« 【AQUA212号】第2回「田んぼの生きもの及び水質・土壌調査」 | メイン | 【AQUA212号】「土と水の学校」福島県で開催 »

2009年09月01日

【AQUA212号】千葉BM技術協会 第13回定期総会を開催

槌田敦氏の講演や園芸福祉農場、BM栽培実験の報告も

 千葉BM技術協会第一三回定期総会が、七月一一日(土)、千葉県香取市旧山田町公民館にて、会員約三〇人が参加して、開催されました。総会終了後は、理学博士の槌田敦先生から「エントロピー経済学から見たBMW技術」と題しての講演、生活協同組合パルシステム千葉の中根裕経営室長からの「野田市園芸福祉農場」報告、BM技術協会の礒田有治事務局長からの「ウェル&グリーンファームのだ」のBM実験栽培報告も行われました。また、今年度の全国交流会開催地の茨城から、市丸滋幸全国交流会実行委員会総事務局長が参加され、今年の全国交流会の概要説明と、参加要請が行われました。
 総会では、二〇〇八年度活動報告及び会計報告、二〇〇九年度活動計画及び予算案等が審議され、承認されました。
 また、二〇〇九年度役員には、以下の方々が選出されました。
 会長:向後武彦((農)和郷園)、副会長:下地通太(パルシステム千葉)、礒田有治(㈲千葉自然学研究所)、幹事:鈴木猛(新生酪農㈱)、米本和弘(元気クラブ)、赤座繁樹(赤座養鶏場)、千葉具重(㈱パルミート)、中根裕(パルシステム千葉)、樋口謙二(生活クラブ生活協同組合)、鈴木孝雄(BMとみやま)、監査:岡田哲郎(NPO支援センターちば)以上、敬称略。

 総会終了後の講演、報告の要旨は以下の通りです。


槌田 敦氏 講演「エントロピー経済学から見たBMW技術」

 活動や変化があると必ずエントロピーは増大し、エントロピーが限界まで増大すれば活動や変化は停止する。それでもたとえばエンジンなどは活動を続ける。これは、①資源の導入②廃熱、廃物の廃棄③物質循環の存在、によって余分なエントロピーを捨てているからだ。熱機関をはじめ生命、生態系、地球など活動を維持するすべての物質系も余分なエントロピーを上手に捨てることで活動を続けることが可能になる。生命も血液などの循環によって常に状態を再生するエンジンであり、地球もまたエンジンとみなせる。生態系エンジンは、微生物や植物の働きによって物エントロピーを廃熱に変え、地球気象の循環によって宇宙に捨てている。
 人間社会もエンジンだ。需要と供給によって物質を循環させ人間社会の活動を維持している。生態系の物質循環に資源と廃物が健全に繋がることで人間社会も生態系も存続できる。生態系の循環が壊れた例としては古代文明があり、生態系を砂漠にしてしまった。現代文明も、科学技術による過剰生産と自由貿易による過剰供給で、農業の採算がとれなくなり、農民に農地を放棄させた。それが世界を砂漠化にむかわせている。人間社会の廃物を生態系に上手に返すことに失敗し、農地や漁場などの環境を破壊している。
 人間や家畜の糞尿公害は一つの例だが、糞尿は生態系にとって堆肥化、液肥化して資源として活用することができる。そのためにBMW技術が有効になる。生物活性水は鉄イオンの濃度が高く、また放線菌などが保持されている。有機農法ではひとつ欠点として、鉄イオンが酸化鉄になって流出してしまうことがあるが、生物活性水に含まれるキレート鉄によってそれを補うことができる。
 BMW技術をため池処理技術に発展させることもできる。畜産業と農業・漁業の協業化を進め、畜糞をため池で動植物と微生物によって処理し、水田を経て、漁場へ流すことなどが考えられる。畜糞の豊富な養分で、植物プランクトンや水草・海草が育ち、豊かな漁場が得られる。昔、カキの養殖には人糞を撒いた。漁業者にも昔を思い出してもらうことが必要だ。人間社会の廃棄物を上手に生態系に返せば、生態系はこれを豊かな資源に変えてくれる。

「園芸福祉農場での活動」
~障がい者の社会参加~ 農作業を障がい者とスタッフが楽しむ
 槌田敦氏の講演に続いて、中根裕氏(生活協同組合パルシステム千葉総合企画部)から千葉県野田市園芸福祉農場での障がい者の活動と社会参加について報告がありました。ふたつの障がい者団体と提携した枝豆づくりや、野田市社会福祉課、農政課、社会福祉協議会との提携、市民による支援、など、園芸福祉農場の多様なネットワーク形成について説明が行われました。
 園芸福祉農場に参加している障がい者からは、「普段は室内作業が多いが、園芸福祉農場の施設では外に出られる」「パッキング作業だけでなく収穫・草取り作業も参加したい」「楽しい。空気がいい」という感想が寄せられています。一方、障がい者をサポートするスタッフからは「外での作業場の確保が難しい現状があり、なにか事件が起こると『社会の目』を気にして外出しにくいところがあるが、ここは問題ないのでありがたい。障がい者と一緒に、色々な作業に参加できて楽しい」との声が上がっているそうです。
 また園芸福祉農場側スタッフからの、「からだを動かすことでリハビリ効果がある」「色々な人と触れあえる」などの声も紹介されました。終わりに、「園芸福祉農場は、障がい者の社会参加としては有効な手段だが、今後は生産性、収益性を目指すことが大きな課題」とまとめがありました。

「ウェル&グリーンファームのだ」
のBM栽培実験
 韓国と同様にミニトマトが鈴生りに
 続いて、礒田有治BM技術協会事務局長から「ウエル&グリーンファームのだ」のBM実験栽培について技術解説がありました。耕作農業での生物活性水利用について、まず、韓国の春川にあるカンさんの農場で、ミニトマトが鈴生りになっている栽培事例が紹介され、高品質で多収穫かつ、病害虫が減少している現状を報告しました。続いて、「ウェル&グリーンファームのだ」で行われているBM栽培実験でも同様の現象が起きていることが報告され、生物活性水を使い続けることで収量や品質の向上、病害虫対策に大きな効果があることが説明されました。
(報告:井上忠彦)

Author 事務局 : 2009年09月01日 20:29

 
Copyright 2005 Takumi Shudan SOLA Co.,Ltd All Rights Reserved.