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2010年04月01日

【AQUA219号】北海道「根釧みどりの会」会員3牧場に飲水改善施設が完成

北海道「根釧みどりの会」会員3牧場に飲水改善施設が完成
いずれの牧場でも牛糞の状態が改善

 北海道・根釧地区の「根釧みどりの会」(石澤元勝代表)会員酪農家の三牧場にBMW飲水改善プラントが一月に完成した。導入した牧場では、いずれの牧場でも、「牛の糞の状態が改善している」との報告があり、さらに搾乳時間が短くなった等との報告も寄せられている。今後「根釧みどりの会」では、導入後のデータ等を収集しながら、BMW技術の普及を進めていく予定だ。
 今回、飲水改善施設が導入されたのは、別海町の岩崎牧場、中標津町の三友牧場、標茶町の渡辺牧場の三牧場。いずれの牧場もマイペース酪農交流会(注1)の生産者を中心に、牛の健康とより良い環境を考える――を目的に、昨年組織された「根釧みどりの会」の会員が経営する牧場だ。同会設立の経過は(注2)の通り。
 岩崎和雄さんが経営する岩崎牧場は、飼育頭数五〇頭、草地面積六〇ha。BMW飲水改善システム導入後、「牛の糞の状態が明らかに変わってきている。以前より糞がふんわりとした感じになった」と岩崎さんは話す。
 三友盛行さんが経営する三友牧場(飼育頭数五〇頭、草地面積五〇ha)でも、飲水改善施設導入後、牛の糞の状態が変化している。三友さんは「牛の糞が『カルメ焼き』のような感じになってきた。BMW飲水改善システムによって、牛の胃の状態が良くなっていることは、間違いないだろう」と話す。
 今後の展開について、三友さんは「生物活性水づくりや堆肥づくりなど、BMW技術が体験学習できる施設があったら面白い。施設の設置を検討していきたい」と、話している。
 三友牧場では、一九九七年に、牧場の牛乳を原料に、チーズを製造する「三友チーズ工房」をオープンしている。奥さんの由美子さん手作りのチーズは、口コミやインターネット等で販売され、非常に人気が高い。由美子さんは、「春になり、青草を食べ、沢水を再現したBMWの水を飲んだ牛の牛乳で、チーズをつくることを楽しみにしている」と、飲水改善導入後の牛乳に期待を膨らませている。
 渡辺定之さんの経営する渡辺牧場は、飼育頭数八〇頭、草地面積は八〇ヘクタール。BMW飲水改善施設導入後、約二ヵ月が経った現在、同牧場では、前述の二牧場と同様に、糞の質が改善した他、搾乳時間が短縮されたことが確認されている。渡辺さんは「牛の乳の出が良くなったようだ。一頭当りの搾乳時間が平均三〇秒短くなったので、朝夕の搾乳時間が合計二〇分短縮した。これは酪農家にとっては、かなり大きなことだ」と話している。

(注1)マイペース酪農:「土・草・牛・自然の循環」を重視した酪農のあり方で、草地面積に応じた適正規模(一ヘクタールに親牛一頭)の経営を基本に、放牧を利用し、糞尿は完熟堆肥などにして草地に還元することで、環境や牛、人間に負荷をなるべく与えないようにする酪農スタイル。酪農の大規模化や配合飼料の多給などによって、牛の健康に負担をかけないようにする酪農スタイル。推進主体は「マイペース酪農交流会」で、月例の交流会などを行い、現在、一〇〇以上の生産者が交流している。

(注2)「根釧みどりの会」:一昨年、パルシステム生活協同組合連合会の「こんせん72牛乳」生産牧場である厚岸町の石澤牧場に、同連合会のレインボー・パル基金助成活動のよって、飲水改善施設が導入され、導入後、乳房炎の発生が減少し、発生しても、回復が早くなる等の効果が見られた。これをきっかけに石澤牧場を経営する石澤元勝氏が会員となっているマイペース酪農交流会の酪農家などにBMW技術に対する関心が高まり、生産者、BM技術協会、パルシステム連合会の三者で学習活動を展開することになった。昨年四月には、三者共催による「牛の健康と環境を考える学習会」を厚岸町で開催し、六月には、牧草の硝酸イオン濃度調査及び土壌分析調査を実施、このほかBMW技術に関する学習活動を随時行った。こうした学習活動を継続していくために、「飲水改善で、牛を健康に」「よりよい堆肥・液肥で、よい土を」「環境を守って、暮らしよい農村を」をスローガンに昨年一〇月に、「根釧みどりの会」が結成された。代表は石澤元勝氏、事務局長は、高橋昭夫氏。昨年一一月、茨城で開催されたBMW技術全国交流会で、石澤代表から「根釧地区での環境保全型酪農~マイペース酪農とBMW技術の取組み~」と題して、講演が行われた。

根釧みどりの会+パルシステム+BM技術協会+匠集団そら
   産直牛乳や酪農の課題、BMW技術の普及等、多岐にわたり意見交換


 二月二五日、パルシステム生活協同組合の那須豊産直開発課長と、㈱匠集団そらの星加浩二プラント事業部長、協会の礒田が、新たにBMW飲水改善施設が導入された別海町の岩崎牧場を訪問し、「根釧みどりの会」の石澤代表、高橋事務局長、会員の三友氏、岩崎氏らと、意見交換を行った。意見交換の内容は、こんせん牛乳開発の経過説明やパルシステム生協の産直活動内容、その課題と今後の方向性、酪農現場での大規模化による課題、牛乳の適正価格に関する意見、生産現場でのBMW技術活用内容や今後の普及等、多岐にわたった。
 パルシステムの那須課長からは、「昨年来、牛乳の産直を強化するため、マイペース酪農やBMW技術等について、勉強させていただいた。自給率向上を図るパルシステムの取組みの中で、マイペース酪農も含めた北海道本来の草地型酪農について、もう一度見直し、生産者との見える関係をきちんと築いていきたい。その中で、新たな商品開発も検討していきたい」と、今後の産直牛乳についての方向性が示された。併せて那須課長からは、パルシステムの新農業委員会で、マイペース酪農についての拡大学習会を実施したい意向が示され、「根釧みどりの会」への講師派遣が要請された。
 BMW技術については、「根釧みどりの会」で、今後、さらに普及していくこととなり、協会からは、乳房炎の発生率や、乳量等についてのデータ収集協力を「根釧みどりの会」に要請した。
 石澤代表からは、「今後も生協や消費者との交流や意見交換を行っていきたい。BMW技術については、まず、飲水改善を中心に普及し、ワンステップずつ階段を上っていきたい」との意向が示された。
(報告:礒田有治)

Author 事務局 : 2010年04月01日 11:42

 
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