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2010年10月01日

【AQUA225号】『BMW技術の原点に返る』学習会が、九州・グリーンコープにて開催されました

『BMW技術の原点に返る』学習会が、九州・グリーンコープにて開催されました

 一〇月一日に福岡市博多区グリーンコープ連合において、BMW技術の学習会が開催され、約五〇名が参加しました。また翌一〇月二日には熊本県大矢野原農場で現地研修会(四五名参加)とホテルニューオータニ熊本(熊本市)において「西日本BM技術協会第一八期総会」が行われ、両日ともに椎名盛男BM技術協会常任理事の講演が行われました。

椎名盛男BM技術協会常任理事の講演要約
 BMW技術は、故・内水護先生の生活雑排水の排水処理技術が基になっています。腐植土と有機排水を混合したとき、ビーカーの中で排水が3層に分かれました。内水先生は「自然が視えた日」と言われましたが、そのきれいな上澄み水を畜産農家で使ってみたら、悪臭がなくなる・ハエがいなくなるなどの効果がありました。これは、当時「自然浄化法」や「内水の奇跡」といわれていました。
 その後、グリーンコープ連合の兼重正次さんと出会い、グリーンコープの生産者と出会いました。当時の有機農法には「水」の重要性の視点が欠けていました。
 ただ、BMW技術が社会化するためには「技術の再現性」が必要で、グリーンコープとの出会いの中で「技術の再現性」に成功し、BM技術協会の設立に至りました。グリーンコープの生産者は当時の技術的な衝撃や「石を探したり、地質図を見たり、焼酎を割って飲んだり・・・」という、当時の楽しい様子を知っています。
 内水先生には、プラントはシンプルにつくれ、といわれました。現在は、生活雑排水から生物活性水をつくることで農村に還元していく循環型の新しいプラントを開発していて、これから発表します。またフィリピンのネグロス島で、農場の排水からバイオガスを取り出し、その消化液を生物活性水プラントにもっていくというタイプのプラントが稼働しました。花崗岩、軽石の他に、鉄とマグネシウムからできている蛇紋岩をプラントに組み込んだりもしています。

大矢野原農場(熊本県上益城郡山都町)での現地研修会
 大矢野原農場は一九九一年に飲水改善・生物活性水(堆肥系)の取り組みを始めました。まず、取締役部長の日永輝夫さんの説明で、生物活性水のプラントと堆肥センターを見学しました。「生物活性水プラントは四トンの曝気槽が七槽、貯留槽が一槽で、二八トンを四〇日で入れ換えています。できた生物活性水は堆肥にふりかけています。プラントの問題は、堆肥を浸漬させると若鶏の敷料に使われているチップが残り、引き上げ作業が大変なこと、チップが含まれているため堆肥になるのに時間がかかることと、若鶏を増羽したため糞の量が増え、堆肥センターが容量をオーバーしていることです。そのため、発酵槽を建築中です。」ということでした。
 次に、堆肥センターで椎名常任理事の立会いのもと、参加者が持ち寄った自家製堆肥のでき具合を調べました。出来具合のチェックは、堆肥をフライパンで煎ってにおいを嗅ぎます。比較用に購入した市販の堆肥は、強いアンモニア臭がしました。会員の堆肥は若干匂ったものがあったものの、おおむね臭いもなく良好でした。
 続いて、大矢野原農場の堆肥や生物活性水を使用している日永幸介さんのトマト農場を見学しました。日永さんは、うどんこ病予防のために、今年初めて生物活性水を使用しました。葉面に乳酸菌などを加えた生物活性水を散布したところ、今年は病気もなく、順調に生育したそうです。

西日本BM技術協会第一八期総会
 総会の参加者は、紅会、農援隊、やまびこ会、熊本県愛農会野菜部、綾豚会、清村養豚場、糸島BM農法研究会、横手養鶏場、田村ポートリ・ファーム、南有研、那須ファーム、庄村養鶏場、大矢野原農場、グリーンファーム久住、海老原養鶏場、秋川牧園、グリーンコープ連合など、五二名でした。
 総会では西日本BM技術協会事務局・宮﨑利明さん(グリーンコープ連合)から総会にあたっての問題意識として「原点に返る、BMW技術」の提起が行われました。続いて椎名盛男常任理事の講演が行われました。

問題提起「原点に返る、BMW技術」要約
 グリーンコープはBM技術と出会い、二〇年近くたちました。グリーンコープの生産者にもBMW技術を薦め、畜産農家を中心にプラントの導入もお願いしました。グリーンコープの組合員には生物活性水の家庭での活用やBM菌体での生ごみ処理、あるいはBMW技術を使った活水器も販売しました。学習会では、BMW技術が単なる農業技術ではなく、これからの農業や環境にとってとても意味のある技術であるということを確認してきました。
 BMW技術を普及するためにBM技術協会が結成され、工事会社である匠集団そらが設立されるなど、仕組みは整ってきました。そのような一定の整備・システム化は必要なことでしたが、一方ではこの技術が持っていた自分で工夫するという面白さがなくなってきました。今は心あるBMW技術関係者、あるいはグリーンコープが、畜産生産者に対して「このシステムで飲水改善をしませんか。尿処理のシステムを導入しませんか。生物活性水のプラントを作りませんか」、あるいは耕種農業者に対して「この技術はとてもすごいんですよ、使ってみませんか。生物活性水のプラントを作りませんか」という話をしても、一基一〇〇万円もするBMプラントを導入するというハードルはとても高いのが現状です。ジレンマに陥っています。
 そういう意味で、もう少しハードルを下げ、初期のBMW技術の面白さを取り戻す〜原点に返る〜という取り組みを進めたいと考えています。
 すでにグリーンコープでは生物活性水を職員や委員さんに無料で使ってもらっています。生産者に対してはプラントをテストでやってみたい人にはペレットを供給します。そして耕種農家には、しばらくは生物活性水を無料で配布する仕組みを整えることにします。
 このような取り組みを通じて、このBMW技術のハードルを低くし、これまで取り組んでこなかった生産者もこのBMW技術になじみやすくするということを進めたいと思います。

Author 事務局 : 2010年10月01日 01:30

 
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