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2008年10月01日

「土と水の学校」岩石と水講座、品目別講座「野菜・水稲・果樹編」 【AQUA201号】

 ~自然学を実践する~「土と水の学校」の公開講座が八月に開催されました。「岩石と水講座」、品目別講座の「野菜編」「水稲編」「果樹編」の四つの講座が開催されました。その内容を報告します。

岩石と水講座

 置賜地方の岩石を例に、地球規模のミネラル循環をテーマに
 ~自然学を実践する~「土と水の学校」岩石と水講座が、八月一八日に山形県置賜郡のファーマーズクラブ赤とんぼで開催されました。「白州キララの学校」で講師を務める岡山大学地球物質科学研究センター准教授の奥地拓生氏を講師に、七月に行われた置賜地方の岩石調査をもとに「日本列島の歴史と置賜地方の岩石、岩石に含まれるミネラル成分」と題して講座は行われました。講座にはファーマーズクラブ赤とんぼの生産者を中心に、会津うまいもの塾、みやぎBM技術協会などから一六人が参加しました。
 奥地氏は、米沢盆地のある置賜地方は、花崗岩、石灰岩、安山岩が存在する他にあまり例を見ない場所であり、七月の岩石調査で採取したそれぞれの岩石の由来を解説しました。石灰岩はサンゴが作り出すことから、置賜地方が二億年以上前は現在より遙か南にあり大陸の移動により現在の位置まで移動したこと、また安山岩は一千万年前の火山がまるごと吹き飛ぶような活発な火山活動の結果堆積した火山灰が固まってできたことなど、時間、空間ともにダイナミックな身近な岩石の由来について、参加者は興味深々の様子でした。
 地球規模での岩石の循環によるミネラル凝縮と命をはぐくむ水との関係、岩石中のミネラルと、人間の体内中のミネラルとの相関、農業生産に関わるミネラルなどについて、講座は展開されました。地球内部の橄欖岩が玄武岩や花崗岩、安山岩に姿を変え、その度にミネラルの濃縮が行われ、それらの岩石から水にミネラルが長い時間をかけて溶けて放出されていくことなど、岩石と水との関係、ミネラルの循環が説明されました。
 「BMWプラントでは、ミネラルは生物が吸収しやすいように錯体化されて水に溶け込んでおり、プラントで作られた生物活性水の中にはもとの水と比べると何倍もの、鉄、カルシウム、マグネシウムが含まれていることが確認されている。プラントの中に吊るされた花崗岩は一〇年で色が変わり、ハンマーでたたくと砕けるようになる。これは自然界では千年から一〇万年かけて起きる現象で、BMW技術は自然界での現象を、人工的に早め、ミネラルを取り出すスピードを増加させている技術である」との奥地氏の説明に参加者一同、BMW技術を再認識した講座となりました。(報告:長倉徳生)


品目別講座 野菜編

BMW技術の成果がインゲンに結実
 八月一一日から一二日の二日間、山梨県の北杜市白州郷牧場において~自然学を実践する~「土と水の学校」品目別講座野菜編が行われました。みやぎBM技術協会メンバー(大郷グリーンファーマーズ、あいコープみやぎ、迫ナチュラルファーム)と、有機栽培あゆみの会、静岡県村上園、関西BM技術協会、与論島担い手育成総合支援協議会、パルシステム千葉などから一七人が参加しました。
 午後から始まった講座は、まず白州郷牧場の池原謙介さんに大葉、ズッキーニ、水ナス、キュウリ、インゲンなどの圃場とBMWプラントを案内してもらい見学しました。参加者は皆、実を高密度につけるインゲンに驚いていました。講師の小祝政明氏からは「白州のキュウリ、インゲンで特徴的なことは、葉の大きさが、最初から最後まで揃っており、かつ鉄などの微量要素欠乏の症状が出ていないこと」と参加者に解説していました。
 その後、白州郷牧場の視聴覚ホールに場所を移し、椎名盛男協会常任理事(白州郷牧場代表)から白州郷牧場の成り立ちと取り組み、BMW技術の活用方法についてスライド写真を交えて説明がありました。椎名常任理事は「これからの有機農業は、システム化することが重要」と語りました。その後、池原謙介さんから、白州の圃場における施肥設計について解説があり、「石灰、苦土など、ミネラルの施肥設計については、施肥設計ソフトの上限値いっぱいに設計している」と説明しました。
 一一日の講座は、そこで終了し、夕方からは懇親会が開かれました。
 一二日午前は、白州郷牧場視聴覚ホールにて、講座参加者たちの各地での取り組みが紹介されました。みやぎBM技術協会でのキュウリ・トマト栽培、与論島でのインゲン栽培についてなど、生育状況の写真を投影しながら説明がありました。最後に講師の小祝政明氏が総括して野菜講座を締めくくりました。     (報告:井上忠彦)


品目別講座 水稲編

各産地の成果と課題テーマに技術交流
 八月一八日から一九日の二日間、~自然学を実践する~「土と水の学校」品目別講座の水稲編が山形県のファーマーズクラブ赤とんぼで、開催されました。地元の赤とんぼの生産者をはじめ、みやぎBM技術協会、新潟県の謙信の郷、福島県の会津うまいもの塾などから二九人が参加しました。
 初日は、赤とんぼの今野純さんが、「土と水の学校」での学習を基に、三年前から取組んだ水稲栽培について報告を行いました。今年の経過報告では、栽培途中に土壌分析を行い苦土が極端に減っていることが分かり速効性のある苦土を急きょ、追肥したことなどが報告され、現在の状況では茎数も多く、多くの収量が期待できるとのことでした。
 続いて、伊藤幸蔵協会常任理事からは、「肥料代の高騰が続いている今、地域で資源を循環することが重要になってきている、BMW技術を活かし地域の未利用資源を活用していくような技術を練り上げ、農業のあり方、地域を変えていくことを、みんなで模索していきたい」と、今後の技術活用の方向性が示されました。
 次に圃場研修として、赤とんぼ生産者の水田を巡回しました。取組み報告を行った今野さんの水田では、苦土が効いているため下葉の枯れはほとんどなく、茎も硬く、しっかり生育していました。各圃場では、稲を一株抜いて、株をばらし、茎の伸びを確認しました。こうすることによって、チッソ成分のきれ具合が分かるということです。
 二日目は、各産地からの取組み報告と現状の課題等について技術交流を行いました。
 最初に、赤とんぼの浅野厚司さんから、今年、自分たちで肥料や資材を作ることを目標に取組んだ水稲育苗培土づくりについて、報告が行われました。「米沢郷牧場の堆肥と米ぬか、腐葉土に生物活性水を混ぜてボカシ肥をつくり、土と混ぜて培土とした。これまで使用していた培土と比べて白く太い根がでて全体の成長も早く、コストもこれまでと比べ半分以下になった。今後は野菜の育苗用培土、田んぼの肥料も作っていきたい」と報告が行われました。
 謙信の郷の峯村正文さんからは、「秋のうちにミネラルを施肥し、PHを調整する等、二年前からの取組みで、稲の初期成育が良くなった。昨年からBM堆肥を使い自家性育苗培土を作っている。最近、イネミズゾウムシの被害が増えていること、現状では有効な対策としては、アイガモを導入する他ない」と報告がありました。
 みやぎBM技術協会会員の大郷グリーンファーマーズの郷右近秀俊さんからは、三年間の取組みで田んぼの土のPHの数値が年々上がり、石灰や苦土の施肥量も少なくてすむようになってきたと報告がありました。育苗では、昨年から育苗箱の底面に肥料を入れる底面施肥を行い、プール育苗で生物活性水を五百倍から千倍で流し込むと、非常に順調に苗が生育した等の報告が行なわれました。
 会津うまいもの塾の佐藤邦夫さんは、育苗段階で発生していた立ち枯れがプール育苗ででなくなったこと、肥切れが起きたときは肥料を水に溶かして与えることが有効であること等の報告がありました。
 小祝氏からは、各地の報告を受け、害虫対策として、ニームや除虫菊等の使用の検討や、病害虫に抵抗力のある硬いしっかりした苗を作るために、ケイ酸資材を使ってみてはどうかと提案がありました。ワラの秋処理については、バチルス菌がワラを分解するがこの菌が活発に活動するためには苦土が必要、そうした意味でも秋に苦土と石灰をまいていく事が大切と解説しました。
 今回の「土と水の学校」は、各産地の成果が交換され、またそれぞれが抱えている課題についても共有できたことは大変有意義であったと思います。        (報告:長倉徳生)


品目別講座 果樹編

施肥の方法とミネラルの働きを学習
 八月二〇日、山形県の天童市において~自然学を実践する~「土と水の学校」品目別講座果樹編が行われ、みやぎBM技術協会メンバーの天童果実同志会、大郷グリーンファーマーズ、あいコープみやぎ等と、ファーマーズクラブ赤とんぼから二一人が参加しました。
 講座は、天童果実同志会の生産者のリンゴとラ・フランス、サクランボ圃場視察から始まりました。同会の代表を務める片桐謙二さんのリンゴ畑では、礼肥の大切さを確認しました。落葉果樹は、木に栄養分を蓄え翌年の春に蓄えた栄養分で枝を伸ばすため、九月に与える礼肥が重要ということです。この畑では葉に鉄分が不足するとできる二~三ミリの色の薄い点が見られました。講師の小祝政明氏からは、苦土と石灰を施肥するようになると木が鉄をはじめ微量要素を多く吸収するようになるので、微量要素欠乏に注意しなければならないとの指摘がありました。片桐さんは、土壌分析に基づいて施肥設計を行ってから、ダニが減った、また葉も厚くなったように思う、と苦土と石灰を施肥してからの木の変化を報告しました。
 圃場視察後は、各産地の取組み報告と、果樹の施肥設計ポイントについて講義が行われました。
 最初にファーマーズクラブ赤とんぼの取組みについて、浅野厚司さんから報告が行われました。「現在、各生産者の圃場について一年を通じた土壌分析のデータを集めている。今後はデータに基づいた肥培管理が重要になってくる。また、サクランボについては、土壌分析に基づいたミネラルの施肥を続けた結果、味が良くなり糖度も上がり、隔年結果もなくなった、これからも栄養価の高い農産物を作っていきたい」と報告が行われました。
 青森県の八峰園の報告は、写真、施肥設計データをもとに、礒田有治BM技術協会事務局長が代わりに現状を報告しました。「土壌分析に基づいた施肥を行うようになり、昨年は樹勢も回復し秀品率も上がった。今年は収穫量もかなり上がりそうだ」と紹介されました。
 小祝氏からは、果樹栽培における施肥設計のポイントと有機肥料の内容や特徴について解説が行われ、果樹編のまとめとしました。
    (報告:長倉徳生)

Author 事務局 : 2008年10月01日 23:10

 
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