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2007年06月30日

宮城開催の全国交流会へ向け、岩石調査を実施 【186号】

宮城開催の全国交流会へ向け、岩石調査を実施

~宮沢賢治が注目した石灰岩の採掘場跡も探索~

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5月12日から13日にかけて、今年度のBMW技術全国交流会の準備作業の一環として、宮城県及び周辺の岩石の調査を行いました。目的地は、宮城県中部の吉田川流域、岩手県の北上山地南部、および岩手県の室根山から宮城県の気仙沼市に至る大川流域の三箇所でした。この3箇所は、それぞれが宮城の岩石を理解するうえで重要な意味がある場所です。調査に先立って、長崎浩BM技術協会会長と打合せを行い、全国交流会で報告を行うことにした場所です。
当日は名古屋から私と、東京から(株)匠集団そらの星加浩二氏が、JR松島海岸駅で、小野瀬裕義みやぎBM技術協会副会長(あいコープみやぎ専務理事)と合流し、調査に臨みました。宮城大会の実行委員長である西塚忠元みやぎBM技術協会会長には、田植えでお忙しいところを大郷町の入口で待っていただいて、朝の大郷町を案内していただきました。大郷町はみやぎBM技術協会の活動の中心地であり、吉田川流域の農村地帯です。まずは吉田川の地形全体が見渡せる堤防に登った後、西塚会長の農場とBMプラントを見学して、農場をつくる岩石を取材しました(写真)。その後は西塚会長と別れ、山道を登って、泉が岳という火山の奥深くに入って、吉田川の源流の岩石を調べました。
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次に北上山地まで一路北上し、東北地方の陸地の土台ともいえる古い時代の岩石を調査しました。一関市東山町にある東北砕石工場では、70年代まで北上山地の古生代の地層の石灰岩を採掘していました。この工場はかつて宮沢賢治が技師として働いていたところです。彼は土壌の酸性を中和するための資材としての石灰岩の効用を、おそらく日本で最初に自覚した人物であり、そのために石灰岩をトランクにつめて各地をまわって営業活動をしていました。商売は結構順調で、例えば小岩井農場にも、この石灰岩を納品しましたが、粒度が大きすぎて苦情が出たために、人夫2人が1ヶ月以上かけて砕き直したそうです。砕石工場がそのまま閉山後も保存されており、坑道なども残る壮大なものでした。
その後、気仙沼湾に注ぐ大川の源流である室根山に登り、山をつくる花崗岩とその仲間を調査しました。写真は、室根山頂から気仙沼方面を撮影したもので、手前の岩石が室根山の岩石で、唐桑半島が遠くに見えます。BMW技術を実践されている読者の皆様にはおなじみの事実ですが、このような花崗岩類のあるところから流れ出る川は、良い水をつくります。
今回の調査を踏まえて、11月の全国交流会では、吉田川と大川の2つの川につながる岩石の歴史の物語を解説する予定です。皆様どうぞご期待ください。

名古屋大学 環境学研究科教員 奥地拓生

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Author 事務局 : 2007年06月30日 14:43

 
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