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2008年03月01日

韓国・全農忠南道連盟、日本視察研修報告 和郷園やパルミート等を視察研修 【AQUA194号】

 昨年の一二月二〇日~二四日、韓国の 「忠南道(県に当たる)」と「全国農民会忠南道連盟」が主管する「全農忠南道連盟二〇〇七年度海外研修 」が日本で行われました。研修の目的は、現在、韓国はグローバリゼーションによって農業、農村、食料、食品等に多くの問題がもたらされており、韓国の農業現場は日本の農業現場に似てはいるものの、農家の自立度がかなり低く、加工や流通などの効率もよくないということから、日本の先進的な農業の現場や加工、流通システムを見学し、研修することによって、自分たちの置かれている状況を克服するための代案を探すことでした。

 二〇日、成田空港に着いて、初めに向かったのは、㈱平野畜産が運営している直販店、大栄産直センターでした。畜産農家が直販しているお店ですが、畜産物だけでなく、地元特産のサツマイモやお米、地元農家のとれたての新鮮野菜、果物、といった様々な商品を産直で販売している点がとても興味深いものでした。次は、平野畜産が運営している平野加工場を訪れました。規模は大きくはありませんでしたが、とてもきれいに管理されていることがよく分かりました。むしろ規模が大きくないことから、帰ったら自分もつくってみようと喜ぶ畜産農家もいました。
翌二一日、最初の見学先は、千葉県銚子市で母豚千八百頭の一貫経営を行っている養豚場の小堀屋畜産、銚子農場でした。オガコ豚舎を一部導入していることで日本でも有名な農場で、豚舎に一・二メートルのオガコを入れてから豚を入れ、豚舎の中を定期的に撹拌することによって、豚舎内で糞尿処理ができるシステムでした。次に、農場全体の糞尿の処理施設も見学させていただきました。 投入される糞と尿に微生物を混合して曝気発酵させてからスクリーンコンベアを通せば、一次処理が完了されて液肥が生成される。もう一度スクリーンコンベアを通せば、透明な水と固形物が完全に分離され、糞尿が水道水のような透明な水になるとのことでした。最終的に処理された水は畜舎の洗い水として使われるそうなので、資源の循環という意味でも立派な施設だと思いました。ただし、処理に使用されている凝縮剤が生態系や命にいいものなのかどうかに関しては、また違う機会に教わりたいと思いました。
次に、BM技術協会会員の農事組合法人和郷園にお邪魔しました。最初に和郷園が運営している「バイオマス・BMWリサイクルセンター」を見学しました。バイオマス施設は、一日五トンの乳牛の糞尿と、和郷園から発生される野菜残さ、食品加工残さが、メタン発酵プラントに投入されて、いくつかの段階を通せば、質のいい液肥と土壌改良剤が生成されます。そして、メタン発酵プラントより発生されるバイオガスは、何段階の複雑なメタン燃料化の過程を通せば、付臭用LPGが生成されるそうでした。とくに現場で実際にメタンを燃料にするメタン自動車を見ることができてとても興味深かったですし、日本政府が運営している施設だけの、最新の設備と最新の技術を見るチャンスが得られ、研修団一同とても喜んでいました。BMWリサイクルセンターでは、BMWプラントの仕組みや生物活性水の用途について研修を受けました。続いて和郷園の本部会議室に移動し、向後武彦副代表(BM技術協会理事、千葉BM技術協会会長)から、和郷園の沿革、仕組み、運営方式、取り組みなどに関して詳しくご説明をいただきました。その後、旬の野菜の味と栄養をそのまま急速凍結させる冷凍加工工場の「さあや Sキッチン」を見学してから、和郷園メンバーの林農場で、キュウリ栽培の現場を見学しました。研修団の中にもキュウリの農家が二人いたので、栽培方法に関する色々な話が交わされました。
研修三日目の二二日は、畜産物の加工・流通の現場をご訪問しました。まず、午前中にお邪魔した匝瑳GPセンターは、六名の農家が出資してつくった、卵を洗浄・選別・パックする工場で、とても立派な施設でした。研修団の中に養鶏関係の農家はいませんでしたが、政府の補助を受けないで畜産農家同士でGPセンターを建て順調に運営されているということから、今後、自分たちの自立に対しても少し自信を持つようになったと思います。
午後は、BM技術協会会員の㈱パルミートをご訪問しました。パルミートは生産者と連携して、パルシステム生活協同組合連合会の会員生協組合員へ安全・安心でおいしい肉を届ける目的で設立された工場です。パルミートに到着後、研修団全員も中で働いている職員の方と同じように、厳しい作業着チェックを行い、その後も手洗いとアルコール消毒、靴下まで消毒してからやっと工場の中を見学することができました。工場の中は、全国のトップレベルの設備があり、HACCPに準じた厳格な衛生管理が行われていました。その後、会議室で説明を伺ってから、パルミートで加工しているハムとソーセージ、豚肉を試食する機会も提供されました。
今回の研修には、韓国の忠南道地域の畜産農家、耕作農家、生協の職員、農民運動家など、色々な分野の人たちが参加しましたが、全員の希望を満足させたと言えるほど、とても充実した研修になりました。今回の研修で学習したことがそれぞれの現場で何らかの形で役に立つと思います。
最後になりますが、今回の研修の受け入れや日程を組んでいただき、研修先まで自らご案内していただいた和郷園の木内博一代表(BM技術協会常任理事)に心からご感謝を申し上げます。木内代表とともに、研修団にお付き合いいただいたBM技術協会の椎名盛男常任理事、向後理事にもお礼を申し上げます。また、土曜日の午後遅い時間だったのにもかかわらず、工場の隅々まで視察できるようにご配慮してくださったパルシステム生協連合会とパルミートの皆様、匝瑳GPセンターの関係者の皆様、平野畜産と銚子農場の関係者の皆様、東京の道案内をして下さった㈱匠集団そらの秋山様にも心からご感謝を申し上げます。皆様、本当にどうもありがとうございました。

㈱そらインターナショナルコリア 代表取締役 ハ・ジョンヒ

Author 事務局 : 2008年03月01日 11:26

 
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