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2008年09月01日

茨城・田中一作邸、第2回「BMWシステム生きもの調査」を実施しました 【AQUA200号】

パルシステム生活協同組合連合会、BM技術協会、NPO生物多様性農業支援センター、生活協同組合パルシステム茨城、茨城BM自然塾 共同研究


 今年、五月一六日から始まった「BMWシステムによる資源循環型水田の生物多様性調査及び研究」における第2回目の「田んぼの生きもの調査」が、六月二四日、茨城県鉾田市の田中一作さんのお宅で行われました。これは、パルシステム生活協同組合連合会、BM技術協会、生活協同組合パルシステム茨城、NPO生物多様性農業支援センター、茨城BM自然塾の共同研究として実施しているものです。
 田中さんのお宅は、生物活性水プラントを中心に、廃棄物を出さない循環型のシステムが整備されています。まず、家庭から出る排水は、浄化槽を通ってBMWプラント(生物活性水)に送られます。生物活性水となった水は、田んぼに流れ込んだり、汲み上げて家庭菜園の野菜や果物の栽培に使われ、鶏舎では鶏の飲み水になります。そして、収穫した野菜や鶏卵は、田中さん一家に食され、また排水となって循環する、という具合です。非常にバランスよく水が循環している一例と言えるでしょう。そんな田中さん宅の田んぼとその周辺にはどんな生きものが生息しているのか|それを明らかにすることで、このシステムの有効性や課題を見つけたいというのが調査の目的です。NPO法人田んぼの理事長、岩渕成紀さんの指導のもと、生きもの調査だけでなく、田んぼの水質調査、土壌調査も行っていきます。

 第二回目の調査となったこの日、田中さん宅の田んぼには、五月二三日に田植えをした稲が、青々と並んでいました。水面には、水が見えないほど水草が浮かんでいます。たくさんの生きものを発見できそうな予感がして、心がはやります。
 まず顔合わせと調査内容の説明が行われました。今回から、NPO生物多様性農業支援センター発刊のガイドブック『田んぼのめぐみ一五〇 生きもの調査・初級編・二〇〇八』を使って調査を進めることになりました。調査の方法や、生きものの写真や説明文が掲載されていて、生きもの調査に最適の一冊です。このガイドブックの中の「生きもの調査の予想と結果シート」のページで、これまでに見たことのある生きものをチェックしていきます。カエルだけでも様々な種類のカエルがいるのには驚きでした。この日の参加者は一七人。全員で手分けして、調査を進めます。
 水質調査では、浄化槽、生物活性水、田んぼ、田んぼからの排水を調査しました。田んぼについては、専用の測定機器を使って、五ヵ所のPH、電気伝導度などを測定しました。また、試薬を使ってそれぞれの鉄分などの成分含有量を調べました。土壌調査では、田んぼの五ヵ所の地点から水底の土を採取し、土壌分析器で含まれる成分を調べました。
 水質、土壌の成分測定の間に、生きもの調査を進めます。左手にミニ水槽、右手に網を持って、生きものを採取するのです。浄化槽、生物活性水、田んぼの周辺、田んぼの中がターゲットです。田んぼの中の生きもの採取は、ラインセンサスという手法で行いました。田んぼの片側に一列に並び、一斉に同じ方向に向かって採取しながら進むものです。そうすることで、生きものをまんべんなく採取することができます。また、田んぼの土壌にいる生きものについても、個体数を調査しました。
 その結果、生物活性水の中には多く含まれているイトミミズなどの生きものが、田んぼにはあまり生息していないことがわかりました。講師の岩渕さんは、田んぼにいるフナなどの魚類が、エサとしているからではないかと推測していました。また、田んぼの土壌検査によると、前回五月一六日よりも、PHが低くなり、カルシウムが減っていました。植えられた苗が生育し、根が張り始めたからと考えられます。予想どおりの結果に、満足して調査を終了することができました。
 得られたデータは、毎回まとめられ、今秋のBMW技術全国交流会で発表される予定です。 (取材:東條美香)

Author 事務局 : 2008年09月01日 20:12

 
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