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2008年05月01日

BMW技術で実現する 水の浄化、自給自足の定年帰農生活、高品質作物生産 【AQUA196号】

~千葉BM技術協会主催、茨城BM自然塾視察研修会報告~

 去る二月二三日、千葉BM技術協会主催による茨城BM自然塾視察研修会が開催され、酪農や水田、産業廃棄物の堆肥化、定年後の自給生活、耕作農業等にBMW技術を活用している四つの現場の視察研修と会員間の交流が行われました。この視察研修会は、千葉BM技術協会が、協会会員の先進的な取組みを研修する目的で開催されたもの。今回は、①BMW技術による水田の多目的利用②クリーンエネルギーと家庭雑排水を利用した循環型「農のあるくらし」③BM堆肥と家庭雑排水を原料にした生物活性水利用の有機・高品質サツマイモ生産――等を主な視察テーマに実施されました。
 研修会開催に当っては、茨城BM自然塾、BM技術協会、㈱匠集団そらの協力をいただき、千葉BM技術協会会員をはじめ、協会会員関係者、地元の茨城BM自然塾関係者ら、総勢六二人が参加する視察研修会となりました。
 当日は、最初の視察先、茨城町の清水牧場に参加者が集合し、向後武彦千葉BM技術協会会長、協会常任理事の清水澄茨城BM自然塾々長、石澤直士BM技術協会理事長、鈴木孝雄前千葉BM技術協会会長、濱口廣孝㈱ジーピーエス相談役が挨拶に立ち、研修会がスタートしました。
●茨城町・清水牧場
地元・涸沼の浄化への取組みや、エコ・フィードのつくり方を研修
 清水牧場では、まず、清水裕一氏から、同牧場の概要が説明されました。続いて、清水塾長から、シジミの産地でもある地元茨城町の涸沼の水と生き物資源を守るために、地域の人々に呼びかけ、具体的な活動に取組むことや、清水塾長が実験してきたBMW技術を活用した水田の浄化機能等が肥沼の浄化に活かせることが説明されました。
 また、飼料自給の取組みとして、地域ででるカット野菜の残渣を利用した発酵飼料づくりの実践事例(ジャガイモのサイレージづくり)が参加者に披露されました。清水熟長からは、野菜を原料にしたサイレージづくりの方法が具体的に説明され、参加者は、手に取って、臭いをかいだり、「どのような材料なら可能か」「つくり方のポイントは」等の質問を行っていました。清水牧場では、今後、本格的にこのカット野菜残渣を利用したサイレージづくりに取組むため、製造場所の整備等、準備が進められていました。
●水戸市・エコファクトリー
~悪臭防止と良質堆肥づくり~野菜残渣の堆肥化に生物活性水を利用
 続いて、水戸市の廃棄物処理場の㈱エコファクトリーを訪問しました。食品残渣等の中間処理場として野菜クズ等の堆肥化を昨年から行っていますが、堆肥化処理過程で悪臭が発生し、県から指導を受け、この対策として昨年一〇月に生物活性水施設を導入し、堆肥づくりに利用するようになったそうです。現在は、県の指導をクリアし、悪臭もなく、良質な堆肥づくり生産が行われ、堆肥は、ゴルフ場等に活用される予定です。
●会員間の交流が行われた昼食会
 エコファクトリー視察後は、涸沼湖畔で、昼食交流会が行われました。千葉BM技術協会の渋澤温之副会長(生活協同組合パルシステム千葉専務理事)が「今日の視察研修内容を、今年、千葉で開催される第一八回BMW技術全国交流会に生かしたい」と挨拶し、その後、参加者全員の自己紹介が行われ、千葉BM技術協会と茨城BM自然塾、BM技術協会会員・関係者の交流が行われました。
●鉾田町・田中一作邸
定年帰農の生態系と一体化した自給自足生活
 昼食後は、鉾田町の田中一作さん宅を訪問しました。田中さんは、一九九五年に長年勤めた会社を早期退職し、理想としていた自給自足生活を奥さんと二人で始めました。茨城BM自然塾の農産物を通じて、清水塾長と知り合うことになった田中さんは、清水塾長の話を聞く中で、BMW技術にほれ込み、翌九六年に、家庭雑排水を原料にした生物活性水づくりに着手しました。同時に、清水塾長の指導で、生物活性水が流れ込む一〇坪の水田づくりや、水田で浄化された水で採卵鶏を飼い、家庭菜園にも生物活性水を利用する循環型の自給生活に取組み始めました。水田には、フナやドジョウなどが大量に増え、時々、田中さんの食卓にも昇るそうです。生物活性水が流れ込む水田には、モチ米が毎年栽培され、「毎年、約三〇キロの収穫がある(反当換算で、一三~一四俵)立派な稲が育ちます」と田中さんは話していました。採卵鶏は、七〇羽ほどで、卵は自家消費以外の卵は、知人等に販売されているそうです。現在三年ほど飼育している鶏は、参加したプロの養鶏家も驚くほど、非常に若々しい鶏でした。
 生物活性水の原料となる生活雑排水が流れ込む浄化槽を見ると、完成した生物活性水の一部が戻されているため、臭いも汚泥もなく、槽内には巻貝がびっしりと生息していました。
 田中さん宅では、現在、太陽光発電が導入され、オール電化住宅となっていました。このため、ガスの使用もなく、二酸化炭素を発生させないクリーンな生活が実現されています。エネルギーや、土地の水や土、微生物を含めた生き物が織り成す生態系の循環の中に人のくらしが溶け込んだ田中さんご夫妻の生き方に、参加者一同、感心するばかりでした。
●鉾田町・米川農場
 BM堆肥と家庭雑排水原料の生物活性水で、高品質サツマイモ生産
 田中さん宅を後に、次に同じ鉾田町で、サツマイモやニンジンを生産する米川農場に向かいました。農場主の米川修さん宅にも、生活雑排水を原料にした生物活性水施設が設置されていました。米川さんからは、「清水牧場で生産されるBM堆肥と生物活性水、二年前から協会で取組んでいる『土と水の学校』で習得した施肥設計を活用したサツマイモやニンジン栽培を五町歩ほど取組んでいます」との説明がありました。この栽培に取組んだ結果、サツマイモやニンジンの大きさが揃い、出荷率が非常に向上しているそうです。
 参加者には、米川農場産のサツマイモで、「焼き芋」が振舞われましたが、「とても甘くておいしい」「お菓子そのものを食べているみたい」と、大好評でした。一方、千葉BM技術協会会員生産者の方々は、米川さんに、その栽培方法を詳しく質問していました。
 この日、午後からは、春一番が吹き、米川農場に到着した時には、砂煙で前が見えなくなるほどでしたが、参加者一同、熱心に、米川さんの説明に聞き入っていました。
 最後に、向後千葉BM技術協会会長から、今回の視察を受け入れてくれた茨城BM自然塾に、お礼の挨拶が行われ、視察研修会を締めくくりました。
(報告:千葉BM技術協会副会長 礒田有治)

Author 事務局 : 2008年05月01日 00:49

 
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