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2008年10月01日

茨城・田中一作邸、第3回「BMWシステム生きもの調査」を実施しました 【AQUA201号】

パルシステム生活協同組合連合会、BM技術協会、NPO生物多様性農業支援センター、生活協同組合パルシステム茨城、茨城BM自然塾 共同研究

 八月二二日、茨城県鉾田市の田中一作さんのお宅で「BMWシステムによる資源循環型水田の生物多様性調査及び研究」における「田んぼの生きもの調査」の第三回目の調査が行われました。これは、パルシステム生活協同組合連合会、BM技術協会、生活協同組合パルシステム茨城、NPO生物多様性農業支援センター、茨城BM自然塾の共同研究として実施しているものです。
 田中さんのお宅では、家庭から出る排水→浄化槽→BMWプラント→家庭菜園や田んぼや鶏舎→収穫した野菜や鶏卵→田中さん一家の食卓、そしてまた家庭から出る排水…というように、廃棄物を出さない循環型のシステムが整備されています。そんな田中さんのお宅の田んぼとその周辺にはどんな生きものが生息しているのかを明らかにするため、NPO法人田んぼの理事長、岩渕成紀さんの指導のもと、生きもの調査、田んぼの水質調査、土壌調査を行っていきます。
 第三回目となった今回は、物理学者で、熱物理学及び環境経済学が専門の槌田敦先生の視察訪問を受け、お話をお聞きする場も設けられました。
 八月というのに、やや肌寒い一日となったこの日、三〇人の参加者が集まりました。顔合わせとスケジュール確認ののち、分担して調査を開始しました。
 まず、浄化槽、生物活性水、田んぼ、田んぼ排水のBODとCOD調査用の採水を行い、それぞれの水質成分分析、水田の土壌成分分析を行います。また、水田の五つの地点の水温やECやORPは専用の測定機器で測定します。
 生きもの調査は、稲が育っているので田んぼの中には入らず、取っ手の長い網で稲の上をすくったり、田んぼの周辺を探したりして採取しました。網の中に目を凝らしてみると、小さい生きものがたくさん見えます。浄化槽、生物活性水の生きものも調査しました。肉眼では見えにくいので、ルーペを使って確認し、名前を記録しておきます。『ポケット版 田んぼの生きもの図鑑』が大活躍します。岩渕先生から、モノアラガイとサカマキガイの見分け方も教わりました。手際よく調査を進められたので、今回は植物も採取しました。
 その結果、三二種類の生きものと、二六種類の植物を確認できました。特筆すべきは、二か月前にはたくさんいたイトミミズが、今回は全くいなくなっていたことです。ほかの生きものに食べられてしまったことが主な原因と考えられます。
 午後からは場所を移し、まずこれまでの調査結果の確認を行いました。田んぼの土壌は、鉄分は安定しているものの、石灰が前回より大幅に増えたことがわかりました。水質調査では、田んぼの暗渠排水にだけ鉄が多く含まれているのがはっきりしています。それ以外の数値では、ほぼ安定しているようでした。
 それから、田中さんのお宅のシステムの設計者である協会常任理事の清水澄茨城BM自然塾塾長が「おいしいお米を、化学肥料を使わず安価に作るにはどうしたらいいか追究してきた結果、たどり着いたのがBMW技術」と熱く語りました。
 そして、今回視察に訪れた槌田先生から、エントロピーについて簡単な説明をお聞きしました。槌田先生は、「田中さんのお宅で活用されている生物活性水(BMW技術)の特徴は、動植物が利用できる形になっている『鉄』と、有機物を腐敗させない『放線菌』にあり、水田と糞尿をうまく活用し、生態系の中でエネルギーと廃棄物のやり取りを行うBMW技術は、エントロピー的に見ても理にかなっている。今後、大いに期待したい」と感想を述べられました。
 最後に、測定したデータへの質問や、試行錯誤してきた体験談など、活発な意見交換が行われました。「示唆に富んでおもしろかった」という感想も出され、短い時間でしたが、有意義な時間を過ごすことができました。
 得られたデータは、毎回まとめられ、今秋のBMW技術全国交流会で発表される予定です。

Author 事務局 : 2008年10月01日 23:09

 
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