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2008年10月01日

「土と水の学校」有機栽培実践講座報告 【AQUA201号】

高知県・(財)夢産地とさやま開発公社
 七月二一日、高知県高知市土佐山地区で「土と水の学校」有機栽培実践講座が開催され、(財)夢産地とさやま開発公社職員や地域の農業者など一四人が参加しました。講師には「土と水の学校」講師の小祝政明先生をお招きしました。
 当公社では,急峻な地形などから大規模な農業経営は望めない土地条件を踏まえ、土づくりによる安全・安心の農産物の生産拡大と流通の確保、地産地消の推進と交流の促進、地域特産物の生産振興などに取り組んでいます。
 公社がこれまで培ってきた栽培技術とともに科学的根拠に基づいた栽培方法を確立し、農家等へ普及促進を図って行くことが重要です。そのための力を公社自身が備える必要があり、「土と水の学校」もその一環として開催しています。
 午前中は、事前に土壌分析を行ったデータとともに公社及び農家の圃場を視察しました。
 最初に、公社の有機JAS基準で栽培している(認証は未だ取得していません)生姜畑を見ました。この畑は二年目ですが、昨年は予想以上の雑草の繁茂、二度の台風による倒伏、害虫の発生、水不足による乾燥などの影響で作柄は著しい不良となりました。
 今年は、昨年の失敗から、早くからの土作り、生物活性水の活用、施肥の工夫、初期からの虫捕り、ビニールマルチシートの試み等により、これまでのところほぼ順調に生育しているように見えました。
 土壌分析データではカリとリン酸が過剰、ミネラルと微量要素の欠乏を示しており、小祝先生も実際の生姜に触れ、葉の色むらや根の張りが浅いことなどから、特に鉄の欠乏が顕著であると指摘をされました。不足しているミネラルや微量要素の補給により、病害虫や乾燥に強い生姜に変えることができると小祝先生は説明しました。
 次に、シシトウとパプリカを栽培している農家、そしてパプリカ栽培農家と見て回りました。どちらの農家でもやはり鉄不足とのことで、新葉の色の薄さ等の症状を皆で確認しました。
 午後からは小祝先生の講義が行われ、初めて受講する者を含め、有機栽培のしくみやその科学性について学びました。
 今回の講座で特に印象深かったのは鉄の効能についてで、鉄は植物にとって重要な呼吸を司るミネラルであり、光合成や肥料の吸収には欠くことが出来ないものであるということ。また、施肥はミネラル先行でなければならないことなどを学びました。
 最後に生姜の土壌分析データを基に追肥の設計実習を行いました。
 公社では、今後とも「土と水の学校」を継続し、栽培技術の向上や自然循環型農業の確立を目指して行きたいと考えます。
報告:(財)夢産地とさやま開発公社    事務局長 杉本賢

㈲十和田湖高原ファーム・JAかづの
 八月二日、秋田県鹿角郡小坂町の(有)十和田湖高原ファームと鹿角市のJAかづの主催の「土と水の学校」有機栽培実践講座が総勢三〇名の出席により開催され、小祝政明先生を講師にキュウリに特化した実践応用を指導して頂きました。
 講座の内容については、最初に(有)十和田湖高原ファームとJAかづのキュウリ生産部会部会長の圃場において、肥培管理や生育状況を見て頂き、ご指導いただきました。その中で、昨年の課題であった微量要素の欠乏についてはクリアーしているとの言葉を頂きました。光合成に必要な苦土と窒素も十分に効いているし、石灰についてもきちんと吸収されていて、現状では多収穫が見こめるとの見解でした。ただ今後については、多収穫により肥料の激減が想定されるので、土壌分析により追肥のタイミングを逃さずに施肥をしなければならないことを助言頂きました。
 また、一部に水不足の症状が出ている畝があり、どの畝も同一の灌水でなく、状況にあわせた灌水が必要(西日の当たる所や北側の日光が当たらない所での水分蒸発の違いや圃場の水分浸透の違いを把握)との指導も頂きました。有機栽培に限らず、農産物の栽培に当たっては、水管理が重要であること、特にBM有機栽培においては、「水も肥料」ということを理解しなければならないことを強く教えていただきました。また、十和田湖高原ファーム圃場の一部には、マンガンの欠乏症とホウ素の過剰症が見られていたため、ミネラルのバランスを考慮した肥培管理を指導いただきました。
 圃場での講座修了後、場所をJAかづの会議室に移しての講義に入りました。本来は、キュウリに特化した実践応用の講義予定でしたが、どうしてもBMの「土と水の学校」に参加したいという生産者が多く、三〇名の参加中、半数の一五名が初参加で講義三時間のうち、二時間を初級編に急遽組み替えして頂きました。経験者は復習となり、初参加の受講者には「目からうろこ」状態だったように感じました。
 また、実践応用講義では、特にキュウリ栽培においてはケイ酸が必要で、キュウリの体内増強には欠かせない要素だということを教わりました。また、酵母菌・納豆菌・放線菌など菌の種類を上手く活用し、利用することによる病害虫の回避方法も伝授いただきました。
 今後、今回の講習会を生かした管理をして、結果を出せるようにと参加者全員で申し合わせをして、夕方の収穫作業に向かいました。
報告:㈲十和田湖高原ファーム  板橋一成

Author 事務局 : 2008年10月01日 23:09

 
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