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2011年01月01日

【AQUA227号】第20回BMW技術全国交流会、山形県で開催

激動の20年と世界情勢の連動を再認識

 「第二〇回BMW技術全国交流会」が一一月一八日(木)から二〇日(土)の三日間、山形県米沢市・上山市で開催されました。交流会は、米沢郷牧場、パル・ミート山形事業所、生活クラブやまがた、ファーマーズ・クラブ赤とんぼ、パルシステム生活協同組合連合会、会津うまいもの塾、みやぎBM技術協会、天童果実同志会、あいコープみやぎ、らでぃっしゅぼーや株式会社、Radixの会、BM技術協会で構成される実行委員会で運営され、今年のテーマは「まほろばの里・資源と人間の輪と技術が循環する地域システム創り」。日本全国、さらに、韓国、中国、フィリピンからの参加も含めて、のべ四〇〇人以上の参加者が集いました。
 今号では、交流会の模様を報告いたします。

二〇周年記念セレモニー
交流会第1日 11月18日(木)

 生田喜和BM技術協会理事長からの開会の挨拶で記念セレモニーは始まりました。
 「BM技術協会も二〇周年というひとつの節目を迎え、世代交代の時期に来ている。地球環境が問題になる今、BMW技術は社会的使命を帯びており、世代交代した次の一〇年を誰が背負って行くのかが課題になる」と話し、さらに、韓国で行われた交流会では五カ国からの参加者を迎え、今BMW技術は日本と韓国だけでなくアジアにも影響する大きな力になったと喜びを表しました。
 来賓挨拶では米沢市長代理として白木産業部長が壇上に上がり、米沢の地で交流会が開催されたことの喜びを語りました。自然を愛する人の集まるこの米沢で、実際に環境を守るための政策を進め、いずれは最上川の上流にある庄内地方まで視野に入れた取り組みをしたいと抱負を語りました。
 続いて、韓国から訪れたミン・ビョンチェBMW亜細亜連帯会長が来賓挨拶をされました。世界中で環境破壊が進む今、BMW技術はアジアだけでなく世界へ広がっていくだろうと話し、かつてBMW技術を韓国に広めたこと、そして韓国での交流会に日本からも参加してくれて大成功に終わったことの感謝を述べました。
 以下、交流会の概要を報告します。
 
基調講演 「BM技術協会の二〇年」
BM技術協会顧問 長崎 浩

 長崎氏は、この二〇年間の世の中の大きな動きとBMW技術の動きは連動していると語りました。地球環境問題が出てきたのとBM技術協会ができたのはほぼ同時期であり、当時生まれたばかりのNPOのはしりの一つとして生まれ、生態系への考え方が変化して環境保護活動が起こってから普及してきたものだと言います。
 そして今、グローバリゼーションが叫ばれる中でBMW技術もアジアの技術になりつつあると話し、今後はアジアを視野に入れて取り組んでいきたいと結びました。

二〇周年記念講演 「土や命の力に根ざした持続可能な社会~まほろばの里づくり」
国際日本文化研究センター 教授 安田 喜憲

 安田氏は全ての生命はつながっていて、あらゆる生命と共存するのが最良のライフスタイルだと語ります。遺伝子暗号は全ての生き物で共通していること、そして口蹄疫での殺処分や、人里に現れた熊を実際に殺した獣医や猟師が本当は殺したくないと言うことも、生命が繋がっているからだと話し、生命を宿す星である地球を守るのは人間の使命であると訴えました。
 また、縄文人は生命への畏敬の念を持ち、人と人、人と自然のつながりを重んじていたと語りました。日本人は海に囲まれた島国に住み、魚を食すなど水との関わりが深かったため、かつては海などの共有資源を大切にし、他者のことを考える社会であったと話しました。そして欧米・大陸の豊かな自然を壊した西洋文明、市場原理主義は環境破壊を生み出すと警鐘を鳴らしました。
 最後に、生命を循環させ、自然と共存する技術であるBMW技術は人類の宝であり、この交流会に中国・韓国の人々が参加していることを嬉しく思うと熱く語り、締めくくりました。

 夜は米沢市郊外の小野川温泉で、四つの宿泊施設に分散して交流懇親会が開催されました。

 視察
   交流会第2日 午前 11月19日(金)

視察コース 赤とんぼ、飼料工場、山崎鶏舎、高畠石石切場

 視察コース②はファーマーズ・クラブ赤とんぼのライスセンターから始まりました。赤とんぼは約八〇名の農家が所属する団体で、稲作を中心として野菜、果樹、畜産にも取り組んでいます。循環型農業を進める米沢郷牧場では、このライスセンターからでる米ヌカや籾ガラもそれぞれ堆肥場、鶏舎に持ち込まれて利用しています。また、生産するお米の一割ほどは飼料米で、これが鶏の餌にもなっています。
 次に見学したのは飼料工場です。籾米、玄米、国産大豆粕、魚粉、炭カルといった国産原料によって作られる飼料は九九%国産品のもの。鶏の飼料自給率が一〇%未満ということを考えると凄い数字です。この飼料を作る初期の段階で生物活性水が使用されています。
 次の山崎鶏舎では先に見た飼料を食べさせて鶏を飼育しています。見学させていただいた場所は実験鶏舎で、ここで新しい資材や育成・管理方法を試してみて、有効と思われたものを実際に導入するそうです。特徴的だったのはヒューマスベッドという鶏舎の床に敷く堆肥です。敷材の堆肥が発酵することにより温度が上昇し、寒さに弱い鶏を温めると同時に、鶏が出した糞を取り込んでより高品質な堆肥が出来上がります。
 最後の見学先は高畠石石切場でした。高畠石は火山灰の堆積でできた石で、花崗岩に近いミネラルを持ち、粒が細かいため水に溶けやすいといった特徴があるそうです。山がほぼ垂直に、数十メートル切り出されている光景が人の手で行われていたというのだから驚きです。また、高畠石にはケイ酸、カリウム、カルシウム、ナトリウムなどが含まれており、米沢郷グループではそれを農産物に利用しようと考えているそうです。

BMW技術全国交流会 全体会
  交流会第2日 午後 11月19日(金)

 伊藤充孝第二〇回BM技術全国交流会実行委員長の開会宣言で第二日目全体会がはじまりました。
開会挨拶
 BM技術協会 理事長 生田 喜和

 生田協会理事長は韓国ではBMプラントを行政が作って生物活性水を無料で生産者へ配布する、といった強い支援体制を紹介しました。そして、韓国の国策としての有機農業に対して日本ではどういった農業を守るのか、それをはっきりさせるべきだと話しました。現状BMW技術は個々の農家が独力で取り組んでいるが、今の時代こそ社会に出ていくべきであり、日本の農業の新しい方向性を探っていきたい、と思いを語りました。

基調報告 「~まほろばの里・資源と人間の輪と技術が循環する地域システム創り~」
米沢郷牧場グループ 代表 伊藤 幸蔵

 伊藤氏からは米沢郷牧場グループのこれまでの取り組みが紹介されました。米沢郷牧場グループは自然循環型農業を目標にしており、その取組みを分かりやすく表した曼荼羅図では水田、畑、牛などから微生物や消費者まで、その全てが関連していることが見て取れます。伊藤氏が今では地域や行政と一緒に活動していると話し、BMW技術はその循環の手助けとして畜産では糞尿処理や自給飼料に、野菜や稲作では潅水などに、地域全体でも排水処理、生ごみの堆肥化と多くの場所で利用されていると語ります。
 そしてこれからも地域の中の米沢郷牧場グループとして、持続可能な自然循環型農業に取り組んで行くと話しました。

基調講演 「BMW技術の歴史」
BM技術協会 常任理事 椎名 盛男

 椎名氏はBMW技術の原点から、現在アジアまで広がったBMW技術の歴史を語りました。内水氏が作ったし尿処理技術を元にして研究が始まり、グリーンコープの協力で技術の再現性を得てから、BMW技術の理論づくりとBM技術協会の結成がなされたと語り、現在のBMプラントの稼働状況や韓国での使用方法を紹介しました。そして二〇周年を迎えたBM技術協会の今後の取り組みを話して締めくくりました。

講演 「地球が石を作る 生物が土を作る」
岡山大学地球物質科学研究センター 准教授 奥地拓生

 奥地氏はまず鉱物としてのミネラル、栄養素としてのミネラルの二つの存在について述べ、ミネラルとは何かを語りました。歴史を見ると最初の生命のエネルギー源は石や金属であったと話し、地上に進出したコケ・地衣類が死骸となって積み重なったものが土であると語りました。地球上の水・土に存在するミネラルは岩石が由来となっており、それが循環していて、ミネラルには生物の進化の歴史が反映されているのだと語りました。
 そしてBMW技術とは岩石を使ってミネラルの循環を加速し、再現する技術であると話しました。日本の生態系の土台は岩石の空間的・時間的多様性によって支えられており、日本列島は岩石の生産現場であると説明し、それを理解することで今後の取り組みを考えて行けるだろうと結びました。

講演 「第三回亜細亜BMW技術交流会の報告
 ~人間と地球の環境を生かす代案農業を目指して」
そらインターナショナルコリア 代表理事
ハ・ジョンヒ

 韓国から訪れたハ氏からは今年一〇月四日~六日にかけて行われた第三回亜細亜BMW技術交流会の概要が報告されました。交流会での演説や講演が紹介され、最後は「日本での交流会前の忙しい時期にも関わらず日本から大勢参加してくれて本当に嬉しかった」と感謝の言葉で締めくくりました。

事例発表
「カネシゲファーム ルーラルキャンパス
  ~次世代の農民のリーダー達の実践農場~」
フィリピン カネシゲファーム
 アルフレッド・ボディオス
通訳:NPO法人APLA 事務局長 吉澤真満子
   匠集団そら     秋山 澄兄

 次世代の若者が学び、そしてそれぞれの村に戻った後も交流できる場として作られたカネシゲファームから、農場が再開してからの活動が報告されました。アルフレッド氏からは第一期研修生の取り組みとして、NGOと協力しての無動力ポンプの導入、バイオガスの利用など、卒業式までの様々な取り組みが紹介されました。そして、「卒業生はこれからもカネシゲファーム・研修生との関係を築いてほしい」と思いを語りました。
 続いて秋山氏からカネシゲファームで導入した、バイオガスと生物活性水を作ることのできる新しいプラントについての解説がされました。また、秋山氏は韓国ではBMW技術が教材になっていることを紹介し、日本の教育現場でも活用したいと話しました。

事例発表「体験型トレーサビリティ
『田んぼの生き物観察会』について
~豊かな自然を次世代へ!~」
ファーマーズ・クラブ赤とんぼ 北澤正樹
らでぃっしゅぼーや 森﨑秀峰

 ファーマーズ・クラブ赤とんぼが環境教育の一環として取り組む「田んぼの生き物観察会」が北澤氏より紹介されました。この活動は有機栽培の成果といえる田んぼの生き物を、都市で生活する人々にも見てもらいたいという思いから始まったと語りました。田んぼ以外にも牧場や施設の見学、餅つき、さくらんぼ狩りを企画し、参加者も生産者も楽しめるイベントになったと結びました。
 続いて、森﨑氏から田んぼの生き物観察会の共催団体であるらでぃっしゅぼーやの取り組みが紹介されました。らでぃっしゅぼーやの事業である有機・低農薬野菜などの販売を行っており、食育にも取り組んでいると発表しました。その食育の一つとして産地交流会、田んぼの生き物観察会を開催していて、このイベントではBMW技術によって生命の循環、連続性がわかり、生きた食育ができると語りました。
(報告:Radixの会 高橋 拓磨)

 夜の交流懇親会では韓国より感謝の記念杯が生田喜和理事長、伊藤幸蔵副理事長、伊藤充孝大会実行委員長に授与されました。
 また、来年の全国交流会は、西日本で開催されることが発表されました。

分科会
    交流会第3日  11月20日(土)

 交流会第三日目は、BMW技術を活用した①「くらしと環境」②「畜産」③「耕作」のテーマごとに、分科会形式で、発表や意見交換が行われました。各分科会での内容を紹介します。

●「くらしと環境」分科会
・コーディネーター
BM技術協会 常任理事 山本 伸司
・司会 パルシステム連合会    高橋 英明

発表①「排水浄化処理施設へのBMW技術導入事例」
 山形県 パル・ミート山形事業所 椎名 智幸

 食肉加工を手がけるパル・ミート山形事業所では、環境に負荷をかけない排水の実現のため、一二年前よりBMW技術を使った排水浄化処理システムを自社工場に導入。仕組みと処理工程、浄化能力データが公表されました。取り組みとして、処理過程で生じる余剰汚泥は有効活用の可能性を探るため植物育成実験も実施。また、生物活性水を使った消臭効果実験の結果も報告。「少し良くなった」と約五七%が回答したといったアンケート結果も紹介されました。

発表②「環境に負担をかけない暮らし方の提案」
山形県 生活クラブやまがた生活協同組合
  石けん委員会: 伊東 敦子、柏倉 八潮
久光 奈桜美、細谷 由美子

 「皆さんも、一消費者。その一人として聞いてほしい」との呼びかけから始まった生活クラブやまがたの発表。環境に負荷をかけない石けんや重曹などを使うナチュラルクリーニングの紹介に続き、ブラックライトによる合成洗剤の残留実験なども実演。また、生物活活性水の活用実験報告では、原液使用で台所まわり・お風呂・トイレの消臭とヌメリ防止効果、ペットに対しては餌などに使うことで息や糞尿の臭い軽減に効果ありと報告されました。

発表③「『FEC生活圏構想』による循環型社会づくり」
千葉県 ウェル&グリーンファームのだ 遠藤 尚志

 千葉県野田市で福祉と環境の循環型農業を牽引するウェル&グリーンファームのだ。行政と企業や団体との連携で展開するFEC生活圏ネットワーク構想の仕組みと活動状況が紹介されました。構想の核にある“園芸福祉”を支えるBMW技術について、ミニトマトの栽培実験、地元の未利用資源によるBM菌体づくりなどの活動を紹介。今後は地域循環システムに不可欠なBMW技術のさらなる普及に努めたいなど、将来への展望で締めくくられました。

発表④「BMW技術を中心とした取り組み〜BM的スローライフ」
山梨県 白州郷牧場 秋山 澄兄

 BMW技術を中核に据えた地域循環型社会の構築に成功している山梨県の白州郷牧場。地域での活動にBMW技術がどのように取り込まれているのかが、秋山氏より説明がありました。生活雑排水や鶏糞など、地域からの排泄物をBMW技術によって生物活性水や発酵堆肥などの有用物へと転換、有機野菜の栽培や体験型の環境教育へと循環する流れが確立されている様子は“BM的スローライフ”の完成形が、白州郷牧場にあることを実感させる発表でした。

発表⑤「『澤入ピコ水力hoshiyama』計画の経験と展望」
群馬県 ピコ水力プロジェクト 星山 保雄

 環境に負荷をかけない生活を営むことは社会的責任であり、そのために自己完結的な生活環境の構築が必要との想いからスタートしたピコ水力プロジェクト。農業用水を動力とした小型水力発電を軸に、汚水処理工程にはBMW技術の採用を計画したシステムの全容を、二〇〇八年の計画スタートから二〇一〇年の披露式典までの苦労と共に星山氏が発表されました。現状の発電量は月三〇〇kwですが、これを足がかりに地域への普及に努めたいとのことでした。
(報告:Radixの会 小川 恵)


●「畜産」分科会
・コーディネーター
BM技術協会 常任理事  向山 茂徳
・司会   米沢郷牧場     阿部 均

 畜産分科会では、向山常任理事の短い挨拶に続き、さっそく四名の会員の方々がそれぞれの取組について発表しました。

発表①「ポークランドグループにおけるBMW技術の取り組み」
秋田県 ポークランドグループ代表 豊下 勝彦

 豊下代表はグループの紹介の後、BMW技術との出会い、そして鉱山の町小坂に今の年間出荷頭数一一万頭の体制を築いた歴史を紹介しました。
 ポークランドでは、SPF技術とBMW技術をコラボさせ、外に対しては徹底的な抗菌対策、内に対してはBMW技術による「生態系の水」ということで豚舎内への生物活性水の噴霧、戻し堆肥等の考え方を発表しました。
 飼料米への取り組みでは、地域の稲作農家と連携し年間八五ヘクタール、五〇〇トンを作付し「日本のこめ豚」一八〇〇〇頭を出荷し数々の賞を受賞されている。また、豚糞堆肥を一〇アールに三トンだけで生産できるか実験し一〇俵の収穫があったそうだ。また「なつかしい未来へ先進的原点回帰」をテーマに、アニマルウェルフェア思想についてはバイオベッドに取り組み、豚の腹を温めることを念頭に床材を堆肥だけではなくオガクズ、チップ、稲ワラ等を組み合わせていると報告されました。
 放牧豚にも取り組み、去年より一六〇〇頭を放牧し、八〇ヘクタールの遊休地を豚によって開墾するという大胆な取り組みが報告された。
飼料米や、開墾、堆肥の供給など地域との連携が成果として出てき始めているという印象がありました。

発表②「自然に学び自然を楽しむ」
青森県 常盤村養鶏農業協同組合  唐牛 冬仁

 青森県常盤村養鶏では白神山地を源流とし日本海沿岸の十三湖まで流れる岩木川の流域全体を捉え、流域地域でのシンポジウムの開催をはじめ、小学生とのヤマメ放流体験学習会、生態調査学習会、十三湖周辺の清掃活動等に取り組んでいる。この地域との連携を軸として飼料米を積極的に拡大、二二年度には二三四ヘクタールの作付けになった。飼料米には鶏糞堆肥を必ず入れてもらい循環型農業を実践している。三年間堆肥を活用した水田では飼料米でも食味値九五点となり、堆肥の大いなる可能性を考えさせられる成果があった。
 飼料米の増産に伴い配合を一〇%から二〇%に増やしていきたいとの報告があった。また、古くからの農法で「荒木起こし」という五年間の耕作、そして放牧後に森林に戻す農法で「耕畜林の連携」の試験を始めている。常盤村養鶏さんでもやはり飼料の自給と地域との連携が印象に残った。

発表③「黒富士農場のBM活用事例と新しい六次産業化への取り組み」
山梨県 黒富士農場 向山 洋平

 山梨県黒富士農場からは、七年目を迎えるクロレラ培養、飼料化システムの報告と六次産業化への取り組みが発表された。クロレラ培養については冬場の対策として太陽光発電パネルとLEDライトを導入し、また培養液にはBMWプラントの中期段階の生物活性水を用いた方が高い栄養状態であり適していることが報告された。六次産業化については、農場直営店ではプリン、バームクーヘン、シフォンケーキ等の加工販売も行っている。また、生物活性水やBMW活性堆肥を地域に供給し県内の有機生産団体による「山梨有機農業連絡会議」を結成し「オーガニックフェスタ二〇一〇」を開催した。プロのパティシエを招き有機野菜のスイーツを作るなど大盛況だったとの報告でした。
 クロレラ培養の長年に渡る研究、BMW活性堆肥の活用等オーガニック農場を目指す取り組みと地域農家とともに六次産業化を試みる報告が印象に残りました。

発表④「国内自給型飼料九九%での飼育試験報告」   山形県  米沢郷牧場  石川 公士

 最後の発表は、開催地の山形から米沢郷牧場です。「国内自給型飼料九九%での飼育試験報告」と題し、これまで何年も試験してきた国内産飼料率を九九%と限界まで高めた報告があった。
 昨年までとの相違は給与ステージを見直し三ステージから四ステージに変えたこと。栄養的に過不足がないようモミ米と玄米の使い分け、地域より大豆カスを調達、魚粉として県内産鮭を利用、飼料米はもちろん地域調達である。これらに生物活性水を利用した発酵菌体と合わせ給与したところ良好だったと報告があった。
 もう一点はコンポストを敷料に利用するヒューマスベッドの試験を行った。モミガラの対照区は機器の故障でデータが取れず、また猛暑のため明瞭な結果が出なかったようだが、床面温度は高く一定で結果として一日早く出荷できたそうである。
 米沢郷牧場は、地域の未利用資源の利用をはじめとする国産飼料の開発と地域の循環をテーマにしているが、去年の試験結果の整理と課題へのチャレンジが印象的であった。
 BMW技術を中心において地域資源を大事にしてきた歴史が「国内型自給飼料九九%」という結果をもたらしたと思った。

 四名の方々の発表を終えコーディネーターの向山常任理事が最後にまとめを行った。「醗酵飼料」「バイオベッド」「アニマルウェルフェア」「農耕畜連携」がキーワードであり、今後の方向になるだろう。
 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が叫ばれているが自由化後は畜産が最大のテーマであり「環境」や「飼育方法」など我々がやっていることをアピールし、消費者にきちんと理解してもらうことが重要になってくるとの話でまとめとした。
 発表者の皆様ご苦労様でした。
(報告:みやぎBM技術協会 西塚 忠元)


●「耕作」分科会
・コーディネーター
BM技術協会 副理事長 伊藤 幸蔵
・司会  らでぃっしゅぼーや㈱  森﨑 秀峰

発表①「土佐山まるごと有機プロジェクト」
高知県 夢産地とさやま開発公社 藤村 浩二

 ジンジャーエール(商品名=鏡川ジンジャーエール〇一 プレミアム)としょうが作りについて発表します。しょうが作りには十五回ほど農薬を使い、有機栽培は難しいと言われていますが、私達の地区の農家千百人のうち百十人が有機栽培に取り組んでいます。
 土づくりセンターでは牛糞、鶏糞、野菜残渣を原料に年間二百四十トンの堆肥を製造し、「BMとさやまモコモコ」という名で販売しています。
 しょうが作りは二月中旬から始まります。カヤの切り込みと堆肥を散布し、四月中旬から五月にかけて種芋を植え付けます。六月中旬から草引き(除草)を開始し、八月下旬まで四回行います。すべて手作業です。この間に貰った木のチップをまきます。十一月初旬から収穫です。
 ジンジャーエールは地元のパン屋さんの協力を得て作りました。しょうがをスライスして砂糖、鷹の爪を加えて煮詰めて原料を作ります。ビン詰めは手作業です。三百㏄のビンで、今は週に六百本作り、日曜市などで販売していますがすぐに売り切れます。
 七月にはオーガニックライフの巨匠ジョン・ムーアさんが来訪され、有機栽培のしょうがを絶賛していただきました。

発表②「土と水の学校~果樹編からの報告」
山形県 天童果実同志会    片桐 完一

 同志会には十一名の会員がいます。サクランボ、リンゴ、ブドウ、ラ・フランス、柿などを栽培し、主に生協に販売しています。
 活動内容ですが、土壌分析をして現地での研修を行っています。このとき微量要素の欠乏がどのような影響を与えるのか、などについて実際に見ながら学びました。
 取り組みはこれからというところで、現在はBMの堆肥を購入して使っています。

発表③「二〇一〇年米沢郷牧場青果・水稲栽培の取り組み」
山形県 ファーマーズクラブ赤とんぼ 北澤 正樹

 水稲栽培について報告します。目的は水稲栽培を安定して継続するために、国産肥料百%を目指し、BM・地域資源を活用した栽培を確立しようということです。
 去年は倒伏して二等米になってしまいました。今年は堆肥を主にしたことで倒伏しませんでした。生物活性水ですが、種子浸漬は千倍液、育苗時には五百倍液を使いました。田んぼには堆肥、珪酸、石灰、苦土を散布しました。
 四釜昌和は種子浸漬、育苗の他、田植え時にポット苗七十枚に生物活性水を二十㍑使いました。田んぼにも五百㍑流し込み、その後も合わせて計三回行っています。
 エコファーム匠、森谷安兵衛、遠藤保彦も同様に生物活性水や米沢郷コンポスト(堆肥)などを活用し、「初期生育・根張りが良くなった」「茎が堅くなった。茎数が増えた」「健全な稲になり、病害に強くなった」「倒伏しなかった」などの成果がありました。
 課題は、この技術を再現性の高いものにすること、資源の確保です。また、この結果を仲間と共有し、品質・収量を上げていきたいと思っています。
山形県 米沢郷牧場   浅野 厚司
 青果の取り組みについて報告します。ラ・フランスですが、県の特別栽培基準と同等の農薬防除をし、有機質一〇〇%の肥料で栽培しました。去年、今年とも十一月に米沢郷コンポスト一トン、自家製ぼかし四百㎏を入れ、今年五月二日、十三日、六月九日の三回、生物活性水百倍液を葉面散布しました。無散布区との比較では開花、花持ちが良く、形のばらつきが少ないという結果が出ました。
 ミニトマトは元肥に米沢郷ぼかし(米沢郷コンポスト+酒粕+米ぬか+生物活性水)百五十㎏、鮭パワー百五十㎏、エコライス853百㎏、ハーモニーシェル三百㎏、マグマックス三十㎏、マグキーゼ三十㎏を使用。生物活性水は定植時に五百倍液にどぶづけ、二週間後から四日おきに五百倍液を灌水、五段目に実がつき始めた頃からは三日おきに灌水しました。無散布区(昔ながらのぼかしのみで栽培)との比較では糖度、硝酸イオンともにばらつきがありませんでした。ミネラル分は地域で探していきたいと思っています。
 キュウリは元肥に米沢郷コンポストを五百㎏入れ、五日おきに生物活性水三百倍液を灌水。追肥はしませんでした。結果ですが、一昨年と同等の収量が得られ、資材コストを抑えることが出来ました。
 今後ですが、果樹全般で花を充実させて収量安定と品質向上を、野菜では地域資源の利用と効率の良い栽培方法を確立して行きたいと思います。

発表④「BM活性水を利用した有機農ブルーベリー栽培」
韓国 B&B農園  代表 ユ・ガンソン

 十一年前からブルーベリー栽培に取り組んでいます。韓国ではブルーベリーは新しい作物です。B&B農園には三つの農場があり、面積は九万五千坪です。現在四番目の農場を造成中で、ここは十三万坪になります。
 この一つ清原農場(七万坪)はハウス栽培ですが、三万株のブルーベリーがあります。六月から九月の収穫期には一日百人、延べ一万人の雇用創出効果があります。お年寄りの方に働いてもらうため、郡の大韓老人会と契約しました。今年から本格的な生産に入りましたが、二次加工品の開発による追加雇用創出も期待できます。
 昨年、この農場に生物活性水プラントを導入しました。現在、週一回五百倍液を灌水、月に一回五百倍液を葉面散布しています。不使用区と比較した結果、幼い苗木の発育が良くなる。木の成長が早い。実が大きくなる。糖度が上がり、美味しくなるなどの効果が見られました。今後もより一層、新鮮で品質の高いブルーベリーの供給に取り組んでいくつもりです。
(報告:会津うまいもの塾 佐藤 邦夫)


全体総括
BM技術協会 理事長 生田 喜和

 生田理事長はこの交流会を振り返って、今までとは違う意見も見受けられ、歴史を見直し、未来を見据える良い機会だったと話し、「発表したメンバーも年齢層が変化してきているのを見て、彼らが日本の農業を支えていくことを期待している。それに海外でも成果をだしているようで、韓国以外でもBMの核ができてきているのを感じた」と、思いを語りました。
 最後に次回の交流会の開催地は、グリーンコープ連合専務だった(故)兼重さんの本拠地である西日本で開催し、次の二〇年を生み出す場所としたいと発表されました。そしてこの二〇周年の全国交流会を機に世代交代をして、新たな体制となって西日本で会えるのを楽しみにしていると締めくくりました。

 全国交流会終了後、オプション視察として「パル・ミート山形事業所」を見学しました。

Author 事務局 : 2011年01月01日 15:48

 
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