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2009年06月01日

「土と水の学校」有機栽培講座を京都で開催【AQUA209号】

関西BM技術研究会「土と水の学校」有機栽培講座を京都で開催


 三月二一日 、京都にて、関西BM技術研究会主催、~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が開催されました。「土と水の学校」講師の小祝政明氏、BM技術協会礒田有治事務局長を迎えて、生活クラブ生活協同組合大阪、生活協同組合生活クラブ京都エル・コープの職員及び組合員や、生産者など二一人が参加しました。
 午前中は、ハウス栽培トマトを生産する中井さんの圃場で現地検討会を行いました。以前「褐色根腐れ」病が発生し、接ぎ木などの対策をしたそうですがうまくいかず、土にふすま、ぬかを入れビニールで密閉し嫌気状態にして褐色根腐れ菌を殺す、土壌還元消毒をしたところ病気が落ち着いたそうです。
 小祝講師からは、もともと水はけが悪い土地では、「褐色根腐れ」になりやすいが、土質が柔らかく改善されて団粒構造になれば土壌還元消毒を行わなくても「褐色根腐れ」は防げる。団粒構造ができると、水の拡散速度がコントロールでき、根が呼吸できるようになると解説がありました。土がどのくらい軟らかいのか、実際に鉄管を土に刺して確認しましたが、抵抗もなく三〇センチくらい鉄管が土中に入りました。
 「トマトの根元から五センチくらいのところにうぶ毛が生えているのは良好な生育を示していて、この毛によって虫もつきにくい。定植して一ヶ月にしては葉の色がしっかりでている。鉄分などのミネラルがきちんと入っているからだろう。葉の上の方がやや色抜けしているのは若干のマンガン欠乏の症状だが、チッソ・リン酸・カリ・石灰・苦土の多量要素とその他ミネラルなどの微量要素のバランスがとれ、以前に比べて、意図した施肥通りに養分を吸うようになったのでは。葉脈の中央部が持ち上がるのはチッソが効き過ぎだがそうなっていない。葉はお椀型になるのが正常」等の講評が小祝講師から行われました。
 また参加者からの感想・意見もだされ、ハウス内の黄色い防虫シートを安価に製作する方法などについて提案もありました。
 中井さんのトマト栽培における今後の課題は、追肥のタイミングなどの肥培管理だそうです。

 午後からは、生活クラブ京都エル・コープの会議室に移動し、小祝講師から詳細な有機栽培技術の講演がありました。「圃場に正しくつくった堆肥を入れていけば、土を団粒構造にできる。団粒構造になっていないと植物の根が酸素不足になり、土中の養分をきちんと吸うことができない。高品質多収穫を目指すには正しい堆肥を入れて、団粒構造に土壌改善することが肝要」などの有機栽培の基礎的事項から、分子式を使用した、植物内で起こる光合成による化学変化の仕組みについてまでの、多岐にわたる内容でした。
 続いて、礒田BM技術協会事務局長の講演になりました。BMW技術の基礎について、また「土と水の学校」の概要と目的が説明され、BMW技術と有機栽培理論の融合によって品質と収穫量が飛躍的に向上した、各地のBM技術協会会員生産団体の成果について、紹介が行われました。
「生物性、化学性、物理性のバランスがとれた良質の土づくりを行うには有機堆肥と生物活性水の活用が効果的。また、様々な創意工夫で、生物活性水は多目的に利用可能」とまとめがありました。
 質疑応答の時間も充分にとられ、高度な有機栽培理論が理解しやすく参加者に解説された「土と水の学校」でした。(報告:井上忠彦)

Author 事務局 : 2009年06月01日 01:43

 
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