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2010年11月01日

【AQUA226号】「野田・循環型社会システムづくり研究会」の発足と基礎講習会「土づくりと堆肥と有機栽培①」の開催

「野田・循環型社会システムづくり研究会」の発足と基礎講習会「土づくりと堆肥と有機栽培①」の開催

千葉県 ウェル&グリーンファームのだ 遠藤 尚志

1、はじめに
 「ウェル&グリーンファームのだ」は、パルシステム千葉やNPO支援センターちば等の支援の下、千葉県野田市船形地区において、BMW技術を活かした地域循環型の有機栽培技術の学習や研修を行うとともに、地域の資源を有効活用したミネラル豊富な野菜作りの実証研究をテーマに、有機栽培の実践に取り組んできました。二〇一〇年九月一八日より、これらの成果をもとに、次のステップとして地域資源を活かした資源循環型の生産・社会システムモデルを構築し、その基礎となる堆肥づくり研究を地域の方々とともに進めていく目的で参加者を募集し、一四名のメンバーで「野田・循環型社会システムづくり研究会」を発足させました。

2、研究会の目的
 研究会では、BMW技術を活かした良質堆肥及びイネや野菜・花卉等、育苗用良質培土づくりに関する基礎研究を進め、同時に地域の食品残渣や畜産糞尿、市民の生活残渣等を利用する地域循環型資源利用とその技術システムの開発を目指し、あわせて地域循環型有機栽培体系の一環システムを確立し、地域循環モデルづくりを実践するため、以下の内容で取り組むこととしています。

a.堆肥場(堆肥施設)の稼働による地域資源の有効活用
地域資源(畜産牛フン、米糠、もみ殻、キノコ廃床、おから、醤油粕等)を利用した堆肥、肥料、培養土、飼料づくり
b.生物活性水の高度利用による有機栽培技術の確立
使用目的別生物活性水の開発(品質向上、収穫量向上、病気予防等)目的に特化した生物活性水の開発
c.地域資源利用の高品質堆肥・肥料・有機培養土・生物活性水の開発
地域の生産者、資源提供事業者との共同開発による高品質堆肥の開発、高品質堆肥や有機資源を活用した有機培養土の開発(一貫した有機栽培体系の確立)

 地域資源とBMW技術を活かした良質堆肥づくり及びイネや野菜・花卉等育苗用培土づくり、その成分調査、実証実験等の基礎研究を行い有機栽培技術の確立を目指しています。

3、研究会の取り組み
 これらの目的を達成するために、研究会は以下の取り組みを進めています。

a.堆肥や培養土材料となる地域資源調査
 地元の畜産生産者(糞尿)、食品メーカーによる残渣(醤油滓、おから)、米生産者(籾殻、糠)、茸生産者(菌床)などが堆肥原料として提供されることになりました。
b.BMW技術を活かした堆肥及び培養土づくりの基礎研究および実習
 (有)千葉自然学研究所、(株)ジャパンバイオファーム(小祝政明先生)等の専門家の参加及び協力で、一〇月までに五回の堆肥づくり実習を開催しました。また一〇月一二日には、基礎講習会「土づくりと堆肥と有機栽培①」講座が、一一名の参加で開催されました。講師は、ジャパンバイオファームの小祝政明先生。今回は、今年度に予定している全四回の講座の一回目ということで、「有機栽培と堆肥、堆肥作りの基本」として、まずは有機栽培の基礎についての講義が行なわれました。
 今回の学習会は、有機栽培における植物生理の基礎や土壌の団粒化の仕組みについてまず再確認し、さらに九月より実際にスタートしている種堆肥づくりの現場を視察しつつ、小祝先生から堆肥づくりにおける具体的なアドバイスをいただく形で進められました。まず「堆肥原料の比率や投入する菌については全く問題ないのでは」との感想をいただきましたが、ただ堆肥の温度変化の記録表を見てすぐに「温度が高すぎる」といった指摘を述べられ、そこから堆肥の水分量やエアー量の重要性を確認しました。また実際に種堆肥を水でぬらして、手で練りながら堆肥のぬめり具合の感触を確かめるなど、「理論を勉強するだけでなく、実際に感覚として起きている現象を理解すること。そうした理解がないと、起きている現象の原因がわからないので、改善ができない。」といった指摘をされました。課題としての堆肥の温度管理については、次回堆肥の本仕込みの際の注意点を再確認しました。

 また今後の活動としては、以下の取組みを予定しています。

c.良質堆肥・培養土の裏付けとなる成分分析調査
 堆肥等作ったものは、各種研究機関等の分析による科学的な評価を目指しています。
d.出来上がった堆肥及び培養土による栽培基礎実験
 実験農場、研究会参加メンバーによる栽培実験の取り組みを来春から行うことにします。
e.研修を通じて地域循環モデルのネットワークづくり
 研究成果を組織化し、地域循環モデルによる栽培・ブランド化等に取り組みます。

4、研究会の成果物
 その成果として、
a.地域資源が循環し、地域の土や水の保全・再生に寄与する生産様式の確立。
b.それらの生産様式を市民や生産者が体験できる体験・研修のモデル農場づくり。
c.園芸福祉による障害者の自立に資し、地域循環型有機栽培体系のネットワークの定着を図り、研究会の実験を通じて実践した成果を組織化し、野田市における地域循環型有機栽培技術と地域循環型モデルによるシステムづくりを実現し、ネットワークの核を形成することを目指し活動に取り組んでいます。

Author 事務局 : 2010年11月01日 02:34

 
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