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2009年10月01日

【AQUA213号】「土と水の学校」有機栽培講座

1.さらなる生産技術のレベルアップを目指す
 北東北BM自然塾(十和田湖高原ファーム&JAかづの)

報告 JAかづの 営農企画課長 関 巧

 八月四日、北東北BM自然塾主催の「土と水の学校」有機栽培講座が、秋田県鹿角地域の㈲十和田湖高原ファームと、JAかづのの地元キュウリ生産者等、二〇人が参加して、開催されました。
 講師には小祝政明氏とBM技術協会礒田有治事務局長を迎え、実践的な指導を受けました。午前中はJAかづのキュウリ部会の相川氏の圃場で取組内容を考察し、具体的な対応を検討しました。今年の相川氏の取組みは底穴ポリポットと燻炭マルチ栽培を行い、小祝先生からも有機栽培としては高度な領域に入ってきているとのコメントをいただきました。
 施肥設計の注意点として、ミネラルや微量要素等については、く溶性肥料と水溶性肥料のバランスを考え、収穫期間中の追肥については、水溶性肥料を主体として施肥すればよいとのアドバイスを受けました。また、病気予防は、菌には菌の力で押さえ込む必要があり、BM生物活性水と地元産ケイ石(軽石)の効果的な使用方法を教えていただきました。
 午後の講義では、植物生理の仕組みと構造を基本から応用まで説明を受けました。状況を的確に捉え「ミネラル先行、チッソ後追い」の基本を再認識するよう指導を受けました。この研修の後、実践した農家では、BM生物活性水とMOX(酸素供給材)・水溶性の微量要素・アミノ酸液剤の灌注が効果的であったと報告されています。研修後の参加者を見ると更なる挑戦意欲が伺えました。
 この後㈲十和田湖高原ファームの圃場に会場を移し現地研修を行いました。最初に飼料米試験圃場を見て頂きました。ミネラルや堆肥の効力が出ていて、現状の生育は良好であるとコメントを頂きました。
 人参の圃場においては、七月の日照不足や低温・長雨の影響による生育不良や被害が顕著に現れていて、小祝氏と礒田事務局長から激励を受けました。また、技術コメントとして堆肥をメイン肥料としているため、春の肥効を得るため堆肥の秋散布を勧められました。堆肥の秋散布については水田の原理と同じであるとアドバイスいただきました。
 今回の講座を今後の管理に即実行し、更なるレベルアップを図ろうと参加者全員で申し合い解散しました。お忙しい中、講義頂いた小祝先生、礒田事務局長に感謝申し上げます。


2.植物生理に沿った適切な施肥設計を学習
みやぎBM技術協会(天童同志会、あいコープみやぎ)

報告 生活協同組合あいコープみやぎ 商品部課長 高橋 寛

 八月五日、みやぎBM技術協会主催で、山形県天童市にて「高品質・多収穫の果樹栽培」をテーマに、小祝政明氏とBM技術協会の礒田有治事務局長を講師に迎え「土と水の学校」有機栽培講座を開催しました。同講座には、地元の天童果実同志会から一三人、宮城県角田市佐藤果樹園から一人、あいコープみやぎから五人の合計一九人が参加しました。
 午前中は、天童果実同志会の、洋梨(ラ・フランス)、リンゴ(ふじ)、サクランボ(佐藤錦)、モモ(夏かんろ他)等それぞれの園地にて、事前に行った土壌分析値を参照しながら樹木や土壌の状態を観察しながらの実践講義が行われました。
 天童での「土と水の学校」の開催は、昨年に引き続き二年目と言うこともあり、各園地での苦土や石灰の補充等は行われていました。しかし、今年の土壌分析値からも明らかなように、土壌の微量要素等のバランスがまだ悪く、枝の状態に、その影響が出ており、病気になる一歩手前の状態(押してみると少し柔らかい状態)になっているものもありました。小祝氏から「ちょうど八月ということもあって礼肥の時期になっているが、予定は?」との投げかけに、生産者は苦笑いせざるを得ない状態で、基本的な年間の栽培計画や施肥設計の問題点が指摘されました。また、葉の状態も一部、水をはじかない光合成能力が落ちた状態になっている園地・樹木もあり、鉄分の不足が病気を誘発する原因につながりかねない深刻なところもありました。 
 「果樹の味を決める上で重要なことは、甘味やビタミン等を形成する糖類に変化していく炭水化物をより多くつくることだが、そのためには、炭水化物をつくる植物の光合成環境をいかに整えるかが重要であり、光合成に欠かせない苦土等の多量要素と、マンガン、銅、鉄等の微量要素欠乏を起させないことが重要」と、小祝氏から解説が行われ、特に全体的に微量要素が不足しており、早急の対策を行うことが指摘されました。
 午後は、天童市農業センターに場所を移して講義が行われ、午前の園地での指摘をおさらいすべく、多量要素・微量要素の果たす役割、あるいは施肥するべき適切な時期(逆に施肥してはいけない不適切な時期)の解説等が行われました。
 今回の講義全般を受けて、天童果実同志会では土壌の微量要素等のバランスの重要性が再認識され、さっそく不足要素の補充等の取組みが開始されています。

Author 事務局 : 2009年10月01日 13:58

 
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