~ひろげよう『BMの世界』森から海へ~ 第17回BMW技術全国交流会【190号】

第一七回BMW技術全国交流会が、~ひろげよう『BMの世界』森から海へ~をテーマに、一一月一六日(金)~一七日(土)の二日間、宮城県松島町のホテル大観荘で開催されます。今回は、その概要を紹介いたします。

交流会開催地の宮城県からは、~宮城の農と暮らしの中のBMW技術~と題して、地元、みやぎBM技術協会会員が取組んでいる農業生産の現場や、生協・福祉活動での活用事例発表(①有畜複合経営で活用されるBMW技術:㈲大郷グリーンファーマーズ、②放牧豚、のら牛プロジェクトでのBMW技術:大崎あかべこ会、③福祉農場、組合員農園で活用されるBMW技術:社会福祉法人みんなの輪、生活協同組合あいコープみやぎ)が行われます。
また、宮城県・気仙沼湾で牡蠣養殖を行いながら、海に注ぐ水源の山に「森は海の恋人」を合言葉に植林運動を進めている畠山重篤氏をお招きしての特別講演が行われます。
名古屋大学の奥地拓生氏からは、この畠山氏が牡蠣養殖を行っている気仙沼湾と、交流会開催地の松島湾に注ぐ水をつくる岩石のストーリーを講演していただきます。
石澤直士BM技術協会理事長からは「流域の土と水の再生を」と題し、基調報告が行われ、長崎浩顧問からは、これまでのBM技術協会の活動を振り返り、その運動論と普及の特徴を、BMW技術のしくみを交えながら講演いただきます。
技術研究発表は、①「生物活性水によるクロレラ培養とその養鶏飼料化実験」について、㈱山梨自然学研究所と山梨大学の御園生拓教授から、②「バイオベット飼育によるアニマルウェルフェア規準に基づく飼育管理の実態と検証」と題して、㈲ポークランドから発表が行われます。
協会が各地の会員生産者と取組んでいる~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座報告では、これまでの成果と、各取組み産地から(①青森県・(農)八峰園【リンゴ】、②山形県・㈲ファーマーズクラブ赤とんぼ【キュウリ】、③宮城県・㈲大郷グリーンファーマーズ【水稲・トマト】、④新潟県・㈲謙信の郷【水稲】)の実践発表、そして「土と水の学校」講師の小祝政明先生から、「多収穫及び高品質栽培のポイント」の解説が行われます。
この他、会報アクアに連載した『水田の生態系を回復させる水づくり』で、インタビューを行ってきたパルシステム生活協同組合連合会の田崎愛知郎氏から、「田んぼの生き物調査プロジェクト報告」が行われます。
一七日の交流会会議終了後は、大郷町の㈲大郷グリーンファーマーズの平飼い養鶏と耕作との有畜複合農業と、福祉農場・米粉パン工場の現地視察が企画されています。

Author 事務局 : 2007年11月15日09:05

~自然学を実践する~ 「土と水の学校」【190号】

有機栽培講座 各地で圃場巡回研修を実施

 ~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が八月に協会会員の各産地で開催されました。同講座は、作物の植物生理を知り、植物生理に沿った施肥設計、栽培方法を学び、BMW技術を活用した農法を深化させるものです。「土と水の学校」講師の小祝政明先生を迎え、各産地では、栽培現場の巡回を中心に実践研修という形で講座が行われました。各地の講座内容を現地から報告します。

福島県・会津うまいもの塾
●揃ってきた稲の生育
 八月二四日(金)、会津うまいもの塾で「土と水の学校」有機栽培実践講座が開催され、昨年と比較し、稲の生育に生産者間のばらつきが減少したことなどが確認されました。
 「稲作りは秋から始まる。その対応は一律ではなく、個々の圃場条件に合わせて行う」。このことに取り組んで来て、生育はどうだったか、それを確認する圃場巡回から始まりました。
 会津うまいもの塾では、田んぼによって土の性質(砂質、粘土質など)は違い、かつ収穫後稲ワラを取り出す圃場、もみ殻を堆肥化して戻す圃場などさまざまな圃場があるため、状態に応じて腐植、ケイ酸、堆肥などを投入して物理的な改良をする事に加え、発酵鶏糞などの窒素分や石灰等のミネラルを入れて秋耕ないをすることに取組んできました。
 この取組みを確認する圃場巡回では、昨年、茎数や穂数がかなり少なく、肥料も流亡してみすぼらしかった圃場も「おお、今年はいいねえ」という具合で、まだ多少のばらつきはあるものの、各生産者の稲の状態は、昨年より格段に揃ってきました。
 途中、講師の小祝先生から「止め葉が長く飛び出ているのは窒素過剰です」と言われたことに対し、「えっ、生育が良いからではなかったのか?」と見方が間違っていたことを知ることもあり、見ながら学ぶことで身に付くことが多くありました。
●トマトは少量多潅水で
 トマトハウスでは、「気根が出ていますね。水不足です」と指摘され、潅水チューブの位置や潅水回数などを確認。潅水は計器で計測しながら行っているものの、現実には水分不足になっており、少量多潅水にしないと長期多収は難しいことが実感されました。また、このための植え付けや潅水チューブ配置などがアドバイスされ、ミネラル先行での施肥と併せて、来期のトマト作りの構想を練ることができました。
●生物性への対応とミネラル先行の施肥を
 巡回終了後の総評では、稲の育苗段階で立ち枯れ病が出たことについて、「酵母では抑えられない、放線菌がいい」とのアドバイスを受けました。物理性や化学性については少しわかってきたのですが、生物性については今後の課題となりました。また、視察先でのミネラルの使用方法についての質問では、「生育期間中ミネラル分を常に上限に保ち、窒素分は状態を見ながら与えるやり方です」とのことで、これも来期の野菜作りに活用できる方法になりそうです。
    (報告:会津うまいもの塾 佐藤 邦夫)


山形県・ファーマーズクラブ赤とんぼ
 ファーマーズクラブ赤とんぼでは、八月二五日、一四人が参加し、「土と水の学校」有機栽培講座が開催されました。前回は野菜栽培の基礎を学習しましたが、今回は、その実践と成果をキュウリの圃場で確認し、小祝先生から栽培のポイントを教えていただきました。午前中は、近野純さんと坂野忠彦さんのキュウリ圃場を巡回し、午後は、現場での課題や、参加者からの質問を中心に講座が行われました。
●窒素切れと病気の発生予防
 キュウリ栽培では、施肥の方法、水管理、微生物の使い方のほかツルや葉の仕立て方を学習しました。キュウリは窒素を多く必要とするため、常に有機肥料が残っている状態にし、酵母菌使用により液状化を促進させ早く吸収させることや、有機肥料に堆肥を混ぜてやることによって、堆肥中に含まれた放線菌がカビなどの病原菌の発生を抑える効果があり、また、生物活性水原液を入れることによって放線菌が増え、さらに効果が上げることを学習しました。
●水管理と追肥のポイント
 生物活性水使用は肥料が正常に液状化することにも役立ちます。潅水は根腐れをおこさないようにし、常時湿っている状態を保つためPFメータを使用し適正値を保つことが重要で、圃場にあった水管理を覚える必要があります。  キュウリの葉の状態が悪い場合は、ケイ酸を使用することにより表面がパリパリとなり病気が付きにくく良好になることや、炭水化物量が不足すると油分が足りなくなり、つやがなくなるため追肥時に土壌分析をして苦土を入れることが必要でした。葉の裏側が薄く抜けているところが目立つときはマンガンが不足している場合があることや葉が混雑して光を受けないところが多くなったら古い葉を除去し新しい葉を増やしていくなど、ミネラル肥料に加え、葉の仕立て方も学びました。
●トマトの香りとコクを良くする硫黄
 トマト栽培ではキュウリと同様に水を多く必要とすることや、香りとコクを良くするには硫黄分が必要で硫酸苦土を設計の上限値まで入れるのが良いなどを学びました。
 女性の参加者からは、「来年からキュウリを栽培する上で、施肥や水管理など、とても勉強になり早く実践で覚えていきたい」、「自分の圃場と比較でき、とても参考になったことや来年は葉をバランスよくするための『切り戻し』をやりたい」など意欲的な感想があり、今後の野菜栽培の技術向上につながる学習会になりました。
 各生産者が施肥設計をものにし、圃場にあった管理を早く身に着ければ安定した収量と収入が期待されます。基本を忠実に実践していきたいと思います。
 次回は一〇月二八日の開催になりますが、一年間の締めくくりとして、反省点や疑問点を重点に進めたいと思います。
(報告:ファーマーズクラブ赤とんぼ 武田 和敏)


宮城県・みやぎBM技術協会
 八月二九日、みやぎBM技術協会では、今年二回目となる「土と水の学校」有機栽培講座を開催し、会員生産者ら約二〇人が参加しました。今回の講座は、小祝政明先生、礒田有治BM協会事務局長の指導の下、大郷グリーンファーマーズと、迫ナチュラルファームの圃場巡回を中心に実施しました。
 まず初めに、大郷グリーンファーマーズの西塚さんの生物活性水を利用した液肥を見てもらいました。生物活性水を二倍に希釈したものに、有機肥料(オーガニック8:5:3)などを入れたものです。前日に曝気を始めたばかりだったので三日程して悪臭がしなければ大丈夫との事でした。
●トマト栽培、潅水と換気に細心の注意と、ミネラル先行の追肥を
 次にトマト圃場を視察しました。今年は三〇度Cを越す暑い日が続いたため、潅水量が不足したことと、ハウス全体に熱気がこもってしまい花付きが悪くなったり、葉がハモグリバエに食べられたりと、今までにはあまり見られない被害がありました。
 前回指摘されて改善をしていたのですが、潅水の量と換気については、細心の注意を払わなければならないと思いました。害虫については、追肥をした際に、苦土やカルシウムなどのミネラル肥料よりも窒素肥料を先に効かせてしまっていたのが原因と指摘されました。
 ナスは、木々に囲まれた中で栽培していたので風通りが悪く、カビの心配もあり、潅水も出来ないので、場所を変えたほうがいいとの事でした。栽培方法についても、ナスに日光が当たるように、葉を掻きすぎていたので、小祝先生は「光合成は葉で行うので、風通しを良くする程度に下葉を掻き取ること」とアドバイスをいただきました。
 水稲では、根の張り具合が良く、太いものも多くなってきていました。もう少し根が白くなってくると穂に透明感が出てくると指摘されました。昨年に比べ、茎も太くなってきており、ガッチリした稲株が出来ていました。
 ただし、無農薬の圃場では除草の問題をどうにかしないと、稲の光合成の邪魔になり、美味しい米も出来ないし、もちろん収量も上がらない等と厳しいお言葉をいただきました。
 続いて場所を迫ナチュラルファームの圃場に移しトマト、ナス、キュウリを視察しました。
 トマトは大郷グリーンファーマーズと同様、潅水、換気を注意され、ナスはミネラルが良く効いていると、お褒めのお言葉をいただきました。
 キュウリは、前回指摘されたネコブセンチュウを良質堆肥と放線菌で土壌養生を行い、かなり抑える事が出来ていました。しかし、早く出荷できるようにとハウスを閉め、蒸らしたことで節間が伸びていました。結局収穫は早まらず、節間が伸びるだけなので温度管理には十分気を付けるようにとの事でした。
 最後に今回のまとめを行い、小祝先生から、施肥設計はだいたいよく出来ているが、管理に課題があり、以下のアドバイスをいただきました。
 果菜類では施肥、潅水の場所、換気の問題。これについては作付けの仕方を複条から単条にし、潅水と施肥を両側の根から吸収できるようにすればよいと指導されました。単条によって、風の通り道も出来るので換気も良くなるとの事でした。
 稲作では、除草の対策として、強アルカリ資材を使った方法もあると教えていただいたので来年試してみようと思います。
 今回の講座を通じ、ミネラル肥料と、微量要素の意味と役割を十分理解し、水が一番の肥料だと思い知りました。
 生物活性水の有効利用に関しては、まだまだこれからですが、作物ごとに合った生物活性水を作って試していきたいと思います。
(報告:大郷グリーンファーマーズ 熊谷 剛介)

新潟県・謙信の郷
 早生刈りがもう始まっている八月三一日、「土と水の学校」有機栽培講座が小祝先生を講師に実施されました。
 今回の講座は、各生産者の田んぼを巡回する現地研修を中心に実施しました。テーマは「刈り取り直前の稲の根」です。
 田植え後から根の診断を始めましたが、八月の高温障害に負けない稲作りを目指すには、太い根がしっかりと生きていること、それが登熟に必要な養分やミネラルを最後までしっかりと吸える稲になります。根がしっかりとしていないと、収量や品質は勿論ですが大切な食味に影響します。
●稲の根が切断された田んぼの中干し
 現地研修は、頚城区管内の田んぼの巡回からスタートしました。最初に葉の色が退色している稲を検証しました。この稲を掘って調べると、根が途中で切れていることが分かりました。葉の退色は、根が切れたため、生育中の水分不足が栄養補給に支障をきたした結果であると診断しました。根が細かく切れているのは、田んぼの中干しをし過ぎたためではないかと、小祝先生から指摘されました。さらに、元肥量から考えてもう少し、積極的に穂肥を施すべきではなかったかと、アドバイスを受けました。
 続いてまだ、田んぼに水がある稲を診断しました。これは驚いたことに根が白くて太く、根が切断された形跡はありませんでした。葉の色の退色もほとんどなく、健全な稲でした。初期成育も大事ですがその後の特に七月、八月の高温時の水分補給による根の管理の大切さを痛感しました。
●苦土による葉色に惑わされない穂肥の判断
 その後は三和区の各々の圃場を巡回し、根の状態、葉の色、固さ、などを診断しました。
 巡回終了後は、三和区神田の集落センターに集合し、それぞれの圃場で採取した稲を比較しながら、まとめの講義が行われました。
 また、各地の優良事例を見ながら、小祝先生から、より高度な稲作診断について解説が行われました。中でも、苦土(Mg)を施した場合の適正穂肥については、葉の色の濃さに惑わされず、色、草丈、固さ、気候などから総合判断して、施肥することが重要であると学びました。
   (報告:謙信の郷 峯村 正文)

Author 事務局 : 2007年11月15日09:02

「有機認証取得がはじまりました。」第1回  【AQUA190号】

BM技術協会会員の最近の動向
「有機認証取得がはじまりました。」第1回
 ㈲白州森と水の里センター 代表取締役 高草木 里香さん

食品への安全性が揺らぐ事件が国内外で相次いで発生する中、大手スーパーや食品メーカーが、消費者に「安全・安心」を訴えるため、有機農産物の販売の拡大、有機加工食品の開発に本格的に乗り出そうとしています(八月一二日付、日本経済新聞一面)。しかし、国内の有機農産物生産量は、全体の〇・一六%(平成一七年度)に過ぎません。今後、大手スーパー間、また、産直を中心に安全な農産物を売り物としてきた生協等を中心とした流通間で、国内外の有機農産物、有機食品を巡っての動向が注目されています。一方、昨年、有機農業基本法が制定され、これに基づき、国や各県では、基本施策の策定や調査作業に入っています。
BM技術協会では、これまで、自然生態系の保全・回復を目指し、資源循環型の農業技術の普及に取組んできました。二年前から会員の各産地で取組まれている~自然学を実践する~「土と水の学校」では、BMW技術を活かし、有機栽培技術の確立を図ろうとしています。
そこで、今回から有機農業に取組み、有機JAS認定を取得している協会会員・産地にJAS認定取得の動機や経緯、現在の「有機農業」を巡る動きについて、どう捉えているかインタビューを行っていきます。第一回は、山梨県・㈲白州森と水の里センター代表取締役の高草木里香さんです。   (まとめ:井上忠彦)

――白州郷牧場で有機認証を取得しようと思った動機をお聞かせ下さい。
高草木 白州郷牧場では「キララの学校」という子供たちのための自然学校を二五年ほど前から行っています。有機認証機関という第三者にちゃんと認められた形で、いままで継続してきた有機農業を「キララの学校」に来る子供や父兄に伝えたいと思って、有機JAS認証を取得することにしました。
――昨年、有機農業基本法が成立しましたが、これについてはどうお考えですか?
高草木 いまのところ取引的な影響はありませんね。でもこれがきっかけになって有機に対する理解が広がればいいと思っています。そうなるかどうかは消費者がほんとうに有機農産物を求めているのかということがポイントでしょう。生産者側から見ると、ヨーロッパのような行政の補助なしに個人の努力だけで農家が慣行栽培から有機に転換するというのはかなり難しいのではないかという気がします。
――白州における有機農業の特徴はどういうことでしょうか?
高草木 「キララの学校」に来る子供たちのために、畑が教室・教材になるようにしています。例えば一年を通じていろいろな野菜を子供たちにみせられるように、水ナス、サンチュ、インゲン、ホウレン草など、三、四〇品目の多品目栽培をしています。また、学校の開催時期に合わせて定植や収穫時期を調整することもあります。畑も、まず子供が入って安全なことが基本です。野菜を畑でそのまま食べられるように無農薬栽培ですし、子供が裸足で土の上を走り回っていいように化学肥料もまったく使いません。
――畑が教室ですか。
高草木 自然に触れ、自然を知る教室です。自然は人間の知らないことだらけですから。でも人間が知恵を絞って工夫をしていくことで、想像もしなかったものすごいことも起きる。そういうことを子供たちに伝えたいです。命に触れられる場所というか。
 有機農業のポイントも「自然をよく知る」ことだと思っています。養鶏なら鶏本来の能力を発揮できるような環境を作ってあげること。たとえば、狭いところに閉じこめないでのびのびと育つ環境は鶏にも必要なはずですよね、人間と同じように。自由に歩き回れるスペースを確保して、仲間の鶏といっしょに太陽の光を浴びて、風にもあたって走りまわって…そうすれば別に薬をあげなくても病気をしないでちゃんと健康に鶏は育つわけです。
 野菜の育て方も同じことなんです。無理をさせないで、その地域の風土にあった作物を選択して育てる。その植物の特性にあった環境を整えてやる、土をつくってやる。それって自然を学ぶことだし、自然と人とがどう関わっていくかを学ぶことです。わたしたちも勉強しながらやっています。
――そういう農業に多くの農家が転換できないのはなぜでしょう?
高草木 効率とリスクじゃないですか。天候でまったく成績が変わりますし、病気がでれば全滅もありうるわけだから。また買う人の理解も必要ですね。野菜の見ためが不揃いだったり、虫喰いがあったりもしますから。有機農業の意味というのは、ただ単に食料をつくるということだけではなく、環境に負担をかけず保全することにもある点を消費者に理解してもらう必要があるでしょうね。
――大手スーパーが有機JAS認証商品専門コーナーの設置や取り扱いの拡大を始めようとしています。これらの動向についてどうお考えですか?
高草木 これも有機について消費者が考えるひとつのきっかけや窓口になればいいですね。
――たとえば「オーガニック・ギルド」の商品価格は通常の二倍程度といわれています。有機の場合、成功すれば付加価値がつけやすいということはありますか?
高草木 「オーガニック・ギルド」が扱うのは加工品ですよね。有機農産物だって日本での生鮮野菜の価格は安いですよ。慣行栽培の二倍の価格にはなかなかならないです。
――土と水の学校は、「Radixの会」が主催だった「小祝塾」から含めて、すでに白州で十回以上開催されていますね。どんな効果がありましたか?
高草木 土壌分析によって収量、品質ともにあがりました。果菜や葉物など品目にもよりますが、以前より収量が二~三倍になったものもあります。野菜のとろけが少なくなり、軟弱さがなくなりました。また病気が入りにくくなりました。
――具体的にどんな取組みがありましたか?
高草木 まず苦土成分が足りない、と。でも土壌分析以前に生物活性水とBM堆肥が白州のベースにあったから、みるみると土壌改良の効果がでたんだと思います。土の微量要素によって生育のバランスがとれて。ただBMW技術でやっているとそれだけでも量がとれるから、普通よりも土中から微量要素を吸い過ぎて早くなくなっちゃうということもありますね。だからきちんと補わないといけないです。
――有機農業の今後のあり方についてはどう思われますか?
高草木 これから石油がなくなるとまず直接的に起こる事態は食料危機だといわれています。化学肥料がなくなるし、農作業する燃料もなくなる。そうなるときちんと循環できてエネルギー投入の少ない持続可能な有機農業でいくしかないかもしれません。
 エネルギーの面から農業を考えていくというのは新しい切り口じゃないかと思います。主観的な「おいしさ」や定義のまちまちな「安全」ではなく、生産量に対してどのくらいのエネルギーが必要かという客観的な数値としてわかることですから。かってキューバも石油危機で有機農業にむかったんですよ。
――今後の抱負はどんなことでしょう?
高草木 安定して技術を底上げしていきたいと思います。また教育の面で「子供たちの畑」ということももっと掘り下げていきたいですね。

Author 事務局 : 2007年10月01日09:08

第17回BMW技術全国交流会開催にあたって 【AQUA190号】

第一七回BMW技術実行委員会
実行委員長 西塚忠元

 BMW技術全国交流会は、東北地方で五回目の開催となりますが、宮城県では初めての開催となります。宮城では、昨年、~自然学を実践する~「土と水の学校」の取組みを開始いたしました。それ以降、BMW技術への関心が広がり、これまでの積み重ねを基に今年二月に「みやぎBM技術協会」が結成されました。県内の取組みは、畑、田んぼ、鶏・豚・牛、市民農園、福祉農場等と多岐にわたっておりますが、未だ始まったばかりであり、全国の会員の皆様には、取組んでいるとの報告にしかなりませんが、これをきっかけに、その輪を広げていきたいと考えております。また、宮城県で、全国に先駆けて海と森を再生するために「森は海の恋人」を合言葉に、植林事業に取組んでいる牡蠣養殖業の畠山重篤氏をお招きし、特別講演をお願いしております。
 今交流会は、~ひろげよう『BMの世界』森から海へ~を統一テーマとしました。BMW技術を森から海へつなげていく世界が、新たな切り口から語られると思います。
 より多くの会員及び関係者の方々が、人や技術の交流が図れる場にしたいと、実行委員会一同準備を進めております。皆様のご参加をお待ちしております。

Author 事務局 : 2007年10月01日09:06

 
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