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2011年12月01日

【AQUA237号】高知県大川村、土佐山訪問

 一〇月一七日~一九日の三日間、高知県内のBMWプラントの状況確認と点検を兼ねて訪問した。訪問先は本山町、大川村、土佐山と三か所(匠集団そらの星加は津野町のプラントも訪問)。
 本山町は高知県北部に位置する吉野川上流の町。人口は約四、〇〇〇人、早明浦(さめうら)ダムの放水路の直下に町の中心がある。この町にはJA土佐れいほくが運営する堆肥センターに生物活性水プラントがある。平成五年にできたもので、かなり年季の入ったプラントだ。利用の仕方は堆肥センターへの散布と、地域農家が個々に持ち帰り利用するようになっている。一次発酵舎のロータリー攪拌機に活性水プラントから配管がされていて、堆肥を撹拌しながら生物活性水を散布できる仕組みになっている。残念ながら訪問した時はブロアに若干の故障個所があり、利用状況を確認することができなかった。それでも生物活性水の状態は良く、早期修繕の依頼を含めJA土佐れいほくの担当の方へ状況を報告した。堆肥センターで施設を管理されている方によると、堆肥は足りないくらい利用されているとのこと。生物活性水も水分調整具合にもよるが利用されているとのこと。地元農家の利用はあまりされていないようなので、今後の課題としては利用を促して行くためにどうしていくかを検討することが必要と思われる。

 本山町のプラントを後にして早明浦ダム湖沿いを車で西へ向かうこと四〇分、大川村へ到着。担当の大川村役場事業課の長瀬さん、㈱むらびと本舗の近藤さんと合流し、プラントが設置された「土佐はちきん地鶏」の鶏舎へと向かう。土佐はちきん地鶏は高知県が推奨する地鶏で「はちきん」とは男勝りの女性のことを意味する土佐弁とのこと。大川村では村をあげて、孵化からの一貫生産の取り組みを始め、生産当初からBMW技術を導入している。飲水改善プラントは山の中腹にあり、閉鎖された鉱山(銅)の最盛期に作られた貯水槽(土木槽一四〇トン)を利用し、高低差をいかし自然落下で各鶏舎に配水される。点検時にブロアの不具合がわかったものの、大事には至らなかった。生物活性水は五トンのホーロータンクを使用、一五〇倍希釈で毎日、手作業で各鶏舎に設置された飲水用タンクに投入している。その他に鶏舎や機具(飲水器、餌箱など)の洗浄にも利用している。現在は雛を含め一四、五〇〇羽が飼育され、八四日で出荷、出荷時の体重目標は三キログラムとのことだが、目標に届かないことが多く、課題となっているとのこと。近藤さんは孵化場を担当されていて、現在の孵化率は七五~七八%とまずまずの成績をおさめている。また、手作業で行われている生物活性水を稀釈する作業を短縮化するにはどうすればいいかを現場にて検討、飲水改善プラントにつながっている原水からの配管に水量メーターを取りつけ、日使用量を出し、直接飲水改善プラントに一五〇倍希釈で生物活性水を投入することをこちらから提案した。堆肥の製造は製造工程、利用状況ともに良好とのことだった。長瀬さん、近藤さんはまだ二〇代と若く大川村期待の新星、BMW技術をこれからもっと学習してもらい利用の幅を広げていってほしい。
 大川村からは工石山を越えて高知市土佐山へとたどり着く。(財)夢産地とさやま開発公社の大﨑理事と合流し、生物活性水プラントが設置されている土づくりセンターへと向かう。生物活性水、堆肥の状態、そして製造も順調に行われていた。地域農家の方や、土佐山以外の農家の方も生物活性水を利用するために、ここまで取りに来ているとのこと。
 土佐山では「土佐山一〇〇年構想」と題した大きなプロジェクトがスタートされている。人口減少に伴う村存続の危機を踏まえ、土佐山は「水と自由の源泉であり、教育の源泉である」ということを掲げて、有機農業・教育・自然環境保全と様々な角度から、土佐山地域の人々の暮らしが持続し、水源・河川上流域の森林・自然環境を守っていくために自分達が何を進んですべきかが検討され、その取り組みが実行されている。来年度の計画として、生物活性水プラントの増設、堆肥センターはその規模を大きくするために改築され、BMW技術を中心とした有機農業が推進されていく。次に大﨑さんの鶏舎へと案内していただいた。大﨑さんは県推奨の卵肉兼用鶏「土佐ジロー」を約四〇〇羽を平飼いで飼育している。ご本人は遊びの範囲と話されていたが、生産状況や販売状況を聞くと、とても遊びではない。やや小さめの卵は地元にあるリゾートホテル「オーベルジュ土佐山」のメインメニューになっているのをはじめ、人気の卵となっている。鶏舎には飲水改善プラントはまだ設置されていないが、沢水に生物活性水を希釈して投入している。とても毛艶がよくて産卵率は八〇%を越え、中には九〇%の鶏舎もあった。続いて生姜の有機栽培圃場をみた。約一反の有機認証を得た圃場にて生姜を栽培している。芯喰い虫などの被害も多く、何かと有機栽培は難しいとされている生姜だが立派に育っていた。また、BMW技術協会全国理事の山本優作さんの圃場も訪問、薬草(ホソバオケラ)の栽培実験、蕎麦や黒大豆の栽培などがされていた。

 私は訪れなかったが津野町の生物活性水施設も順調に稼働されていて、堆肥も良質なものができているとのこと。高知県は施設園芸王国としても有名だが、このようにBMW技術が利用された堆肥作り、有機栽培も行われている。今後は土佐山、大川村の取り組みに注目しながら、高知県、四国全体にBMW技術が普及することを願っている。また、本山町や大川村の施設のようにブロアの故障など、実際に点検して気づく点も多い。協会・匠集団そらとして、今まで以上にプラント会員との情報交換をこまめにして、プラントの稼働と生物活性水などの品質の維持、技術の普及に努めて行かなければならないということをあらためて思った。
(文責:BMW技術協会 秋山 澄兄)

Author 事務局 : 2011年12月01日 12:42

 
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