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2012年07月01日

【AQUA244号】国内プラント動向

広島県安芸高田市美土里町堆肥利用組合 堆肥センター

 五月一日に広島県安芸高田市にある美土里町堆肥利用組合の生物活性水プラントを訪れました。ここではプラントの管理を含め堆肥センターの状態があまり良い状況とは言えませんでした。市の地域営農課担当の方の話しによると「導入時の担当の方々がこぞって退職されてしまい、引継ぎもままならないうちに二〇〇四年に市町村合併があった。合併の中で予算確保の難しさ等の問題もあり、堆肥舎の撹拌機の修理もできずにいるので、いい堆肥ができているとは言いにくい状況です。この時期(田植えや畑作が始まれば)になれば、利用は増えていくと思いますが、全体的には利用する方が減ってきていて、堆肥を持て余している状態が続いている」とのこと。その中でも生物活性水は堆肥の水分調整で利用しているとのこと。先月号でお伝えした山形県長井市とケースは少し違いますが、同じような理由で取り組みが停滞あるいは滞ってしまうか否かというところです。特に美土里町は過疎や高齢化問題を抱え、その他の取り組みに関しても厳しい状況のようでした。行政での取り組みは、韓国の楊平郡の例もありますが、日本でも高知県の高知市土佐山、津野町、熊本県の南阿蘇村、JAささかみ、JAかづのなどがBMW技術の取り組みを行っています。これらの事例をモデルに再度取り組みをできないか、今年の全国交流会は高知県での開催ですが、実行委員会は行政関係の方と生産者を主体に形成しています。何かひとつこのような問題解決または、情報交換の中で一歩踏み出せるようになるような大会になることを望みます。

香川県琴平町  山下農園

 五月二日は金毘羅さんで有名な香川県仲多度郡琴平町にある山下農園へ訪問です。
 山下進氏と奥様(千代子さん)のお二人で、稲作と平飼い養鶏を主体に経営をしています。地域の子供達との交流、体験学習、約一〇年継続している「れんげ祭り」等の地域活動にはその身を投じ、地域の農業者と消費者を結ぶ取り組みに力を入れています。
 山下さんは、福岡県の福岡西部生協に勤めていましたが、お兄さんが亡くなられたことを期に実家の琴平町に戻り、実家の農家を継ぎました。山下農園にBMWプラントが導入されたのは平成五年(一九九三年)、飲水改善プラント(二tタンク二槽)と生物活性水プラント(二tタンク四槽)、生物活性水の原料は鶏舎の発酵鶏糞です。福岡時代にお世話になった、グリーンコープの元専務・(故)兼重氏の紹介でプラントを導入したとのこと。本人曰く「私はBMの会員としては劣等生です(苦笑)、自分たちの活動を進めて行くことに多くの時間をとられてばかり、技術の実験などはたいしてやれずにいるし、ただただBMW技術、生物活性水を使用しているだけでいます」とのこと。山下農園の周辺は田畑も多いですが比較的、民家も多い地域です。ほとんどの農家が兼業で有機農家は皆無、自身の取り組みを進める中で農家の仲間が地域内にいないのは寂しいですが、それでも地域の子供たちへの体験学習などを通じて、仲間を集めながら努力されてきたことが会話の節々に伝わりました。
 しかしながらここにきて、ご自分の築いてきた繋がりや活動を再度見直し、大きく変わらなければいけないと感じているとのことでした。
(報告:BMW技術協会  秋山澄兄)


北海道根釧地域(別海町)の川畑牧場で飲水改善プラントが稼働開始

 北海道根釧地域(別海町)にある「川畑牧場」にて飲水改善プラントの設置工事が完了しました。
 「川畑牧場」は根釧みどりの会のメンバーで、同会へのプラント導入は石澤牧場、三友牧場、岩崎牧場、渡辺牧場に引き続き五件目となりました。
 工事の前後には他の四つの農場の定期メンテナンスも行いました。川畑牧場の工事には岩崎さんと三友さんも手伝いに来てくれました。
 飲水改善プラントは一槽が三tのステンレスタンクを三本使用、二槽目にリアクター塔を設置、各槽には軽石と花崗岩、蛇紋岩を投入しています。リアクター塔を二槽目に入れる理由は、一槽目は塩素を抜くための槽として設定し、岩石は投入しますがリアクター塔は二槽目に設置しています。
 広い根釧地区ではありますが、上水道のインフラ整備はほとんどの地域で整っているとのことで、プラントを導入している他の牧場も同じように二槽目にリアクター塔を入れるようにしました。
 川畑牧場は成牛が四六頭、牧草地は五六ヘクタール、となっています。川畑さんは関西の出身で約一〇年前にこの地へ入植し就農した酪農家です。
 マイペース酪農は牛を牛本来の生態にもとづいて飼育する取り組みです。親牛一頭当たり牧草地一ヘクタールを利用、牧草を主体にして輸入濃厚資料は殆ど使わず搾乳量も五〜六,〇〇〇リットルと/年間(一頭)程度にし、牛への負担を少なくし、健康で長く飼養することに主眼を置いています。人のためになってくれる家畜を健康に飼育することができるように、生態系の飲み水に変えて飼育するBMW技術の考え方にもマッチしています。
 BMW技術は二〇〇八年の石澤牧場への導入をきっかけに広がっています。メンテナンスで訪問した際に石澤さんは「導入してから乳房炎の発生が減少し、発生しても治りが早い。乳量も増えたし、牛舎の臭いも変わった。」と話していました。
石澤さんは生物活性水のミニプラントも導入し、飲水に添加しています。バンクリーナーへの散布等へも利用して行くとのこと。生物活性水は牛の原尿を原料にしていましたが、堆肥の浸み出し液を原料に変更したとのことでした。
 根釧地区においては酪農からの糞尿が地下水を汚染してきた結果、家畜のみならず、人も上水道を頼らざるを得ない状況とのこと、道東地域の沿岸部の漁業にも深刻な影響を与えているとのことでした。このような環境問題への取り組みやお互いの情報交換等を活発にするため、根釧みどりの会では月に一度、各生産者のところに集まり学習会などを行っているとのことでした。
    (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2012年07月01日 22:41

 
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