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2010年03月01日

【AQUA218号】中国江蘇省にBMW技術モデル農場が誕生

中国江蘇省にBMW技術モデル農場が誕生
江蘇省常熟市の「みどり農場」

報告「みどり農場」代表・㈱華和 取締役 戴 海燕

 中国初のBMW技術導入事例となった上海長江農場の生物活性水施設建設の仲介役となった㈱華和では、昨年七月に「常熟農業科技有限公司」を設立し、江蘇省常熟市郊外に約三ヘクタールの土地を借り、「みどり農場」と名付けた有畜複合の循環型農場をつくりました。中国語で“米豆犁農場”と書きます。農場は、上海市から約一〇〇キロの距離に位置しています(位置図参照)。
 この「みどり農場」に昨年末、BMW技術による養鶏用の飲水改善施設及び生物活性水施設が完成しました。中国でのBMW技術の普及の拠点となるモデル農場にしていきたいと考えています。
 「みどり農場」では、昨年秋に農場の土地整備工事が終わった時点で、早速、BMWプラントの設置にとりかかりました。農場側が施設の基礎工事を行い、水槽や配管用のパイプ等の資材を現地調達しました。日本の㈱匠集団そらからは、BMW施設に必要な資材を用意していただき、中国に送っていただきました。一一月には、㈱匠集団そらの星加浩二プラント事業部長が「みどり農場」に来訪され、星加部長の指導のもと、華和の職員と一緒に飲水改善施設と、生物活性水施設の設置作業を行い、培養調整を開始しました。その後、一二月中旬に、星加部長が再び「みどり農場」に来訪され、生物活性水の検査を実施しました。生物活性水は透明度があり、無臭で、大腸菌群も検出せず、EC、pH、亜硝酸等のデータも正常範囲と判定され、完成していることが確認されました。
 飲水改善施設及び生物活性水施設の設置時は、人が立てないような強風かつ低温の悪天候の中での作業となりました。星加部長、大変な悪天候の中、ご指導いただき、ありがとうございました。

◆「みどり農場」設立の目的
 中国では、経済の著しい発展とともに環境破壊や、食の安全などの問題がますます深刻になっています。しかし、農業現場に入るとやはり経済効果にばかり関心が高まり、自然環境保全と農業生産との調和を図る技術の研究は、二の次となるのが実態です。
 「みどり農場」は、日本の優れた環境保全技術であるBMW技術を中国国内に普及していくことを目的に、モデル農場として設立しました。多くの中国農業関係者や、消費者に、この「みどり農場」を通してBMW技術を知ってもらい、この技術から生まれた農産物等の恩恵を受けながら、自然環境保護への意識が高まっていくことを期待しています。
BMW技術は、地域生態系を再生する総合的な技術で、この技術を普及していくには、まず「みどり農場」を資源循環・環境保全の新たな農業モデルとして、完成させることが急務です。昨年末に飲水改善と生物活性水のプラントが完成しましたが、これから「みどり農場」は、BMW技術に取組む先輩の方々の生物活性水の応用経験等を生かしながら、新たな研究も進めていきたいと考えています。

◆みどり農場の概要と今年度の計画
 現在、「みどり農場」は、採卵食肉兼用種の平飼い養鶏(五〇〇羽飼育)と、チンゲン菜、ホウレンソウ、ニンニク、ブロッコリ、カリフラワー等、地元の在来種野菜を中心に露地野菜栽培に取組んでいます。また、堆肥づくりは、鶏糞と稲ワラを原料に生物活性水を活用して、堆肥づくりを行っています。
 農場のスタッフは、農業専門家の徐建一さんと、㈱華和の職員の張雪さん、学生アルバイトの三人ですが、周辺の農家も作業の手伝いにきてくれています。
 今年の計画としては、畜産分野では、
①平飼い養鶏での飼育規模を二、〇〇〇羽に増やす予定です。
②養鶏の経験を積みながら、周辺住民への配慮を行いながら、養豚を開始します。三〇頭規模からはじめ、徐々に頭数を増やし、二〇〇頭飼育までを目標にしています。踏み込み式飼育法を採用する予定です。
③発酵飼料づくりを開始します。
 野菜栽培分野では、
①土づくりに全力投入し、現状の減農薬栽培から徐々に無農薬、無化学肥料栽培に転換していきます。
②生物活性水の使用区、未使用区を設定し、対照実験を行います。
③地域に適した優良品種野菜を選定するため、少量、多品種の栽培に取組みます。
 この他、土づくりに必要な堆肥やぼかし肥づくりや、農産物の販売ルートを模索します。

◆中国におけるBMW技術の普及と今後の展望
 中国でのBMW技術導入は、二〇〇四年に、日本でBMW技術と出会い、同年、長崎浩協会顧問、椎名盛男協会常任理事を始め、協会のリーダーが上海で、中国側とBMW技術に関する懇談会を行ったことがきっかけとなりました。二〇〇五年には、上海長江農場で、中国で第一号となる生物活性水施設が完成しました。それから五年余り、ほぼ毎年、中国側の有識者が日本のBMW技術現場の視察を行い、また協会の清水澄常任理事や、向山茂徳常任理事、礒田有治事務局長らに、中国現場の指導や、講演などを実施していただきました。昨年、一一月には、生田喜和理事長、伊藤幸蔵副理事長に、いち早く「みどり農場」にお越しいただき、土づくりや、堆肥づくり等を指導していただきました。
 今回、BMW技術モデル農場が完成したことにより、この技術に関心を持っている中国人は実物を見ることが可能になり、よりBMW技術を理解しやすくなります。また、日本のBM技術協会メンバーの方々からのご指導も受けやすくなります。今後は、中国におけるBMW技術の普及活動は発展していくものと考えています。
 近年、中国でも食の安全問題に対する関心は、日に日に高まっています。人々は、お金持ちになりたいとはいえ、やはり健康には、気を遣っています。ただし、農業や漁業で確かな安全を保証する栽培・飼育技術や養殖技術等を研究している機関や現場は、非常に少ないのが現状です。特に畜産現場では、土や水や空気を汚し、その上、薬漬けというのが現状です。BMW技術の活用により、畜産の悪臭や、土や水の汚染を解消し、さらに抗生物質等の薬品を使わずに育成した鶏や豚等の畜産品は、消費者に大歓迎されるでしょう。もちろん、安全な食品を生み出したBMW技術に対し、農家や行政の関心が高まるでしょう。BMW技術が普及すれば、結果として、環境を守る目的を達成します。それが私達の願いです。
 この度「みどり農場」に飲水改善及び生物活性水施設が完成したこと自体は、まだ、BMW技術の入り口に立ったに過ぎないと思います。これからが、本当の始まりですので、BM技術協会の皆様のより一層のご指導と、ご支援を頂くよう、よろしくお願い申し上げます。

Author 事務局 : 2010年03月01日 12:12

 
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