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2010年06月01日

【AQUA221号】農業実践スクール「hototo」で生物活性水プラントの設置がはじまる

株式会社匠集団そら 星加 浩二

 山梨県山梨市牧丘町にある農業実践スクール「hototo」では、都会の人たちが気軽に農業を始められるように、手始めに野菜づくりの週末農業スクールを開催しています。東京から九〇分という場所にhototoの圃場はあります。農業を始めたい人たちや、自分が作った野菜をみんなに食べてもらいたいと願う人たちが参加し、実践する場の提供と独自のテキストを利用して栽培技術の手助けをしています。
 牧丘町も高齢化や後継者不足から耕作放棄地が増えているなかで、何とか町の活性化を農業を基盤に図ろうとしています。そのひとつの提案がこの週末農業実践スクールです。hototoではこの農業実践スクールの生徒たちにも有機農業の手段として生物活性水を野菜作りに活用してもらうこと、もちろん地域のブドウ畑にもふんだんに利用できるようにと、生物活性水プラントの設置に取り組みました。そして、生物活性水プラントの設置には、自分たちでできることは自分たちで手作りすることで費用をかけず、また生物活性水の作り方も身につけようとしています。
 プラントの構成は、ばっ気槽として醸造用の五千リットルのホーロータンクを利用し、全部で六基並べて設置しています。ばっ気用のエア供給は電磁ブロアを使い、微細な気泡がでる散気管を取り付けています。
 花崗岩、軽石をばっ気槽内に投入し、生物活性水の原料として、ポークランドのBMコンポを使います。設備工事完了後に培養調整に入り、六月上旬には、栽培への利用ができる予定です。

農業生産法人 株式会社 hototo
代表 水上 篤

 私がBMW技術に出会ったのはアメリカから帰った二〇〇八年秋、白州郷牧場を訪れてからである。
実家は山梨県の中山間部、富士山がよく見える山梨市牧丘町にある。私も果樹園三代目、祖母代から果樹(ぶどう)を栽培してきた。ここ牧丘も、少子高齢化がすすみ、耕作放棄地は二倍に増えた。兼業農家特有の後継者不足と、出荷金額の下落にともなって耕作放棄地は増え続けている。若者もいない、観光地でもない、農家の後継者もいない、兼業農家が多いこの山間部で私は今何ができるのであろうか?。そんな思いが芽生えた。
 私はこの牧丘に持続可能な風景をつくりたい。そんな思いから実家を中心とした、町づくりの計画を始めた。この牧丘を再度、巨峰で有名な産地として、品質を向上させ、八〇歳でも栽培できる方法で、牧丘の基幹産業として成立たせたい。そんな思いから私の一歩は始まったのである。
 しかし、慣行農法では、、農産物の品質はかわらない。村のみんなが無農薬で果樹を栽培するために、施設栽培の設備を整えることもできない。私の農園では今までEMで果物や野菜を栽培してきた。しかしこの方法では、村の人が資材のお金を負担しなくてはいけない。なんとか、町の人がお金をかけず、労力の負担が少ない方法で多くの面積の品質を変えていくことができるものはないか?っと考えていた。そして、以前からお世話になっている、白州郷牧場のBMW技術を思い出したのである。生物活性水をつかい、減農薬そして、圃場への活性水として使うことで、品質を向上させることを考えたのである。さいわい、村のぶどう園にはすべて畑のかん水用のスプリンクラーが設置してある。それを使うことで、村の広い範囲に生物活性水を容易に散布できる。そして、多少の農薬を生物活性水で希釈しながら使っていって、減農薬の限界を試みていく予定である。
 もちろん、目に見えて成果があるとは現状では思っていない。瞬時に効果があるほうが実はおかしいのではないかと思う。微生物をつかい、目に見えないスピードで何十年後に効果がでればそれでもいいと思っている。知識で頭を膨らますのもいいであろう。しかし、実際体験して使っていくことで、知識を超えた可能性を私は大切にしていきたいと思っている。自分で考えた可能性など、浅はかなものである。まずは体験し、そしてその中で、勉強し可能性を見出していくのである。そんなことの可能性がつまったBMW技術に私は夢をみたのである。

 農業には「生きることの希望」がある。希望を持って生きることができる場所、それが田舎である。その希望がいずれは都会を支えていく。心の中の自分を失ってしまった都会人に「生きることの希望」を提供できるのが田舎である。食べることへの希望である。そして不便や苦労する生活から楽しさを学んでいくのである。多くの人と作業を行うことで、思いやりを楽しむのである。都会を支えるのは人である。人を支えるのは心である。その心を支える唯一の鍵が農業にはある。日本は江戸時代から色々な時代を迎えてきた。
 江戸(起) 、戦後(承)、資本主義経済(転)、一〇〇年に一度の不況(結)。そしてこれから、「結」としての日本人らしい日本人としての最終章が始まるのである。日本人はまだまだ進化の途中なのである。もちろん資本主義経済から抜け出せない会社や人も多いであろうし、それに気がつかない人もまた多いであろう。しかしそれも時間の問題である。物を買うことに飽きてしまう。用意されたエンターテイメントに飽きてしまう。想像がつくような物語にも興味がない。白州郷牧場の椎名代表の言葉をお借りすれば、「すべてに飽きちゃう」のである。そのうちデフレにも飽きちゃう。だからこそまた新しい希望がそこから生まれてくるのである。アメリカ経済は急激なスピードで破綻を始めている。日本の希望「JAL」が一夜城のごとく、なくなってしまうのであるから、資本主義経済が作り上げた、価値や物は、グローバル経済と連動して簡単に壊れてしまうのである。しかし、そんな世の中だからこそ、希望を持ってできる農業を行いたい。

 日本は素晴らしい時代を迎えようとしている。
 まずは、一歩から。その一歩を踏み出すことは誰にでもできるはず。個人ができる範囲から、その一歩目を着実に進めていくことが日本の素晴らしい最終章を作り上げていくのだと確信している。BMW技術は進化の途中である。そしてBMW技術と一緒に、希望を生み出していくのである。
 私の一歩は間違いなく新しい未来をつくりあげようとしている。

Author 事務局 : 2010年06月01日 15:55

 
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