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2009年08月01日

【AQUA211号】韓国・耕作農業での生物活性水利用の現状

使い続けることで、収獲量・品質の向上や病害虫対策に大きな効果

㈱匠集団そら 秋山 澄兄

 韓国での生物活性水の耕作での利用状況や成果を見るため、楊平郡のBM生物活性水プラント「出水式」が行われた翌日からSOLAインターナショナルコリアのハ・ジョン・ヒ代表の案内で、椎名盛男協会常任理事と礒田有治協会事務局長と秋山で、楊平郡にある二つの農場と、楊平から車で約一時間ほど北に位置する春川(チュンチョン)の農場の現地視察を行いました。視察したいずれの農場でも生物活性水を利用し、栽培作物の収量や品質の向上や、病害虫の減少に効果をあげていました。

トウガラシ栽培への生物活性水利用事例
花芽が多くなり、実も大きくなった
 最初に訪れたのは楊平郡のチョウさんの農場、韓国トウガラシのハウス栽培に取組んでいます。元肥には、畜糞とモミガラが原料の堆肥を利用しています。週一回の潅水で、生物活性水は、約三週間ごとに水と一対一の割合で希釈して利用しています。
 チョウさんは「BMの取り組みを始めてから、実が多く、大きく生るようになってきた。以前は自家消費のものでしかなかったのが、商品として売れるようになった」と話します。チョウさんの農業経営は稲作中心ですが、副収入としての生物活性水を利用したトウガラシ栽培は大きなものとなっています。生物活性水は農業技術センターから約三週間に一回、二・五トンが運ばれてくるそうです。
 「配給される生物活性水が足りなくて困っているが、今度は大きなプラントができたからもう少し、量を増やしてもらえるだろう」と、チョウさんは期待しています。
 楊平郡では、現在二〇〇軒以上の農家に生物活性水を農業技術センターがタンクローリーで配給しています。そのうち三分の二程度が畜産農家で、残りは耕作農家。どの農家も生物活性水の配給不足が悩みだそうです。

サンチュの周年栽培への生物活性水利用事例
根こぶセンチュウによる連作障害がなくなった
 陽平郡農業技術センターが生物活性水を供給する耕作農家で、次に訪れたパクさんの農場は二万坪の土地にハウスでサンチュの周年栽培を行っています。一部、雨除けハウスと路地栽培も行っていますが、二五棟のハウスを持ち、年間で約二〇〇トンのサンチュを出荷しています。日本で見られる緑色のサンチュとは違う「赤チマサンチュ」という葉先が赤くなっているものを栽培し、ソウル最大の市場では一番の高値(五kg箱/九〇〇円)で取引されています。パクさんは、一日に五kg箱を三〇〇箱を出荷し、今後もハウスを増やしていくそうです。三年前から生物活性水を利用し始め、一カ月に二〇〇倍希釈の生物活性水を三回潅水します。以前は根こぶセンチュウによる連作障害に悩まされていましたが、生物活性水を利用し続けた結果、現在では改善され、連作障害もなく、ハウスはフル回転で栽培を続けられるようになっています。元肥には、鶏糞やオカラの発酵肥料を利用し、追肥はせず、生物活性水の潅水で栽培しているそうです。

ハウスミニトマトへの生物活性水利用事例
病害虫被害がなくなり、ミニトマトが鈴生りに
 陽平郡から春川へ移動し、訪れたのはミニトマトのハウス栽培をしているカンさんの農場。カンさんはこの地域のトマト生産者組合の組合長で、面積六千坪に七棟の連棟ハウスでミニトマトを栽培しています。二月に定植、四月下旬から取り始めたミニトマトの生り方は、写真の通りまさに圧巻の一言。収穫期間中は日量で一・五トン(kg/二四〇円)の出荷、例年は八月まで収穫ですが、今年は九~一〇月まで収穫を続けてみるつもりだそうです。生物活性水は週一回、潅水時に五〇〇倍希釈で潅水します。収穫期は潅水時間を短くし潅水量を調整します。元肥にはワラ、モミガラ、米ヌカを発酵させた肥料を使用します。
 追肥は、元肥に使用した発酵肥料を液肥化したものに生物活性水を加えて利用します。カンさんは「最初は失敗もあったが、生物活性水を三年間利用し続けて、現在では病害虫の発生がなくなった」と話します。カンさんの言葉通り、ハウスの間に生える雑草には虫がついているもののミニトマトには、まったく虫がついていません。
 カンさんが利用している生物活性水は、春川農協の事業の一環としてBMW技術が取り入れられ、カンさん達の生産地域がそのモデル地区に選ばれて、生物活性水を利用しています。現在、三〇軒の農家が利用しています。生物活性水プラントは、農協で管理され、豚尿が原料の生物活性水と、堆肥が原料の生物活性水ができるプラントになっています。
 トマトには豚尿が原料のものの方が良いと、カンさんは話しますが、ここでも生物活性水は足りないということで、カンさんは両方の生物活性水を混ぜて使っているそうです。他地域の農家からは生物活性水を分けて欲しいという声も多数上がっていて、今後、大きなプラントを作る計画が進められています。
 今回、視察した三軒の農家の話を聞いて感じたのは、生物活性水による効果は、栽培期間中、しっかり使用し続けることと、何作も使い続けて行くことで、より効果が現れることでした。サンチュのパクさんもカンさんも「使い続けて行った結果、現在のようになった」と同じことを話していました。年々耕し、土が良くなっていくように、生物活性水を使い続けることにより、多収穫及び高品質、病害虫防除等の効果が得られるようになっています。生物活性水の及ぼす農作物への効果を改めて実感したとともに、年ごとに積み重ねていく「農」の尊さのようなものも感じました。

Author 事務局 : 2009年08月01日 20:21

 
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