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2009年12月01日

【AQUA215号】第19回BMW技術全国交流会、茨城県大洗町で開催

人々の連携で流域の「いのち」と「農・食・くらし」を守ろう

第19回BMW技術全国交流会が「水が育む『農・食・くらし』~筑波山系から涸沼へ『いのち』の物語」をテーマに一一月二○日(金)から二一日(土)の二日間、茨城県大洗町の大洗ホテルで開催されます。


「茨城県での全国交流会開催にあたって」
第一九回BMW技術全国交流会実行委員長 清水 澄

 一九九六年以来、茨城県で二回目の開催となる今交流会のテーマは、実行委員会での議論を経て「水が育む『農・食・くらし』~筑波山系から涸沼へ『いのち』の物語」としました。茨城県を象徴する山「筑波山」は、ミネラルが濃縮された岩石である花崗岩帯でできています。筑波山系を水源とする涸沼川流域は、ミネラル豊富な水が流れ、昔、豊かな生態系がありました。
 茨城BM自然塾は、地域の仲間で作る「茨城町 水と自然を守る会」とともに、この涸沼川流域の環境改善を一つのテーマとして取組んでまいりました。
 昔の涸沼川流域の豊かな生態系を知る古老たちに、聞き取り調査を行いました。古老たちは、「一九七〇年前後は、四季折々、七〇~八〇種もの淡水魚や海水魚が獲れ、涸沼の豊かな恵みをもらっていた。しかし、高度成長時代から、人々の生産・生活は変わり、流域の開発も進み、現在、当時の流域の風景は、大きく、様変わりした」と話します。
 日本三大汽水湖といわれる涸沼は、この三〇~四〇年の間、涸沼に流れ込む河川から生活雑排水や工場排水、農業排水等によって、涸沼の水質を悪化させるとともに、ヘドロを堆積させ、魚介類の生息に悪影響を与えてきました。「茨城町 水と自然を守る会」が長年続けてきている水質調査結果は、このことを如実に示しています。
 この涸沼の環境悪化をなんとか食い止めよう、また、地域の水や土を守ろうと、茨城BM自然塾は、BMW技術を駆使して、畜産糞尿の資源化による耕畜連携農業、水田を活用した水の浄化、家庭雑排水の資源化、ヘドロの堆肥化等の実践や研究を行ってきました。
 家庭雑排水の資源化の実践例が、田中邸菜園(鉾田市)です。田中邸菜園はBMW技術を土台に、家庭雑排水で生物活性水をつくり、その生物活性水を水田や、養鶏、耕作に利用する等、雑排水を家庭内から一滴も外に出さない仕組みが完成されています。
 昨年、茨城BM自然塾は、BM技術協会、NPO法人生物多様性農業支援センター、パルシステム生活協同組合連合会、生活協同組合パルシステム茨城とともに、この田中邸菜園の生物多様性や水質・土壌を調査しました。結果は、排水の水質改善や生態系の保全・再生について、好数値が得られました。
 今年は、フィールドを涸沼川流域とし、昨年の調査団体に、新たに、らでぃっしゅぼーや株式会社の参加と、有機栽培あゆみの会の協力をいただき、筑波山系「流域生態系保全・再生」調査研究・学習プロジェクトを立ち上げました。涸沼川流域の岩石調査や、水田の生物多様性及び水質・土壌調査等を実施し、貴重な体験とデータを得ました。水質改善や生態系の保全・再生にBMW技術が有効であることの証明が、数値的にも裏付けられつつあることを確信しています。
 調査段階で、地域の方々にも参加を呼びかけ、活動に加わっていただきました。この調査・学習活動や、BMW技術の普及を通じ、流域の水質浄化や、地域生態系の再生につなげ、次の世代に豊かな流域環境を残していきたいと考えております。
 自然浄化の仕組みを土台としたBMW技術は、生態系を再生できる技術として、以前より行政に取り入れられています。高知県の鏡川、四万十川、吉野川流域で、地方自治体会員を中心に、水源や河川環境を守る活動の実践がそれです。そして、その現場を視察した韓国楊平(ヤンピョン)郡では、ソウル市民の水源を守るため、BMW技術を活用した『親環境農業』に地域を上げて取組んでいます。さらに、北海道・根釧地区では、酪農家を中心に、牛の健康と、健全な土壌や水を守る活動にBMW技術が活用され始めています。
 河川の流域には、多くの人々の生産や生活の営みがあり、人間の都合で、流域の地域生態系や環境を悪化させるという現実があります。BM技術協会は、生産や生活、地域のあり方、技術のあり方を変えていくことを協会設立以来掲げ、資源と人と技術が循環し、流域の水や土を保全・再生する活動を国内の各地域や、アジアの国々で実践してきました。
 今交流会では、どの地域にもある流域の水が育む多様な『いのち』と、それらに支えられている『農・食・くらし』を切り口に、会員及び関係者の皆様が取組んでおられる実践活動の発表と交流を通じ、BMW技術に取組む国内外のそれぞれの地域で、どのような活動を行い、また連携して展開していけるのか、共に考えていく場とします。

「茨城県での全国交流会開催にあたって」
第一九回BMW技術全国交流会副実行委員長 小谷 悠子

 茨城県は、首都圏の一角に位置しながら、霞ヶ浦や筑波山など水と緑豊かな自然や広大な平地を有し、気候が温和で恵まれた条件の下で農業・漁業の一大生産拠点として、首都圏の食料供給に重要な役割を担っています。
 今回、茨城でBMW技術全国交流会が開催されるにあたり、筑波山系の水系のもとになっている岩石調査を行うと共に、涸沼までの水系をたどり、流域の農業やくらしが水質にどう影響を及ぼしているかなど、生態系の保全・生物多様性再生のための調査・研究を行う活動に参加し、貴重な学びの場を得ました。
 筑波山系の岩石はミネラル豊かな花崗岩帯であり、豊かな水のもとになっていることを学び、一方では生活雑排水や工場排水、農業排水が水質を悪化し、多様な生物体系を壊している事実を改めて確認しました。
 戦後の六〇年余りで、私たちの暮らしは急激な変化を遂げ、便利で豊かな生活が出来るようになりました。電化製品が家庭の主婦を家事労働から解放し、テレビ映像で娯楽を楽しみ、時間・経済・労働の効率を上げ経済の急成長を遂げました。その影で合成洗剤・農薬・添加物などの化学製品があふれて一気に環境破壊をもたらし、青く澄んだ地球を病んだ星へと変えてしまい、今もなお環境を破壊しつつあります。
 「いのち」や「くらし」よりも利便性が優先された結果、地球温暖化が進み近年の異常気象は干ばつや大雨を各国にもたらし、食糧確保さえ危ぶまれる不安の広がる未来です。
 協同組合は、全ての人々の暮らしに貢献することが大きな使命です。
 パルシステムグループでは、資源循環型社会づくりに向けての政策方針を持ち、食の基盤である農業・漁業の健全な成長発展を目指して、地球環境保全に取り組むとともに国内自給率向上を求めて今年度も引き続き「100万人の食づくり」運動を展開しています。
 地域で「いのち」の源である水や土を保全・再生する技術を支援し、消費者にも広く認知していただけるよう努めて参りたいと決意いたします。

Author 事務局 : 2009年12月01日 16:33

 
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