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2005年12月01日

AQUA168号 トップ記事

第一五回BMW技術全国交流会が、「BMW技術の新たな可能性をさぐる」と題して、一一月一八日(金)、一九日(土)の二日間、岩手県盛岡市の温泉地にあるホテル紫苑で行われました。
 全国交流会には、全国各地また韓国、タイとBMW技術の普及が行われているアジアの国からおよそ二五〇名が参加しました。
 アクアでは全国交流会の様子を写真と共に報告いたします。発表内容等の詳細については、後日出版されます発表記録集にまとめられる予定です。(報告者 長倉徳生)

 全国交流会は、実行委員長豊下勝彦氏(BM技術協会理事・(有)ポークランド代表取締役)の開会宣言で始まり、石澤直士BM技術協会理事長の開会挨拶(四頁に掲載)、小田桐智高青森県藤崎町町長の挨拶(五頁に要約掲載)、増田寛也岩手県知事のメッセージ紹介(四頁に掲載)と続きました。
 その後、長崎浩BM技術協会会長の講演「BMW技術の概要と新しい動向」が行われました。BMW技術の概要説明は写真、図を使って初心者にも分かりやすい形で行われました。その後、BMW技術の新しい動向として、今年度の以下の四つの活動方針について解説が行われました。
○地域の水を再生し、地域生態系に戻す
○BMW農法を深化させる
○農業・自然体験教育の推進
○海外各国との連携
 続いて活動方針の一つである「地域の水を再生し、地域生態系に戻す」取り組みである農業集落排水処理施設の改善事例報告が二つ行われました。一つは石川県能美市ですでに完成している例を、佛田利弘協会理事((有)北陸自然学研究所代表取締役)が報告しました。二つ目は青森県藤崎町で行った実証実験の報告を星加浩二氏((株)匠集団そらプラント事業部長)が行いました。実際に稼働している石川県能美市の農業集落排水処理施設ではBMW技術導入によって悪臭防止、余剰汚泥の減容に大きな効果がある事が実証されました。実験を行った青森県藤崎町の農業集落排水処理施設でも、短期間で悪臭防止の効果を示す事ができました。
 次に「BMW技術で新たなライフスタイル~農とくらしがひとつになる生活」栃木県松井ファームの松井眞一氏、「東京・銀座で情報発信~ものづくりの心と文化を届けたい」山梨県やまなし自然塾小野恵子氏(明日香会会長)、「地元で生き、地元に伝える~田んぼや畑で広がる食育の輪」香川県山下農場・山下進氏の発表が続きました。
 松井氏は勤めをやめ夫婦二人で農業を始めた理由や有機栽培での野菜、米作り、家庭雑排水を生物活性水にして、様々な利用をする等具体的な循環型の農業、暮らしについて説明しました。
 小野氏は今年九月にやまなし自然塾が東京・銀座で行った「やまなしの食と水と森の祭典・東京キャンペーン」の報告を中心に、自然塾の活動等を紹介しました。
 山下氏は、なぜ地域で食育に取り組んでいるのかを説明し、当初フリースクールの子供達が作っているバンドの演奏の場として行った「れんげ畑祭り」が今年八回目を迎え地域のイベントとして定着するまでの経緯等を紹介しました。
 一日目の最後には韓国霊南大学校生命工学研究所の金美京(キム・ミギョン)教授による特別講演「生物活性水を応用した微細藻類の培養研究」が行われました。
 金教授は藻類の培養液に生物活性水を添加することによって、アミノ酸の合成率が高まる等の結果を発表しました。
 懇親会では、盛岡さんさ踊りの紹介、会場からの参加で食べたわんこそばの数をきそうイベントが行われました。
 二日目は「BMW技術による農法をどう深化させるか~自然学を実践する『土と水の学校』から」と題して、各地の研究実験の報告等が行われました。
 「土と水の学校」は今年の活動方針の一つである「BMW農法を深化させる」ために、今年の春から各地で続けられてきました。それぞれの産地が対象品目を選び、講師である小祝政明氏(㈱ジャパンバイオファーム代表取締役)の有機栽培理論を適応する形で栽培を行ってきました。
 最初にコーディネーターを務める清水澄協会常任理事((有)茨城BM代表取締役)が有機栽培を基本とした耕作農業の基本理論をまず学んで実践し、BM堆肥や生物活性水の有効利用を図る事が目的、と今回の「土と水の学校」の目的について説明しました。
 「土と水の学校」の講師を務めた小祝氏は「BMW技術と植物生理の実際と理論」と題し、各地の研究実験結果の発表を前に、光合成で作られた炭水化物が植物の体内で様々な物質に変化している事等、植物の生理について解説しました。
 その後、農事組合法人八峰園(青森県)の古川治氏、(有)十和田湖高原ファーム(秋田県)の板橋一成氏、JAかづの(秋田県)営農部佐藤義弘氏、(有)ファーマーズクラブ赤とんぼ(山形県)の浅野厚司氏、(有)会津美里農園(福島)の児島三雄氏、(有)茨城BMの多多納勝行氏の研究実験結果の発表が行われました。
 この発表はこれまで行ってきた生物活性水の利用等BM農法に、小祝氏の有機栽培理論に基づいた体積法による土壌分析を行い、肥料要素や微量要素を適宜、元肥、追肥として与えるものです。使用する資材、量はパソコンを使って決めていきます。
 八峰園ではトマトを実験品目の一つとして選びました。実験の結果、昨年に比べ収量が増えた事、品質が改善された事が発表されました。また、途中尻ぐされの症状が出たが、土壌分析を行い石灰の施用の結果解消されたと報告しました。
 十和田湖高原ファームではキュウリを実験品目の一つに選びました。苗一本あたりの収穫量が一四・〇五キロと周辺の平均収穫量約一〇キロを上回りました。曲がった実が少なかった、との報告もされました。
 JAかづのは、キュウリを実験品目に選びました。収穫前追肥の遅れにより前半収量が少なかったものの、九月、一〇月は収量ものびた事が報告されました。こまめな土壌分析、追肥を行う事によって、多収穫がねらえる、と報告はまとめられました。
 ファーマーズクラブ赤とんぼではコメを実験品目としました。ひとめぼれの紙マルチ栽培の報告では、対象区九・二俵に対し、実験区で一〇・一俵穫れ、初期成育が遅れる心配のある紙マルチ栽培でも多収穫りが期待できそう、と報告されました。
 会津美里農園では、コメ、大豆を実験品目として選びました。水稲の直播無農薬栽培の田んぼでは九・五俵が収穫され、「これだけ穫れれば十分」との評価もあるが、やり方次第では直播無農薬栽培でも高収量が可能、と報告はまとめられました。
 茨城BMでは、サツマイモを実験品目として選びました。収量は反当たり約二トン、形状は形のそろったものが穫れ、紅あずまの特徴である鮮やかな紅色がよく出ていた、と報告されました。
 休憩をはさんで、BMW技術による畜産事例研究の発表が行われました。
 養鶏分野では(有)ヨコテ(福岡県)の横手俊郎代表取締役が「BMW技術によるコクシジウム対策」と題して発表を行いました。
 横手氏は、手探りで生物活性水を活用してコクシジウムを克服した体験を語りました。
 養豚分野では(有)ポークランド(秋田)から菅原幸治氏の発表がありました。バイオベットについての実験、実証についての報告が昨年の交流会に続いて行われました。
 バイオベットは自然浄化作用をつかった糞尿処理システムの事で、床にBM堆肥が使われています。そのため、床に排泄された豚の糞尿は、バクテリアにより分解されていきます。
 今年八月からは新しい豚舎に四〇〇頭の豚を飼育しました。結果は良好で、今後適切な床の厚さ、床材、撹拌方法等を得るために実験を続けていくと報告をまとめました。
 茨城県岩渕農場の岩渕勉氏は「BMW技術の畜産での応用」と題して、繁殖牛の例について発表しました。
 岩渕農場では飲水改善プラントと生物活性水プラントを導入しています。飲水改善の結果、畜舎内の臭気が減った、子牛の下痢が減少した、子牛の飼料効率がアップした、という効果があった事が報告されました。また、生物活性水を堆肥に散布する事により約一ヶ月で放線菌が全体に回るなど、発酵のスピードが上がった事などが報告されました。
 午後からは今年新たに会員になった、小岩井農牧の資料館等を視察し、今年のBMW技術全国交流会を終えました。
 今回の全国交流会では、休憩時間にそれぞれの産地からジュース、ヨーグルト等が提供され、好評をえていました。また、懇親会の席には、「土と水の学校」に参加した産地の生産物などが料理され、試食用に並べられました。

Author 事務局 : 2005年12月01日 08:55

 
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