務局 : 2008年06月01日16:10

 
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