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2011年10月01日

【AQUA235号】第3回「BM基礎セミナー」が開催

 二六日(土)、一日目の基礎セミナーは、TPK代々木ビジネスセンターにて、午後一時半より始まりました。伊藤幸蔵BM技術協会副理事長から「畜産・養鶏における飼料の問題など、今までなんとかしなければとは思っていても利便性・経済性優先で正面から見ないようにしてきた問題が、3・11の大災害で表面に出てきました。これから米の収穫も始まりますが、食糧から人への汚染など、放射線と今後どうつきあっていくのかを考えていきましょう」と開会挨拶がありました。
 次に、世界の被ばく者を追ったドキュメンタリー映画「ヒバクシャ 世界の終わりに」(鎌仲ひとみ監督)が上映されました。この映画は、イラク戦争でアメリカが使用した劣化ウラン弾(放射線半減期は四五億年)により国土を汚染され、苦しむイラクの子どもたちの映像からはじまります。アメリカ・カリフォルニア州ハンフォード核施設とその地域周辺でジャガイモ栽培や畜産をする農民、そして広島の被ばく者へと物語は続いていきます。原子力施設周辺の低線量被ばくで障害、奇形、ガン死を遂げた人々の話が語られます。
 休憩の後、「ヒバクシャ 世界の終わりに」にも登場されている、低線量被ばくの研究者で内科医の肥田舜太郎氏(94歳)による、特別講演『内部被ばくによる晩発性障害とフクシマのこれから』が行われました。

肥田舜太郎氏 講演要旨
 「一九四五年、軍医として広島市郊外で勤務中、郊外にたまたま診療に出かけていた時に原爆が落とされ、被ばくした。長年にわたり被ばく治療に携わり、その六千人以上の診療体験から、低線量被ばくがもたらす健康被害の実態を世に訴えてきた。埼玉県の医療生協病院に、被ばく者外来を置いている。
 自分は広島原爆の惨状を伝えられる、唯一生存している医者になってしまった。当時、人々は放射能について知らなかった。はじめは新しい伝染病だと思った。放射性物質は長らく広島市内の埃や空気の中に漂っていて、やがて被災者を助ける人々までが低線量被ばく、内部被ばくを受けていく。汚染された川の水を飲むなどして、低線量被ばくを受けた人々の症状は様々である。すぐに発熱するだけではなく、数十年かけて、少しずつ体調を崩していく場合もある。低線量被ばくはガンを生み出し、からだがだるく無気力になってしまう原爆ぶらぶら病も引き起こした。今でも治療法がない。
 アメリカに対してもっとも許せないことは原爆被害に対して軍事機密とし、箝口令を指示したこと。これで被ばくに対する研究が遅れ、たくさんの被ばく者が健康を害し、孤立して苦しんだ。
 福島原発事故は、今後、一年から三年で内部被ばくや低線量被ばくにより慢性の放射線病が出てくる可能性がある。被害が広範囲に拡大する恐れもあるが、今は開き直り、体を丈夫にし、規則正しい生活をして免疫力を高めるしかない。
 体調がおかしかったら、正確に記録をつけること。また医者に行ってカルテに記録してもらうことがとても大事。
 食べ物は、食べ方が大切。よく噛み、唾液(消化酵素アミラーゼ)を混ぜ、消化吸収を高めること。また、新陳代謝を高め、放射性物質が入ってもすぐに排出してしまうことも大事。
 世界には多くの放射線被害が現れているのに国家・企業による隠ぺいがある。原子力の安価な利用だけが考えられ、健康被害などについて語られていない。今回の福島原発事故でも健康被害についてきちんと論じる医者や学識経験者がほとんどいない。
 日本人には、人間としての『生きる権利』=人権という意識、『自分の命は自分だけのものであり決して何者も侵すことはできない』という意識が希薄だ。」

 続いて、椎名盛男BM技術協会常任理事から「BMW技術が持つ可能性について」と題して講演が行われました。
 「BMW生物活性水では、ミネラルや金属がキレート錯体となり分離しにくくなるキレート効果を持つ(EDTAの代替機能)。これをもっと強化する研究をBM技術協会ははじめた。福島の原発事故以降、生物活性水とロシアのチェルノブイリ周辺より入手した土壌菌などを使って、福島の汚染された土地の放射線量減少への実験にも取り組んでいる。」
 会場との質疑応答では内部被ばくから身を守る食事法なども紹介されました。
 講演後、参加者の懇親交流会は新宿ワシントンホテルに場所を移して行われました。今後の協会活動を担う若手が親交を深め、意見交換や情報交換、ネットワークづくりが行われました。

 二七日(日)、BM基礎セミナーは、生田喜和BM技術協会理事長の「BM技術協会は二〇周年を迎えたが、新しい広がりをもって、今後、一〇年、二〇年と技術運動を継続させていきたい」という挨拶から開始されました。二日目はBMW技術の基礎理論、耕作や畜産の具体的取組みを学びました。

①「BMWプラントの種類と仕組み」
星加浩二氏(匠集団そらプラント事業部長)
 農業の現場で利用される水の浄化の基本や、地域生態系と自然浄化の仕組みに学び多様に適応するというBMW技術の基礎、「生物活性水」「バイオリアクター」「BMW技術による飲水改善」などについて、全国のBMWプラントの仕組み、具体例とともに紹介されました。

②「畜産におけるBMW技術の活用法」
豊下勝彦氏(ポークランド代表取締役)
 秋田県ポークランドの取り組みとBMW技術について。豚の糞尿をBMWプラントで生物活性水にして噴霧し、飲水改善にも使用。豚の生活環境を悪臭がない発酵床にする。発酵床は堆肥として地域で耕作に循環利用し、常に豚舎は清潔に保たれる。
 アニマルウェルフェアにも取組み、バイオベット豚舎で豚は快適な生活がおくれる。SPF豚舎に入る人々は全身を洗い、清潔にして、豚舎に病原菌を持ち込まない仕組みを実践。また地域の飼料米も使用し、東日本大震災で海外飼料の供給が途絶えたときには助けになった。生協のパン屋廃棄物の飼料化など、エコフィードにも取り組んでいる。

③「耕作におけるBMW技術活用法」
 礒田有治氏(千葉自然学研究所)
 全ての農法の基礎にはよい水が必要。植物栽培の基礎は「水は肥料」。光合成など各種の植物反応には、生態系にミネラルが必要。BMW技術は微生物を利用してこのミネラルの循環を生み出す。
 耕作におけるBMW技術は、生物活性水のミネラル成分や微生物による、堆肥の発酵促進、病害虫の予防、発芽・発根・生長の促進など、様々な活用法がある。
 また、キレート化したミネラルは植物に吸収されやすい。生物活性水にキレート物質が含まれキレーティング剤の代替機能を持つことに注目。DOC(溶存有機炭素)が多ければ多収穫・高品質栽培が可能だが、DOCの構成要素とは酵素、有機酸など微生物の二次代謝物ではないか。

 三つの講演終了後には、二日目セミナー参加者全員の自己紹介が行われました。伊藤副理事長から、「今後の若手交流セミナーの活動については、若手が自主的に運営していくことを基本とし、継続して今回のようなBM基礎セミナーを行っていきたい」との提案がされ、会場の拍手によって賛同されました。

BM技術協会 事務局 井上 忠彦

Author 事務局 : 2011年10月01日 11:57

 
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