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2009年10月01日

【AQUA213号】BMW再びフィリピンへ

北部ルソンにBM生物活性水プラント完成

特定非営利活動法人APLA   フィリピンデスク 大橋成子

 去る七月七日から一一日まで、㈱匠集団そらの星加浩二プラント事業部長と白州郷牧場の新谷知大さんが来比し、ルソン島北部で地産地消に取り組む、農民組合連合(CORDEV)の堆肥センターにBMW(生物活性水)プラントが設置されました。
 ルソン島は、三〇州からなるフィリピン最大の島で、米・トウモロコシの一大産地であり、古くからフィリピンの穀倉地帯といわれてきました。CORDEVが活動する北部の六つの州は、米・トウモロコシに加え、コーヒー、カカオ、バナナ、果樹などが有名な産地で、首都マニラまで共同出荷を行っています。なかでも、米農家組合は、昨今の食糧危機や原油高騰による肥料代の問題を解決するために、有機米の増産に取り組んできました。これまで業者から購入してきた有機堆肥を自分たちで生産したい、という願いから、CORDEVは地元の農地改革省と提携し、昨年堆肥センターを建設しました。堆肥の材料はすべて地元の生産者組合から提供されるもので、鶏糞、トウモロコシの残渣、おが屑、籾殻くん炭を発酵させたものです。メンバーからは、すでに年間約一千トンの堆肥の需要があります。
 CORDEVの代表グレッグ・ラシガンさんはすでに自宅でBM実験ミニプラントを設置し、生物活性水を豚や作物に利用してきました。次は、堆肥センターに「本格的にBMW技術を取り入れて、もっと質の良い堆肥を生産したい」という強い希望から、今回パルシステムのレインボー・パル基金の支援を受けて設置に至りました。
 BMW技術の導入については、昨年から準備がなされ、まず一二月には匠集団そらの星加さんと秋山澄兄さんが現地調査(アクア二〇六号参照)を行いました。今年五月には、APLAの招きで来日したグレッグさんが、山形県の米沢郷牧場とファーマーズクラブ赤とんぼ、山梨県の白州郷牧場と、黒富士農場のBMW技術取り組み産地を訪問し、それぞれ貴重な体験を直接うかがうことができました。
 「フィリピンでは考えられない技術や規模だが、話を聞けば二〇数年前皆さんはほとんどゼロから出発して、ここまで経験を蓄積してきたことが解った。僕たちも二〇年後に白州郷牧場のような地域ができることを目指してがんばりたい」と、グレッグさんは堆肥センターへのBMW技術導入に大きな期待をかけました。

連日ハプニングだらけの配管工事
 七月七日、生物活性水プラントの設置工事を行うため、星加さん、新谷さん、大橋の三人は、マニラ空港から百人乗りの小さなプロペラ機でカガヤン州ツゲガラオ空港に降りたちました。そこからさらに車で二時間南下したイサベラ州カウヤン市のCORDEV堆肥センターに到着。
 五トン槽×六槽からなる土木槽はすでに完成しており、水漏れ検査も大丈夫とのこと。「ずいぶん頑丈そうな水槽だね」と星加さん、新谷さんもニッコリ。
 初日はまず、パイプ等の資材の購入を済ませ、早速、新谷さんが電動ドリルでパイプの穴あけを始めようとしたとたん停電に。「初日からなんという・・・」と一同、若干の不安に襲われましたが、後から振り返ればこれはまだ「序の口」。
 それでもようやく配管が終わり、第一槽目に水を入れました。翌朝現場に着くと、真っ青な顔をしたグレッグが「ビッグ・プロブレム!」。水槽の隅から水道の蛇口のように水が漏れ、あたりは水浸し。水漏れチェックは床だけを気にし、三〇センチの高さまでしか水を入れなかったらしいのです。それから五トン近い水を抜き、セメントで塞ぎ、防水セメントをさらに塗りつけ、乾くのを待つこと一二時間。恐る恐る祈るような気持ちで水を入れます。「今度は大丈夫!」と喜んだとたん、今度は水槽に空気を送るブロワーが故障。星加さんによれば、用意されていたブロワーは空気の吐出量は大きく乾燥用には良いが、ばっ気のための圧力が足りない、とのこと。私たちはいったん工事を中断して、水槽用の電気ブロワーを探すため、町中の店を回りました。
 最終的にカウヤン市から一時間以上離れた大きな市でブロワーを発見!しかし、マニラに注文しなければならず、とりあえず星加さんが壊れたブロワーを修理し、ブロワーが届くまでの応急処置をとってくれました。
 ピナツボ火山から七~八時間かけて運んだ軽石も花崗岩もきれいに槽に収まりました。センターで作っている堆肥も吊るされました。
 「これでもか!」と次々に起こるハプニングと、連日三十度をゆうに越える灼熱の中、それでも工事は予定通り五日間で完了しました。それは、「忍耐」の星加さんと、何事にも動じず黙々と仕事をする新谷さんのコンビだったからこそ!と関係者は全員で二人に感謝しました。
 これから第二槽、第三槽へと水が回り、CORDEV堆肥センターのBMプラントは八月末の出水式を待つばかりです。

Author 事務局 : 2009年10月01日 13:35

 
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