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2008年12月01日

韓国・盧武鉉前大統領が語る豊かな生態系の美しい農村共同体づくり【AQUA203号】

そらインターナショナル・コリア
代表  ハ・ジョンヒ

 九月一八日、今年の二月に大統領職を退任して「農村共同体復元」と「ファポチォン(花捕川)の生態系復元」のために「ボンハ(烽下)村」に帰郷した盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の自宅を訪問し、約一時間、前大統領にお話を伺いました。生活クラブ生活協同組合大阪の渡会恵子理事長、生田善和協会常任理事を代表とする日本からの訪韓メンバーと、同生協と交流を行っている釜山生協(李代表)メンバー、そして、そらインターナショナルコリアの徐と私で、盧前大統領が計画している村づくりについて、お話を聞くことができました。
 前大統領が語った農村共同体づくりについて、ご紹介します。
●村の農家を説得して親環境農業を開始
 今年から村の一三農家を無理やりに説得して合鴨農法を始めました。まず専門家を招いて講演や実践的な指導を受け、農民たちの忙しい時は自分(盧前大統領)が合鴨を管理することを約束し、農村共同体の復元事業のビジョンについて絶えず、村民に提示してきました。今月下旬にはこの村の四〇余りの農民がこの場に集まって会議をする事になっていますが、この村全体が親環境農法を採用しようという提案をする予定です。その場で、もちろん価格に関する話も出てくるはずですが、安全で質のよい食べ物を生産する農民の自負心や良心に関する本質的な討論もするようになるでしょう。

●確固たる哲学がなければ親環境農業は持続できない
 韓国親環境農業政策の現在の問題点は、農民たちを利益中心の思考に誘導してしまうという点です。例えば一部地方自治体では、親環境農法に係わる補助金があまりにも多く、以前は補助金なしに自分の哲学をもって何年も苦労し、研究して来た農民たちが、補助金を巡って競争の場に置かれるようになるということです。
 親環境農業は、本来、哲学がある農民や生産者団体でなければ持続しにくいのです。それで私と私の秘書官たちは、草をとったり、ファポチォンに出て掃除をしたり、木も植えたりしながら、村の人々に対して確固たる哲学と良心を持った農夫になろうと説得しています。

●豊かな生態系の美しい村をつくりたい
 私は、生態的に豊かで安全な食べ物を作り出す美しい村をつくりたいと考えています。農民たちは、地域全体で、豊かな生態系や環境のある農村づくりを行い、それらを都市住民に提供することができる価値を理解する必要があると思います。山にある木の一本も計画的に植えなければならないと思います。ただ農薬を使わない農産物の水準ではなく、豊かな生態系が息づく地で生産された農産物を都市住民たちに提供していくことが重要だと思います。個別農家の場合は有機農法を取り入れるのが一番理想ですが、村全体、地域全体を考えれば、単純に一農地の有機農業ではなく、全体が有機的に繋がっている地域にならなければならないと思います。
 この村の主な農産物は、米や柿ぐらいしかありませんが、米は商品として生産し、その他の作物は、大量につくっても、収支を合わせにくいので、訪れたお客さんたちが体験して記念に持って帰る程度につくればいいと思います。景観のために牛も何頭か育てるつもりですが、村の人々が農産物を販売した事業で生じた利益で景観管理費用を支払う方式にしようと思います。そして来年には、どこか近い地域の親環境農産物を検証し、検証されたものは販売する方式で、村市場をつくろうと思います。金海地域には牛肉と豚肉の生産量が多いので、市場で食肉も販売し、食堂も運営して村の市場の収入源をつくるつもりです。全体的には、親環境農業を整備する一方、それらの村づくりにかかる経費は市場で生じた利益でバランスを合わせて行こうと思います。

 盧前大統領のお話をお聞きし、親環境農業にBMW技術を取り入れている陽平郡でも、「豊かな生態系の美しい農村共同体づくり」に向け、今後も努力していきたいと思いました。

Author 事務局 : 2008年12月01日 14:22

 
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