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2009年02月01日

百年に一度の経済危機がもたらすもの【AQUA205号】

BM技術協会 理事長 石澤直士

 会員の皆様に新年のご挨拶を謹んで申し上げます。
 まずは、~食料・環境危機に直面し、生産・生活・地域のあり方を変えよう~のテーマで、昨年、千葉県で開催されましたBMW技術全国交流会へご参加頂いた会員を始めとする皆様に改めて感謝申し上げます。また、千葉BM技術協会の皆様には、かつてない多くの参加者を迎えるにあたり大変ご苦労頂きました点、厚くお礼申し上げます。しかも、二泊三日というスケジュールにも拘らず、最後まで丁寧な対応をして頂き重ねて御礼申し上げます。また、内容についても数多くの方々から色々な評価を頂きましたが、その中でも、うれしかったのは、「ようやくBMW技術が理解できた」と言う評価で、関係者一同胸を撫で下ろしている一方、課題もありました。この技術に長く取り組んでいる会員の皆様からは、「BMの原点は、技術の追求にあるのでは」とのご意見も頂きました。これもまた、至極当たり前の事で今後は、更に掘り下げていく事も協会としての大切な役割であると痛感しました。いずれにせよ、三日間の交流会にも拘らず皆様熱心に聞き入る姿に感動したのは、私ばかりでしょうか。本年は、茨城県での全国交流会開催となりますが、関係者の皆様のご協力と一年に一度の再会を楽しみにしております。
さて、タイトルの「百年に一度の経済危機」は、あのトヨタが創業以来、初めての赤字に見舞われるなど、この国を牽引してきた大企業の先行きが見えない中で、早ければ四月遅くても任期満了の九月までには、総選挙が行われますが、政治がこれだけ機能していないとマスコミに騒がれた選挙もかつてないのではないでしょうか。事実、昨年一四七ドルまで行った原油の高騰やその後に起きたサブプライムローンの破綻による金融危機、それに反応してこれだけ早い大企業の自己防衛策の速さは、過去の経験に基づいているとは言うものの、我々末端に居る者にとっては、あまりの速さに振り回されるばかりです。
 例えて言うならば穀物の高騰の中でようやく生産物への価格転嫁が出来たのは、トウモロコシ価格が最高値をつけて半年経ってからにも拘らず、価格の引き下げは、一ヵ月もしないうちに円高還元セールなどという名目で実行され、「申し訳ありませんが我々にはまだ還元されていないのですが」と言うと、「他にも取引先がありますから」と言われる始末。こういう時こそ政治が大切になるのですが、政治家稼業を守る為に精一杯の方々には、現場の声は通らず、「天は自ら助くる者を助く」などと嘯いている現状です。新年早々愚痴を言うつもりはありませんが、今年の景気は、更に悪化することは、間違いないと経済評論家の見方のようです。この景気も地方と中央ではかなりの差が有ることも事実です。それは、人口の動態ですが、地方は流出が続く一方、東京は、今年千三百万人を越えると言われており、益々、格差が拡がる一方です。もちろん都市住民の中でもその格差は広まっていることも事実でしょう。本来は、この様な時こそ農村が受け入れるべきなのですが、疲弊している今の農村には、その余裕すらないのが現状です。そのような中、昨年の千葉県の交流会を見るとBMの仲間達の元気さは何なのでしょうか。空元気なのでしょうか。いや、違います。それは、夢ではないでしょうか。
昨年は、三つの原点のお話をさせて頂きました。改めて述べさせて頂きますが、①食料自給率の向上②堆肥の地域間格差の解消③農薬や化学肥料の削減――これに、BMはどこまで貢献できるのか、それが出来なければミクロコスモスの実現は不可能、というようなことを述べましたが、BMの仲間達に言わせたらそんなのは当たり前の話でとっくの昔にもうやっているという事なのでしょうが、単に、生産者だけでは、ミクロコスモスの実現は不可能で、この未曾有の不景気の今こそ都市住民との連携が必要なのではないでしょうか。今、ミクロコスモスに限りなく近づいているのは、茨城県の田中邸であり、山梨県の白州郷牧場ではないでしょうか。そして地域という点で言えば、ポークランドの取り組みもかなり近づいていると言えるでしょう。また、ファーマーズクラブ赤とんぼの取り組みは、とことん突き詰めた究極の技術追求にあります。併せてその技術普及、及び伝承により、地域の活性化に繋がるのではないでしょうか。いわゆる「架空社会」から「現物社会」へ、「拝金主義」から「経世済民」へ、どんなことを言っても一粒の種を植えると万倍になる。しかも、太陽と水と土に栽培技術とBMW技術が調和したときに。このような職業は農林水産業を措いて他にない。日本のように資源のない国においてその資源は、人と技術と言っても良いのではないでしょうか。そして、世界の中でも類を見ないほど多い資源としての水ではないでしょうか。
 BM技術協会は、技術の面においては更に極める必要はありますが、大切な事は、その技術の普及と後継者への技術の伝承です。その為に研修会を行っていく。今までは、小祝先生の植物の生態に合わせた肥培管理と、それぞれの産地でのBMの活用をやってきたのが現状です。そこで今年の方針は次のように進めて行きたいと考えております。
 ①作物ごとに協会のエキスパートによる講習会開催②昨年までの取り組みの拡大と確立③BMW技術の各作物別使用方法について基本マニュアルの作成準備④事務局体制の整備⑤財政問題の確立に向けた取り組み。
 以上の五項目を柱に、今年度の協会運営を進めて行きたい。もちろん、BM初心者向けの取り組みについては、長崎前会長の講演資料、そして奥地先生の岩石の成り立ち等を基に、「自然観を変え、技術を変え、生産・生活・地域のあり方を変える」というBMW技術とは、なんぞやを今以上に消費者会員に伝えていきたいと考えています。
 皆様、本年もBMW技術の普及と、より一層のレベルアップにご協力をお願いしますと共に、それぞれの皆様の抱く夢が叶うことを御祈念申し上げまして新年のご挨拶とさせていただきます。

Author 事務局 : 2009年02月01日 15:12

 
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