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2007年01月17日

あいコープみやぎで田畑教室を開催

「土と水の学校」の具体的成果を報告

 昨年11月30日(木)に仙台市の青年文化センターにおいて、生活協同組合あいコープみやぎ主催の「田畑教室・BM技術と有機栽培の可能性《あっとおどろく全国の事例から》」が開催されました。あいコープみやぎの組合員、生産者等54名が集まり、礒田有治BM技術協会事務局長の講演、地元生産者が取組んできた~自然学を実践する~「土と水の学校」の報告等が行われました。

 あいコープみやぎの小野瀬裕義専務(BM技術協会理事)から今回の田畑教室の説明が行われた後、長崎浩BM技術協会会長が挨拶を行いました。長崎会長は、BM技術協会のこれまでの流れを簡単に説明した後、BMW技術は農業現場だけでなく自然環境保全全般に使える技術である事を強調しました。
 続いて礒田事務局長の講演が行われました。講演では、BMW技術は、地域の土と水の再生をすすめる具体化技術であり、資源と人間の輪と技術が循環する地域ミクロコスモスづくりを目指す目的を持った技術である事、当初、畜産での悪臭・公害対策として始まったBMW技術の活用は現在、①畜産の飲水改善、排水処理等「水の再生技術」②畜産糞尿や生活雑排水等を原料にした生物活性水の利用等「水の再利用技術」③畜産糞尿を原料としたBM堆肥、生物活性水を利用した土づくり等「土の再生技術」、の三つに分類できる、と解説しました。
 11月に行われたBMW技術全国交流会では、今後、河川流域の土と水を再生する活動に向かっていく事が基調報告等で提案された事を報告し、この活動は河川の源流部、中流の農村地域、下流の都市部それぞれが個別に行うのではなく、連携して土と水の再生を行う事が必要で、それぞれが取組むべき課題があると、具体例を上げて説明を行いました。
 一昨年から、協会会員産地の協力で取組まれている~自然学を実践する~「土と水の学校」の内容については、次の通り、説明が行われました。「土づくりには物理性、生物性、化学性の三要素があり、これまで耕作農業では物理性、生物性の改善については、生物活性水、BM堆肥の活用で対応してきた。しかし、化学性の改善については、取組みが不十分だったため、これに焦点をあて、『土と水の学校』で学習してきた。具体的には、土壌分析によって土の成分を知り、植物生理に基づいて過不足ないように施肥をする事を実践してきた。その上で生物活性水、BM堆肥の効果的な活用を図る事を目標にしている」。
 この後、各地で取組まれている「土と水の学校」での、具体的成果について、パワーポイントで、紹介が行われました。また、BMW技術による耕作農業技術の確立に向け、留意すべき事項と課題について以下の点を上げました。
 ①堆肥の特性を知る事。使用する堆肥が栄養成長向きのものか生殖成長向きのものなのか、堆肥の成分特性を知る事。そうした事によって、使用時期、適正使用量が分かり、過剰使用による弊害を防ぐ事ができる②成分に特徴を持たせた堆肥の開発。糞尿を処分するという考えでなく、作物に合わせて積極的に堆肥を作っていく事が必要③できた生物活性水をどう使うかという事だけでなく、使い道に合わせた生物活性水の製造、そのための研究、等。
 礒田事務局長は、こうした取組みを化学性の改善技術をマスターしたところからやっていきたい。この事が有機農業技術と土の再生技術の確立につながる、と講演を締めくくりました。
 続いて、一年間「土と水の学校」に取組んできた、あいコープみやぎの生産者、迫ナチュラルファームの菅原隆一氏、大郷グリーンファーマーズの熊谷剛介氏の報告が行われました。
 迫ナチュラルファームでは、今年の土壌検査の結果、石灰、リン酸の過剰、微量要素の欠乏が多く見つかり土壌分析の必要性を再確認した事、この結果に基づきキュウリはリン酸を控え、苦土を積極的に施肥した結果、秋になって樹の調子が良くなり、いいものが収穫できるようになった事等が報告されました。


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「土と水の学校」に取組んだ成果を報告する菅原氏
「来年は無農薬のトマトに取組む」と意欲も語った


 大郷ナチュラルファーマーズでは、トマト、キュウリ等野菜と米で取り組みを行いました。トマトでは四段目、五段目までは大きく、味の良いものが収穫できていたが、追肥の遅れ等によりその後収穫が減った事等が報告され、ミネラルが、作物にとって大切である事を改めて実感した、と感想が述べられました。(報告・長倉徳生)

Author 事務局 : 2007年01月17日 16:09

 
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