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2008年11月01日

西日本BM技術協会 BMW技術研修会・第16期総会開催報告 【AQUA202号】

農作物の生理を知って豊かな土づくりを!
-----その鍵となるのがBMW技術

 九月五日、西日本BM技術協会主催のBMW技術研修会及び第一六期総会が福岡市博多区の博多パークホテルで開催され、総勢五二人の会員が参加しました。
 今年度、西日本BM技術協会が開催した二回の研修会は、いずれも耕種農家向けになっていました。今回は第一六期総会と同時開催ということもあり、耕種農家と畜産農家が一緒に学ぶ研修会として「堆肥づくり」をテーマとしました。研修会の講師は、~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座の講師でおなじみの小祝政明さん。作物の生理を知ることを通して栽培に活かすという論理立てで話を伺いました。
 はじめに、BM技術協会事務局長の礒田有治さんが「畜産農業は飼料の高騰、耕種農業は肥料をはじめとする資材費の高騰と、厳しい経営状況に置かれている。地域の資源を生かし、循環させていく技術として、今こそBMW技術を生かしていくことが重要」と述べ、畜産の堆肥を活用した資源循環型の「飼料米」づくりに取り組んでいる東北の会員の事例や、BMW技術の実践・成功例として、山梨県白州郷牧場での野菜作りの実践例をスライドを交えながら紹介し、「耕作農業で高品質・高収穫を実践するには、良質堆肥による土づくりが基本となり、その上で施肥設計や生物活性水の活用がポイントになる」とまとめました。
 続く小祝政明さんの講演の演目は「堆肥づくりと有機栽培理論」です。前半は植物の生理(光合成、呼吸の仕組みなど)の解説がありました。植物は炭水化物の生成と分解を繰り返していることを化学反応式で解説しました。「土づくりには『物理性』・『生物性』・『化学性』という三つの要素が必要。『物理性に優れた土』とは通気性・排水性・保水性が確保されている土。その土の中の有機物を分解して養分や土壌団粒をつくったり、土壌病害を抑制して品質を向上させるのが微生物の働きによる『生物性』。それを土台として初めて施肥設計『化学性』が成り立つこと、そこにBMW技術の効果が発揮される」という理論が提起されました。後半は「堆肥づくりについて」具体的な解説が行われました。「堆肥づくりに必要な原料はスタートの段階でC/N比(炭素と窒素の比率)を調整し最適な状態にしておき、これにより団粒構造を発達させる微生物の効果を最大限に得られる」、「堆肥づくりの設備については、エアレーションで一定量の空気が隅々まで流れることが必要」。エアー配管や温度、水分管理のポイントと改良方法について図で分かりやすく説明がありました。
 最後に、「今後は、単に『有機栽培作物』であるということよりは、作物の中身・質に価値が置かれるだろう。BMW技術で中身・質共に完成度の高い有機栽培が可能になる」とまとめが行われ、講義は終了しました。BMW技術の実践例やBMW技術の基礎を学習できた、内容の濃い、実りある研修会となりました。
 研修会後は、第一六期総会が執り行われました。荒木隆太郎会長の挨拶から始まり、二〇〇七年度活動報告と決算・監査報告、二〇〇八年度活動方針と予算について、全会一致で承認され、西日本BM技術協会の二〇〇八年度の活動が新たにスタートしました。

Author 事務局 : 2008年11月01日 17:32

 
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