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2011年02月01日

【AQUA228号】「食と農のつながりを広めるシンポジウム」が 千葉県野田市にて開催

 私たち「ウェル&グリーンファームのだ」は、「FEC生活圏構想」にもとづいて二〇〇五年より活動に取組んできました。FECとは「フード(食)」「エナジー(資源)」「ケア(福祉)」の頭文字をつなげた造語で、食と資源と福祉をネットワーク化し、地域の中で自給的な循環型社会を目指す構想です。「福祉」の取組みとしては、二〇〇五年より野田市内の障がい者施設と共に、市内特産である枝豆の共同栽培・販売プログラムなどの園芸福祉活動に取組んできました。また「環境」の取組みとしても、二〇〇八年から野田市船形地区において、BMW技術を活かした地域循環型の有機栽培技術の学習や研修を行うとともに、地域の資源を有効活用し、ミネラル豊富な野菜作りの実験研究等をテーマに有機栽培の実践に取り組んできました。

 二〇一〇年九月には、地域の生産者の方々、興味をお持ちの方々と共に、地域資源を活かした資源循環型の生産・社会システムモデルを構築し、それを広く野田市で展開していくことを目的に、「野田・循環型社会システムづくり研究会」を設立しました。研究会では、(有)千葉自然学研究所の礒田有治氏 (前BM技術協会事務局長)をコーディネーターに迎え、当面の取組みとして、「地域資源を活かした良質堆肥・培養土づくり基礎研究」と題し、有機栽培理論とBMW技術を活用した良質堆肥づくり、およびイネや野菜・花卉等育苗用良質培土づくりに関する基礎研究を理論と実践の両面から進めています。

 現場実習としては、二〇一〇年九月から種堆肥づくりを開始し、一一月より本堆肥づくりをスタートしています。堆肥原材料は、野田市内にある石塚牧場のもみがら牛糞、ワイツーカンパニーのタモギ茸廃菌床、キノエネ醤油株式会社の醤油粕、高桑商店のおからといった地域の食品残さや畜産ふん尿を利用し、また黒富士農場やポークランドグループの良質堆肥、さらには地元の菌を培養した菌体も添加しています。そして切り返しごとの水分調整には生物活性水を利用しています。二〇一〇年一二月末現在、第一回目の本堆肥が順調に仕上がり、堆肥腐熟度テストでも「中熟」となっています。これをもって、今後は発芽試験や、実験圃場での堆肥使用実験、完成堆肥による生物活性水づくり、培土づくりの実習を進めていく予定です。

 また理論面でも、基礎講習会「土づくりと堆肥と有機栽培」と題し、これまで講座を2回開催しました。(株)ジャパンバイオファームの小祝政明氏、(有)千葉自然学研究所の礒田有治氏を講師に迎え、第一回目が「有機栽培と堆肥、堆肥づくりの基本」、第二回目が「堆肥の効果的な活用方法とBMW技術の活かし方」というテーマで開催しました。二月には、土づくりと堆肥と有機栽培③「稲・野菜の育苗用培土づくりの基本」、3月には土づくりと堆肥と有機栽培④「原材料による堆肥の性質の違いと活用方法」の開催も予定しています。
 こうした研究会の取組みをさらに幅広く地域に紹介し、食と農業を基軸にした循環型の社会づくり、街づくりについて広く考えようという趣旨のもと「食と農のつながりを広めるシンポジウム」を一一月二七日(土)、千葉県野田市南部梅郷公民館で開催しました。生活協同組合パルシステム千葉、NPO支援センターちば共催、社団法人野田青年会議所が後援。市制施行六〇周年記念事業の一環で、参加者約一〇〇人にて実施しました。
まず先進事例として「地域循環型による新たな農業で地域活性化をめざす」をテーマに、秋田県小坂町の有限会社「ポークランドグループ」代表、BM技術協会常任理事の豊下勝彦社長に基調講演をいただきました。「農業で幸せになろうを合言葉に、環境保全型の農業振興と地域の活性化に取り組む」とした企業理念などを紹介しました。約一三〇人の社員のうち九五%が養豚の未経験者で、社員として役割分担を明確にしたサラリーマンスタイルを導入、高齢者も多く働いている。生産から販売までを一貫して扱う「農業の六次産業化」を目指して雇用を確保し、ワークシェアリングを実現しています。また循環型への取り組みとして、地域ぐるみの取り組みとしての「菜の花油」事業や各家庭から回収した生ごみを再堆肥化する事業などの紹介を行いました。  

 講演後、根本崇・野田市長▽ウェル&グリーンファームのだ、遠藤尚志▽パルシステム千葉、平野都代子理事長▽フードコーディネーター、山中典子氏の四人が「みんなで考えよう! 広げよう! 新しい農業」をテーマにパネルディスカッションを行いました。ウェル&グリーンファームのだの発表は、現在取組んでいる地域資源を活用した堆肥づくりの実践例を紹介しました。また根本市長も「コウノトリの舞う里づくりを目指し、水田型市民農園で農地再生を図りながら、農薬を使わない自然共存の稲作を市の施策としていきたい」と抱負を話しました。さらに平野理事長は「主に地域循環型の生産方式をとる生産者を支援・サポートすることを続けていきたい」と語り、山中典子氏も「地産地消(千産千消)の農産物を利用したメニューの開発を支援し、生産者との提携をはかっています」と報告しました。最後に基調講演をした豊下氏がコメンテーターとして「地域循環型の社会づくりについてこれからもお互いにどんどん取組みましょう」とまとめました。シンポジウム後には、参加者による交流会もあり、野田市特産のしょうゆと枝豆を使用したロールケーキの試食を楽しみました。

 今後のウェル&グリーンファームのだは、地域循環型有機栽培体系のネットワークの定着を図り、地域の障がい者・市民の多様なネットワークを形成しながら、二〇一一年には法人化に向けた動きを進めたいと考えています。それによるウェル&グリーン・ファームのだの自立をまず推進し、そこからFEC生活圏構想にもとづく様々なチャレンジをどんどんと行っていきたいと考えています。例えば園芸福祉のステップアップとしての、堆肥・培用土を用いた障がい者施設での花・苗づくりの委託生産や、障がい者雇用の促進といった取組みを現在構想しています。


千葉県 ウェル&グリーンファームのだ 遠藤 尚志

Author 事務局 : 2011年02月01日 21:13

 
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