« 【AQUA246号】高知で現地学習会が開催 | メイン | 【AQUA246号】「パルグリーンファーム㈱」が設立 »

2012年10月01日

【AQUA246号】インドネシア スラバヤより

〜ATINA社 エビ加工場の排水処理施設、及び生物活性水施設建設に向けて

 八月八日から三日間、インドネシア・スラバヤ県、シドアルジョ市にあるATINA社(オルタートレード・インドネシア)において、同社新工場に建設予定のBMW技術排水処理プラントと生物活性水プラントの建設に向けて、最終の打合せと図面や設備等の確認作業が行われました。主な打合せは、ATINA社のマネージャー津留氏とサブマネージャーのハリー氏、同社技術部門の責任者・アブラハム氏、日本からは㈱匠集団そら・プラント事業部の星加とBMW技術協会事務局長の秋山の五名で行われました。このプロジェクトは約二年前から計画が始まっていましたが、東日本大震災の影響や現地インドネシアでの新設地における諸問題などをクリアし、いよいよ今年一〇月に着工、来年二〜三月の完成を目指すこととなりました。
 打合せでは、すでに新工場自体は今年の五月から建設が始まっており、八月から各プラントの基礎工事、一〇月からは土木槽工事、一二月には配管設備、機械設備の工事が行われ、来年二月には試運転が始まるという流れを確認しました。また配管設備、設置する各機械(ブロアーやポンプなど)の確認なども行われ、打合せ中には何度か図面の変更が行われるなど、細かい部分まで話し合いは行われました。
 新工場へのBMW技術導入の目的は、環境保全型の都市型工場を目指す目的にあります。インドネシア・スラバヤでは、多国籍企業が多くの工場を建設しています。雇用も必要となるため都市に人口も集まってきています。その結果、工場排水、家庭排水等による河川の汚染が問題となっていて、これがエビの養殖へも影響を及ぼしているとのこと。水質を確かめたわけではないので確実だとはいい難いのですが、近隣の工場の排水もそれ相応の汚れた排水を垂れ流していることが河川を見るだけでわかる気がします。住民のトイレが川の上にあったりもします。ATINA社では化学薬品や合成洗剤等は使用していないのですが、生のエビを扱うことで「生臭い」臭いが時折、近隣の苦情を受けることがあるそうです。この臭いの軽減を含め、BMW技術を使って排水を処理し、その処理水を原料に生物活性水を作ります。また、処理水は※ビオトープを作り再利用します。茨城県の田中邸や秋田県のポークランドの事務所前にあるモデルプラントをモデルにしました。ビオトープでは米を作り、職員たちの給食に使用します。職員たちの休み時間等の憩いの場となるようなデザインを考えています。また、河川放流前の※インディカトルでは淡水魚の養殖を試みます。

※ビオトープ:その土地に昔からいたさまざまな野生生物が生息し、自然の生態系が機能する空間のこと。最近は、人工的につくられた、植物や魚、昆虫が共存する空間を呼ぶことが多い。
※インディカトル:工場の河川排水口前に大きな貯水池(調整池)を作ることが義務づけられているとのこと。この池は現地ではインディカトルと呼ばれる。

エビの養殖圃場を見学
 ATINA社の工場から車で南東へ約四〇分ぐらいの位置にあるエビの養殖場へ見学に行きました。残念ながら季節はずれで収穫は終わっていましたが、すでに稚エビは池の中にいるとのことでした。ATINA社のエビは「エコシュリンプ」の名前で全国の生協を中心に販売されています。養殖池ではエビとバンデンのみならず、川や海から入り込んでくる他のエビや魚、カニなどが共生しています。そのような多様な生態系の中で、水草(ガンガン)を発酵させて発生させたプランクトンや池の中に棲む小さな虫などを食べ、一平方メートルあたり約三尾(集約型養殖池の一/一〇)というのびのびとした環境の下で育っているとのこと。稚エビが池に放流された後は、一般的なエビに用いられる人工飼料や抗生物質は一切与えられることがないため、水の汚染が極めて少なく、また収穫には、海水の干満による水流、仕掛け(プラヤン)、網、手づかみなど、最小限の動力を利用した手法で行われています。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年10月01日 21:55

 
Copyright 2005 Takumi Shudan SOLA Co.,Ltd All Rights Reserved.