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2009年10月01日

【AQUA213号】第2回「BM基礎セミナー」と「土と水の学校」BMW技術応用講座を開催

第2回「BM基礎セミナー」と「土と水の学校」BMW技術応用講座を開催
技術をともに展開していける仲間づくりと実践を

 八月一〇日~一一日、BM技術協会主催により、東京・浜松町で~未来をひらく後継者・若手対象~「第二回BM基礎セミナー」と、~自然学を実践する~「土と水の学校」BMW技術応用講座が開催されました。
 全国のBM技術協会会員の生産者団体、生活協同組合、流通団体、個人会員をはじめ、韓国からもBMW技術に取組む関係者らが集まり、八三人が参加しての開催となりました。初日の基礎セミナーでは、BMW技術の基礎理論、思想、具体的取組みを学ぶとともに、今後の協会活動を担う若手の交流・ネットワークづくりが行われました。二日目の「土と水の学校」BMW技術応用編では、生物活性水にスポットを当て、生物活性水の特徴を学ぶとともに、その具体的活用事例として、韓国や国内の取組みが発表されました。

 ~未来をひらく後継者・若手対象~
    「第二回BM基礎セミナー」

 未来への目的を持って、
 つながりあう場づくりを
 BM基礎セミナーでは、はじめに、生田喜和BM技術協会理事長から「このセミナーをきっかけに、若い世代が技術の勉強だけではなく、未来への目的を持ってつながりあう場をつくりたい。BMW技術の発展だけでなく、社会への貢献のために、この技術を一緒に展開していける仲間づくり・ネットワーク構築をしていただきたい。皆さんのこれからの活動と継続的な取り組みに期待している」と開会挨拶がありました。
 次に、長崎浩BM技術協会顧問から「~BMW技術の概要~BM技術協会は何を目指すか」と題しての講演、休憩を挟んで、伊藤幸蔵BM技術協会副理事長から、資源循環型農業の取組み事例として、「山形県・米沢郷牧場およびファーマーズクラブ赤とんぼの取り組み」と題して講演が行われました。
 講演終了後には、参加者からの自己紹介が行われた後、伊藤副理事長から、「BM技術会の次代を担う若手のネットワークづくり」についての提案が行われました。
 伊藤副理事長は、「今後のセミナーの内容や活動については、若手が自主的に運営していくことを基本とし、そのために世話人を選定したい。世話人の選定については、立候補がなかったので、当方で選任させていただきたい」と提案し、会場の満場の拍手によって賛同されました。世話人の選定は、後日にされる予定です。
 以上で第二回BM基礎セミナーは終了し、会場を移動して交流懇親会となりました。今後を担う若手参加者の親交を深める絶好の機会に、意見交換や情報交換などが活発に行われました。講演の要旨は以下の通りです。

「地球規模の射程を持つBMW技術」
長崎 浩 顧問 講演要旨
「BMW技術は、物理学の法則に則って物体を動かす技術ではない。極小の微生物が働いて実現される技術だ。かつて『滅菌思想』によって畜舎を徹底的に殺菌・消毒したら豚が変調をきたしてしまったという事例があった。しかし殺菌をやめたら豚の健康が回復された。生態系は全体としてバランスを保つシステムであり、単純に殺菌すれば清潔で家畜が健康になるというような考え方は破綻する。
 また現在主流になっている『活性汚泥法』による汚水処理施設の九五%は失敗だと言われている。これは、いつでもどこでもだれでも同じように稼働するという要請によって技術に制限を与えてしまっているからだろう。BMW技術は使用する目的、土地、人間によって多様に変化する。BMW技術の使い方を使用者が考えていくということは不親切かもしれないが、技術的な制限もない。生き物がらみの技術は簡単に単純化してしまうと失敗しやすい。地域生態系、自然浄化の仕組みに学び、多様に適応できる技術をつくるというBMW技術は、環境問題が叫ばれる現在、ひとつの思想運動として地球規模の射程を持っている。
 環境倫理学の父、アルド・レオポルドは『土地倫理』を提唱し、土地の全体性、安定性、美観を保つ行いが正しいことだ、とした。BMW技術を実践し普及していくということは、農業その他の生業に役立つばかりか、道徳的、倫理的に正しいことで、地球環境、農業が危機にある現在、BMW技術の活用をするべきであるし、そのための制度や法律を改めるべきだ。これが倫理的要請である。
 我々は同じ志を持った人々とつながり、集団を組んでいかなければならない。役に立つとか儲かるということではなく、これを使うことが正しいことだと世間に発信する。そういうパワーをもって、これから組織とネットワークをつくりだしてほしい。BMW技術はそれに応えるバックグラウンドと成績を持っている」

「真に環境負荷が少ない農業とは」
伊藤 幸蔵 副理事長 講演要旨
「日本の食料自給率は四〇%を切っているが、飼料の自給率は一〇%を切っている。山形の米沢郷牧場やファーマーズクラブ赤とんぼでは、地域にある資源をリサイクル活用し、飼料・肥料の自給をはじめとした地域内循環に取組み、有畜複合型農業を実践している。たとえば米ぬかは、都市ではゴミだが農村では宝だ。米は、農村で精米してから出荷すれば運搬にかかるエネルギーの軽減になり、米ぬかは農業資源になる。有機栽培も単純に農薬を使わないということでとらえたくない。例えば、この肥料を使用すれば有機JASが取得できるといった商品が販売されている。そういった資材を買えばそれで有機栽培だ、有機栽培だから安全だという考え方は疑問だ。自然循環システム全体の中で、本当の意味で環境負荷が少ない農業とは?安心・安全とは?という地点から有機農業を考えたい。また研修生を受け入れ、就農支援もしている。食育や地域交流で広くつながり、自然循環型農業を営む仲間を増やしていきたい」

~自然学を実践する~
「土と水の学校」BMW技術応用講座

 ~自然学を実践する~「土と水の学校」BMW技術応用講座は、これまで取組んできた「土と水の学校」有機栽培講座で、学んできた植物生理の基礎をベースに、地域の資源を活かしたBM堆肥や生物活性水をどう栽培に活かすかというテーマで開催されました。
「生物活性水とは何か」
 まず、椎名盛男BM技術協会常任理事から「生物活性水の植物生理等に及ぼす影響とBMの課題」と題して、生物活性水の特徴について、講演が行われました。
 椎名常任理事は「構造水は非常に安定した水だといわれる。生物活性水を散布して、構造水の含有が多くなった植物は、高温になったハウス内でも花が流れずに実になるし、低温でも凍りづらい。温度に鈍感になる。生物活性水は水分子の動態を構造化しているのではないか。また、生物活性水自体のなかには植物ホルモンは含まれていないが、植物に生物活性水を散布すると植物ホルモンが増加することがわかっている。さらに生物活性水を使用して栽培した野菜は、そのまま放置しても腐らないで、しなびていく。生物活性水には現状ではまだ解明されていない作用がたくさんある。BMW技術は難しいとか、わからないとよく言われるが、妊娠して出産し子育てを学習してからお嫁に行く人はいない。最初はわからないのが当たり前。断固として生物活性水を使い切れば結果は出る」と講演し、参加者を激励しました。

生物活性水・液肥・BM堆肥等、
 地域資源を活かした栽培で大きな成果
 続いて、各産地のBMW技術を使用しての取組みが以下の通り発表されました。
①「稲作におけるBMW技術の活用」
~新潟県・謙信の郷での水稲栽培の取組み~
発表者:BM技術協会 礒田有治 事務局長
②「韓国の耕作におけるBMW技術活用事例報告」~韓国での野菜、果樹栽培の取組み~
発表者:BM技術協会 ハ・ジョンヒ海外特別理事
③「野田市『園芸福祉農場』におけるBMW技術を活用した野菜栽培の取り組み~有機栽培理論とBMW技術の融合による栽培実験報告」~千葉県【ウェルアンドグリーンファームのだ】での野菜栽培の取組み~
発表者:NPO支援センターちば 遠藤尚志氏
 謙信の郷の発表では、BM堆肥を利用した培土と生物活性水を活用した育苗の成果とともに、ほ場での生物活性水使用量を大胆に増やしてはどうかという提起がされました。
 韓国のハ・ジョンヒ海外特別理事からは、韓国での生物活性水の需要が親環境農業の進展とともに大幅に伸びている現状と、サンチュ、韓国トウガラシ、ミニトマト等、野菜栽培及び柑橘栽培での生物活性水や液肥を活用した成果について発表が行われました。
 NPO支援センターちばの遠藤氏からは、BM実験ハウスでの植物生理に基づいた施肥設計と生物活性水やBM菌体等を活かしたサンチュやミニトマト栽培での成果が発表されました。
 終わりに、伊藤幸蔵BM技術協会副理事長から、各発表について総括・まとめがありました。意見を求められた参加者からは、農業経験のほとんどない人々による野田市「園芸福祉農場」での育成成果に対する驚きの声や、「ノンケミカルから地域循環型農業へと有機農業の流れが変わってきているようだ。BMW技術はその流れをトータルにリードできるのではないか」などの意見が寄せられました。

Author 事務局 : 2009年10月01日 13:31

 
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