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2008年04月01日

「有機認証取得がはじまりました。」第6回 【AQUA195号】

第6回 (有)ファーマーズクラブ赤とんぼ
    山形県・高畠町  森谷 安兵衛さん

有機認証所得日 2006年7月
有機認証面積  32.2アール
有機認証団体  ㈱アファス認証センター

――有機栽培を始められたきっかけをお聞かせください。
森谷 高畠町には、ファーマーズクラブ赤とんぼを始め、有機農業の生産団体が多くあります。そういう方々の影響も大きかったと思います。うちの田んぼの上に、高畠町の田んぼの水源地になっているため池があります。そのため池から最初に水が入るのが、うちの田んぼです。赤とんぼのメンバーは、どちらかというと高畠町の下流域でやっているので、やっぱり上流の人が水を汚してはいけない。下の人も田んぼを作っているのだから環境をよくしていくことが大事ということに気づき、私もしないといけないと思って、有機栽培を始めました。
――赤とんぼには、いつ加入されたのですか。
森谷 二〇〇四年からです。赤とんぼの事務局の武田和敏さんと私の父が、山の仕事で関係があって、それから、やってみないかと誘いがありました。私も、赤とんぼメンバーの斎藤寛之さんらの知り合いもいました。みんな熱い、若い衆がいっぱいいたので、ちょくちょく顔を出すようになって、加入しました。赤とんぼに入ったときは、すでに無農薬で、米は栽培していました。
――赤とんぼに入って、有機栽培でやってみて、最初、大変だったことは。
森谷 最初の一、二年は、残痕していた肥料か何かで、まずまず収穫できていました。しかし、三年目くらいからは、考えてやらなければいけないと思いました。草取りとかも大変ですし、今は、育苗が大事だと思います。
――有機栽培に取組んで、何か変わったと思えることはありますか。
森谷 自分の面ですと、「土と水の学校」とかで習っていることもあるのですが、土がいかに大事かってことです。表面でなく、やっぱり土がね。環境面では、うちでは、泥あげしながらドジョウをとるのですけど、とても大きいし、いっぱいいる。生き物がいるってことは環境が良くなった証拠かなって思います。青サギとか鳥も増えました。生き物がいる、環境が良くなっているってことは、土の状態も良くなってきているのだと思います。
――そういう光景を見て、どう感じました。
森谷 やっぱり気持ちいいですね。うちの田んぼのあるところは、町場と違って、沢に囲まれて独特な雰囲気がある場所なので、そういうところに青サギが飛んでくるって、けっこう綺麗ですけど、私の田んぼに入ってくると、あぁーまた入ってきたー。苗の補植だぁーって‥‥。
――有機認証を取得したきっかけは。
森谷 JAS有機を取ると、まず、赤とんぼ内での米の格付けがA1(※注1)になります。また、せっかく有機で米を作っているのですから、きちんと有機としても認められたいと思いました。そうした形での付加価値をつけられるので、JAS有機をとりました。
――実際に有機認証を取得してみての感想はいかがですか。
森谷 有機認証の検査員が毎年、田んぼに来るので、自分で、今日は何やったとか日記にきちんと記帳するようになったし、最初は面倒くさいと思ったのだけど、他の第三者から見て、指摘されると、やはり改善点とかが色々あります。検査員が来てくれると身がひきしまるというか、やりがいがあります。
――大手スーパー等が有機認証の生産物の取扱いを増やしていこうというと発表していますが、どう思われますか。
森谷 赤とんぼでは毎年、生き物観察会等で、生産者と消費者とのつながりがあり、有機栽培などにより生き物が増加しているところや、草取りとか大変な部分を理解してもらって、それを食べてもらっています。スーパー等で、有機栽培のものが単に体に良いということで、販売するのではなく、私たち栽培者や環境のことも考えてもらえるような販売ならよいと思います。
――自分たちの活動とか、そういうのを含めた形で情報提供されないと意味がないということですか。
森谷 そうですね。ただ単に、付加価値をつけて、無農薬イコール健康みたいのじゃなくて、やはりそれだけ、作るときに大変な思いをして、この値段になるのだってことを理解してもらいたい。金を出せば、良いものが買えるっていうのではなく、ちゃんと思いを伝えたいということです。
――行政に対しての具体的な要望や提案はありますか。
森谷 JAS有機認証をしている生産者には、減反政策免除とかはどうでしょう。でもおかしいですよね。減反って。浅はかな発言かもしれないけど、農家だけですよね、自分が生産して悪いって言われるのは。他の商売じゃないですよね。それを何で言われているのかって疑問に思います。ほかは、民営化とかが進んで、やれやれっていわれているのに、何で農家だけ、やるなやるなって言われるのでしょう。
――価格維持という大儀があったのだけど、価格も崩れてきてしまっていますね。
森谷 価格も崩れていて、農家をする担い手も減っています。それでも全国の作付けをみると、米が一番主体ですからね、その田んぼが全部、荒れ放題になったら、地域の姿は、ひどいことになってしまうと思います。だからこそ、今、農業をする担い手が一致団結し農業の維持、価格の維持、地域の姿の維持を真剣に考え農業に従事していかなければならないと思います。

※注1:ファーマーズクラブ赤とんぼの米の格付け。A1は有機、A2は転換期、A3は無農薬

Author 事務局 : 2008年04月01日 07:02

 
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