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2008年09月01日

自然学を実践する「土と水の学校」報告 【AQUA200号】

宮城県 みやぎBM技術協会

 今年、三年目を迎えた~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座inみやぎは、六月二三日、小祝政明先生、礒田有治BM協会事務局長を迎え、約二〇名の生産者が参加し、大郷町内及び迫町で開催されました。
 水稲、トマト、キュウリ、ナス、の栽培状況を中心に見てまわり、その後約一時間の講習会を聞きポイントを確認しました。
 水稲は三年目を迎え、土壌のPHも六・八前後に安定して、根の白さ、太さが変わってきました。稲の姿も茎が太くガッチリしていて丈夫になっています。確実に苦土(マグネシウム)や石灰(カルシウム)を施肥し続けてきた結果が出ていると感じました。土壌分析の結果、施肥する量も年々少なくなってきているので、確実に蓄積されているのだと思いました。去年は、稲の葉色に騙されて追肥の時期が遅れていましたが、今年は順調に苦土と貝化石の追肥と、チッソの追肥を行えました。
 しかし、今年も乗用除草機による除草がうまくいかず、雑草が残ってしまい、今後の課題となりました。小祝先生には、有機肥料と生石灰を使った除草方法を教えてもらいましたので、来年は雑草の無い稲作を行いたいと思います。
野菜の水管理の重要性を再確認
 トマトも今年で三年目になり、昨年指摘のあった潅水と換気の対策として、複条栽培ではなく単条栽培にし、ハウスの両端の換気対策を行いました。その結果、ハウス内の換気が良くなり、例年に比べ、カビの発生が少なくなりました。
 しかし、初めての単条栽培なので、初期の潅水量が多くなり、樹勢が強くなりすぎてしまいました。その後、潅水量を抑えたのですが、今度は抑えすぎによって、カルシウムが吸収できなくなり、尻腐れが若干みられました。小祝先生には、天候によって潅水量は変わるので、水分計を使って水の動きを把握することが必要だとアドバイスをいただきました。
 キュウリでは、センチュウ対策もよくできていて、ミネラル、微量要素も十分だったのですが、潅水量が不足していて、曲がりがあるキュウリが多く見られました。潅水が水道水ということもあり、今後どのように水源を確保するかが大きな課題になりました。
 ナスは、ハウス栽培のものは、葉の大きさ、色とも良く、実の付き方も良好でした。ただし、葉が込みすぎていたので、中のほうに光が入るように整枝をと、アドバイスをいただきました。樹の勢いが良いので、追肥を遅れないようにすれば多収量、遅れれば減収と今後の管理次第で明暗が大きく分かれるので、良い結果になるのが楽しみです。
 一方、露地のナスは、雨不足の為、葉も小さく養分がうまく吸えていない様子でした。すぐ傍に水路はあるのですが、水路の水が濁りすぎているのを見た小祝先生はこの水はかけないほうがよいとのことでした。
 乾燥し過ぎた圃場では、雨が降ると窒素が一気に効いてしまうので、できればこまめに潅水することをすすめられました。隣に植えてあったキャベツは、密植していたので雨が降ったら病気が一斉に広がる可能性があるので要注意とのことでした。
 今回の勉強会では、水の大切さを改めて教えられました。必要なミネラルや微量要素を施肥して潅水しても、作物がどのくらいの水分量で生育していくかについては、考慮していませんでした。
 それに、露地栽培に関しては定植時には潅水するものの、その後は天気任せにしていたので、良いものを作るためにはやはり水は欠かせないものだと再確認しました。
 今後は生物活性水とBM菌体を圃場に散布するなど、生育初期に勝負できるような環境作りをしていきたいと思います。
(報告:大郷グリーンファーマーズ 熊谷剛介)

福島県 会津うまいもの塾

 六月二四日、福島県会津地域で米生産者十三名が参加して、会津うまいもの塾主催の「土と水の学校」有機栽培実践講座が開催されました。講師は小祝正明氏です。
 今年のテーマは「気象に左右されない良質米の安定生産」です。昨年、八月から続いた高温とその後の台風により、いもち病がほぼ会津全域で発生、特に喜多方市熱塩加納町では「三十年余の米生産経験上でも初めて」という人も出たほどの減収に見舞われました。
 地球温暖化の影響なのか、少しずつ米生産に異常が出てきて、生産適地の移動を予感させる今日ですが、良質米をその地の自然条件に見合った量は生産しよう、というのが講座の狙いです。
 まず最初は参加者全員の圃場巡回です。その圃場の生産者が秋耕ない、育苗、施肥設計、田植え日などの説明をした後、講師から現在の生育状況がなぜそうなっているかの解説を受けました。取組初年度の生産者を除いては、根の太さや色が全員揃っていて、講座の成果がようやく今年出ました。生育がやや遅れている以外、これまでのように葉色が悪く、根の色も焦げ茶というのが見当たりませんでした。
 ただし、やや窒素過多気味、植え付け本数のムラ、炭酸ガスの過剰発生などがあり、個別に対応策のアドバイスを受けました。中でも炭酸ガスの過剰発生は、過剰な酵母発酵によるもので、PHの低下及び窒素が稲ワラ分解に優先的に使われていて、生育が遅れる可能性が高いので、落水して酵母菌の密度を下げることになりました。
初期肥効をどう高めるかが課題
 巡回後の講義では、施肥設計はほぼOKの段階に来たので、初期肥効をどう高めて安定させるかの検討に入りました。雨で秋耕いが出来ない場合、窒素を吸わせないようにするため、酵母菌からバチルス菌に変えたらどうかと小祝氏からアドバイスがありました。
 なお、初期生育確保やガス発生に関連して、「田植え後一週間ぐらいで田んぼを乾かしている例があるが、大丈夫でしょうか」との質問があり、「乾すのは早くても問題がないし、一週間以内でもOKです」との回答を受けました。
 食味向上、収量確保では、まず秋肥・春肥で茎数を確保し、穂肥で千粒重、食味を確保する。その施肥のタイミングが重要とのことで、講座終了後から定期的に茎数の調査などを行うことになりました。
 今後、それぞれの地域の自然条件、圃場条件の適した生育管理を行うことで、秋の収穫がどうなるか、次回の講座の時点では成否が出ています。
(報告:会津うまいもの塾 代表 佐藤邦夫)

Author 事務局 : 2008年09月01日 20:01

 
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