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2008年08月01日

無農薬バナナ残渣でBM堆肥づくり 【AQUA199号】

タイ・ラメー郡に生物活性水施設が完成
    パン・パシフィック・コーポレーション  木村俊夫

 タイのチュンポン県ラメー郡のトゥンカーワット農園経営農民会は、バナナの残渣を利用して有機堆肥化することを目的に、生物活性水施設を導入しました。
 同農民会のあるラメー郡は、首都バンコクから約五〇〇キロ南下した場所に位置します。
 同農民会は、今年、日本に無農薬ホムトンバナナの輸出を始めて、ちょうど一五年目を迎えます。二〇〇八年六月現在の会員数は六二四名。このうちホムトンバナナ栽培中の会員は二一八名。総栽培圃場数三〇六圃場。総作付け本数三九万二七六〇本。栽培地区はチュンポン県北部からスラタニ県の中部地区まで広域に及んでおり、一八の生産地区に分けて栽培管理がなされています。現在は週に二〇~四〇トン近くの無農薬ホムトンバナナがPPFC(パン・パシフィック・フーズ・コーポレーション㈱) を通じて日本へ輸出されています。
 同農民会では、以前からバナナの残渣を利用して有機堆肥化し、畑に戻したいと考えていましたが、今回、BM生物活性水施設の導入に踏み切った背景には、最近の化学肥料及びガソリン価格の高騰が影響しています。タイでは昨年末頃から化学肥料の価格が高騰してきており、多くの生産者が困難に直面していました。今まで一部の生産者がペッブリー県バンラート農協からBM鶏糞堆肥を導入していましたが、同農民会とは北に三五〇キロも離れています。BM鶏糞堆肥も最近のガソリン価格高騰による輸送コストの上昇で価格が上がってしまい、購入をあきらめる生産者も出始めました。
 バナナの出荷作業で生じる週四~五トンにもおよぶバナナ残渣の「BM堆肥化」に成功すれば、格安で優良の堆肥を生産者に供給できるようになります。さらに生物活性水で個々の生産者も堆肥を作るという循環が出来上がります。この事について理事会で話し合いがなされた結果、「こんな良いことは是非やるべきだ」という話になり、満場一致で生物活性水施設導入の決定が下されました。
 設置工事はパルシステム生活協同組合連合会のレインボー・パル基金の助成を受け、㈱匠集団そらの技術指導のもと、サイアム・タクミ㈱の手により今年四月初旬から施工を開始しました。プラントはすでに完成し、現在は生物活性水の培養調整とプラントの試運転を行っています。予定では七月初旬頃に堆肥の製造に取り掛かり、年内からの活用を目指しています。このことはすでに多くの生産者の間で話題になっており、待ち望む声も多く聞かれています。彼らの期待を裏切らないためにも、一日も早く実現させたいところです。

BMW技術導入で「環境保全型農業の推進」を
トゥンカーワット農園経営農民会 理事長 チャッチャイ・パイサーン

 現在、タイ国民の寿命は昔と比べて非常に短くなってきています。その大きな原因として、食糧の品質低下が挙げられると思います。昔は化学物質を使わず、自然の力のみで作物を育てていました。その時代のタイ人は、健康でとても身体が丈夫だったと言われています。ところが現代は汚染された環境の中で育ち、日々化学物質にまみれた食糧を口にしています。寿命が短くなるのも、当然と言えば当然の結果です。このまま今の状態が続くとするならば、タイの将来は決して明るいとは言えません。
 この問題を解決していくにあたり、まず改めるべきは食糧を生産する側の人間の心です。自分の作った作物を口にする人々のことを考え、真に安心・安全な食べ物を作る努力が必要です。そのためには、自然と共生するという、人間本来のあり方に立ち戻る必要があります。自然を支配しようとする今のあり方では、安心・安全な食べ物を作ることはできません。
 今回のBM生物活性水施設の導入は、自然を生かす農業を実践していく上での、重要な一歩になると思います。BMW技術は農民会理念の一つである「環境保全型農業の推進」にも適合しており、今後、我々の扱うホムトンバナナの更なる品質の向上につながると信じています。生物活性水、BM堆肥の製造が実現した暁には、農民会をあげてこれをホムトンバナナ生産者に普及させると同時に、他のさまざまな面にもBMW技術を生かしていきたいと考えています。
 最後に、今回のBM生物活性水施設の施工に際し、「レインボー・パル基金助成事業」の助成対象に我々を選んでくださいましたパルシステム生活協同組合連合会には、この場を借りて深くお礼申し上げます。このBM生物活性水施設が、タイ農業のレベルアップに最大限活用されることを心から期待しています。

Author 事務局 : 2008年08月01日 21:23

 
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