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2009年04月01日

「飼料用米ならびに有機栽培米学習会」開催【AQUA207号】

 ポークランドこめ豚協議会・JAかづの主催「飼料用米ならびに有機栽培米学習会」開催
 BMW技術を活用した有機栽培米・有畜複合農業実践事例を報告


 二月一二日、秋田県鹿角市「エスポワールかづの」にて、「飼料用米ならびに有機栽培米学習会」が開催され、峯村正文BM技術協会理事(新潟県・㈲謙信の郷)と、伊藤幸蔵BM技術協会常任理事(山形県・㈲ファーマーズクラブ赤とんぼ)が、BMW技術を活用した有機栽培米づくりと、有畜複合農業について、実践事例報告を行いました。
 同学習会は、BMW技術を活かした養豚に取組むポークランドグループを中心に構成されているポークランドこめ豚協議会と、JAかづのが主催し、鹿角飼料米推進協議会の協賛で実施されました。学習会には、秋田県の稲作農家を中心に、パルシステム、同組合員、全農等から約一三〇名の参加がありました。以下、内容の概要を報告します。
 学習会は、㈱パルミート代表取締役でパルシステム生活協同組合連合会の山本伸司専務補佐(BM技術協会常任理事)から来賓挨拶が行われ、「これまで日本の畜産は輸入飼料に頼って成長を続けてきたが、日本の食料自給率は四〇パーセント以下となっており、飼料自給率にいたっては二五パーセントである、しかし国産飼料をつくるには国の補助金なしではとても採算が合わないという現状の中で、どうすれば日本の食を自給的な方向へシフトしていけるのか」と、問題提起が行われました。
 続いて、経過報告として、JAかづの綱木作之亟営農部長より、現在までの鹿角市での飼料米の取り組みについて、説明が行われました。多収穫品種・試験品種の導入実験、堆肥投入量の比較試験、平成二〇年産の生育記録と収量実績等の発表があり、食用米と同様に飼料米栽培も堆肥・土作りが大切であるとの報告が行われました。また、鹿角市農林課の佐藤寛水田対策班主任からは、「水田等有効活用促進交付金」について具体的な説明が行われました。
飼料米の全国動向
 飼料米の全国動向について、最初に全農畜産総合対策部の谷清司整備推進課長から「飼料米の畜産への利用」と題して実証試験と調査の報告がありました。減反の休耕田や作付け放棄された田を飼料米生産によって活用することで、洪水防止、河川流況安定、地下水涵養、土壌浸食(流出)防止、土砂崩壊防止、有機性廃棄物の処理、気候緩和、住民のやすらぎ・保健休養などの多面的機能が期待できると発表が行われました。
 次に、全農の飼料畜産中央研究所、養豚グループの野口剛氏から、「養豚飼料への飼料用米の利用」と題して報告が行われました。高温多湿で水が豊かな日本において、飼料米生産は風土に適しており、畜産飼料としてもトウモロコシ等、他の穀物に比べても遜色なく優れている点が多いことが、実際の発育成績・豚肉の食味得点とともに解説されました。
 続いて、東京農業大学の信岡誠治准教授から「飼料米の生産など耕畜連携の進むべき方向とその課題」と題して講演が行われました。信岡准教授は「飼料米の生産によって休耕田の活用による環境保全、地域経済の活性化、担い手作りなどの効果が期待できるが、輸入飼料に対抗するには大規模なコスト削減が必要になり、集約化を進める必要がある。食用米との区分管理、分別流通のためのコストも新たに考えなければならない。しかし、逆に高価な化学肥料、農薬は使用できないため、飼料米は必然的に有機稲作になり環境保全型農業になる」と、述べました。
「こめ豚」の試食も
 昼食時間には、ポークランド飼料米育成豚「こめ豚」の現在までの取り組みについて制作されたビデオの上映が行われました。
 また、「こめ豚」の試食が同時に行われました。従来の飼料で育てた豚肉、飼料米を四〇パーセント配合して育てた豚肉、六〇パーセント配合した育てた豚肉を豚しゃぶにして、参加者が試食しました。味はどの肉もほぼ変わらない美味しいものでした。
稲作における有機栽培とBMW技術
 BMW技術による稲作の有機栽培実践事例として、㈲謙信の郷の峯村正文BM技術協会理事から、「BMW技術を活かした稲つくり、楽しく面白く稲作に取り組んで」と題して、稲作における有機栽培の実践事例の講演が行われました。有機稲作における苗づくりの重要性、秋処理の大切さ、「ドクターソイル」による土壌分析の活用、イネミズゾウムシ対策など、有機栽培の具体例がBMW技術の活用法とともに解説されました。
 続いて、山形県㈲ファーマーズクラブ赤とんぼの伊藤幸蔵BM技術協会常任理事から「地域の有畜複合」と題して講演が行われました。赤とんぼの稲作生産者が利用しているBM堆肥や生物活性水を供給する米沢郷牧場での畜産の取組みや、有畜複合経営の実践状況と集団リサイクルシステム、子供たちの食育や田んぼの生き物観察会等の地域交流、地域の岩石をも有効資源として活用するBMW技術を基本においた地域資源循環型農業が語られました。
BMW技術による耕・畜の連携と
   飼料米の可能性
 平成二一年度のかづの地区の飼料米作付け希望面積は七五ヘクタールですが、そこに農林水産省の水田等有効活用促進交付金が交付されて「こめ豚」が年間一万八千頭出荷された場合、コスト的にトウモロコシの代替として飼料米が使用可能になるとの試算があります。ポークランド全体で飼料に一〇パーセントの飼料米を添加した場合、四七〇ヘクタールの減反が解消される計算になります。
 現状では、飼料米栽培は、様々な課題はありますが、BMW技術を導入した畜産から得られる堆肥や生物活性水の有効活用を図ることができれば、コスト削減につながります。耕作と畜産の連携による飼料米栽培は、東北などの中山間地域に適した農業の一つとして、今後、その可能性が期待されます。(報告:井上 忠彦)

Author 事務局 : 2009年04月01日 20:47

 
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